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2017年7月

2017年7月13日 (木)

宝塚歌劇団 伝説の「ブスの25箇条」(改定)

 大志塾(大島修治塾長)が開催さ、宝塚歌劇団の元トップスター穂高ゆうさんが講話「宝塚で学んだこと」の中で、「ブスの25箇条」に感銘を受けた(2014年10月5日)。この紙が稽古場に貼ってあり、彼女は自戒をこめて毎日眺めていたという。これは「耳なし方一」(後日掲載予定)が見た幽霊と同じであると感じた。正に足を地につけず、人のことを「うらめしや」とぼやく幽霊がいる。幽霊とはブスであった。管理職・経営者・社長として、他社をうらやみ、成果が上がらないことを社員や社会のせいにする責任者がブスなのだ。

 「朗らかに、清く正しく美しく」は、穂高ゆうさんが宝塚ジェンヌの守るべき規範の言葉として解説された。枕詞「朗らかに」が大事な言葉である。どれだけ清く正しく美しくても、しかめっ面では幸運の女神は微笑まない。

 

「ブスの25箇条」

1.笑顔がない

2.お礼を言わない

3.おいしいと言わない

4.目が輝いていない

5.精気がない

6.いつも口がへの字の形をしている

7.自信がない

8.希望がない

9.自分がブスであることを知らない

  1. 声が小さくイジケている
  2. 自分が最も正しいと信じ込んでいる
  3. グチをこぼす
  4. 人をうらむ
  5. 責任転嫁がうまい
  6. いつも周囲が悪いと思っている
  7. 他人にシットする
  8. 他人につくさない
  9. 他人を信じない
  10. 謙虚さが無くゴウマンである
  11. 人のアドバイスや忠告を受け入れない
  12. なんでもないことにキズつく
  13. 悲観的に物事を考える
  14. 問題意識をもてない
  15. 存在自体が周囲を暗くする
  16. 人生において仕事において意欲がない

足が夢を語る

 宝塚歌劇団トップスターとして華やかな姿の裏には、血みどろの稽古、練習、訓練がある。それが6年間も宝塚歌劇団に在籍を維持した彼女の足の指先に閻魔帳として現れていた。私は彼女の話を最前列で拝聴したので、彼女の足元に目が行った。その足の指は曲がっていた。バレエの過酷な練習で、外反母趾になっていた。その足の指は、その戦いの勲章である。外反母趾とは、バレエの演じる人が罹る嗣母趾が付け根で、くの字状に外側に曲がってしまう疾患である。

 水鳥は水面下で必死に足を動かしているが、水面上は平静な姿である。塾生90名余を前にして、穏やかな微笑みを浮かべて講演をされる穂高さんの舞台人生の裏には、凄まじい戦いがあった。それを表に出さずに「朗らかに、清く正しく美しく」舞い、歌う人生には、厳しい修行があった。その歩んだ人生が足先に現れる。夢に向って戦う人生には、手や足のその戦いの跡が刻まれる。安穏な仕事からは、夢は実現しない。

 練習の「習」とは、白鳥の雛が羽根を広げて、親鳥の姿を見て羽ばたくまねをすることである。稽古には形がある。「稽」とは、「いきつく」の意味で、「尤」は手の一端をおさえとどめた形をかたどり、とがめるの意味である。禾偏は穀物を意味し、穀物の成長が行き着くところまで行って止まるから、とどまるの意味を表す。稽古とは古(いにいえ)の考えがとどまった究極の形を現す。

 その時、我説にこだわり、「なぜこの形の稽古をしなければならないか」と文句をいうのでは、成長できない。まず頭を真っ白にして、練習でその芸の形を体得し、それから理屈を考えればよい。「守破離」もその真髄の言葉である。

体で体得

 宝塚歌劇団の新人は、「廊下を歩くときは壁に手を添えるように歩け」と躾けられる。曲がる時も壁に沿って直角に曲がる。当初はその理由が教えてももらえず、ひたすら躾として守らされたという。かなり時間が経ってから、廊下の中央は、先輩やお客様が歩く場所であり、それを避けて歩くのが礼儀であると体得したという。「芸はまず体で覚えよ」との典型的な教えであった。

宝塚歌劇団は夢の伝教師

 宝塚歌劇団は5つの組からなり、総勢450名の会社組織である。各組が80名で構成され、その組は中小企業の組織と同じである。各組の異動は基本的に無く、その仲間の中から配役が決まり、トップスターや名脇役が生まれる。毎年新人が入ってきて、新陳代謝がある苛烈な競争社会である。上下の関係、先輩後輩同期と鉄の規律が守られ、夢の世界が創造されている。それが100年間も継続して、日本人に夢を与えてきた。宝塚歌劇団のスターは、その夢の伝教師なのだ。

後日談

 宝塚歌劇団のスター達やその卵は、いわば女の東大生で美女揃いである。その中で、ブスというのは可愛げがあり通用するが、ブスという言葉は差別用語ではないかと、知人からコメントを受けた。

「ぶす」とは不美人を軽蔑して言う時の、俗語に近い口頭語。「おかちめんこ」や「すべた」などと違い、差別的な意識を伴って現在でも比較的よく使われている。(『日本語語感の辞典』中村明著)

 たった一言で、人は舞い上がり、落ち込みもする。言葉を使うのは難しい。この場合の「ブス」は己への戒めの言葉として考えたい。

2017-07-13

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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2017年7月12日 (水)

「桜田門外ノ変」の時代背景と世界情勢

江戸末期、昭和初期、何を恐れてご先祖は戦ったのか?

 狩猟民族のDNAは動物的である。狩猟民族と言われる欧米民族と農耕民族と言われる日本民族とはもつDNAが違う。狩猟民族は盗るのが当たり前で、盗られるのが愚鈍であるとの説である。キリスト教徒でないものは、人間ではないので殺してもよいという思想である。盗れるものは全て奪う、彼らにとって仏教の利他少欲は戯言である。欧米人は、戦争になって勝てば、相手を皆殺しにするか、奴隷にするか、植民地にして生産物の全てを奪うのが正しいやり方である。さすがに戦後は世界の目が厳しいので、自制はすぐが、狩猟民族の本質は変わらない。現代は欧米と同質のチャイナが領土強奪・民族虐殺や海外旅行での蛮行でその本領を発揮している。

日本の外の世界は、価値観が違うことを認識して行動しないと国が亡ぶ。今までは、自然の国境の海があったから防げたが、科学技術の進歩がその国境をなくしつつある。危機感をもって各人の意識を高めるしかない。

アメリカ合衆国の虐殺の歴史

 米国は独立戦争直後から、戦争や武力外交交渉によって領土を自己増殖的に拡大していった。もともと先住民のインディアンが1,000万人住んでいたアメリカ大陸であるが、白人がインディアンを950万人も虐殺して土地を強奪した。現在、インディアンは50万人しか生存せず、米国史からも抹殺されている。入植当時の白人は、インディアンからトウモロコシやジャガイモの栽培方法を教えてもらい、飢えをしのぎ開拓時代を生き延びた。当時のアメリカ入植者は、豊かな英仏等から逃げてきた落ちこぼれ達や犯罪者達である。彼らは恩を仇でインディアンに返した。

