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2019年12月28日 (土)

運命を変える一番大事な力

 組織で一番必要とされる力とは、リーダの「総合的人間力」である。組織とは、二人以上で要素から構成された集合体である。集合体である以上、それを統括するリーダが必用である。会社で言えば、社長であり、家庭であれば家の主である。自分の体という組織なら、己の頭(心)がその統括者である。そのリーダが組織の持つ資源を最大限生かして、成果を最大にする営みを「経営」という。

 リーダがその経営を間違えるから、組織が左前になり倒産する。自分の体の経営を放漫経営するから、病気になり、早死にする。

 

組織とは

 組織は人、モノ、カネ、情報、歴史からなる。国で言えば、人(国民)、モノ(国土、インフラ)、情報(文化資産)、歴史からなる。

 会社で言えば、人、商品力(モノ)、カネ(資本力、土地、インフラ)、情報(情報資産)、歴史(信用、伝統)からなる。

 

資源の分類

 その資源の内、「人」こそが未来を作る組織の競争力である。「モノ、カネ、情報、歴史」は過去に作られた組織の補助力(追い風)である。

 自分の未来を作るのは、親からもらった遺産でもなく環境でもない。自分等言う「人」が未来を作るのだ。その意識の有無が成果に差を生む。

 企業を発展させるのは(逆境に立ち向かう力)、モノでもカネでも歴史(伝統)でもなく、「人」という綜合的人間力である。過去の栄光は、企業の発展には、過去の遺物は追い風にはなっても、推進力にはならない。

 

経営者の質

 しかし中小企業、いわんや大企業でも、指導者の素養を持つ人材は極めて少ない。大企業での経営者が有名大学を出ているから、指導層の素養を持っているわけではない。指導層になるには、相応の素養が必用だ。それがないと、知識はあっても経営の智慧のない経営者となる。その悪例は、大垣を没落に導いた市長の小川敏の経営の無能さを見ればよい。

 大企業でも有名大学を出たが、経営に無知で、指導者の素養がない人が社長を務めると、会社がつぶれている。日産、三菱自動車、東電、JR西日本、電通、タカタ、松下電器、シャープ、パイオニア等と事例が、次から次に湧き出る程である。

 

自分の体の経営者

 自分が何の為に、此の世に生まれてきたかの意識がないから、もてる最大のお宝の命を粗末にするのだ。だから病気になる。それは己の体の経営者失格である。乱れた食の経営、乱れた生活の経営、利己欲の制御の失敗、それが病気を招く。

 

ネッツトヨタ南国の経営

 経営者・リーダが持つべき力が「人間力」である。ネッツトヨタ南国では、社員全員が経営者の意識で働いている。だからネッツトヨタ南国は、不況で同業他社が売り上げを減らしている時も、成長している。

 その人間力の源は、「心」の問題である。グローバル経済主義競争が激化して、その心の教育がないがしろにされ、利他の心が失われ、利己主義、拝金主義が蔓延した。その結果、日本の「失われた30年」が生まれた。私が危機感を抱き、前職で技術者教育講座に「修身」の講座を新設し、私がその講師役を務めたのも、この危機感からである。

 ネッツトヨタ南国では、社員教育でこの人間力を高める仕組みを構築して、社員に目覚めさせている。最大の要点は、「何の為に働くか」を意識させるのだ。それに気が付けば、人間力は自ら高めていく。

 

「全ての成功は、メンタルから始まります。」

   サーシャ・パイン(テニス選手・大坂なおみのコーチ)

 

人間力とは

  自然の理を理解して経営する力

  自分の資源を最大限生かす力

  回りの人の持つ資源を、最大限に生かせる力

  周りの人を気遣う力

  困難に立ち向かう力

  恥をかく力(自惚れが強いと恥をかかないため黙っている)

  自ら考え、自ら発信し、自ら行動し、反省する力

  知識ではなく、智慧を活用する力

  夢見る力(夢のない人は人間ではない)

  AIには出来ない道徳、倫理観、慈悲を持つ力

  何の為に働くかを理解する力

  生まれてきた意味を考え、自分の使命を果たす力

 

 これと真逆の経営をしているのが小川敏の大垣市政である。「狂った政治」を18年間も続けた。だから大垣市は衰退した。

 自分の体の経営も同じである。これに反した「狂った生活」を送れば病気になる。日本人の半分が癌になるのは、使命感を忘れ、拝金主義、利己主義の「狂った生活」をしているため。つまり日本人に人間力が低下しているためである。

 心を整えれば、己の体は自分自身のモノではなく、世のために尽くすためにあることに気が付く。己が生まれた理由とその使命に気が付くはずだ。そうすれば、仏様のご加護で病気にならない。世のために何かを残そうという気になる。

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 馬場恵峰書「佐藤一斎「言志四録」五十一選訓集」(久志能幾研究所刊)よ

