ma_経営診断♠インプラント Feed

2017年8月 8日 (火)

インプラント 26(6S)

3.26 6Sでの判断

 私がかかった歯科医院に限定ではあるが、私の目から見て6Sがなっていない。表面的には綺麗ではあるが、裏は不潔で不衛生である。儲かっているから、立派な建屋が建てられて、見た目は美しいが、掃除がおろそかになっている。その原因は医院経営が儲かるインプラント手術に依存して、慢心で経営が甘くなっているからだと判断した。そんな医院に身を任せてもいいのか、である。友人にこの医院を見せたら「これは美容室の建屋ではないか」との外観の評価であった。つまり見た目は美しい。しかし、見えない内部は汚れている。

 

往診車の汚れ

 医院の前に往診車(8ナンバーの中古車で、市場推定価格100万円)が駐車してあり、その運転席のセンターボックスに、ストローが挿したままのコーヒーカップが、10日以上も置かれていた。往診車の内部を上から覗き観ると、汚れた診察台、汚れた排水口まわり、シミのついたままの床、錆びの浮かんだ機器の台と支柱、床に無造作に放置された固定ベルト等が、目にとまった。普通の視線高さからでは内部が見えないように曇りガラスで防衛されていた。次の日に内部を見ると、運転席の下にコンビニの膨れたゴミ袋、医院の清潔であるべき白いスリッパがひっくり返って放置されていた。1週間以上も運転席ダッシュボードに某大学講師の名刺が置かれていた。清潔であるべき往診車が不潔であった。またその往診車の回りやその駐車場には、タバコの吸殻やコンビのビニール袋が何日も掃除もせず放置されていた。

 

街の掃除活動

 市内の「四季の路」遊歩道沿いの会社、銀行や医院では、毎朝、社員が全員で自分の会社以外の周辺の道路の掃除をしている。自分の街の遊歩道と自社を守ろうとの意識が感じられて、市民として誇りに思う。近くの眼科医院でも、朝は受付の方や看護婦さんが道の周りの掃除をしている。広報を兼ねてか、社名の入った制服で、四季の路の掃除を大勢でしている会社もある。たとえ広報活動としての掃除でも、良い活動である。

 それに対して毎朝、この歯科医院の近くを通るのだが、従業員の掃除の現場を見たことがない。この歯科医院は6Sが全くされていないと断定した。そんな歯科医院に、大事な歯の手術を任せていのか、である。答えは明白である。

 

 6Sとは:「5S」とは企業経営理論の専門用語で、整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字である。「6S」とはトヨタグループの用語で、整理・整頓・清掃・清潔・躾・シッカリの頭文字である「整理整頓は仕事ではないが、責務である」(神戸健二著『キャノン式稼ぐ社員の仕事術』成美堂出版)

 

図1 新大橋近くの某金融機関前  2011年6月14日 08:13

図2 四季の路沿いの某電気会社前  2012年11月5日 07:30

 

2017-08-08

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2017年8月 6日 (日)

インプラント 25(立場を代えて)

3.25 立場を代えて観る

 自分が歯科医なら、インプラントを患者に勧めるか?

 これは経営者の価値観の問題である。拝金主義で、医院の利益を考えるならば、インプラントを勧めるであろう。患者のことを思い、良心があるならば、現状では安全性に不安があるので、勧めないのであろう。いくら儲かるといっても、将来の訴訟されるリスクを考えると、経営上でインプラントは恐ろしい麻薬のようだ。私が歯科医ならば、インプラントは絶対に患者には勧めない。

歯科医の付加価値

 歯科医院は、全国にコンビニエンスストアの1.6倍の数が存在する。「1996年に歯科医療費が2兆5千億円に達してから、歯科医療費は抑制され続けてきた。一方で歯科医が増えたため、「保険診療だけでは経営が成り立たない」と嘆く歯科医が増えた(厚生省資料)。つまり歯科医療は過当競争状態にある。歯科医師の平均年収は582万円で、医師の1,141万円に遠く及ばない(週刊ダイヤモンド2012/2/11号)。そこに「麻薬のような」インプラント治療が登場し、多くの歯科医が飛びついた。その状況で、利益率の高いインプラントの魅力は、極めて大きい。付加価値のある経営が求められているが、インプラントが患者に真の付加価値があるのかが、問題である。