 1783年、アメリカ合衆国は、北大陸北米に一角に、大英帝国が創設した13州の植民地として誕生した。

 1803年、独立後間もないアメリカは、フランス革命直後で金のなかったフランスからフランス領北アメリカの大部分を安く買い叩いて手に入れた。

1821年、スペインのナポレオン王家から旧王家への体制転換のどさくさに乗じて、現フロリダ州も買い取った。

1845年、メキシコ領テキサスの独立運動を支援すると称して、事実上テキサスを乗っ取った。

1848年、これに怒ったメキシコと戦争が起こり、それに勝って現カリフォルニア州、ユタ、ネバタ、コロランド、ニューメキシコの南西山岳部4州を強奪

1846年、オレゴン州に対するイギリスの領有権を否認して領土として強奪

1853年、ニューメキシコの南部をメキシコから購入した。

 1867年、クリミア戦争後の財政難で困窮していたロシアの足元見て、アラスカを格安(720万ドル(1km²あたり5$))に購入した。

1887年、アメリカ大陸の西海岸に達したアメリカは、太平洋を西に進み、ハワイに入植者を投入し続け、裏で糸を引いてハワイ王国でクーデターを起こした。ハワイの国王を殺して、結果として1898年、米国に併合した。

1898年、米国はフィリピンに達して、フィリピンを植民地(1898年-1946年)とした。植民地としてフィリピン語を禁じ、英語を強要し、自立する術をなくして文盲の植民地住民にした。そのため現在も英語が公用語に入っている。

 植民地強奪戦略で米国の進出が太平洋の西端に達して、それを遮る目障りな障害が日本列島であった。日本の存在自体が日米戦争の導火線であった。西に向かって侵略戦争を進めた米国は、中国にも植民地を求めた。そこは英仏蘭独の先発の侵略軍がいた。そこに割り込もうと日本との軋轢が生じた。

1941年、中国で植民地強奪競争に後れを取った米国は、日本には受け入れ不能のハルノートを突き付けた。それを拒否するとエネルギーの自給ができない日本に対して、米国は経済封鎖をする挙にでた。ことは実質的に戦争の宣戦布告である。そのまま座していれば、日本中の会社が倒産して、失業者が社会に溢れる。日本は数か月で干上がる。自衛のために立ち上がったのが日米太平洋戦争である。米国は、日本が先に手を出さざるを得ないような狡猾な罠を仕掛けた。「日米戦争は日本の自衛戦争であった」とマッカーサーが戦後議会で証言している。そのことは日本のマスコミは黙殺して、真実を報道しない。そして紙上で日本自虐論が花盛りとなった。何が真実なのか、自分の頭で考えるべきだ。日米太平洋戦争があって、アジアの多くの国が欧米の植民地政策の毒牙から逃れられて独立できた。その事実を見逃しては、米国の洗脳教育から脱却できない。勝者の歴史は偏った偽りの歴史である。

日米太平洋戦争

 太平洋戦争での激闘で、日本の高性能な戦闘機、戦艦、航空母艦での戦い、玉砕、特攻等で、死に物狂いになった時の日本の恐ろしさに震え上がった米国は、戦後は日本を骨抜きにする策に熱中した。その成果が70年後の今、「毒花が咲いた」としか言いようがない情けない日本が今ある。自衛戦争もできない憲法、粗製作りで拙い日本語の憲法、家制度をなくし先祖を敬わない教育体制、日本を愛さない日本人の増加、日本の産業が二度と立ち上がらないような経済政策で、初の日の丸ジェット旅客機MRJも初飛行に戦後70年間を要した。

 唯一の救いは、ご先祖が命を懸けて死闘(玉砕、特攻)をしていただいたおかげで、米国もあまり過激には占領政策を進められなかった。そうでないと日本を米国の植民地にして、日本語禁止や日本の米国編入があったかもしれない。先例でフィリピンは植民地にされハワイでは王様が殺され、国が滅んで米国に吸収された。先住民のインディアンが弱かったのではない。国を守るという体制がなかったためだ。チベットに平和憲法がなかったから、人口の20%もチャイナに虐殺されたのではない。チャイナの侵略を防ぐ軍隊が無く戦えなかったためである。

我が家の戦い

 ご先祖は、父の弟の四男がシベリア、五男がビルマで戦死である。父はなんとかシベリア抑留から生還できた。ご先祖の日本のために命を懸けた戦いがあるから、今の日本がある。無抵抗であれば、日本はフィリピンのように植民地にされたはず。ご先祖の死闘に感謝しなくてはならない。歴史を振り返ると、戦争当時、日本政府は戦争相手を鬼畜米英と言っていたが、米国や英国の血に染まった建国歴史から見ると意外と巧い表現だと思う。

 明治維新も桜田門外の変も、アヘン戦争で英国が香港を割譲したニュースを日本の知識層が知って、危機感から起こった政変である。日本民族のDNAには、民族皆殺し、略奪やり放題という汚れた血は流れていない。聖徳太子の「17条の憲法」にある和を尊ぶ精神が1300年間も続く。しかし海外の民族はそうではない現実を肝に銘じたい。

 

図1 価値観の比較

 

2017-07-12

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タバコで我が子の肉を切り刻む

タバコの煙は赤ちゃんの体重を100 g減らす

                  島本太香子医師(大阪府環境保健部)

 妊娠中にタバコの煙に囲まれていると、生まれる赤ちゃんの体重は、煙のない環境で暮らす場合に比べて小さく、平均で100 g以上の差が出る。妊婦が家族や同僚の煙に晒されると、日に3~5本吸うのと同じことになる。

 1992年から3年間、奈良県内の産婦人科で、順調に出産した妊婦を対象に調べた結果、下記のデータが得られた。

 妊娠中に喫煙した人はごくわずかだったが、家族や職場の同僚のタバコに晒されていた受動喫煙の人は全体で6割、約800 人いた。それを下記の4分類に分けて、赤ちゃんの体重の平均を取った結果、受動喫煙の妊婦の赤ちゃんほど、体重が小さいとの結果がでた。その差は平均で100 gである。

                                         n= 1333 人

|                       |赤ちゃんの  |体重差|

  妊婦の状態                 |平均体重(g)|(g)|

------------------------+-------+---+ 

喫煙しない場合(ベンチマーク)         |  3,140   | - |

------------------------+-------+---+

換気のない部屋にいて、周囲が10本以上吸っていた |  2,900   |▲ 240|

換気のない部屋にいて、周囲が9本以下吸っていた |  2,900   |▲ 240| 

換気のある部屋にいた              |  3,070   |▲ 70|  

たまにしか煙に晒されなかった          |  3,170   |   30| 

------------------------+-------+---+ 

                                喫煙の平均 |  3,040   |▲ 100| 

------------------------+-------+---+

      1996年4月9日の日本産科婦人科学会で報告(『朝日新聞 1996.04.09』)

 

 赤ちゃんの体重に対して、100 gは成人のそれの2Kgに相当する。これは可愛い我が子の肉を切り取る犯罪である。ニコチン中毒の主犯JTも責められる。人生は劇場に例えられ、貴方はその舞台の主人公である。

 ああ、なしてまた、貴方はシェイクスピア劇『ユダヤの商人』のシャイロック の役を演じるのか? タバコの煙で、生まれくるわが子の肉を切り削むとは! 肉親愛豊かな? シャイロクが切り取ろうとしたのは、商売敵の肉で、我が子の肉ではない!

