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2021年8月 8日 (日)

墓石の吸水率、心の悪縁吸収率をゼロに

硬い石を選択して吸水率をゼロに。

心を強靭にして悪縁の吸収率をゼロに

 

 日本の御影石は一般的に高価だが良質である。しかしもっと安価でより良質の石材がインド産にあり、今回の選択とした。その理由は、硬い石は水を吸わず、凍結等での石の劣化を防止できるから。高価な国産のブランド石でも、柔らかい石では水を吸う。吸水率で石の種類を見ると下記の差がある。今回選定したインドグリーンブラック(M-1H)は吸水率ゼロである。

 

          圧縮強度 kgf/cm2    吸水率(%)

 花崗岩(御影石)     1,500        0.25 

 安山石         1,000         2.5

 凝灰石               90                  17.2

 砂石             450                 11

各石材の吸水率比較

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Photo 石の素材

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 石を叩けば、その音で硬さがわかる

 

 石材は自然天然材のため、同じ産地の石でもばらつきが大きい。公表データからおおよその傾向は分かるが、最終判断は、サンプル石材を叩いて、音を自分の耳で確認するのが良い。硬い石は甲高い音が、柔らかい石は低い音がする。私は松居石材商店でこれを教えてもらい、自分の耳で確認をして納得した。

 

 同じ御影石でも前表のように、その硬度や吸水率にはばらつきが大きい。同じ御影石を使った碑でも、単に価格だけで御影石を選定すると、質の悪い御影石が提供される場合がある。下図の碑はある公共団体の祈念碑の例である。この碑を手配した担当者も、請け負った商社も、石材のことを知らないで入札方式で、コストだけで見合う御影石を選定して製作した。その結果がわずか15年後に、水を吸い冬季に凍結してヒビが入ったみすぼらしい姿の晒しである。個人の碑ならともかく、多くの人が目にする公共の碑には相応の石材を選定しないと、子や孫の世代に金をケチったことが露見して恥をかくことになる。

 石材の経年変化は50年後でないと分からない。墓石の素材の選択の責任を子孫がとることになる。そのため、私は石屋さんの勧めで一番硬い石を選択した。

 

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築15年でヒビが入った御影石(某記念碑)

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水を吸っている御影石(某慰霊碑)

11 風雪で傷んだ墓石(築80年)

2 風雪で傷んだ墓石(築80年)

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風雪で傷んだ墓石(築52年)

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悪縁に対する剛性さ

 石も人も叩かれてその真価が分かる。そして長い歳月がその本質を明らかにする。墓石に対して吸水率が問題になるように、自分の心の吸縁率が問われる。自分の心がしっかりとしていないと、寄ってきた悪縁を吸い込んでしまう。それが人生の長年の風雪の試練で、心の破壊が起きる。人格の破壊、鬱病の発症、悪くすると自殺である。

 血に飢えた拝金主義の企業が、スマホを使って誘惑をしている。ゲームにのめり込み、スマホ脳に侵されれば、廃人への道をまっしぐらである。

 また悪縁に対して心が弱いと、拝金主義の宣伝に騙されて、食べてはいけないものを食べてしまい、体がボロボロになり、ガン、糖尿病、認知症にもなってしまう。

 ボロボロになった墓石をみて、自信の体内の血管がボロボロになっている姿を想像して恐ろしくなった。私の高血圧症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、白内障、記憶力低下の症状は、狂った食生活で、悪い縁(食材)を吸い込み過ぎたため、毛細血管の内部ばボロボロになったためであった。

 墓石は、自家のお墓が遠方にあれば、年に数回しか目にしない。その痛みに気が付くのが遅くなる。体の異常でも同じである。

 

2021-08-07   久志能幾研究所通信 2113  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

2021年8月 6日 (金)

泰平の永眠誘う墓土台 たった1枚で 身閑安眠(3/3)

中国の石加工技術レベルに脱帽

 2015年10月27日、一枚作り巻石が彦根の石屋さんに到着したので、確認に行った。大阪の日本石材センターで見たときは、梱包された状態であったので、中身が見えなかったが、今回、その仕上げ状態を見て、中国の石材加工技術レベルに脱帽した次第である。

 

 残念な話であるが、現在では墓石加工技術では中国が日本の上を行っている。それを今回の墓造りで目の当たりにした。今回の一枚作り巻き石は、長さ3.6m、幅1.5 m、厚さ37cmである。この大きさの石を全面加工できる工作機械が現在の日本には無い。建設用の切断機ではあるのだが、墓石用の加工機ではない。現在は石材需要の量が激減して、経営的に成り立たないので、この分野から日本企業は撤退したという。