 

トヨタ生産システムでは、まず顧客から出発して、各工程で、「この工程は顧客に対してどのような付加価値を生み出しているか」と問いかける。

   ジェフリー・K・ライカー著『ザ・トヨタウェイ』p54

 自然の摂理でみれば、インプラントを無条件に勧める歯科医は今後、淘汰されるだろう。それが市場の原理である。顧客の目は正直で厳しい。自然の摂理はもっと冷酷である。

 

2017-08-06

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2017年8月 5日 (土)

インプラント 24(感性)

3.24 何かオカシイと感じる感性  経営とは芸術

 経営者は決断の対象について、少しおかしいと感じたら、対象をよく聞き、ノイズをしっかり観察して、しっかり匂いを観てその怪しさ感じなければならない。それが危機管理でもある。そのチョッとおかしい先に多くの疑惑点(ゴキブリ、シロアリ、危険)が隠れている。家庭でゴキブリが1匹見えたら、家の中には100匹のゴキブリがいるといわれる。料亭の女将は客の靴や身なりや些細な仕草で客の本質を見抜くという。本質はどう隠しても、見るべき人が見れば、おかしいと感じるもの。

 自宅の床の土台が少しおかしいと思って業者に調べてもらったら、大量のシロアリが巣くっていて、風呂場、台所の床、座敷の床、土台が食われていた。そのため各室の床を全面取替えとなったのは、2012年10月のことであった。少し気づくのが遅すぎた。私は家の維持運営の経営者としては失格であった。

 

此岸から見て、彼岸から見て、時代を超えて見て

 高い視点、下からの視点、向こうからの視点、歴史からの視点で物事をみると、ベールに覆われている本質が見えてくる。だからこそ、経営者は成長して、高い見識からチョッとした差やシグナルを感知して判断をすべし。小人(ことな)では、大人(おとな)の見方ができない。

 横山大観は「画家は音を絵にできなければ一人前ではない」と言った。多くの社員・家族を抱える経営者は、芸術家のレベルで経営をすべきである。聞こない現象、見えない音を稟議書に反映しなければいけない。社長は並みの社員ではないのである。

 

インプラントは何かおかしい

 インプラント特集の雑誌や書籍中での医院紹介では、医院の手術室、設備の素晴らしさ、待合室の立派さを前面に出して客寄せをしている。雑誌に掲載されている医院がみな同じパターンである。親から頂いた体に異物を埋入させる手術は、内科外科の病院で行う手術とは、明らかに異質な手術である。

 

「当院の設備は立派で、待合室も患者さまにとって心地よくホテルのロビーのような雰囲気です。是非、当院でのインプラント手術をお勧めします」等の客寄せ広告は、病院として何かおかしい。

 

素朴な疑問

 どうやって、年収582万円で設備投資1億円もの費用を回収するのか?

 どうやって、年収582万円で教育投資6,000万円を回収するのか?

 どんな家庭が、年間学費1,000万円を6年間連続で出費できるのか?

 なぜ、頭の悪い歯科医の言いなりになるのか?(失礼)

 そんな歯科医師に命を預けていいのか?

有名歯科大学の学納金

 有名歯科大学の平均学納金(6年間)は3,000万円である。東京での下宿生活には月20万円は必要。歯学部で子息を卒業させた知人の情報では、私立歯科大学では学納金以外に2,000万円は別途必要という。合計すると、私立歯学大学を卒業するには6年間で6千万円近いお金が必要。

    1位  東京歯科大学   31,900万円

   10位 北海道医療大学  28,600万円

   17位 松本歯科大学   18,680万円

   (医歯専門予備校メルリックス学院の情報)

 

インプラントの設備投資

 インプラントの開業設備には億の金がかかる。誰が負担するのか?