 タバコは己の吐く息、服に染み込んだニコチンが、家の壁などに付着したニコチンが知らず知らずに肉親に毒を盛っている。

  私の祖母はキセルでタバコを吸っていた。幼いころ、彦根の実家に遊びに行った時、私は「おばあちゃん、タバコっておいしいの?」と聞いたら「これはゴクツブシが飲むもの」と言ってキセルの灰を火鉢に叩き落したのを覚えている。今思うと幸いなことに、父が彦根から大垣へ転勤して、私は満1歳にならないうちに、彦根の実家を離れることになった。

 

2017-07-12

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ピアノ騒音殺人事件 5/12(改定)

見せびらかしのご縁

 2013年、還暦を過ぎた身で、40年前からの夢であったグランドピアノを買う決断をした。お店の人には「見せびらかしで買う」と冗談で言っておいた。ピアノが特注品なので、ヤマハ本社から「ピアノの先生が買うのですか?」とヤマハ販売店の小川課長さんに問い合わせがあり、本社にその旨を伝えたら、「エッ?エッ!!」と絶句されたと小川課長さんが笑っていた。

 誰に、特注ピアノを見せびらかすのか。自分である。グランドピアノを見て豊かな気持ちになり豊かな行動がとれる。それでこれからの人生が豊かになれば十分に元は取れる。それがご縁で、生の演奏会にも行こうかという気にもなる。ピアノ全集のCDも買う気になる。その費用を稼がねば、という動機付けにもなる。福の神のご来宅である。借金も財産のうちである。日本経済活性のお手伝いである。いざとなったら、得意技の借金踏み倒しをすればよい? 残念ながら?ヤマハさんはピアノ購入は納入前全額支払い制のため、この手が使えなかった。ヤマハさんはしっかりしておられるわい。

 その反対に、安いピアノを買って毎日それを眺めていたら、「自分は甲斐性がなく、こんな安いピアノしか買えなかった」と自分を責めて、貧乏臭い考えに陥り、貧しい行動しか取れなくなる。浮いた金が無駄遣いに消える恐れもある。貧乏神がすり寄ってくる。ピアノを買う目的は、惚け防止と音楽鑑賞である。指先を使うことは、脳の活性化に繋がる。また高級オーディオに金をつぎ込むより、本物のピアノで自動演奏を楽しむほうが、お金の節約となる。高級オーディオは金食い虫である。陳腐化も早い。しかし今回の最大の誤算は、ピアノの自動演奏機能が無駄になったこと。レッスンを受け始めたら、自動演奏の出番が全くなくなってしまった。やはりピアノは自分で弾くと楽しい。

 ピアノを買うとは、そのために家屋と人生時間の設計をすること。桐ケ崎町の火事のあった翌日の2013年10月28日から、予定通りピアノと書庫のために家の改築に入った。ピアノ騒音殺人事件が念頭にあり少し回り道をしたが、近所への迷惑防止を前提に防音工事を完璧にした。また床の補強、部屋の増築等でかなりの出費となった。床の補強は、蔵書3.4トン(ダンボールで170箱)に耐えるための処置である。それもご縁である。この工事業者が火事の隣のカーテン屋さんである。10月5日、防音工事の打ち合わせのためカーテン屋さんのレクサスで大建工業名古屋ショールームに出かけた経緯がある。その後、彼と目前の納屋橋ヤマハ楽器店に寄ったのもご縁です。

クルミの木とのご縁

 この特注ピアノ(2013年10月13日正式発注)は、一般的な黒のピアノではなく、材質がアメリカンウォールナット(クルミの木)である。このクルミの木は北米を産地として、落ち着いた濃褐色の木目を持つ。クルミの木は狂いが少なく精密で粘り強いのが特徴である。趣味の問題として、音楽の楽器が真っ黒けのケの黒よりは、ウォールナット色のほうが様になると思い、敢えてウォールナットにした。

 2013年10月10日、長崎の馬場先生宅を知己塾受講のため訪問したら、近所の大工の新立さんから珍しい木だよと言って、クルミの木のブランク表札を渡された。その時閃いて、馬場恵峰師に私の雅号の表札を揮毫してもらった。以前に馬場先生に普通の表札(桧)を揮毫して頂いた。新立さんが今回、偶然クルミの木のブランク表札を提供してくれたのがご縁である。聞けば、たまたま珍しい木が入手できたとのこと。

土台の基礎からの工事

 改築の一環として、今までの改築で床をめくったら、ふろ場、台所、居間、座敷、仕事部屋が白蟻に喰われてしまったのが判明して、全て床からやり直すことになった。今回の元応接室を改築してピアノ室兼書庫にするにあたり、下から湿気が上がってこないように、地面にビニールを敷き、コンクリートで固める工事とした。また24時間タイマーで、床下換気をする換気扇も設置して万全を期した。

 またピアノの重量に耐えられるように、床のネタも普通の倍の量にして強度を上げた。壁の強度も上げて、総合的に家の耐震強度向上を兼ねた工事とした。

白蟻業者の選定

 当初は出入りの業者の進めるままの白蟻業者にお任せしたが、経営者仲間から助言があり、別の業者に見てもらったら、点検のレベルが格段に上なので急遽、業者を変更した。その業者はお風呂から二階に登っている白蟻の跡を調べて二階の点検までしてくれた。また、白蟻点検後に床下の撮影データまで提供してくれた。

 和歌山のカレー殺人事件の影響で、ヒ素が使えなくなり、シロアリ駆除の薬品の有効期間が5年となり、5年ごとに駆除薬の再塗布が必要になったことを知った。カレー殺人事件はとんでもない事件であった。

防音工事

 窓は二重のペアガラスで、更に二重のペアガラスの内窓を付け、電動シャッター付きで、厚いカーテンを付けた。これでも人の声は聞こえる。道路に面した部屋なので、これで良しとするしかない。

こだわりの畳敷き

 このピアノ室には畳をひいた。普通の家でピアノを置く部屋がないから、畳の部屋のピアノを置くケースはよくある。しかし新規でピアノを置くため畳を敷いたのは稀有だと思う。この改築をしたピアノ室はフローリングの床であるが、畳を入れる予定で5センチ床を下げて床の工事をした。その上に吸振マットを敷きピアノを設置した。その周りに畳を敷いた。結果として猫足のピアノにはよく似合っている。やはり日本人には畳が最高である。

今回の改築の一環として、家の全室を畳の部屋に改築した。廊下も台所も畳敷きにした。台所では、汚れるので畳敷はご法度かもしれないが、汚れてもその分だけの畳を取り換えれば済む話で、問題なく使っている。畳敷きの台所は食事をしていても何か落ち着く。

 

 

図1 ピアノ室の増床改築工事

図2 コンクリートを打つ前にビニールを敷き、ワイヤーを敷く

図3 ミキサー車でコンクリートを打つ

図4 床の吸音材の設置

図5 天井の吸音材の設置

図6 天井の音響板

図7 換気装置。部屋が密閉構造になるので必須。

図8 床下の点検写真(座敷の床下の白蟻の被害)

