お墓マンション、強欲の極み、遺骨は彷徨
先日、東京TOBU池袋で松本明慶大仏師仏像彫刻展が開催された。その時に館長さんがある檀家から呆れた話を耳にした。
墓地から出て行け
東京にあるお寺が、今ある墓地をマンションの土地として売り、今あるお墓を撤去した。その跡地にマンションと、立体式の納骨堂を建てた。要は、東京の高い土地にあるお墓では、檀家から年間のお墓維持費(護持会費)だけでは、儲からないので、その土地をマンション用地として売って、マンション経営で利益を得ようとした。
新規に墓マンションに一基を購入なら150万円だが、今の墓地にお墓がある場合、同意して遺骨を墓マンションに移すなら一基30万円でよいという。嫌ならお墓をたたみ、檀家から出て行けという。檀家の多くは、お寺の横暴さと強欲ぶりに呆れて、檀家の多くが別のお寺に遺骨を移したという。
お墓の役割
お墓とは、お骨を土に還す装置である。火葬してお墓に納めた遺骨は、おおよそ80年間で土に還る。その間、微生物がお骨を食べてくれて、遺骨が土に還元される。人は土から生まれて、土に還る。悠久の時間の流れで我々の命は流れていく。
それを墓マンションに陶器の骨壺に納めたままでは、骨は微生物が分解することがなく、永遠に土に還ることが出来ない。墓マンションは大自然の理に反している。お寺が金儲けで、墓マンションを造るのは外道である。お寺が、墓の存在の目的を理解していない。守銭奴の坊主はお寺の風上にも置けない。
札幌市の墓マンション事件
2012年に出来た札幌市にある墓マンション「御霊堂元町」は、一区画30万円~250万円、年間6000~12000円の管理費で売り出された。「雨の日でも雪の日でも快適にお参りが出来る」という謳い文句で販売された。この納骨堂の運営は、民間の葬儀社がスポンサーであった。その後、経営者がコロコロ変わり、挙句に経営が左前になって、そのビルは競売にかけられ、そのビルは出入り禁止となった。それでその墓マンションを持つ遺族は、その墓にお参りが出来なくなってしまった。現在、札幌市役所も困惑している。行政も遺骨の管理までは手が出せない。
便利に見える墓マンションも、このような事件に襲われると、遺骨が彷徨う羽目になる。これでは死んでも安らかに眠られない。遺族の安易な考えでの行動が因果応報で返ってきた。(この記事は、「納骨堂競売騒動で判ったお墓マンションが危ない」(『週刊新潮』2022年11月17日号)を参考に編集)
ご加護
墓マンションにはお墓の機能がない。だから、墓マンションには手を出してはならない。ご先祖様に対して無責任である。私はこの記事を読んで、正式の土のお墓を建て、ご先祖の遺骨を納めることが出来て良かったと思う。ご先祖の子孫は、ご先祖を無事に土に還す責任がある。それを放棄して幸せはない。今ある自分の幸せは、ご先祖様が守ってくれていると信じている。
井伊家の菩提寺 豪徳寺 2015年11月24日撮影
このように東京のど真ん中でもお墓は整然と整備されている。
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2022-11-12 久志能幾研究所通信 2540 小田泰仙
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