 インプラント用専用手術室  数千万円

 3D撮影CT装置      数千万円

 口腔外吸引装置       数百万円

 生命兆候モニター      数百万円

 マイクロスコープ      数百万円、数千万円?

 豪華な待合室        数百万円

 インプラント研修      数百万円

 

歯科医の収入

 歯科医の平均年収は582万円である(週刊ダイヤモンド2012/2/11号)

 開業医の歯科医に退職金はない。

 

歯科医の学力

 大学受験での歯学部の偏差値は、医学部のそれよりはるかに低い。医師会と歯科医の会合は別で、医師と歯科医は別世界である。国家試験合格率が3割の歯科大学での卒業生は、どうやって元を取るのだろう?

 私立大学医学部の偏差値は73~62 (医歯専門予備校メルリックス学院の情報)

 私立大学歯学部の偏差値は53~40 (医師会と歯科医会とは別の組織)

  1位 東京歯科大学  偏差値 53

  4位 日本大学      偏差値 49.5

  10位 福岡歯科大学 偏差値 46

  15位 鶴見大学   偏差値 45

  17位 奥羽大学    偏差値 40

 

国家試験合格率

 1位 東京歯科大学   97.4%

 5位 愛知学院大学      77.8%

 10位 朝日大学     65.3%

 15位 奥羽大学      56.9%

 17位 松本歯科大学   32.8%

 

図1 台所の床下 ぼろぼろになった外部を取り払った状態

   アリに食われて約1/5にまで細くなった台所のネタ

図2 大人(おとな)と小人(ことな)の差

 

2017-08-05

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2017年8月 4日 (金)

インプラント 23(論理的解釈)

3.23 論理的解釈

 日本の歯科大学で、インプラントの講座があるのは4校のみである(2007年現在)。そのせいか、インプラントの講習は米国の大学に行って受講する場合が多いようだ。私の担当医も米国で研修を受けて、そのことを誇らしげにガイドブックに記載している。その理由は、米国での需要の関係と日本で正式に認知されていない事情による。そのせいで、日本では大学関係からではなく、開業医の世界からインプラントが始まった。医療関係でこういう例は珍しいようだ。

米国事情

 米国では、肥満と悪い歯並びが出世に大きく影響するため、特に審美観の関係でインプラント技術が発達した。10年後の健康の問題より、今の金儲けのために、美観が重要である価値観が横行している。これはグローバル競争の影響である。グローバル競争での価値基準はマネーであり、日本のそれとは異質である。それが日本の大学は、インプラント講座校が4校のみであることで、マネー偏重の思想には汚染されていないといえる。

 インプラント絶賛の洗脳本では、日本の大学にインプラント講座があるのは4校のみであると嘆いている。見る価値観によって、その数値の意味づけが大きく異なる。インプラント教に染まった著者だからこそ、嘆くのだろう。こんな本の意見に騙されてはいけない。自分の頭で何が正しいかを見極めないと、自分の体の経営はできない。これは人生観の問題でもある。

下記の事実をどう解釈するか?

 日本の歯科医のインプラント実施は3%のみ。

 日本の大学に、インプラント講座があるのは4校のみ。

 インプラントは健康保険が適用外(国は医療とは認めていない)。

 米国は、悪い歯並びでは出世に響くのでインプラントが流行

 

価値観の差

ニーチェの言葉There is no facts, only interpretention.

「世の中に真実などはない,あるのは解釈の違いのみ」

 その人の価値観による見方で、正逆反対の結論に至る。価値観とは、その人の人生観である。インプラント自体は1960年代に開発されたが、現在の本格的なインプラント技術が完成して日本にも本格的に導入されたのは、2000年代に入ってからである。これはまだ10年余しか経っていない新技術である。インプラントを装着して、体への影響は死ぬまで数十年にも及ぶ。つまり、長期間にわたる体への影響のデータがなく、安全性の検証が終わっていない。現在は、治療側・機器製造メーカ側が数多くのデータを欲しいがために患者はモルモット扱いをされているようだ。それ故、インプラント専門医はインプラントを過度に推奨していると推定される。私は、この状況であえて危険な手術を受けるに値するか、リスク管理上で慎重な対応が必要と判断した。