 日本人のご先祖を敬う心が薄れて、お墓づくりが衰退し、墓じまいが盛況になっている。これが日本の衰退の一因だと思う。

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石材加工の工作機械

 幅1.5 mの石材を加工するには、それを据え付けられる門型の石材切断機が必要である。これを加工した石材切断機はカッター径が120インチ(3,048mm)という。それでも、一度では加工できず、両面から二度に分けて切断する工程が必要である。右図は日本の業者が所有している機械であるが、この機械でカッター径が50インチであり、これから想定すると、4倍の大きさの推定で30m余の大きさの機械となる。

 工作機械はマザーマシンと呼ばれ、機械工業の基礎なすものである。現在、良質の工作機械を作り保有する国は日本、ドイツとなっているが、国策で工業化を進める中国は、工作機械開発でも恐ろしいエネルギーを蓄えているといえる。

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石材切断機  ダイヤストン株式会社所有  これで50インチの砥石径の大きさ

実際の120インチの砥石経の機械を想像すると、とんでもない大きさである。

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中国新幹線に見る脅威

 2007年4月の中国国鉄によるCRH型車両導入により開始された高速鉄道網は2011年末には 13,073 km、2015年末には 25,000 kmに達する計画である。

 2020年現在、中国高速鉄道の営業距離は3万6000キロで世界一となっている。

日本の新幹線は、40年間かけて2015年現在、フル規格6路線(合計2,616km)である。2020年で、2,997.1 kmである。

 中国は、15年弱で日本の総路線距離の10倍を敷設したわけである。その陰に右図のような建設機械がある。やはり数を稼ぐと、このような建設機械も開発して力を付けることが出来る。技術は単発勝負ではなく、量を稼いでその実力が磨かれる。残念であるが、技術力は金と人を投入しないと、持続できない。現在のの日本の停滞は、技術開発に金と人をケチッた咎である。

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中国高速鉄道を敷設する巨大マシーン

http://www.recordchina.co.jp/a122062.html

 

中国のモノづくりに刮目

 今回のお墓作りでは、一体型の五輪塔の球形部の加工が悪く、現地の検査員の検査に合格せず、検査員と現場サイドで大喧嘩をして、結局、作り直しとなったという。中国製のレベルではと当初はあまり重きを置いていなかったが、この顛末を聞いて、職人の世界の中国人の姿勢に襟を正した。日本の技術力の維持を願いたい。そのために必要なことは、何かを考えている。

 

日本経済衰退の一因

 共産党による強制的な実行力には恐ろしいものがある。技術はその実績量で、技術の蓄積ができる。日本の技術を導入したからと見下していても、数をこなせば、いつかは凌駕されるのが技術の世界である。そうやって日本も経済・技術大国のなったのだから。

 日本企業は中途半端なグローバル経済主義に染まり、中途半端な姿勢で経費削減に取り組み、中途半端な金儲けに走り方針で、技術開発に金を惜しみ、人件費は経費として削減を続けてきた。そのツケが日本経済停滞であった。

 日本人は、現在の経済大国の地位を獲得するために、先人が汗と涙の苦労をしたことを忘れている。まるで、それを成し遂げた教育環境、開発環境を空気、水のように感謝しない国民になってしまった。それがお墓の建立率が下がってきていることでも現れている。

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 馬場恵峰書「佐藤一斎「言志四録」五十一選訓集」

   2018年10月31日書  久志能幾研究刊

 

2021-08-06   久志能幾研究所通信 2112  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年8月 5日 (木)

泰平の永眠誘う墓土台 たった1枚で 身閑安眠(2/3)

大きさに驚嘆

 中国での加工が終った墓石が、日本に入庫したとの連絡があり、2015年10月21日、石屋さんと一緒に東大阪市の石材センターに確認に出向いた。

 最初に目に飛び込んできたのは、石材センターの仮置き場に置かれた一枚づくりの巻石である。長さ3.6m、幅1.5m、厚さ37cmの一枚づくり巻石の梱包を傍で見て、「なんじゃこれは!」である。現物を見てから、とんでもないものを注文したものだと、吾ながら呆れた。

 図面から寸法を追えば、当然の大きさではあるが、実物を見て実感するのとは大違いである。どんな設計でも、やはり実物大のモックアップで設計検証をする大事さを実感した。

 石材センターの所長さんも、「今まで扱ったことがなく、一枚石づくりの巻石では日本一では」と言う。「これより大きい墓所の巻石は数多く存在するが、複数枚の石材を組み合わせて構築するので、一枚石づくりでは存在しない」という。そういうつもりは無かったのだが、結果としてエライことになってしまった。しがない年金生活者がやることではない。