 

以上は横田塾(2019年11月7日、11月10日、プレジデント社主催)でのネッツトヨタ南国の横田英毅相談役の講義、馬場恵峰先生の「言志四録」講義(2019年1月~12月)、南雲吉則先生の講義をヒントに作成しました。 

 

2019-12-27 久志能幾研究所通信 1436  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2019年12月14日 (土)

講演会品質とカメラマン人格

 2019年12月10日、プレジデント社開催のネッツトヨタ南国の横田英毅相談役の経営塾に参加した。そこでの問題は、その経営塾の講義の間、専属のカメラマンがビデオと写真を撮影して、一眼レフCANON 5DⅣのシャッター音がうるさかったことである。ミラーレスカメラが出現する前までは、一眼レフのカシャカシャというシャッター音は仕方がないと諦めていた。

 講演会や経営塾の講義内容を商品として売るなら、一眼レフカメラのシャッター音のない静寂な講演会にして欲しい。講師の話に没頭したいのだ。

 

無音カメラを愛用

 私は2年前から、演奏会用にミラーレスカメラSony α9の無音カメラを愛用して、演奏会では周りに迷惑をかけないように無音で撮影している。場所も演奏会ホールの一番後ろで、望遠レンズを使って撮影である。また演奏中はその席から動かない。動けば音楽演奏に集中している聴衆に迷惑である。

 それと比較して、雑誌社主催の講演会での一眼レフのシャッター音が気になった。雑誌社のカメラマンが、まるでそのシャッター音に無神経なのだ。主催者も無神経である。カメラマンは講演内容など気にしていないのだろう。それでは撮影する画像の品質も悪かろと推察してしまう。

 そのカメラマンは、70~200mm望遠レンズを装備して撮影しているのだから、講師の遠くから撮影すれば良い。それを聴衆の前に出てきて撮影するので、目障りで不愉快である。カメラマンの音と動きが暴力である。「講演会」という商品を破壊している。

 

他社の例

 これは致知出版社の講演会でも同じである。素人と思われるカメラマン(女性社員や若手一般社員)が真剣に聞いている聴衆の前にきて、一眼レフのデカいシャッター音をマシンガンのように平気で立てて撮影している。数多くシャッターを切れば、その分、仕事をしているように思うのか、撮影する写真枚数も多すぎる。雑誌に掲載される公演中の写真は1、2枚のみである。要はド素人の撮影者なのだ。この件は、致知出版社の主催者の幹部に苦言しても、少しも改善されない。カメラマンが変われば、元の木阿弥であった。

 問題は、カメラマンの横で話を聞いている聴衆にとって耳障りであること。後でその出版社から発売された講演CDを聞くと、そのパシャパシャというシャッター音が録音されている。それを聞くたびにその講演のか所でシャッター音の雑音を聞かされることだ。一度気になると、その録音の話の途中で、ますます気になる。

 

大垣市の例

 11月9日に大垣市で開催された歴史講座「明智光秀の生誕地」でも、大垣市役所の専属カメラマンが静かな講演会会場で一眼レフの大きなシャッター音を立てて撮影していた。それが私の真横でパシャパシャなので、余計に気になった。それで大垣市の文化レベルが分かってしまう。大垣市は文化には金をケチるのだ。大垣市は、痴呆的行事には億単位の金を散財するが、文化への設備投資にはビタ一文出さない。

P1130367s 大垣市歴史講座「明智光秀の生誕地」 2019年11月9日

 

 つい最近、河村義子先生の演奏会で、中日新聞社のカメラマンが私の横で一眼レフの大きな音を立てて撮影していた。私は無音のミラーレスカメラであった。それで中日新聞社の文化レベルが露見してしまった。

 テレビ報道でも、記者会見の撮影現場では、一眼レフのシャッター音がすさまじい。それが当たり前と思うことが異常である。世は無音シャッターのカメラが主流になりつつある。講演会主催者は世の技術の動向を見て欲しい。

 

全員が経営者

 自分はカメラマンで撮影するだけ、自分は講演会を運営するだけ、自分は客を集めるだけと、全体の講演会を「経営する」という視点が主催者にないから、品質の悪い商品(講演会・経営塾)が出来上がる。それは部分最適の経営をしているのだ。講師は満点、カメラマンも満点、司会者も満点、客集めも満点。しかし全体評価はイマイチとなる。だから客に感動を与える商品を提供できないのだ。それでは他社の猿真似の商品になってしまう。日本の経営が行き詰まってているのは、経営者が部分最適を追い求めすぎ、顧客のことと全体最適を考えていないからだ。結果として部分最適に特化した欧米に負ける経営となっている。欧米の価値観は金儲け至上主義、部分最適主義である。

  