図9 フローリングが完成。窓はこれから内窓、シャッターを設置

図10 防振マットを敷いて、その周りに畳を敷く

図11 畳を敷いて、ピアノの型紙で設置位置を検討

 

2017-07-12

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インプラント 2  歯科医の立場から

2) 歯科医の立場から

・保険のきかない自由診療なので、歯医者にとって美味しい手術である

  インプラントが大好きな歯科医がいる。なにせ儲かるから。それが地方のインプラント協会の会長や専門医ではなお更である。こういう歯医者はインプラントありきで説明をする。(私の担当歯科医がこれに該当)

・開業歯科医院の数はこの30年間で約1.7倍に増加した。

 現在は、コンビニエンスストアの1.6倍に当たる約7万件に上る(厚生省)。コンビニエンスストアを見れば、いかに歯科医院が多いかが分かる。その一方で1日当たりの平均患者数は減少し、現在およそ20人で、20年前より5人ほど減り(2割減)、経営の苦しい歯科医院が増加した。そこに利益率の高いインプラントの金脈が発見され、多くの歯科医院が飛びついた。

・歯科医もインプラント推進派と反対派に綺麗に分かれる。中間派はいない。

歯医者にはメリットが大きいが、患者にはメリットを上回るリスクがある。

・歯科医は普通の医者とは少し扱いが違う。

 有名国立大学に医学部はあっても歯学部はない。国立大学で歯学部があるのは9校のみ。ちなみに某大学では歯学部はあっても、治療はしないそうである。あくまで学問の研究対処だそうだ。そのうちで、インプラント講座があるのは5校のみである。歯学部は私立の大学が多い。私が大学生のころ、裏口入学で社会問題になったのは歯科大学であったことを思い出した。地区の医師会に歯科医は入らない、入れてもらえない。そのため、単独で歯科医師会がある。眼科医は医師会に入る。

              

『このごろ』

 ― ママ、医大に合格だ!

 ―まあ、そんな大きな声で言うものじゃあありません

 (大垣・百舌鳥)  1971年3月19日 朝日新聞「声」欄

 

 時に医学部の不正入学問題が社会面を賑わしていた。大金を積んで入学しても、元を取れる算術商売が問題になってきた。まだまだ医者が少なく、質よりも量が問題になっていて、医師の大量養成がされていた。それが40年後の現在、医者余りの時代となった。百舌鳥は私にペンネーム。学生時代は風刺コント投稿マニアで『かたえくぼ』の常連でした。

 

・医院の経営上の側面

  インプラントは1本30~40万円である。安いインプラントは危険である。ドリルの型代、人工歯根、人工歯等の材料費の総額が数万円と推定される。手術の時間は約1時間弱、看護婦を2人としても医師のアワーレートは時間20~30万円と推定され、かなり利益率の高い治療行為となる。保険の治療に比べても格段に良い利益となる。外食産業のアルバイト時間給が1,000円未満であるのと比較すると極めて、「ボロ儲け」状態である。

 

「治療後の歯科医を転院するのは難しい」

インプラントメーカ別にドライバー形態や器具の料金・保険などは異なり、オペ後に他院への転院はしにくい!

⇒安心できる歯科医院に必ず通ってください。

 

 上記は某歯科医院のインプラント説明書の文言である。この治療法は標準化されていなくて、医者ごとにやり方が違い、治療技術が確立していないとの証である。これで安心して手術を受けろとは矛盾している。これは当医院からの「足抜け」は許さないとの「脅し」である。問題が出ても「だから最初に説明したでしょう」と居直られる恐れがある。

 

2017-07-12

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「桜田門外ノ変」の検証 (5/25)(改定)

 井伊直弼公の墓所

 五百羅漢で有名な天寧寺に、井伊直弼公の供養塔が建つ。彦根藩は「桜田門外ノ変」の時の血染めの土や衣装類を、四斗樽に納めて急ぎ裏街道を通って彦根に持ち帰り、この天寧寺に埋葬した。翌年1861年、彦根藩はこの井伊直弼公供養塔を建立した。当時は、井伊直弼公の死は病死としてしか公表できず、そのため井伊直弼公の私的なお寺として存在したこの天寧寺に埋葬せざるを得なかったようだ。井伊直弼公は、埋木舎の不遇の時代、父直中公のお寺として頻繁にお参りをしていた。

 天寧寺には、「桜田門外ノ変」の時、籠内に置かれた座布団が寺の寺宝として保管されている。その座布団に井伊直弼公の血の跡が染み込んでいる。その座布団があまりに畏れ多いので、埋葬せず寺宝として保管されたという。この座布団と井伊直中公と井伊直弼公の肖像画が、毎年3月28日、このお寺で特別公開される。3月28日は、彦根藩が幕府に病死として届けた日で、毎年、この日に供養祭が天寧寺で行われる。

 井伊直弼公の正式のお墓は、豪徳寺(東京)と清凉寺(彦根)に建てられている。その昔、公的機関が豪徳寺の井伊直弼公のお墓の歴史調査を行ったが、何も入っていなかったという。当時の激しい世相から、盗掘を恐れて、別の秘密の場所に埋葬されたようだ。井伊直弼公の位牌は、彦根の殆どのお寺で祭壇に飾られている。井伊直弼公は彦根の名君であり今でも慕われている。

長野主膳の墓所が、井伊直弼公供養塔の横に(南側)平伏するがごとくに立っている。その横の後ろで、彦根城を眼下に見る形で「たか女」の墓が立つ。

天寧寺の由来

 五百羅漢の天寧寺は、井伊直弼公の父である井伊直中公が自分の過失で手打ちにした腰元と初孫の菩提を弔うため、禅宗界屈指の名僧寂室堅光禅師の勤めで発願建立した。文政2年(1819年)の春、男子禁制の槻御殿(現在の楽々園)で大椿事が持ち上がった。奥勤めの腰元若竹がお子を宿しているらしいとの風評が広まり、それが藩主の耳にも届いたのである。大奥の取り締まりのためにも相手の名を詰問したが、口を固く閉じて相手を明かさない。遂には、不義はお家の法度であるという掟によりお手打ちとなった。後になって若竹の相手が長男直清であったことが明らかになり、直中公も不知とはいえ若竹と腹の子(初孫)を葬ったことに心を痛め追善供養のため、京都の大仏師駒井朝運に命じて五百羅漢を彫らしめ安置されたのである。(天寧寺パンフレットより 2017年7月3日)

 お殿様の長男直清に手籠めにされ、子をなしても口を割らなかった若竹に仏の姿を見る。畏れながらと、真実を告白すれば命は助かるし、子は大名の血筋の子として大事に育てられる。それを不義として受け入れ、黙って手打ちにされた。当時の日本の腰元としても信じられない行動である。本来手籠めにされて、不本意ではあるが、自分を愛してくれたお殿様をかばった姿である。そこに日本人として神仏からの不遇を黙った受け入れる日本人を見る。私は仏の姿をその中に見る。その遠因があり、本来、直弼公には絶対に回ってくるはずのない直中公の跡継ぎの座が舞い込んでくる。当時、直弼公は直中公の14男であったので、その前には13人もの跡継ぎ候補がいた。腰元若竹に、日本の将来を見越した仏の采配の姿を見る。

