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2017年8月 6日 (日)

インプラント 25(立場を代えて)

3.25 立場を代えて観る

 自分が歯科医なら、インプラントを患者に勧めるか?

 これは経営者の価値観の問題である。拝金主義で、医院の利益を考えるならば、インプラントを勧めるであろう。患者のことを思い、良心があるならば、現状では安全性に不安があるので、勧めないのであろう。いくら儲かるといっても、将来の訴訟されるリスクを考えると、経営上でインプラントは恐ろしい麻薬のようだ。私が歯科医ならば、インプラントは絶対に患者には勧めない。

歯科医の付加価値

 歯科医院は、全国にコンビニエンスストアの1.6倍の数が存在する。「1996年に歯科医療費が2兆5千億円に達してから、歯科医療費は抑制され続けてきた。一方で歯科医が増えたため、「保険診療だけでは経営が成り立たない」と嘆く歯科医が増えた(厚生省資料)。つまり歯科医療は過当競争状態にある。歯科医師の平均年収は582万円で、医師の1,141万円に遠く及ばない(週刊ダイヤモンド2012/2/11号)。そこに「麻薬のような」インプラント治療が登場し、多くの歯科医が飛びついた。その状況で、利益率の高いインプラントの魅力は、極めて大きい。付加価値のある経営が求められているが、インプラントが患者に真の付加価値があるのかが、問題である。

 

トヨタ生産システムでは、まず顧客から出発して、各工程で、「この工程は顧客に対してどのような付加価値を生み出しているか」と問いかける。

   ジェフリー・K・ライカー著『ザ・トヨタウェイ』p54

 自然の摂理でみれば、インプラントを無条件に勧める歯科医は今後、淘汰されるだろう。それが市場の原理である。顧客の目は正直で厳しい。自然の摂理はもっと冷酷である。

 

2017-08-06

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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