ネッツトヨタ南国の経営

 ネッツトヨタ南国では、全員が経営者の意識で、お客様が何を望んでいるかを、社員全員に考えさせて客に感動を売る経営をしている。私はその経営に興味があり、今回、横田さんの講演会を知り、東京に聴きに行った。

 

2019-12-14 久志能幾研究所通信 1424  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2019年5月 3日 (金)

車販売店から買うのは人、車ではない

 ディーラーの営業マンから買うのは、車ではない。信用である。

 岐阜トヨタ大垣店に行くと、来店する車のナンバーが登録してあって、フロントの係が、来店した車のナンバーを照合して、顧客を割り出し席に着くと、担当営業マンが出てくる。これは、ネッツトヨタ南国の真似である。しかし、ネッツトヨタ南国の猿真似をしても、レベルが低いと、すぐ化けの皮がはがれる。

 

表面的な真似ではダメ

 2017年、今の車を18年も乗ったので、そろそろ更新の検討として、クラウンが候補に挙がった。しかし、前のモデルは顔が好みではなかった。と言って、事前に発表されたニュークラウンの顔もイマイチであった。その営業主任とは、何度も打ち合わせをしていた。

P10400121  名古屋モーターショウでのニュークラウン 2017年11月26日

 新車のニュークラウンが発売されても、その営業主任から連絡はなかった。「新型クラウンが発売されたら連絡します」と言っていたのに。しばらくたってから、岐阜トヨタ大垣店に冷やかしで顔を出した。たままた、その担当営業主任は不在であったので、別の営業マンが対応してくれた。しかし、後で担当の営業主任からの電話等のフォローがあってしかるべきなのだが、それがなかった。それでその営業主任の化けの皮がはがれた。

 もともと高齢で知識が豊富な客に、若い主任クラスの営業マンを対応させるのが間違っている。話が合わないのだ。私には子供と話しているようで、不快であった。客は別に車の話しをしに行くわけではない。車の知識は、専門誌を読んで、営業マン以上の知識がある場合もある。客は営業マンと話して、今後の対応の信用度を探っているのだ。少なくとも私はそうしている。

 

クラウンの顧客層

 クラウンの顧客は法人客が多い。個人客にクラウンが売れなくても、法人が定期的に買ってくれる。だから岐阜トヨタの営業マンは、個人客を大事にしていないようだ。「クラウンは黙っていても売れるので、売ってやる」という態度のようだ。その営業主任の姿勢から、話がかみ合わないと前から薄々感じてはいた。

 19年前の当時、車の更新で、マークⅡかクレスタかの選択で迷っていたが、愛知トヨペット三河店の営業マンが、「マークⅡは名車ですから、売れているのですよ。(値引きは難しい)」と「売ってやる」との鼻持ちならぬ態度が垣間見えたので、ビスタ店でのクレスタの購入を決めた。ディーラーからは、車を買うのではない、人を買うのだ。

 

営業マンとの付き合い

 今の車は30年以上も前に付き合いのある三河地区ビスタ店の課長から買ったが、30年たっても、今でも、付き合いがある。転勤があると、必ずその連絡をくれる。今は住まいが遠方なので。商売の件では縁がないが、車の相談には電話でのってもらっている。今回の病気の折もお見舞いに来てくれた。そういう信頼関係が持てるのが、営業マンの価値である。

 

フロントマンの裏切り

 岐阜トヨペット大垣北店のあるフロントマンと親しくなって、助言に従ってかなりの買い物もした。ヘッドライト部一式の交換までした。それがある日、転勤になり岐阜市のお店に行ってしまった。転勤は別に問題がないが、今までの付き合いレベルの常識として、電話か手紙の挨拶があってしかるべきだった。私には裏切り行為と受け止めた。 

 そのお店で、車検時、窒素を入れたタイヤに、普通の空気を入れられ、その謝罪も後始末も弁償もなかった。タイヤには、窒素が入っている表示があったのに、サービスマンは知らなかったようだ。技術のレベルが低いのだ。仕方がないので、自費で、オートバックスで窒素を入れなおした。怒り心頭である。

 私は岐阜トヨペット大垣北店とは縁を切った。人の信用を裏切ったことが許せなかった。

Img_30781  ヘッドライト部を交換  2011年1月7日  高かったのです。

全車種併売時代の存在価値

 トヨタ自動車は、2020年代前半から2025年にかけて、4つのトヨタブランドの国内販売系列を一本化する。それぞれの看板は残し、「クラウン」や「カローラ」などチャネルごとの専売車種を廃止し、国内販売店約5000店全店で全車種を併売する体制にする。

 そうなると、各販売店の付加価値が問われる時代となる。「売ってやる」との殿様商売の店は淘汰されるだろう。喜ばしいことだ。それで本当の商売が開花する。

 

モノは人から買う、お店からではない

 それは車の購入に限らない。私がモノを買う時は、指名した店員からしか買わない。私は「負けろ」とは、決して言わない。私は常連客なので、相手が勝手に、最大の値引き率を適用してくれる。