 佛はいつも我々を試している。試された我々は、どう行動したのか。長男直清は、自分が手籠めにした女と腹の中の子を見殺しにした。彼は病弱として文化3年(1806年)に廃嫡にされており、1825年に35歳で没する。次男の直亮が文化3年(1806年)に庶子とされ、文化9年(1812年)2月5日の父の隠居により、家督を継いで第14代藩主となる。父直中公の隠居は、前年1811年の若竹をお手打ちにした慙愧の念が影響していたかもしれない。直亮には実子がなく、弟(直中の11男)の直元を養嗣子にした。直亮は、直元が弘化3年(1846年)に早世したため、その弟(直中の14男)で国元にいた直弼を養嗣子とした。それで直弼が第15代藩主となる縁起が生じた。これこそが、佛が織りなすカラクリである。「天之機緘不測」(菜根譚)、天が人間に与える運命のからくりは、人知では到底はかり知ることはできない。

 直中公は追善供養としてお寺をこの山に建て、五百羅漢を彫らせた。単純計算で1体300万円とすると15億円である。本堂や他の施設を含めると10億円か100億円単位のお金がかかっている。その分、直中公の慙愧の念が強かったと言える。その功徳があったから、その後の井伊家の存続がある。

井伊家の歴史

以上を下記に年号順に並べると、齟齬がみつかり、思案に暮れている。詳細を現在調査中です。

1791年 直清が直中公の長男として出生

1806年 直清が廃嫡、直亮が庶子になる。

1811年 若竹の供養のため、宗徳寺を移築して本堂を建立

1812年 直中公が隠居、家督を次男直亮が継ぐ

1815年 直弼が直中公50歳の子の14男として出生。長野主膳、ビスマルクが同年の誕生。    

1819年 腰元若竹の懐妊、直中公がお手打ち (年号は1811年の間違い?)

1825年 直清死去。35歳

1846年 直弼が直亮の養嗣子となる。

1850年 直亮の死去により直弼が第15代藩主となる。

1958年 直弼が大老に就任

1860年 桜田門外の変で直弼暗殺される。享年46歳

豪徳寺の墓所

 豪徳寺は、井伊家の菩提寺として歴代の井伊家のお殿様のお墓が祭られている。豪徳寺にある井伊直弼公のお墓の後ろに、日下部三郎右衛門を筆頭とした殉死八人碑が建つ。まるで井伊直弼公のお墓を見守るようである。その井伊家御廟のすぐ外に、日下部鳴鶴のお墓が建つ。豪徳寺の門を入ってすぐの場所に、井伊家を顕彰した日下部鳴鶴書の碑文がそびえ立つ。鳴鶴の書は素晴らしい書体である。日下部鳴鶴の碑文の字体を見ると、確かに恵峰師とそっくりである。

日本一の布袋尊

 この天寧寺の布袋尊は、背が1.2m、重さ300kgという木造日本一の大きさで、御利益も超大型・・・・とか。そのおへその触ればヘソクリができ、扇に触れば福来る。袋に触れば病気を封じるとされる神様として崇められている。井伊家が幕末の激動の中を生き延びられたのは、ご縁の陰徳というヘソクリのご利益かもしれない。

羅漢石庭

 この天寧寺の「この石庭は、お釈迦様の御教えを羅漢様とともに静かに心の刻む拠り所として作られました。中央の大きな石はお釈迦様の身近にあったインド仏蹟の石です。周りの16の石は16羅漢様をあらわしています。白砂にはインドの仏蹟「尼連禅河」のお砂が入っています。お釈迦様への敬慕の念を込めてつくられた石庭を拝し見ますと、インド仏蹟聖地巡拝の功徳があります。(作庭は斯界随一の中根金作氏)」と掲示パネルに記載がある。その向こうの眼下に彦根城と琵琶湖の借景がある。井伊直中公は、自分の居城が眼下に小さく映る様を、己の小ささとして感じたのかもしれない。

五百羅漢と対話

 2017年7月3日、天寧寺に参拝して仏殿内の釈迦と十大弟子・十六羅漢・五百羅漢が祭られている本堂でしばしの時間を過ごした。探し求めれば必ず出会えると言われる五百羅漢が見つめる中である。その佛の1054の眼が黙って己を見つめる。その誰もいない静寂な空間で、桜田門外の変の意味と己の役割を考えた。井伊直中公は、どんな思いでこのお寺を建立し、お参りをしていたのか。13人も子供がいながら孫が生まれず、その初孫を己の手で殺めざるを得なかった業に、何を感じたのか。頻繁にこの寺にお参りをした井伊直弼公は、安政の大獄で多くの処罰者を出すが、今まで彼は家臣を一人もお手打ちをしたことはない。井伊直弼公は、結果として、旧日本国(徳川幕府)を殺めて、新日本国(明治政府)を生むご縁を創った。

 

図1 井伊直弼公の供養塔(天寧寺・彦根)

図2 長野主膳のお墓(天寧寺・彦根)

図3 たか女のお墓(天寧寺・彦根)

図4 井伊家の墓所 (豪徳寺・東京)

図5 井伊直弼公のお墓 (豪徳寺・東京)

図6 井伊直弼公のお墓を守るように日下部三郎右衛門筆頭の殉死八人碑が後ろに建つ

図7 殉死八人碑 (豪徳寺・東京)

図8 羅漢石庭

図9~11 仏殿 五百羅漢

 

2017-07-12

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2017年7月11日 (火)

経営診断♠インプラント その1

1.インプラント稟議決済

 インプラント手術の可否は、自身の体へ大きな影響があるため、重要な経営判断である。インプラント手術とは、自分の体への設備投資の稟議書である。歯は臓器の一部であり、健康に大きな影響を及ぼすため、真剣な検討が必要である。今回の事象を自分自身への設備稟議として詳細に検討した。

 経営において経営判断を求めてトップに上がってくる案件は、賛否49対51のグレーの案件である。明快な賛否の案件は、トップには上がってこない。成否の明快な案件は、考えるまでもない。そこで今まで培った人脈を頼りに、北は北海道から南は宮崎まで全国の知人に電話をかけ、面談までをして、インプラント情報を収集した。聞けば聞くほどに訳が分からなくなった。まさに賛否49対51のグレーゾーンの案件である。この30年間で培った人脈のお陰で、皆さんから貴重な生情報を得た。自分に人脈は、お金では買えない貴重な財産であることを認識できた。人脈とは、所有している最大の資源のひとつである。

 

稟議: インプラント手術の採否 

状況: 歯周病で奥歯の1本が欠損。歯科医よりインプラントを勧められた。 

結論: 私の場合、インプラント手術は受けるべきでない。

理由: 私にとって、インプラント手術はメリットよりリスクが大きい。

    歯科医はインプラント手術の悪い情報を患者に伝えていない。

           歯は臓器の一部で、危険な手術は取り返しがつかない恐れがある。

対応: 私の場合、欠損の歯は1本なので、他の実績ある選択肢もある。

    後日、インプラント手術をする選択肢もある。手術を急ぐ必要はない。

    手術をするなら、セカンドオピニオンを得てからにすべきである。

    (以前にかかっていた奈良県の歯科医に聞く)