 

図1 6M2Qは後藤悦夫先生が唱えた説である。

 全ての事象は6M2Qで構成されている。6M2Qとは、human,time,room,material,money,method,quality,quantiyである。その二つの事象がぶつかり合って事件が起きる。それをどう解釈するかは、個人の人生観や国の価値観による。ハーレムでスリの被害に会えば、盗られた方がバカで、取った方は「よくやった」をハーレムの住民から褒められる。

 図2 ミシガン大学セミナーOBのテクニカルライティングの勉強会

    後藤先生が講師   東京外国語センター名古屋(丸善ビル)にて

    2004年12月11日

 

2017-08-04

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2017年8月 3日 (木)

インプラント 22(機械設計)

3.22 機械設計者からの観点

 図1は、私の歯のCT写真です。歯周病による細菌の影響で、奥歯が割れている抜歯直前の状態です。言わば私の奥歯の遺影です。この写真を眺めるうち、元本職の機械設計者(工学部機械工学科卒、機械設計業務に約30年間携わる)としての目で、人体の不思議さを考えるようになった。

 28本の歯の根元の形状が全て異なり、歯にかかる力を分散して受けるために、微妙な曲線美で作られた歯根元の形状造形美には驚くしかない。一番多く負荷のかかる奥歯の根元は、2つの歯根で支える構造になっている。その形状は応力を均等に受けるための形状になっている。まさに神の造形物である。

 インプラントの場合、ねじの形状が上から下まで同じ形状である。歯にかかる応力では、人工歯根の根元に大きな応力集中がかかる。現状の形状では、その対策の形状となっていない。それを、単なる金属のねじを体に埋め込んで代用させるのは、神の造形物への冒涜ではないかとも思った。下図の左右を比較すると、設計者として、神が人を設計した技量を2つの図で比較すると、人工歯根の設計上の拙さを痛いほど感じる。これでは、長期間の使用に耐えられないと感じた。

 西洋では「自然を征服した」との表現がよく出てくるが、インプラントもその類の思想から生まれたのではないか。宇宙根源の真理に反しているのではないか。そんな思いを抱き、インプラントに疑問がわいてきた。

 

図1 私の歯のCT写真

図2 インプラントのイメージ図

 

2017-08-03

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2017年8月 2日 (水)

インプラント 21(逆選択)

3.21 逆選択

 経済学の専門用語に「逆選択」という言葉がある。これは「質の良い財よりも、質の悪い財が多く市場に出回るような現象」を意味する。この現象は情報の非対称性が存在する場合に発生する。例えば中古車の売買で、良い中古車ではなく、故障しがちな中古車(レモン)ばかりが供給される現象をいう。販売店は、販売する中古車のどれが良くて、どれが悪い中古車かを知って販売する。買う方はそれが分からないという情報の非対称である。

 医療の場合には特に、医師の持っている情報と患者が持っている情報には、より大きな非対称性が存在する。医師に都合の悪い情報は、患者に提供されない。その結果、医者に都合のよい選択肢が氾濫することになる。今回のインプラントの例や豊胸手術の例が相当する。それは国が認めていない治療方法である。

 この項目は、国家試験の科目の一つである経済学の中の頻出問題である。それだけ現実の経済で問題が頻発しているとの試験問題作成委員の認識だろう。その検定試験問題でも難解なレベルの問題が多く出ており、私は過去問を解く度に何回もミスをしている。それだけ、素人は騙されやすい。

 モラルハザード(道徳的危機)

 「逆選択」に対応する言葉が「モラルハザード」である。行動に関する情報に非対称性がある場合にモラルハザードという問題が生じる。モラルハザードは逆選択とは逆に契約後に生じる。それは当事者間で契約が結ばれた後に行動が観察できないので、一方の当事者が当初予想されたとは異なる行動を取る事態となって、契約が想定した条件に当てはまらなくなる状況をいう。