 

ご縁の連綿

 今回の不思議なご縁で、3基のお墓を同時に建之することになり相応の大きさの巻石が必要となった。お墓の建之後に草取りや掃除等の手間を少なくする意図で一体構成を検討したら、たまたま大きな石材が在庫していて、それも、為替レート90円で入手した石材が偶然に在庫していたというご縁の賜物である。私の力ではない。何かに支援されたご縁の流れは恐ろしい。

 当家の墓石も、現在の大きさ9尺と同じであるが、座布団(ベッド)に相当する芝台が立派になった。それに加えてクリスタルグリーンブラックの色合いのため、大きく見える。五輪塔も、当家の墓石に合わせた大きさにした。北尾道仙さんの神道式のお墓は他の2つの墓石に合わせた大きさにしたため、現状よりも大きくなった。佛石、上台、中台、芝台のうち、佛石、上台、中台の一体型形式のお墓は、日本全国でも6体くらいしか存在しない(2015年当時)とのことで、石材店さんも構えていた。

 参考にしたお墓(松居家)の例では、納骨室の通気口を塞ぐ蓋が金属製であった。それでは石材との見栄え上で品がないと感じたので、材質を石材に変更してもらった。こんな石材への穴明けの加工は、普通はやらないとか。それもそうだと元機械設計者として納得である。これはコストアップの元凶ではある。結果として良い仕事をして頂いたと思う。感謝。

 半月形の石材は、風雨で水が通気口を通って納骨室の流れないようにするための水止めの堰材である。これも今回意図して追加した工夫である。

 

縁あり花開く

 遠戚の叔母が亡くなり、その家が絶家となったので、そのお墓のお守りをどうするかが問題になった。私がそのお守りをすると意思表示したことから始まったお墓造りである。本来、その叔母とは遠い親戚関係で、私がその墓を守る義務はない。叔母の墓は無縁墓としてお寺さんが管理する予定であった。その功徳か、その後に色々と不思議なご縁が連続して、今回のお墓改建の結末となった。世の中には「見えない何か」があると実感した。

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Img_7604sjpg 完成した三基のお墓石

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通気口の蓋と堰材

039a15511s 馬場恵峰書

2021-08-05   久志能幾研究所通信 2111  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

泰平の永眠誘う墓土台 たった1枚で 身閑安眠(1/3)

 (泰平の眠りをさます上喜撰(蒸気船) たった四盃で 夜も寝られず)

 (ペリー総督が率いる黒船が江戸湾に現れた時に歌われた狂歌)

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メンテナンスフリーで一体作り巻石

 従来式のお墓は、その土台を巻石で囲こむ「巻石部の土台」で構成される。この方式は、組み合わせた巻石部がずれたり、土台に蒔いた砂利の間から雑草が生えたりして見苦しくなりがちである。その防止のため、手入れが大変である。当家は遠方のお墓なので、その工数を少なくしたい方針で改建を進めた。

 その昔、父がお盆の墓参りに出かけた時は、炎天下でその周りの草取りが大変だったという話をよく聞かされた。そんな作業を無くすため、お墓のメンテナンスフリーの実現を計画した。

 石芝台も、一般的な工法で砂利を敷くと、その隙間から草が生えてくるので、除草の手間も大変で、それを考えて一体構成の石芝台とした。また一体構成の石芝台なら経年変化で枠石がずれるようなこともなく、耐震構成ともなる。地震や雑草の心配をしなくてもすむ。これでご先祖様も安心してのどかに永眠して頂ける。私も現世で働いた後は、のんびりと永眠できる。

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土台に雑草が生え、巻石がずれた例

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石芝台の構成    どうしても経年変化で隙間ができる

一枚作り巻石のご縁

 たまたま、お墓改建の計画中に、為替レート90円での「1枚ものの石」が在庫していると聞かされ、一枚作り巻石を作る決断をした。何かに背中から押された気がした。草取りの無駄排除や経年変化防止をする目的で進めたが、それが大きさで本邦初のものとなってしまった。

 

 「一体作り巻石」のサイズは、9寸のお墓(普通サイズのお墓)を3基と墓誌、塔婆立てを配置すると、相応の大きさが必要である。最低でも横3.5×縦1.5mの大きさとなった。

 下図は完成予想図

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 横3.5×縦1.5mの大きさに、石を切り出すため、一枚作り巻石の素材は3.9×1.9×1mの原石が必要となった。比重を3とすると重量は約21トンである。これを3.5×1.5×0.3mの板に加工した。それでも重過ぎるので、裏側を軽量化のため80mmほどの深さで全面削り取っている。それで2.5トンにまで軽量化をした。