    再発防止:歯の保守を再構築する。

 

2.調査のまとめ

 下記情報は、歯科医の説明や医院のインプラント解説書には記載されていない生情報である。インプラントを勧める医者はよい情報は宣伝しても都合の悪い情報を患者に教えない。これは新興宗教や詐欺行為と同じである。

 1) 患者の立場から

 ・インプラント手術の成否は患者の個人差が大きい。

・長期間にわたる体への影響の検証が終わっていない。

・医院の作成資料では、入れ歯、ブリッジとの比較で、インプラントが「過度に」良いとされている。第三者の目から見ると偏向した比較結果である。だからこそ、信頼できる歯科医の選択が大切。

・数十年持つとも宣伝されるが、実際は10年経つとやり直しとなる例が多い。

・経年変化の恐れ

インプラント自体は経年変化が少ないが、支える土台の骨肉と相手の歯の老化や顎の骨の老化が進むと、10年後には合わなくなる恐れがある。インプラントを外す手術が必要となる場合がある。人工歯根と顎骨としっかり癒着しているので、大変な手術となる。

 ・死亡事故もある(ドリルの深さミスで顎内の血管を傷つけると、止血の方法がなく、致命傷となる)。ドリルで開ける穴と顎内の血管の距離は3mmである。信頼できる医者の選択が重要である。

 ・顎内の神経を傷つける事故もある。これにより下唇と下顎の感覚が喪失する障害となる。

・歯科医の選択が重要

  数日の簡単な講習で手術が出来るので、歯科医間の腕の差が大きい。1日のメーカの講習で手術を手がける歯科医もいる。大学では100時間の講習という話もある。

 ・異物としての拒否反応

  体に異物を入れるので、その免疫作用が働き、体調を崩す人もいる。一概に老人は若い人より免疫作用が弱いので、問題は起きにくい。若いと問題だ。正常な免疫能力をもった人が、体調を崩す。

・定期的なメンテが必要(かなりの頻度で。個人差大)

  歯周病で歯を失った人が、インプラントの保守を確実にする確率は低い。

・インプラント周囲炎の恐れ

  インプラントを埋めた後、口の中のケアを怠ると、インプラントと歯ぐきの間から病原菌が侵入して、周囲粘膜が炎症を起こす。インプラント周囲炎は現在、治療法が確立していない。これは歯周病学の専門家の共通認識である。最終的には埋め込んだ人工歯根を抜かねばならない。インプラントを抜く手術は顎の骨を削るような大掛かりな手術が必要となる。このためにインプラントは生涯保守が必要である。

 インプラント先進国スウェーデンでも、治療後40年の間に、4人に一人が発症していることを示すデータがある。

 松井歯科医師(宮崎市)の話では「インプラント周囲炎は埋入してから6年後くらいから増えてくるようだ。私はこの対策をライフワークのようにやってきた。」

・インプラントを入れると、MRI(核磁気共鳴映像法)を受診できなくなる。若い人は、心してインプラントを入れること。

・電位差による影響が不明

 金属を体に埋め込むと、体と金属間で微弱な電位差が生じ、それが長期間で体に影響を与える。私は、それの悪影響を船井研究所の船井幸雄氏の著書で知り、奥歯のアガルガムの詰め物を撤去して金を埋める処置をした。それと同じ現象が起きると推定される。

  古い車を所有するのが趣味の友人が、ボディーとねじが異金属のため、その間に微弱な電位差が生じ、錆の原因になると言っていた。欧州の車はその防止のために、色んなところにアースがとってある。人間の体も同じだと思う。異質の2つが接触すると電池になるのは、物理学の基本的な常識である。

  最近、水周りのリホームをして、錆でぼろぼろになった配管を目にして驚愕した。それと同じで、過酷な条件の体に異物の金属(相対比較で金が安定しているが、錆びないわけではない。まして金ではないチタンでは)を埋め込んで、長い年月の間に錆びないはずがない。世に錆びない金属はない。微視的には金も白金さえも錆びる。その錆がどれだけ体に影響するかの解明されてない。水銀やカドニウムによる重金属のイタイイタイ病を代表される被害を思い出すと、君子危うきに近寄らず、が正しい選択だと思う。

 ・チタンの安全性は未検証

   チタンの長期間に亘る人体への影響の安全性は、まだ検証されていない。

   豊胸手術で安全だと言われてきたシリコングリースに、発がん性の問題が露見したのは最近のことである。

・健康保険の非適用

国は手術する資格の保証をしていない。インプラントは「美観のための贅沢手術」が国の認識である。簡単な講習で手術が可能なためか、事故が多い。

・下側の歯のインプラントに比べ、上側のそれは支えの骨の問題で手術が難しい。

・「歯」閥争い?

 歯を抜く原因となる歯周病の治療には学派の派閥があり、治療法が違う。

  間接的にこれが原因で抜歯に至ったと私は感じている。歯科学会では派閥争いで学会が乱立している。

 日本には下記の4つの学会がある。

 日本歯科保存学会      会員数約 4,500人

 日本補綴歯科学会      会員数約 6,500人

 日本歯周病学会       会員数約 8,000人

 日本口腔インプラント学会  会員数約12,000人

 通った歯科医院(岐阜県)では、前の歯科医(奈良県)の歯周病学会のやり方を否定された。よく考えると恐ろしい話しである。今にして思えば、これが歯を失った原因だと思う。

 

2017-07-11

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カテゴリー「経営診断♠インプラント」を追加

インプラント手術を2時間前にキャンセル

 2012年の春、奥歯の1本を無くし、インプラントを入れることで話しが進んでいた。しかし白内障手術、その直後の網膜はく離の手術と重なり、インプラントの検討には余り頭が回らず、歯医者の勧めるままにしていた。しかし手術直前に、色々と問題が発覚し、知人からも助言され、真剣に採否を検討して、手術2時間前(2012年9月18日、敬老の日の連休明け火曜日、仏滅)に当日の手術をキャンセルした。そして正式なキャンセル可否の判断を強いられた。その検討の顛末を記載する。

諭吉翁の教え

 福沢諭吉翁曰く「知りたることを人に教えざるは、金を借りて返さざるが如し」。その情報が人の生死に影響することならなお更である。人の健康に大きな影響を及ぼすインプラントの調査情報は、皆さんにも公開すべきと思いまとめました。一人でも多くの人が、インプラントの実態を理解して、手術の可否を判断して頂ければ幸いです。あくまで判断は個人責任です。

自分の経営書として

 本資料は、自分が人生経営として学んできたことの集大成で、皆さんが直面する事象に対する経営判断の方法として参考にして頂ければ幸いです。ある意味で、これは自分の経営書でもある。

 以下、資料の目次です。重要項目を抜粋、見直して順次掲載します。図は歯周病による細菌の影響で奥歯が割れている状態の私のCT写真です。抜歯直前に撮影された。(2011/8/22)