 保険に入ったため、本来の対応が疎かになる状況をいう。この原稿を書いているとき、自家の屋根瓦の葺き替えを実施した。ところが業者が、屋根の養生を怠り、たまたま早朝に雨が降り、2階の天井が汚れて、天井のやり直しをする事態となった。その業者いわく「大丈夫です。保険に入っているので、保険で直します」と平然としている。こういう事態が出ると、結果として保険料金が上がり、回りまわって、リホーム費が上がり、顧客に迷惑をかけることに気がつかない。これこそ道徳的危機である。

 インプラントは普通の歯よりも厳密な手入れが必要なのは、インプラント業界では常識である。しかし、インプラントは永久に持つとの宣伝で、患者が手入れを疎かにするケースが多い。自分の歯の手入れが出来なかった不精者が、インプラントの手入れを十分にするとは、矛盾がある。そして、インプラント歯周病にかかり、インプラントを外さねばならない状況に陥る危険性が高いことを告知しないのは、モラルハザードと呼ぶのではないか。

 

インプラントの歯周病

 インプラントは材質がチタンとセラミックなので、虫歯にはならない。しかし、インプラントを埋入しているのは自身の骨で、その周囲には歯茎がある。磨き残しなどがあると、インプラントの根元に歯垢がたまる。それが菌に侵されて悪化すると、天然歯と同じように歯周病菌によりインプラントを支えている周りの骨が溶けていく。そうなると、インプラントを支えている土台(骨)が無くなった状態になるのでインプラントはぐらつき、やがては抜け落ちてしまう。

 天然歯には骨との間に歯根膜という組織があり、その膜から血液供給がされているが、インプラントと骨の間には歯根膜は存在しない。歯肉も顎の骨も血液から栄養をもらい抵抗力を備えている。だからインプラントは天然歯よりも抵抗力が弱く、細菌に感染しやすい。

 

2017-08-02

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2017年8月 1日 (火)

インプラント 20(枯れた技術)

3.20 トヨタ生産方式での判断  原則8 

技術を使うなら、実績があり、枯れた、人や工程に役立つ技術だけを利用する

  インプラントは新しい技術である。まだ日本では実績がないといえる。そういった技術を自分の体に適用するなら、自分がモルモットになるつもりなら良いが、そうでないなら、慎重になるべきである。

自動車業界の評価試験体制

 トヨタグループで、テストコースの新設が新聞を賑わしている。グローバル化で世界との競争が激化しているためである。テストコースは100億円単位の金の要る高価な設備である。しかしテストコースからは一銭の利益も生まない。それにまして、維持管理費が膨大である。それでも、世界の部品業界で生き延びていくためには、テストコースの設備が欠かせない。それは、新技術の安全確認のためにはテストコースでの実証試験が欠かせないためである。車では、その部品の性能が人の命に直結している。

 前職の会社は5,000人5,000億単位の規模の「中小企業」部品メーカであったが、このテストコースの費用を捻出する余裕がなく、同程度の規模の会社に吸収合併する憂き目になった。そして私が32年勤続した創業60年の会社が消滅した。吸収する側も、単独ではテストコースを造れる余裕はなかった。そして前の会社の名前を捨てて、新会社名にすることになった。合併して1兆円規模の会社になったので、やっとテストコースを建設できた。そんな厳しい時代である。グローバル競争時代の部品業界において、5,000億円程度の売り上げ規模では「中小企業」扱いである。

インプラント企業の安全性試験?

 日本国内で流通している製品で、50社から100社のインプラントメーカーがあると言われている。韓国製や他国のメーカーも含めると150社にも200社にもなる。インプラントにおいて、中小零細のインプラントメーカが、相応の安全確認試験をしているとはとても思えない。あるのは人体実験である。それゆえ、歯科医とインプラントメーカーが、多くの患者にインプラントを勧めて、データを集めているのが現実の姿ではないか。要は患者はモルモットである。インプラントは自動車部品と同じように人の命に直結しているのに、その評価体制に疑問を感じる。

 

2017-08-01

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2017年7月31日 (月)

インプラント 19(現地現物)

3.19 トヨタ生産方式での判断  原則12 現地現物

Principle 12:

Go and See for Yourself to Thoroughly Understand the Situation.