 そうでないと2.5トンのフォークリフトで運べない。それ以上の能力のフォークリフトは、墓地の門の大きさの制約で墓地に入れない。本来、重機を使えば搬入は楽であるが、由緒正しき門があるため、重機がお寺の境内に入れないという制約があった。

 

見えないご先祖の力

 この大きな石が手に入ったのも、不思議なご縁の積み重ねである。一体構成に変更することに決断したのは、石田退三氏(トヨタ中興の祖、トヨタの大番頭)の師である児玉一造氏の言葉を思い出したからである。

 「何でも悪いことに使う金でなければ、後からそいつは何とでもなる。金のことでトヤカク考えていて、やらねばならぬことの時期を失するなぞ、おおよそ馬鹿げている」(石田退三著『トヨタ語録』)

 このご縁は、ご先祖様の見えない力に背中を押されてのことと思う。合掌

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  寺門の高さ・幅の制約

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墓地の入り口の制限

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 馬場恵峰書

2021-08-04   久志能幾研究所通信 2110  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年8月 3日 (火)

「修証義」からの学び

 

 「修証義」は道元禅師が書かれた経である。現在でも通用する最高の哲学書でもある。私はこの20年来、毎朝、この経を仏前で読んでいるが、毎朝新たな発見がある。般若心経や観音経のように、難解な漢文ではなく、日本語の日常語で書かれているので読めば意味は直ぐ分かる。しかしその簡潔な表現が奥深いのに気がつくのには長い年月を要した。それは自分の人生での日々の経験が、修証義に照らされて人生を考える杖となったからだ。

 

基本の教え

 その教えの基本は「仏となるための教え」である。つまり、仏さまと等しいさとりを得て、仏となるための教えである。さとり(菩提・阿耨多羅三藐三菩提、この上なき正しいさとり)を求める心が、「菩提心」である。

 この「菩提心」を発すことは、「自未得度先度の心を発すべし」と述べられている。まず、自分のことを考えるのではなく、自分よりも他人を救いたいという心を起こすべきと説かれている。さとり、救いを求めようとする心を意味した「菩提心」は、「自未得度先度の心」へと高められている。この生き方は、「自分本位の心を捨て、世のため人のため、すべてのもののために尽くす」である。

 下記の言葉は自分の身を振り返り、身につまされる。真理は800年の昔と何も変わらない。当たり前を当たり前に記述したのが経である。

 

命は光陰に移されて暫くも停め難し、紅顔いずくへか去りにし、尋ねんとするに証跡なし

 これは古希を迎え、自分と仲間の老いを自覚せねば悟れない心境である。

 

無常忽ちに到るときは国王大臣親暱従僕妻子珍宝たすくる無し、只独り黄泉に趣くのみなり、己に随い往くは只是れ善悪業等のみなり

 死に際しては、どんなに金を積もうとも、無駄である。何も持ってあの世に行けない。人は必ず死ぬ。死ぬ体を抱えて、どういう生き方をするかが問われる。その老いた醜い病身は、自分の悪業が作った。

 

自他は時に随うて無窮なり、海の水を辞せざるは同時なり、是故に能く水聚りて海となるなり。

 全て受け入れるから佛になれる。清濁併せ呑むから佛になれる。

 

添付の書は馬場恵峰先生の書。2002年3月。  日中文化資料館 蔵

 

2021-08-02   久志能幾研究所通信 2108  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

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2021年8月 1日 (日)

墓改建の設計方針、人生シナリオ

 

 基本方針は、「華美に走らず目立たないが品格あるお墓を作る」である。大きな威圧感あるお墓でなく、現状のお墓をベースに改建する。ごてごてとしたデザインではなく、現代風のスマートな要素を盛り込んだお墓とする。

 

現状を踏襲

 現状のお墓サイズは竿石が9寸(約27㎝)の普通の大きさある。しかし当初は、自家のお墓だけの改建予定が、叔母の死とその家の絶家の為、それを含めて建てることになり、結果として、お墓を3基も並べることになったので、少々目だってしまったのは想定外であった。

 石屋さんの話によると、供養塔まで作る家は全体の3%である。だから供養塔を含めて3基もあるので、大変珍しいという。確かに、周りを見渡してもせいぜい2基のお墓が大半である。北尾家の墓は、現状が供養塔を含めて4基の墓石から構成されていたので、従弟の家の墓と合祀して、3基のお墓を同時に作るご縁を頂いただ。お墓は、作りたくても作るご縁がないと作れない。私の統制外のご縁となった。