資料の目次

第Ⅰ部 インプラントの検証

1.稟議決済                              8

2.調査のまとめ                             9

1)患者の立場からのまとめ

2)歯科医の立場からのまとめ

3.経営判断の根拠

3.1 自然の摂理からの判断                         16

3.2 法に準拠しているか                    18

3.3 自分の頭で考える                         20

3.4 経営理念からの判断                 24

3.5 判断基準                      27

3.6 火葬場での美学                      

3.7 基本原則は健康                          30

3.8 人生の安全運転                   35

3.9 時間価値からの判断                 40

3.10 動機善なりや?                   41

3.11 衆知を集めて決断                                           42

3.12 歯の性能(噛む能力)                43

3.13 歯の性能(インプラントの寿命)           44

3.14 歯の性能(美観)                    45  

3.15 コストパーフォーマンスの観点                             46

3.16 欧米人と日本人の差                 47

3.17 テクニカルライティングからの判断                 48

3.18 トヨタ生産方式 5回のなぜ?                   51

3.19 トヨタ生産方式 現地現物                  53

3.20 トヨタ生産方式 枯れた技術                   54

3.21 逆選択                             55

3.22 機械設計者としての判断                      56

3.23 論理的解釈                           57

3.24 何かおかしいと感じる感性での判断                59

3.25 立場を替えて観る判断                       63

  3.26 6Sの判断                               64

  3.27 観音菩薩様の耳で判断                       66

3.28 成功報酬?                        67

3.29 人食い土人の儀式                      68

3.30 三十六計逃げるにしかず                   69

3.31 謙虚であるか  研修修了証明書掲示          70

3.32 分際をわきまえているか                   71

3.33 経営スタイルから判断                    77

3.34 しぐさ占い                                                 75

3.35 名刺占い                                  76

3.36 人相・しぐさ占い                                          77

3.37 資料から判断                                               79

3.38 経営での自分のポリシー(価値観)を持っているか       80

3.39 千手観音菩薩様の爪の垢を煎じて飲んだか                81

3.40 天国と地獄への分かれ道   その前で考えよ            82

3.41 御仏の導きのご縁                          83

第Ⅱ部 調査データ

1.調査データ                   

1.1 インプラント否定派 歯科医の意見               91

1.2 インプラント否定派                         99

1.3 インプラント肯定派                        103

1.4 インプラント無関係派                        106

1.5 マスコミ記事                            109

2.解説書

2.1 『インプラント解説資料』(歯科医院提示)              110

2)表紙   3)欠損説明確認書(医院保存)                          

4)料金表                             

2.2 『インプラント解説本』(市販本)                        114

2.3 『いい歯科インプラント治療医を選ぶ』(週刊朝日刊)    115

第Ⅲ部 経営理念

1. 模範となる経営理念

1.1 医療関係                                                      124

1.1.1 〇〇メガネ

1.1.2 〇〇眼科

1.1.3 〇〇メディカルセンター

1.1.4 〇〇総合病院

1.2 自動車関係                                                  131

1.2.1 〇〇トヨタ南国

1.2.2 〇〇ソー

1.2.3 トヨタ自動車

1.3. 電機・IT関係・経営コンサル                              136

1.3.1 松下電器

1.3.2 IBM

1.3.3 久志能幾研究所

  1. シロアリに侵された経営理念            140

     2.1 大垣ガス

   2.2 東京電力

   2.3 JR西日本

   2.4 某インプラント歯科医院

 

2017-07-11

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ピアノ騒音殺人事件 7/12

後姿から日本の未来を見つめて

 人はその後姿に性格と育った履歴が現れる。人は育った環境で、その性格が大きく変わるのを実例として、私はこの5年間の定点観測で体得した。国家試験の受験勉強のため、毎日大垣市立図書館の学習室に通っていた。その学習室で、私の座る位置は、全体を見渡せる最北端の席で、毎回同じであるが、周りに座る学生や社会人は、年毎に変わるし座る場所も毎日も変わる。第一学習室の50名の座席は土日では満席だが、平日は30名ほどで、小学生から、高校生、学生、社会人まで多くの人が学習に勤しんでいる。またその人たちが千差万別なのである。この5年間余、30名×300日×5年で延べ約45,000人の後姿を見続けた。

 この45,000人の中で目に付いたのは、下記事例である。その後姿にその人の生き様が現れている。何も言わなくてもその後姿を見れば、その人の性格と家庭と未来が見える。この子達の大部分が真面目に勉強をしている。それを目の当たりに見ると、日本の未来もまだ希望があることを感じる。この子達が未来の日本を背負ってくれる。私の年金を支えてくれる? 頼もしい限りである。真面目に勉強しているその子達に、音の暴力をふるう人間の行動を観察した結果が以下である。

 

シーンとした静寂の空間で、音の暴力をふるう人間模様

・イスを引くとき無造作に大きな音を立てて立ち上がる人

  パイプ椅子が共鳴して大きな音を立てる構造となっている。

  設備も床の構造も悪い。改善の計画はあるというが5年以上も実施されない。まさにお役所仕事の象徴である。無造作にイスを引けば大きな音が出ることが分かっているのに、空気の読めない人の行動は愚かである。それに気の回らない人が人生で出世できるわけが無い。

・イヤホンで音楽を聴きながら、大きな音を立てて立ち上がる中年女性

  注意しても、逆に言いつけオバンになり、反撃して大喧嘩を仕掛けてくる。

・私が大喧嘩をしていても図書館の副館長も、見て見ぬふり

・図書館館長と直談判をしてものれんに腕押し。お役人の無責任の極み

・大きな靴音を無神経に立てて歩き回る人

   己の立てる音には無神経な大人が多い

・学びの場にハイヒールで、甲高い靴音を響かせて平然としている女性

   無神経としか思えない。

・猫でもあるまいし、身につけた鈴をチリンチリンと鳴らして動く老若男女

  甲高い鈴の音は静寂な部屋中に響き渡る。本人は洗脳されて意識が無い。

  こういう人が静かな演奏会場でも、鈴をチリンチリンと鳴らす。

・ヘッドフォンで音楽を聴きながら勉強している為、己が出す騒音に無神経。

 こういう子が、イスを無造作に引いて大きな音を出し、鉛筆の筆記音を立てる。

・無造作に机の上にキーホルダーを放り投げ、部屋中に響く金属音の立てる人

・携帯の着信があると靴音も高く飛び出していく子や大人

・携帯の着信があると出て行く途中の室の中で「モシモシ」とやる異常者

  部屋中にその声が響く。それが他人迷惑と感じない感性が哀しい。

・ゲームに没頭して2時間も時間を費やす子。

  勉強の場の雰囲気を壊している。そんな子がいると勉強の緊張感が無くなる。

  ゲームをやるために税金でこの施設を整備したわけではない。

・使った学習机を消しゴムのゴミだらけにして、そのまま帰宅する子や大人

 どういう家庭躾を受けたかよく分かる。大人でも出世できない人なのだろう

・携帯を机の上に置き着信振動音を部屋中に響かせる大人

 机の上板が共鳴板となり高い音を室中に響かせる。無神経の極み。会社でも同じ無神経な行動を取っていて出世から外れたのだろう。

 以上はシーンとした学習室内の静寂を破る「騒音」と人間模様である。そのシーンとした空気が感じられない無神経な人といえる。そこまで日本人が劣化したのかと情けなく思う。学習に神経を集中させていると、この集中を中断させる騒音が入ると腹が立つ。ところが騒音を出す上記の人たちは、それに全く気づいておらず、全く無頓着なのだ。そんな類の人間が、昔のピアノ騒音殺人事件に縁があった同類だと考えてしまった。そういう神経の大人は、空気を読めないため(KY)、出世もできず左遷させられる。それが世の中。本人だけが、なぜオレが?という。図書館は世間の未来の縮図である。