 

2019-05-03   久志能幾研究所通信 小田泰仙

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2018年4月 6日 (金)

3-3.経営理念

・・・ 追求する価値観(あるべき姿)

  •  自然の摂理を尊重し、原理を踏まえた組織作りを目指す
  •  倫理を重視し、人間性尊重の企業を目指す  
  •  全従業員を勝利者にする
  •  エンパワーメントとチームワークの組織作りに挑戦する

 

 ネッツトヨタ南国の経営理念の根底には、「世のためのお役立ち」があり、「全従業員を勝利者にする」経営に尽きる。会社の目的は決して利益追求ではない。利益は後から、あわてて追いかけてくるのである。

 金を追ったら、金は逃げていく。金を求めるなら、人を求めよ、である。人こそが、1のモノを10にも100にも増やすことが出来る創造財である。いくら設備に金をかけても、人ほどの創造性は生まれない。

 

経済とは

 自然の摂理を尊重しないから破綻する。経済活動も自然の摂理を尊重しないから、社員が不幸になる。そもそも「経済」とは仏教用語で、「経世済民」の意味で、「皆が仲良くご飯が食べられる仕組み」ということを表している。ところが現在のグローバル経済主義では、1%の支配層が99%の富を独占し、99%の民が貧困層になり飢えに苦しんでいる。自然の摂理に反した経済活動である。

 

人間性崩壊のブラック企業

 成果ばかり要求して、多くの社員が鬱病に追い込まれ、毎年3万人前後の人が仕事で追い詰められて、自らの命を絶つ。その自殺者の内訳で、管理職、自営業が41%を占める。それが10年余も続く。40年前は、鬱病も自殺者も話題にも上らなかった。何かおかしい。

 

勝利者とは

 現在のグローバル経済主義では、1%の支配層だけが勝利者である。あとの99%が敗残者では、「経済」の名がおかしい。

 経済がギスギスして、コスト削減の圧力で、無駄の排除との名目で「余裕」までもが除かれ、職場から笑い声が消え、ため息ばかりの職場になってしまった。我々はそんな「経済」社会を追及してきたのだろうか。どこでボタンをかけ間違ったのか。その答えが、ネッツトヨタ南国の経営にある。

 

組織とは

 チームワークがなければ、10人いても10人のパワーしか出ない。それは単なる個人主義者の集まりである。組織として価値観を共有して仕事に取り組めば、10人の力が100にもなるのだ。

 

 

2018-04-04

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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2018年4月 4日 (水)

3-4.経営ビジョン

ネッツトヨタ南国の経営ビジョンとは、

 理念を追求する実行プロセス

  •  真のお客様サービスを創造・実践する  
  •  考える-発言する-行動する-反省するという参画のプロセスを重視し、従業員の成長と自己実現の機会を高める  
  •  お客様やビジネスパートナー、地域社会との発展的な関係構築から学習を重ね、独自性と主体性を発揮する。

 この3つの経営理念に基づき実行していくことにより、成長し続ける永続性のある組織を創る。

 

 経営ビジョンでは、「お客様と家族ぐるみの一生涯のお付き合い」をベースにしている。泣かせる殺し文句である。人は殺し文句で「オチル」。

 貴社は、顧客の何人を「殺せましたか」?

 

お客を殺す

 ところが金融機関によっては、お客を「殺す」ことで儲けているヤクザまがいの組織が存在する。私が定年退職して、地元に戻ったら、若い女性たちが寄り付いてきて困ったことがある。銀行の女性ファイナンシャルプランナーが、私の退職金を狙って、「大事な退職金の運用は、是非、当行に」である。

 敵が言うには、ブラジルとかオーストラリアの資源国の投資ファンドがお勧めですという。この種の投資ファンドは、銀行の手数料が高く、客が儲かるものではない。そこで私が、敵に言い返した言葉は、「もっと儲かる話があるが、聞きますか?」。相手が身を乗り出してきたところを「自分自身に投資をしなさい。それが、一番リターンが大きい。上から指示されたノルマの商品を売るだけの銀行マンを信用してはいけません」とトドメを刺して追い返した。

 2011年当時は、資源ファンドがもてはやされたが、その数年後、バブルがはじけて、その銀行レディを信じて投資をしていれば、殺されるところであった。客がファンドを買っても、銀行は手数料さえ入れば、顧客がどうなっても知ったことではない。そうやってお客が殺される。くわばらくわばら。

 

銀行は誰のため

 「銀行は、雨の日には傘を貸してくれず、晴れの日に傘を押し付ける」と巷で言われている噂は本当である。そんな商売をしていたから、現在は銀行の統廃合、AIでの人員整理等で嵐に巻き込まれている。いままでお客のことを真に考えていなかった咎である。銀行の経営は、ネッツトヨタ南国の経営とは対極にある。