 

プロジェクトの進め方

 このお墓造りは、私の人生の最大のプロジェクトになった。プロジェクトを正しく推進させるためには、本を読むのとは逆にする。本は最初から順番に読んでいく。それに対して、プロジェクト推進や会社経営は、結論や完成姿から逆算して、それが実現できるように進める。それを成り成行きに任せるからうまく行かない。その第一優先事項が図面の作成である。

 

人生の進め方

 人生経営でも、自分の人生目標やその姿が曖昧だから、成行きの人生を送る羽目になる。自分の人生の目的地を明確にして、人生を歩むべきだ。人生は本を読むのとは違う。自分で脚本を書かねばならぬ。その結論はどうするのか、それが問われる。

 人生で偶然は必然だが、人生の行き先の基本的方針が明確なら大きく道から外れることはない。

 

異世界の仕事ぶり

 デザインのこだわりのため、何回も図面を書き直すこととなった。前職の仕事では、上司の検図、設計審査の結果で、図面の書き直しなど当たり前であるが、お墓の図面の場合では珍しいようで、しっかり追加料金を取られた。お墓の製作数量が少ないためか、CADレベルも技量、図面管理レベルも私の20年来の機械設計の経験のレベルから見て、業界のレベルが低い。市場規模からいって致し方ないようだ。

 破線と実線の間違いや、図面作図ミスを指摘することになって、図面屋さんに煙たがられた。またお墓の図面は、尺貫法とミリの混在した図面であるので、戸惑ってしまった。

 一般機械設計で、ISO9001を取得していれば(取得していなくても)、図面に作図者名、検図責任者名、日付を入れるのが常識であるが、それが全く記載されていない図面を見て、世界が違うと感じた。まずその図面に表題欄がない。これがカルチャーショックである。お墓の部品図面まで要求した顧客は初めてとのことで、カルチャーショックを受けた。なにせ安い買い物ではないのだ。

 自分の作った作品にサインを入れて責任を明確にする。それを検図した上司もその責任の所在を明らかにする。それが20年来、図面を描いて来た私の世界であった。またそれがISO9001の品質保証の世界である。それが通用しないのが墓石の設計図であった。それが職人の世界のようだ。

 

 今回の墓改建では、基本方針を明確にして取り掛かったので、初めての経験であるが、製作途中で各種のトラブルに遭遇しても、あまり右往左往せず対応できてよかったと思う。やはりクライテリアを明確にして、何事も取り組むべきだと再確認した。

 

2021-08-01   久志能幾研究所通信 2107  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年7月29日 (木)

お墓つくりの美学、人生の墓標とは

 

 今回の基本方針は、「華美に走らず、控えめな品格あるお墓を作る」である。大きな威圧感あるお墓でなく、現状のお墓を基本に改建する。ごてごてとしたデザインではなく、スマートで現代風要素を盛り込んだお墓とする。

 自宅を建てるにもこだわりがあるはずだ。ましてや生前よりも、はるかに長~い時間を過ごす墓にはこだわろう。少しは時間と智慧をかけて墓の建設設計を考えるべきだ。だから私は、石屋さん任せではなく、こだわりを持ってお墓の設計にかかわった。機械設計屋から墓設計屋に変身である。

 

人生の基本設計

 人生の構築には、基本設計のコンセプトが必要だ。テクニカルライティングでは、文書の基本設計をクライテリア(判断基準)という。それが曖昧だから、人生も曖昧になる。自分はどういう人生を作り上げたいのか、自問することだ。人生は自分が思った通りの人生となる。人間は犬畜生ではないのだ。ハカない人生であってはならない。

 自問しよう。自分はどんな人生の墓標をたてるのか、と。いくら金を貯めても、来世に持っては逝けない。死んで残るのは、戒名を刻んだ墓標だけだ。

 

全体構成 

 当初のデザインだと、小田家のお墓、両家ご先祖の供養塔、北尾家の神道墓の3基がバラバラのデザインで、花台、水台の高さも不ぞろいで、美しくなかった。それでは私の美的感覚が許せないので、修正してもらった。

 まず3基のお墓の台の高さが全て揃うように変更した。花台も曲面を配した従来の形から直線を基本としたデザインに変更した。従来のお墓用の仰々しい花台の古風なデザインとは一線を画するようにした。

 一般的な納骨室の蓋は、家紋入りの蓋である。普通は納骨室を塞ぐように設置される。それを蝋燭台と兼用の蓋として、前面をデザイン的にスッキリさせた。

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 一般的なお墓デザイン

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 3種の墓石のバランスを考え、土台の下線を揃えたデザインに変更