 

2017-07-11

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2017年7月10日 (月)

私のフリーセックス初体験記

 1985年8月末~12月中旬、仕事でスウェーデンに出張滞在をした。その時のフリーセックスの初体験談です。噂の「性開放の国スウェーデン」と認識すると、大変な誤解をすることになる。ストックホルムでもポルノシップは数軒しかなく、あまり流行っていないらしく、潰れそうだとの話であった。私もついぞ、その店にお目にかかった事はなかった。テレビにしても不特定多数が見るということで、そんな放映が厳しく禁じられている。暴力シーンの放映も禁じられて、この面の管理が厳しい。つい日本の無管理ぶりと比較してしまう。何方がフリーセックスだか分からない。1985年当時でさえ、日本の方がよほどアッパッパーである。

性開放の意味

 性開放の意味は、男女平等と言う視点で考えられている。この「フリー」は、「性の拘束から開放された自由」と言う意味である。年齢からの束縛の解放、肌の違いからの差別の解放である。そしてあくまでも個人の自由を重んじ、恋愛は自由で、もし男女の仲だから間違いがあった場合は、国が面倒を見ましょうというシステムである。それがごく一部が拡大され伝わっている。ここの男女交際は、真面目である。よほど日本の方がアッパッパーでフリーセックスの国である。この国での愛は、お金では買えない。だから愛がなければ何事も始まらない。なおかつ西欧は、キリスト教の宗教の締めつけが厳しい。

 日本は、元田中首相事件にみられるように、政治資金で責任問題になっても、女性関係では政治的責任を問われない社会である。(当時の宇野元首相事件以来多少違うが……)ところが西欧でこういった問題を起こすと、社会的に抹殺される。この面の社会的倫理感の厳しさは、日本の比ではない。また宗教上の制約と教会の締めつけも厳しい。国民は、性に関して、カソリック系よりは比較的開放的なプロテスタント系であるが、あくまでも真面目なキリスト教徒である。それ故不倫は離婚を覚悟せねばならない。これは他の先進国と変わらないと言える。

 それと対比される日本は、首相でなく一般市民であれば、だれもそれを咎めないので、西洋人からは天国に写るようだ。なにせ日本では、妾や不倫は男の甲斐性と言われる?

男女同権であるから、それに反するポルノはご法度

 それを下記の事件が日本人の「ああ勘違い」を明確に正してくれる。写真等での表現が自由な米国からも、日本のヘアヌード等は猥褻だと非難されている。日本社会では、見境なしに公共の場でこの種の写真を「陳列」する無節操さが問題である。欧米ではその棲み分けが明確である。

 

 1987年頃に、ノルウェーのポルノショップがひと儲けしようと、ストックホルムにやってきて市内に店を開いた。ところが開いた途端、女性たちの訪問を受け、店頭で抗議のビラまきをされることとなった。平等問題に大いにかかわる、即、店をたためという要求であった。市議会議員や国会議員まで押しかけ、マスコミも大きく取り上げ、商売にならず3日もたつかたたないうちに店を閉めて、ノルウェーに帰ってしまった。(訓覇法子著『スウェーデン人はいま幸せか』日本放送協会 1991年)

 

現在のスウェーデン移民問題

 現在(2017年)、フリーセックスのスウェーデンが移民問題で悩んでいる。多様性には「フリー」の観点で、移民には寛容であったので、多くの移民が国内に溢れている状況になった。フリーセックスの前提には、同じ価値観を持つ国民という前提がある。ところが中東の民族は、スウェーデンの価値観に同化しない。彼らだけの地区に集まり、彼らだけで生活をして、他からの干渉を拒否する。まるで国内に別に国が出現したかのようである。

 2013年9月、スウェーデン政府は「入国を希望するシリア難民全員を受け入れる」と発表した。一時的な滞在許可だけでなく、申請すれば永久権も得られ、家族の呼び寄せも可能になる。シリア難民に永住許可を付与する欧州の国はスウェーデンが初めてだった。この結果、2014年スウェーデンに難民の地位を申請した人の数は8万人超となった。欧州各国から流入する移民も激増している。街を歩けば、路上のホームレスやミニスカートをはいて立つ女性が目につく。住居や一定の手当を保障されている難民と異なり、同じEUから自由に流入できる移民は、職が得られなければホームレスになるしかない。路上に立つ夜の女は減っているが、インターネットを介した性交渉の取引が激増している

 難民・移民の受け入れは人口増に直結する。スウェーデン人口は、私が滞在した1985年当時は835万人だったのが、2015年には150万人以上増え、985万人となった。実に人口の18%という移民による人口増である。私が人口10万人程のショブデ市に滞在した時、その街で日本人は私一人であった。他の民族はあまり見かけなかった。この人口爆発を維持する社会の負担は膨大である。現在、25歳以下の若者の失業率は22.9%と北欧諸国で最も高い。失業者の多くは難民・移民が占める。この人口を支えるため、勤労者は毎年給与額の1か月分に当たる額を負担しているとも言われる。

 治安悪化の大きな要因は、流入する難民・移民によると考える人は多い。その最も痛い部分を右派政党は衝いてくる。右派が繰り返し唱えるのは、「われわれの価値観を守ろう」である。スウェーデン政治は、欧州内で「最左派」だった。全欧州で移民を排斥する極右政権が台頭する中、この傾向に根強く抵抗してきたのはスウェーデンの政治家と一般市民だった。だが、今は反移民の排外主義と、それに対する抵抗がせめぎ合いながら、全体としては右に傾斜し始めている。

 その傾向に決定的な追い打ちをかけたのが、「イスラム国」の出現だ。「イスラム国」の台頭は、これまで「寛容な移民政策」を採ってきたスウェーデンの独自性を大きく揺るがしている。 その一方で犯罪類型にも変化が出た。従来の犯罪者は、ほとんどが自身や親がスウェーデン外にルーツを持つ移民や、失業中など社会から疎外された状況にある人たちだった。そころが2016年2月にコペンハーゲンで銃撃事件を起こしたオマル・エル・フセイン(22歳)はそれを破った。「高度な福祉国家」は揺るぎ、「スウェーデン人らしさの価値観」が失われつつある。(データは「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号)

 

 労働力不足で、移民政策を進める日本政府に私は不安を抱く。もっと真剣にこの問題を考えるべきだ。同じ民族でも、中部と関西圏では価値観や考え方が違い、大きな葛藤を生み出す。私は実際にそれを前職の会社の合併で体験した。それが、生まれた環境が違い、国が違い、価値観が違えば、もっと大きな問題に発展する。下手をすれば日本の文化・思想・価値観が失われる。

 

2017-07-10

久志能幾研究所 小田泰仙  

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