 

ブラック企業のノルマ

 銀行の支店長になっても、死ぬほどのノルマが肩にのしかかる。上司から「支店長の代わりなどいくらでもいる。今月のノルマ達成のため死ぬまで働け」と脅されても何も反論できない銀行支店長である。支店長にも家族がある。それを思えば、上司に逆らうことなどできない環境である。その支店長も40代で支店長に昇格できなければ、社外に出されてしまう厳しい生存競争の世界である。華やかな銀行員という事務職で、手に職の無いサラリーマンは、出向先の中小企業の社長に気に入られなければ、路頭に迷う。

 銀行マンは何のためにその進路に進んだのか? 銀行マンを辞めた己が、どういう付加価値を社会とお客様に与えることが出来るか考えているのだろか。

 若い女性銀行員は、ファイナンシャルプランナーという名で、お客雅を殺して手数料を稼ぐ。支店長はノルマ未達成で頭取から殺される。華やかな銀行の世界の陰では、おどろおどろしい拝金畜生が蠢く。

 ネッツトヨタ南国の新入社員は、四国お遍路の研修の旅で仕事とは何かに開眼し、銀行マンはリストラされてから四国お遍路の旅に出て人生を悟る。どちらが幸せか?

 

技術者の使命感

 私も前職では、徹夜を強いられたことが数回ある。しかしそれは自分の開発した機械で問題が起き、それがお客様に迷惑をかけている。なんとか早く対処せねばという使命感での徹夜である。不幸と思ったことはない。上司から強制されたわけではない。その状況では鬱病にかかって悩んでいる暇はない。

 その意識で、徹夜をやっていたら、スウェーデンの現地マネージャーから、「You are crazy」と言われたが、それが技術者の誇りでもあったと思う。これは労働基準監督局の問題ではないのだ。ネッツトヨタ南国の働き方に相通じるものがあると思う。スウェーデンでは、機械は壊れて当たりまえ、の考えである。人間が大事なのだ。それなのに、たかが機械の故障で日本人が徹夜をするからクレイジーなのだ。同じように人を大事にするのが、ネッツトヨタ南国の経営である。

 

2018-04-04

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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2018年4月 3日 (火)

3-2.人は何を目指し、何のために働くのか

 人はパンのみに生きるにあらず。また給与のために働くのではない。また、環境の良い場所で働くのがモチベーションの向上に繋がるわけでない。

 ネッツトヨタ南国では、採用面接とその後の面接に200時間をかけて、何のためにこの会社で働くかを確認しあう。その過程で、人生での働く意味を確認させる。

 転職・離職の激しいこの車販売業界でありながら、ネッツトヨタ南国では退職者がほとんど出ないという驚異的な定着率を誇る。

 

新人教育「修身」

 私は、思うところがあって2004年、前職場の新人教育で「修身」という講座を新設して講義をした。そこで新人に質問したのは「貴方がたは、何のために働くのか?」である。答えは様々で「お金のためです」「生活のためです」「趣味を生かすためです」…..

 そこで私は落とし穴を用意して続けて質問をする。

 「計算を単純化して年収1千万円とすると、定年まで30年間で収入総額は3億円である。今、目の前に3億円が提供されたら、貴方はどうするのか?」と問う。

 「遊びます」「趣味に生きます」、「世界旅行をします」、「テニスをして過ごします」、「貯金をして働きます」、「起業します」、と答えは様々である。

 「では今から30年間、毎日、朝から晩まで趣味(テニス、映画等)だけをして過ごすのか?」と追い打ちをかけると、新人は答えに詰まってしまう。私は、その姿を見るのが楽しみ(?)であった。

1img_0571 「修身」講義風景 講師は著者

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趣味と仕事の違い

 遊びや趣味は、仕事の合間に息抜きでやる分には、楽しくてよい。しかし遊びとはいえ、それを1週間も続けてやり続けると辛くなる。それに対して、仕事はやればやるほど楽しくなる。それが仕事と遊びの違いである。仕事に命はかけても、趣味や遊びには命を掛けれない。

P27__o_0508293 「修身」 小田 2005年

 

西洋思想と東洋思想の「働く目的」

 人が何のために働くかの理論的解析として、「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」「マズローの自己実現理論」が経営学で有名である。私にはこの両方の理論は、西洋の個人の欲望を成就させることを前提としており、日本人の考え方には違和感を覚える。

 「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」では人間は成長しようとする欲望の存在として2つに分類する。人として働くことの理論に利己的な考えを垣間見て違和感を覚える。

 マズローの「マズローの自己実現理論」でも、自分だけの存在の利己的な実現と見えてしまう。自然と社会と調和して生きてきた日本人の感性とは違和感がある。我々は自然と社会の共生の中で、自分の存在を自己主張しない存在と意識してきたのではないか。西洋の働くための理論は、自分中心である。