 

 

墓面の文字

 普通はパソコンの文字であるが、馬場恵峰先生に字を揮毫してもらうことになった。機械での自動彫りではないので、特別料金を請求された。PCの文字より太く深い文字である。職人が手作業で彫るので、費用的に高くなるのは致し方ない。

 普通は「○○○○改建」であるが、謙って「○○○○謹改建」とした。

 お墓は見ればお墓と分かるので、「小田家之墓」はやめて「小田家菩提」に変更した。

  北尾道仙氏は、神道墓なので、「黄鶴北尾道仙之墓」をやめて、単に「黄鶴北尾道仙」とだけにした。

 

蝋燭台

 蝋燭の炎が直接、蝋燭台の下面に当たらないように間に金属板を入れた。蝋燭台のガラス蓋を付ける案もあったが、ごてごてした感じになるので、解放として蓋を無くした。

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 蝋燭台

  

 

墓誌

 お墓を北尾家と小田家の合祀として建てるので、私の死後でも改建の意図が分かるように、墓誌の裏に経緯を刻むことにした。

 墓誌には本名と戒名以外に、没年や年齢を書く例や、叙勲歴・経歴まで書く例があるが、死後は佛として全て平等のはずで、前世の叙勲歴は不要と考えて戒名と本名だけの簡素な書式にした。少ない文字数で、煩雑にならず見栄えが良くなった。没年は個人情報だし、関係者は知っている情報のはずである。

 

塔婆立て

 当初は塔婆立ての意味が分からず、立てる予定はなかったが、住職よりの助言で塔婆立てを建てることにした。

 塔婆とは、供養や追善供養のために建てられる細長い板のことである。塔婆を建てることが「善」とされ、「塔婆を建てる=善を積む」として、故人の冥福につながると考えられている。

 当初はステンレス製の塔婆立てであったが、石屋さんの提案で、全体のデザインに合わせて石製塔婆立てに変更した。

 関東の墓地では塔婆立てが当たり前で、塔婆が林立しているが、彦根のお墓では、塔婆は数が少ない。地方の文化の違いのようだ。

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 関西の墓地   塔婆はほとんどない

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 豪徳寺(関東)の墓地  塔婆が林立している

 

 

2021-07-29   久志能幾研究所通信 2104  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年7月28日 (水)

供養塔と「新製品のお墓」を改建

 

 当初は、北尾家の叔母が亡くなり、北尾家が絶えたので、その供養塔を作る予定であった。しかし小田家の先祖の諸精霊もあることから、経費削減も兼ねて共同の供養塔にすることにした。

 馬場家の供養塔を参考に、地水火風空を表す梵字を小さく入れた。馬場先生の助言では、大きな梵字では品が無いとのこと。供養塔は、見れば供養塔と分かるので、「○○家之供養塔」の「之供養塔」を入れるのをやめた。その代わりに花台に北尾家、小田家の文字を入れた。内部の納骨室の5面に梵字をいれた。

 北尾家のお墓は供養塔を含めて4基で、自家と従弟の家の墓で、全部で6基のお墓である。今までそのお守りが大変であった。それを今回、3基に統合して改建した。

 この歳になるまで、供養塔の意味を知らなかったのが、恥ずかしながらの現実である。昔のお墓は供養塔が主流で、「新製品」として明治以降に現在の形のお墓が作られるようになった。高野山にいくと、昔のお墓である五輪塔が林立している。叔母である安寿さんが北尾家の先祖供養塔を新たに建てていたので、それを踏襲して、今回、供養塔を改建するご縁となった。

 「新製品」の現在形のお墓は、供養塔より形が簡単なので製作も容易で、コストダウンとなっているので、明治以降に一般に広まった。

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五輪塔

 五輪塔は、主に供養塔・墓塔として使われる仏塔の一種で、五輪卒塔婆、五輪解脱とも呼ばれる。一説に五輪塔の形はインドが発祥といわれ、本来舎利(遺骨)を入れる容器として使われていたといわれるが、インドや中国、朝鮮に遺物は存在しない。日本では平安時代末期から供養塔、供養墓として多く見られるようになる。このため現在では経典の記述に基づき日本で考案されたものとの考えが有力である。

 教理上では、方形の地輪、円形の水輪、三角の火輪、半月型の風輪、団形の空輪からなり、仏教で言う地水火風空の五大を表すものとする。石造では平安後期以来日本石塔の主流として流行した。五輪塔の形式は、石造では、下から、地輪は方形(六面体)、水輪は球形、火輪は宝形屋根型、風輪は半球形、空輪は宝殊型によって表される。密教系の塔で、各輪四方に四門の梵字を表したものが多い。しかし早くから宗派を超えて用いられた。(この項、wikipedia より)