Observe the production floor without preconceptions and blank mind.

Repeat“why”five times to every matter.

Taiichi Ohno (as quoted in The Toyota Way Document)

                      JEFFREY K.LIKER“THE TOYOTA WAY”

 現地現物とは、自分で現地に行き、自分の目で見て、状況を完全に理解することである。先入観なく、素直な心で生産現場を観察せよ。そして5回のナゼを繰り返せ。(大野耐一)

(「現地現物」の説明として、ミシガン大学リッカー教授の英語訳の表現は出来色である。日本語より明確で分かりやすいので引用した。)

 問題が起きて、原因を机上でいくら考えても、答えは出ない。答えは現場にある。このトヨタ生産方式の行動原則第12に基づく調査として、人脈を頼りに、北は北海道、南は宮崎までの皆さん(中小企業の社長)にインプラントの生情報を、直接、聞き込みをした。これにより書籍やweb情報、歯科医からの非対称ある情報の裏に隠れた真実の情報を得ることができ、正しい経営判断をすることができた。

 リーダーは問題が起きたら、すぐに現場に直行すべきである。たとへ現地が九州、北海道、海外であってもだ。行けば何らかのヒントを発見できる。私はそうやって生きてきた。それで後悔したことはない。

 

2017-07-31

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2017年7月30日 (日)

インプラント 18(5回のなぜ?)

3.18 トヨタ生産方式での判断  5回のなぜ?

 何事もその目的と手段を取り違えると、オウム真理教の上祐のようになる。それは往々にして頭のいい人にそれが起こりがちである。事の本質を知るには、「その目的は何?」を5回唱えると良い。トヨタ生産方式の神様、大野耐一氏も、「WHY?を5回繰り返せ」と、その大野語録で述べている。言わんとするところは同じである。

 なまじっか、インプラントに特化してその技術に精通すると、その技術を疑ったり、捨てたり、別技術を採用するという発想は生まれなくなる。インプラントを妄信する信者になるのではないか。経営上でも、技術開発上で同じようなことが起きる。市場を独占してきた技術があるためイノベーション技術を怠り、他社が開発した革新技術に負けて市場から放逐される。これをイノベーションジレンマという。勝ち組の企業が陥りがちな事象である。このインプラントの場合は裁判での危機にも直面しかねない。経営者として、肝に銘じなくてはならない事項である。

 この考え方は、インプラントだけでなく全ての事項に展開して欲しい。

 

インプラントの真の目的は何?

何のために手術をするの?

他に方法はないの?

体に悪影響する恐れがある異物を体に埋入れてもいいの?

 

5回のなぜ?

・何故インプランを体に入れるのか?

  入れ歯やブリッジより、安定して歯を固定できるから

・なぜ安定して固定できるのか?

  直接、人工歯根を骨に埋め込むことで骨肉と強固に癒着するからから。

・何故人工歯根は強固に癒着するのか?

  チタンが体に馴染む性質を持っているから

・なぜチタンが体に馴染む性質を持っている?

 チタンは炭素と金属の中間の元素であるから、害が少ないといわれている。

・何故金属の性質も持ったチタンが体に影響はないのか

 長年の検証結果はまだ出ていない。歯科医はそこまで言わない。

    

図1 5回の何故

図2 “THE TOYOTA WAY”JEFFREY K.LIKER“THE TOYOTA WAY”

図3 『ザ・トヨタウェイ』

 

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2017年7月29日 (土)

インプラント 17(テクニカルライティング視点)

3.17 テクニカルライティングの視点からの判断 

 新興宗教は、ご利益とお布施そして都合の悪い話しはしない、で信者をねずみ講的に増やしている。儲かるのは教祖である。そして「足抜け」が難しい。その点で、インプラントの普及と似ている。