 

ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

 この理論は、米国の臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論である。

 この理論では、人間が仕事に満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は、全く別物であるとする。人間には2種類の欲求があり、苦痛を避けようとする動物的な欲求と、心理的に成長しようとする人間的欲求の欲求があるとする。

 苦痛を避けようとする動物的な欲求を充足しても、人間は不満足感が減少するだけで積極的な満足感を増加させえない。また、たとえ心理的に成長しようとする人間的欲求を充たせなくても、不満足感が増加するわけではないと考える。つまり、仕事の満足感を引き起こす要因と不満を引き起こす要因は違い。不満要因(衛生要因)を除去しても、満足感を生み出せない。それは不満足感を減少させる効果しかなく、仕事の満足感を引き出すには「動機づけ要因」に取り組むべきとする理論である。

 やる気が高まる要因は、達成、承認、仕事そのもの、責任である。

 やる気が損なわれる要因は、会社の政策と経営、監督、上役関係である。

 

マズローの自己実現理論

 米国の心理学者アブラハム・マズローは、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化した。その階層は、ピラミッド状の状態で、人間の基本的欲求を、高次の欲求(上)から並べる。

 自己実現の欲求

 承認(尊重)の欲求

 社会的欲求 / 所属と愛の欲求

 安全の欲求

 生理的欲求

 

2018-04-03

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2018年4月 1日 (日)

私というお客様不満足度

顧客不満足

 定年後、大垣に帰り大垣市内のトヨタ店で、自車の車検や修理の関係で、その店のフロントマンと懇意になり、ご縁として多くの私の作成した資料やノウハウ情報を提供してあげた。彼のアドバイスで、かなりの出費で車もドレスアップした。そのフロントマンがある日、岐阜に転勤になって私の前から消えてしまった。

 あるカーショップで、店長と懇意になり、カーナビの更新や車体の全面塗装でお世話になった。かなりの出費である。その店長がある日、岐阜のお店に転勤になった。

 二人とも、何の挨拶もなく、私から忽然と消えていった。なぜ一言くらいの挨拶がないのだ。それ以来、その二つのお店には行かないようにした。車検・点検・修理も別のトヨタ店に変えた。

 あるトヨタ店で車の商談を進めていた。ある件で、電話をお願いしたが、行き違いで、後から電話をしますと伝言があった。ところが彼からそれ以来、電話が全くない。私はそのお店とは縁がないとして、そのお店との縁を切った。

 これらの事例は、商売以前の人間性の問題である。私は車やパーツを買っているのではない。私とご縁のできた「貴方」という人格を買っているのだ。

 現在、自動車販売店は、新車を売って利益を上げていない。車検や点検で稼いでいる。新車が一台も売れなくとも、経営が回るような優良な会社も存在する。その環境で、前記の2例の対応は、販売店として自殺行為である。

 

今度はない

 ある人と、ご縁が出来て「今度、一緒に飯を食おう」と言って、誘われることは、ごく稀である。私はそれでその人を人物評価する。それで、今まで大きな間違いはなかった。そんないい加減な口約束をする人間と付き合っていると、自分の人生を無駄にする。

 なぜ今度なのか、なぜ今、ここでないのか。明日は分からない。

 

ビスタ店のご縁

 29年前に2代目の車をビスタ店で購入してから付き合っているビスタ店のM課長(後日店長)は、転勤になっても挨拶状をくれる。それ以来、自車のメンテの関係では、直接の縁が切れたが、ビスタ店がネッツ店に変わっても、今でも車に関する相談を電話で対応して頂いている。

 

ネッツトヨタ南国のお客様対応

 現在、ブログで「ネッツトヨタ南国の経営」を連載しているが、顧客満足度と従業員満足度は、、顧客に対する付き合い方如何で、大きく影響することを実感している。ネッツトヨタ南国は四国で高知にしかお店がない。それでも四国の各地からお客が押し寄せる。顧客を掴んで離さない何かがあると推定される。

 

2018-04-01

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3.目的、理念、ビジョン、社訓

3-1.経営目的

 ネッツトヨタ南国の経営目的は、顧客の満足度を高めての車販売数増大ではない。経営目的は、従業員の幸福度の向上である。その過程で従業員が自主的に会社をよくする改善・活動を展開し、結果として顧客満足度が上がり、車の販売が最高になるという新しい経営価値を創造した。車が最高に販売できたのは、目的ではなく、結果である。お客様は満足(CS)しただけでは商品を買ってくれない。モノ余りの現代では、お客様に感動を与えないと、購買意欲は起こらない。自動車業界また地方企業としては初めて、顧客本位の経営に贈られる「日本経営品質賞」も受賞した(2002年)。

 