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 高野山にある新明和工業のロケット型の慰霊碑を最初に見た当初は、違和感を覚えたが、碑の横の解説文を読んで、ロケットの各段が五輪塔の各々の地水火風空の五大を表していることで納得をした。ロケットの形で平和を祈念した慰霊碑としたという。

 

 五輪塔やお墓の意味を今回、65になってはじめて知った。世の中、知らないことばかり。お墓を改建するご縁で、それを知った。お墓を改建しなければ、死ぬまで知らなかったであろう。

 

2021-07-28   久志能幾研究所通信 2103  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年7月26日 (月)

人生とお墓の耐震対策(2/2)

 

 人が暮らすとは、日の光(日)の上で過ごすこと。お墓とは、過ごす場面が「土」の上になる。「暮」らすと「墓」は漢字下部の「日」「土」の違いで、生死が違うだけある。両方とも同じ意味である。漢字はよくできている。お墓の耐震対策も人生の耐震対策も同じである。

 

人生経営の地震対策

 会社経営では、経済環境の激変で経営基盤が揺さぶられることが多々ある。それで倒産する場合は、トップと中間管理職と一般社員とが一体感がないため、事件という激震が襲った場合、会社全体が烏合の衆になり、会社が崩れて倒産に至る。トップから一般社員まで一体となって守りの体制で取り組めば、どんな衝撃でも耐えられるはずだ。

 

 自身の人間構造でも、頭と心と体が一体となり、困難に立向かえば、人生で崩れることはない。心と体がバラバラで、肝が据わっていないから、小さな事故ですぐ挫折する。要は人生の覚悟ができていないのだ。人間が出来ていないのだ。己の戒がないのだ。危機管理ができていないのだ。

 

人生の仕事

 人生で最大の仕事は人間になることである。人は動物で生まれて、最低でも人間にならねばならぬ。しかし人は動物で生まれて、人間にまで成長できず、金だけを握りしめ、餓鬼もまま死ぬ人がなんと多いことか。

 人間として最高の出世とは、生きたまま佛になることだ。その手順がお経「修証義」に書いてある。曹洞宗道元禅師著「修証義」第三章「授戒入位」には、お葬式の手順が書かれている。それは亡くなった人が、戒名を授かり、授戒して佛になるための手順である。佛になるためにやってはならないこと、やるべきことが書かれている。死んだ人にその手順を読経で教えている。生きている人は、それに沿い、佛になる修行(事前練習)をすることだ。

 その件は、馬場恵峰先生のふた七日の法要(2021年1月14日)で、鏡園寺の住職様がお勤めの読経をして、参列者に説法をされた。それで私はふた七日の法要に参加して、初めてその内容を知った。70迄生きてきて、毎日「修証義」を読経しているのに、今までそれを知らなかったのは情けない。人生知らないことばかりである。

Dsc09930s   馬場恵峰先生のふた七日の法要  鏡園寺の住職様     2021年1月14日

 

「修証義」第三章 授戒入位

  授戒入位とは、お葬式で、来世で佛として戒(戒名)を授かり(授戒)、佛としての位を授かる儀式である。

 来世で仏道を歩むための戒めの名前が戒名である。

 佛としての第一歩は、佛・法・僧の三宝に帰依しなさい、である。

 (馬場恵峰先生の雅号が、「三寶齋恵峰」である。三寶とはこの佛・法・僧である。これは原田観峰師の名命である。凄い名前だと思う。)

 次が摂律儀戒 一切の悪不善を行わない。

 摂善儀戒 すすんで一切の善行を行う。

 十重禁戒 重要な十種の最も重い戒。

 第一 不殺生戒 生きとし生けるものの生命を大事にしなければならぬ。

 第二 不倫盗戒 盗みや不正を行ってはならない。

 第三 不邪淫戒 夫婦の道を乱してはならない。

 第四 不妄語戒 うそ偽りを言ってはならない。

 第五 不酤酒戒 迷いの酒や思想に溺れてはならない。

 第六 不説過戒 他人の過ちを言いふらしてはならない。

 第七 不自讃毀他戒 己の自慢、人の悪口を言ってはならない。

 第八 不慳法財戒 物でも心でも与えることを惜しんではならない。

 第九 不慎恚戒 激しい怒りで自分を失ってはならない。

 第十 不謗三宝戒 佛陀の教えをそしってはないない。

  以上の戒を受けることが仏門に入ることである。衆生が仏戒を受ければ、諸仏の位に入る。

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人の道

 現世でこの戒を守れれば「生き佛」様である。そうなれば、どんな人生の大災害や激震が起きても、動ぜず倒れることはない。この内容は、どの宗教でも言っている当たり前の戒律ばかりである。この教えは、本来、人が守るべき指針である。多くの人がそれに反して、欲にまみれ、道を外して歩いている。人は人の道、佛の道を目指して修行をすべきなのだ。そうすれば人生のどんな試練にも耐えられる。