 その昔、オオム真理教の上祐広報部長(当時)が、テレビのディベート番組で、テクニカルライティングの手法で論理的に相手を論破していた。私のテクニカルライティングの師であるの早稲田大学篠田教授が、「最初に結論を言って、その次にデータでその裏付けをしているので、いかにもテクニカルライティングの手法だが、データを多く見せているだけで、自分達に都合の悪いことは何も言ってない。またそのデータの真偽を証明していないので、論理が間違っている。上祐広報部長の論法は、データを多くして、焦点をぼかしている。これは本当の論理的な説得ではない。」と論説した番組があった。

 その篠田教授のコメントのテレビ放映後、その夜、オオムからの怖いアクションがあった。テレビ出演後、オウムからテレビ局に1回、自宅に2回も電話があった。そのため、その夜NHKから、翌朝の番組への出演依頼があったのだが、命に係わることなので、先生は出演を辞退された。また一時期、不審者の尾行が付いたため先生には警察から護衛がついた。またこのTV収録でも、かなりの部分をカットしたとのことだが、それでもこの有り様であった。

 上祐被告(当時)は早稲田在学中、篠田教授の講座を取っていたとのこと。篠田教授は、「当時学生の上祐被告だけが、いつも英語で質問してきたので、よく覚えている」と仰っていた。インプラントの調査の過程で、篠田先生とオオム真理教にまつわる事件を思い出した。インプラントに関する都合のわるい情報を歯科医やインプラント解説本は患者に開示していないのが現実である。そして歯科医側やメーカは桁違いの利益を得ている。これではインプラント真理教である。私がかかった歯科医は、インプラントの専門医である。私はインプラントの知識も関心もない時にこの歯科医にかかり、抜歯後にインプラントの問題に直面した。

担当歯科医の履歴

2001年 〇〇歯科大学卒業

2004年 〇〇の歯科医院に勤務

     その歯科医は国際インプラント学会指導医。インプラントの著書も多い。

     その元でインプラント治療技術の修行をする

2007年 米国〇〇〇インプラントコース〇期生

2010年 インプラント100時間講習終了

2011年 〇〇〇〇〇インプラント公認インストラクター認定

2012年 米国〇〇〇インプラントコース〇期生

インプラント真理教?

 この歯科医は、インプラントが絶対であるとの「洗脳」での研修を数多く受けている。指導の医師が国際インプラント学会の指導医であるので、それに疑問も感じず、ひたすらインプラント「教」を学んできた趣がある。それ故、インプラント大好き医師で、患者にはインプラントを勧める。自分の家族の場合にも抜歯の場合は、インプラントを勧めると言っていた。私はそんな履歴を知らないので、説明を聞いてインプラントの手術をする気になった。

 技術畑出身の自分としては、この種のことはメリット、デメリットの比較検証をして慎重に採用の可否を決めるのが常道である。しかし、医院からは、デメリットの件の情報開示はない。一部が文書でさらりと書いてあるだけ。特にインプラント歯周病、その対策を怠った場合の危険性、アレルギー、経年変化、異物としての免疫拒否反応の事前説明はない。解説書にも説明文もなく、手術同意書にも記載がない。自分の都合の悪いことを公開せず、ご利益ばかり説明し、自身は多大の利益を得るのは、悪い「新興宗教」であるとの結論に至った。

 

「霧の中を行けばおぼえざるに衣しめる。

よき人に近づけばおぼえざるによき人となる」(『正法眼蔵随聞記』)

「正師を得ずんば学ばざるにしかず」(道元)

 道元禅師は、正しい師を得られないのであれば、むしろ学ばないほうがよいとまで極言されている。人生とは師を求めて歩く旅であり、誰に出会うかにより、創られる世界や、目的地が変わってくる。正師でない人に、ローマに行くべき道を尋ねたら、シベリア流刑地行きの道を教えられたのと同じである。安易に極楽に行ける手法を狂祖から学んだら、行き先が絞首刑台であったのは、オオム真理教信徒達であった。小さい時から芸事に接すれば、簡単に能力が身に付くなどとの愚かな考えには至らない。

 

図1 篠田教授との会食  名古屋キャッスルホテルにて  2000年8月24日 

   左から2人目が篠田教授。右端は私の英語の師匠、後藤悦夫先生、左端は小生。

 

2017-07-29

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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