日本経営品質賞

 日本企業の競争力向上を目的として、お客さま視点に立った企業改革を実現し、卓越した業績を生み出す「経営の仕組み」を持つ企業を表彰する制度・同賞は、米国の競争力回復の因となった「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」を範として、(財)社会経済生産性本部が主体となり1995年に創設された。

  

ネッツトヨタ南国の社員満足(ES)追及経営 

 NEEDS    ⇦⇒   WANTS

 目的追及     ⇦⇒   目標追及

 価値追及     ⇦⇒   事実達成

 幸福追求     ⇦⇒   利益追求

 社員満足(ES) ⇦⇒   会社満足(業績達成) 

   ⇓             ⇓ 

 顧客満足(CS)      株主満足

 

社員満足(ES)と顧客満足(CS)の違い

         CS ―――― ES

         相対 ―――― 絶対

     × 主観 ―――― 客観

         教育 ―――― 共育

         参加 ―――― 参画

   × 多数決 ―――― 議論

 × 上位下達 ―――― 自分で考える

         知識 ―――― 思考

         学歴 ―――― 学力

 × 優勝劣敗 ―――― Win-Win

 × 少数精鋭 ―――― 全員精鋭

         金棒 ―――― 鬼

 

 株主が満足しても、顧客が満足する保証はない。あくまで社員満足度が最優先で、その根本が価値観の追求である。その結果が顧客満足度の向上である。その結果として業績が上がる。

 会社は株主のものとして、利益追求を最優先にするとノルマ達成のため平気で不正をするようになる。それがグローバル経済主義に汚染された日本企業の不祥事多発として、現れている。

 

顧客満足経営がVWの排ガス不正を生んだ

 成果主義経営の行き着く先がVWの排ガス不正である。ディーゼルエンジンの排ガスはクリーンと顧客を騙して、VWは世界一の自動車生産の座を射止めた。その舞台裏ではVWトップは、技術的に不可能な技術開発を技術者に強いた。自分と家族の生活を守るために、技術者は不正に手を染めたのだ。目標を達成できなければ、冷酷人事で飛ばされる状況で、技術者は何ができたのか。責めるのは簡単だが、自分が当事者になれば、その辛さが分かる。金勘定は分かるが、技術が分からないトップが上に立つと、拝金主義では利益優先となる。これは人の問題ではなく、拝金主義という制度の問題である。

 同じことが、日本でもニッサンの非資格者によるの車検査体制、三菱自動車のリコール問題である。

 

2018-04-01

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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2018年3月27日 (火)

2-3.日産の反面教師

 ネッツトヨタ南国の大原光秦社長の講演会を聴いて、欧米の成果主義の弊害事例として、ルノーに飲み込まれた日産の社内変化を思いだした。『週刊新潮 2000年2月10日号』に記載された「アフター定年 人生終章の光と影『日産の元中堅幹部が選んだ「花」と「カレー」を売る人生』を読み、その記事中で、成果制度の裏に隠れた弊害と部下育成の衰退の言葉が目に焼き付いた。

 

『日産の元中堅幹部が選んだ「花」と「カレー」を売る人生』の要約

 その記事は、主人公の安藤宏氏(52歳)の日産のサラリーマン生活から新ビジネスの取り組みの苦労話であった。氏は40歳代に入ってセールス部門の環境が変わり始めた。それまでの日産の伝統の車種別の営業体制が、地域別のそれに代わり、氏は中国、四国、九州地区の営業部長代理となる。それは新しい時代の到来であった。

 新車を出せば売れる時代が終わり、成熟した市場になってきた。その中で地域戦略や販売網の合理化など競争力を高める為、経営指導をすることになったが、それは店の統廃合も含まれており、現場との軋轢で、学者肌の氏は、精神への負担が大きくなりノイローゼ気味となってしまった。

 それで氏は平成8年に早期退職制度を利用して退職し、新しい道の新ビジネスの立ち上げにチャレンジした。その過程で、失敗もあり多くの苦労をしてきて、ホームレスになるか、家族崩壊かと、地獄の苦しみを味わうことになる。つい最近、そのビジネスにやっと少しの希望が出てきたという。

 そんなに苦労をしているのに、安藤氏は日産自動車を辞めたことに後悔していないという。「一時は悔いたこともありました。しかし今のニッサンは社内の雰囲気も変わったと聞いています。昔は上司が部下に仕事を任せていた。今は自分の代わりが育つと、自分は要らなくなるかもしれないと恐れ、後輩に仕事を教えなくなったそうです。悲しいね。早くリタイアしたのは間違いではなかったと思っています。」

『週刊新潮 2000年2月10日号』

 

成果制度の弊害

 この事象は欧米式経営の個人主義、成果制度の裏に隠れた弊害の極みである。ネッツトヨタ南国のように共に組織として成果を出すことで、お客さまに喜んでもらうことを目的とすれば、個人主義、成果主義制度など採用できるはずがない。