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馬場恵峰書    「修証義」第三章 授戒入位

 

2021-07-26   久志能幾研究所通信 2101  小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2021年7月25日 (日)

人生とお墓の耐震対策(1/2)

 

 東南海地震が数十年後には起きることが確実視されている。数十年後、私が、浮世から隠遁し、平穏に納骨室内で眠っているのに、住処のお墓が倒壊しては大変である。人生は生きている間より、死んだ後の方が長いのだ。お墓を改建した本人として責任問題である。そうなっては、ご先祖様にも申し訳ない。

 現在住んでいる家は築40年であるが、5年がかりで耐震補強のリフォーム工事をして耐震強度0.4から1.0に上げた(耐震基準では1以上が必要)。それにかかった合計費用は新築した方が安かった。その件が頭にあり、お墓を改建するにあたり、耐震対策を検討した。

 

耐震の為の本体構成

 阪神淡路大震災の時の墓地の被害状況を写真で見て、耐震構造のお墓にすることにした。石と石の間に心金を入れることで、倒壊防止になるとのこと。ところが松居石材商店の家のお墓が一体構成のお墓となっているのを見学して、一体構成のお墓構成に変更した。

 最初は、小田家のお墓だけの予定で進めたが、成り行きで3基のお墓全て一体構成に変更にした。価格が3倍に跳ね上がったが、トヨタの石田退三氏の言葉「悪いことに使うのでなければ、お金は何とでもなる」を思い出して、決断した。

 一体構成の墓石は全国で6基ほど存在するが(2015年当時)、3基全て一体構成の墓は、本邦初とのことになった。意図して本邦初にしたわけではない。これもご縁である。

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 阪神淡路大震災後の住吉墓地(日本石材工業新聞)

一般的な耐震構成

 下図は一般的な耐震構成である(松居石材商店のカタログより)。阪神淡路大震災以降に採用され出した構成である。それでもまだ半数にも実施率は達していない。普通のお墓はただ置いてあるだけの構成である。

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石屋さんのこだわり

 供養塔の製作にはエピソードがある。製作は中国の石屋である。残念だが、現在は中国の方が、石の加工技術は上である。石屋の松居さんがその仕上がり具合を確認のため中国に出張した。しかし現地で確認したら、供養塔の球面部の出来が悪かったという。どうしても納得できず、中国の石屋とやり合って結局作り直しとなった。供養塔が一体構成なので、球面部だけ作るわけにはいかない。最初から全部製作し直しである。えらいこっちゃ。

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 加工が終わり中国から入庫した墓石。これから字を彫る。三基とも一体構成。

   2015‎年‎10‎月‎21‎日(大阪の石材店で)

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一体構成の供養塔

 

通気穴

 お墓はお骨を土に還す装置である。その中が暗く湿気が多いのは、ご先祖様に申し訳なかろうと、納骨室の側面に通気口を空けることにした。ご先祖様の霊もこの通気口から出入りができるとの意図である。これは松居家菩提のアイデアを借用した。(将来、私もここから現世に遊びに行ける?)

 松居家墓の通気口はアルミ製の蓋である。松居家の墓石は白系の御影石である。それに対して当家の墓石が黒系なので、通気口の蓋が白っぽいアルミ製の蓋では、違和感があるため、蓋を同じ石材に材質を変更した。なおかつ、豪雨で側面からの雨の浸入にそなえて、通気穴の中央部に堰を設けた。お骨が水浸しになっては、辛かろうと思っての対策である。これは長年、機械設計・開発に携り、機械内部への切削液の浸入防止で苦労した経験があってこと。Photo_4 通気穴の中央部に堰を付けた

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 通気穴に蓋をした状態

 

 お墓の大きさ

 現状の自家の竿石サイズは9寸(約27.3㎝)であるので、その大きさを踏襲した。9寸は一般的なお墓の大きさである。それにあわせて供養塔、神道式の墓石の大きさを決めた。これにより供養塔と道仙氏のお墓が現状より大きくなった。

 2021-07-25   久志能幾研究所通信 2100  小田泰仙

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