 日産はルノーに吸収合併されてから10年余以来、一見、利益は出ているようだが、肝心の魅力ある車が生まれない。財務の改善、過去の財産の切り売りで、本業では成果が出ていない。成果主義の見えざる圧力で、現場はノルマ達成に尻を叩かれる。その結果が、無資格者に車検を任せる不詳事に発展する。現場は、違法でもノルマを達成せよ、とまで追い詰められていたのだ。

 ゴーン氏の人相は、狩猟民族の顔で、野獣的な下品さがある。ルノーは、日産を食い荒し、その後、隙をみせた三菱自動車に食らいついた。日産も三菱自動車も、官僚主義、権力闘争で会社の競争力を弱め、その結果として経営不振に陥り、外資の餌食となった。社員を不幸にした官僚主義の経営者の責任は重い。我々は他山の石として、グローバル主義経済を見直さねばならぬ。

 グローバル主義経済の象徴として、1%の支配層が99%の富を独占する。その象徴として日産では、ゴーン社長(当時)が10億円の報酬を独り占めし、役員の報酬も数億円に上るが、トヨタの役員の報酬は数千万円である。その一方で、一般社員の給与は、トヨタの社員より低い。なにかおかしい。

 

2018-03-27

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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2018年3月26日 (月)

2.新価値観営業の成果

2-1.日本経済の近未来

 国内販売台数が伸びない中でも、ネッツトヨタ南国の売上高は伸び続けている。各自動車販売店が、この十年(2011年当時)で売り上げを30%も減らすのが珍しくない中、ネッツトヨタ南国は約2倍にも売り上げを伸ばしている。特にリーマンショック後も続く伸びには敬服である。

 私が新人向け技術講座で「IT時代のナレッジと自己研鑽」で、「これからの日本経済はどうなるのか」と受講者に質問をした。私は、これからのデフレの時代、勝ち組は益々勝ち、負け組はさらに負けていくと予言した。このデフレの流れは、全世界の国が同じ給与水準になるまで続くと断言した。これはリコーの業務改革の講演や、各種の本を読んで、理解した内容を解説したまでである。その近未来をネッツトヨタ南国の経営が現実として証明している。 

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 ネッツトヨタ南国の売上高推移『PRESIDENT 2011年5月2日号』より

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 2011年5月12日の大原光泰社長の岐阜講演会で

  2002年を境に伸びるネッツトヨタ南国、下がる同業他社

  黄線がネッツトヨタ南国の販売台数 

  青線が同業他社の平均販売台数

13年前の予言

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  2018年現在もデフレ傾向で景気は完全には回復していない

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  「IT時代のナレッジと自己研鑽」 2005年 小田

2-2.欧米式経営を選択した過ち

 Japan as No.1 と持てはやされた日本企業と日本式経営は、バブル崩壊後いつしか、おかしくなってきた。私はその原因を、欧米型経営の導入に見出している。

 日本企業が採用してきた人事制度は、三種の神器といわれる日本式経営の特徴すなわち「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業別労働組合」である。これらは、日本企業の強さの源泉とされてきたが、90年代初頭のバブル経済崩壊以来、大きく揺らいできた。グローバル経済化の荒波の中、欧米が日本の競争力を弱めようと、欧米式経営の一見、合理的で素晴らしく見える手法を経営者の高額報酬を餌として導入させたように思える。

 その1つは個人主義であり、年功序列の崩壊であり、契約に基づいた労働であり、派遣社員の増大、その究極が成果主義の導入であった。その結果が現在の日本の限りなく続く経済停滞であると思う。

 不況とは、好況と好況の間の1,2年の経済調整期間であり、今の日本が塗炭の苦しみを味わってきた30年にも及ぶ経済停滞でない。あきらかに、欧米が盛った毒が全身に効いてきたのである。その最大の項目が成果主義であると思う。

 

欧米が盛った毒が効いてきた

 何時の間にか、最近の若者は眼の輝きを失せてしまっている。これも西洋の個人主義、ゆとり教育、仕事の価値観の崩壊等、が原因である。しかしネッツトヨタ南国の社員の働きぶりを調査すると、まだまだ見捨てたものではない。単に、価値観教育の欠如、労働環境の劣化と、上に立つ人の人格崩壊だとの結論を得た。

 自分は、会社での技術者教育に長年携わり、新人の劣化と会社の成果主義、官僚主義での影響の大きさに失望し、経営とは何かを悩んでいた。その弊害の究極の結末は、私の元上司の言葉「技術以外の余分なことは教えるな」であった。私が体験した成果主義、官僚主義の弊害は、会社をおかしくする。若者にモチベーションを沸き起こす教育体制はなにか。私はその答えをネッツトヨタ南国の経営に見出した。

 

2018-03-26

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