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2017年7月10日 (月)

私のフリーセックス初体験記

 1985年8月末~12月中旬、仕事でスウェーデンに出張滞在をした。その時のフリーセックスの初体験談です。噂の「性開放の国スウェーデン」と認識すると、大変な誤解をすることになる。ストックホルムでもポルノシップは数軒しかなく、あまり流行っていないらしく、潰れそうだとの話であった。私もついぞ、その店にお目にかかった事はなかった。テレビにしても不特定多数が見るということで、そんな放映が厳しく禁じられている。暴力シーンの放映も禁じられて、この面の管理が厳しい。つい日本の無管理ぶりと比較してしまう。何方がフリーセックスだか分からない。1985年当時でさえ、日本の方がよほどアッパッパーである。

性開放の意味

 性開放の意味は、男女平等と言う視点で考えられている。この「フリー」は、「性の拘束から開放された自由」と言う意味である。年齢からの束縛の解放、肌の違いからの差別の解放である。そしてあくまでも個人の自由を重んじ、恋愛は自由で、もし男女の仲だから間違いがあった場合は、国が面倒を見ましょうというシステムである。それがごく一部が拡大され伝わっている。ここの男女交際は、真面目である。よほど日本の方がアッパッパーでフリーセックスの国である。この国での愛は、お金では買えない。だから愛がなければ何事も始まらない。なおかつ西欧は、キリスト教の宗教の締めつけが厳しい。

 日本は、元田中首相事件にみられるように、政治資金で責任問題になっても、女性関係では政治的責任を問われない社会である。(当時の宇野元首相事件以来多少違うが……)ところが西欧でこういった問題を起こすと、社会的に抹殺される。この面の社会的倫理感の厳しさは、日本の比ではない。また宗教上の制約と教会の締めつけも厳しい。国民は、性に関して、カソリック系よりは比較的開放的なプロテスタント系であるが、あくまでも真面目なキリスト教徒である。それ故不倫は離婚を覚悟せねばならない。これは他の先進国と変わらないと言える。

 それと対比される日本は、首相でなく一般市民であれば、だれもそれを咎めないので、西洋人からは天国に写るようだ。なにせ日本では、妾や不倫は男の甲斐性と言われる?

男女同権であるから、それに反するポルノはご法度

 それを下記の事件が日本人の「ああ勘違い」を明確に正してくれる。写真等での表現が自由な米国からも、日本のヘアヌード等は猥褻だと非難されている。日本社会では、見境なしに公共の場でこの種の写真を「陳列」する無節操さが問題である。欧米ではその棲み分けが明確である。

 

 1987年頃に、ノルウェーのポルノショップがひと儲けしようと、ストックホルムにやってきて市内に店を開いた。ところが開いた途端、女性たちの訪問を受け、店頭で抗議のビラまきをされることとなった。平等問題に大いにかかわる、即、店をたためという要求であった。市議会議員や国会議員まで押しかけ、マスコミも大きく取り上げ、商売にならず3日もたつかたたないうちに店を閉めて、ノルウェーに帰ってしまった。(訓覇法子著『スウェーデン人はいま幸せか』日本放送協会 1991年)

 

現在のスウェーデン移民問題

 現在(2017年)、フリーセックスのスウェーデンが移民問題で悩んでいる。多様性には「フリー」の観点で、移民には寛容であったので、多くの移民が国内に溢れている状況になった。フリーセックスの前提には、同じ価値観を持つ国民という前提がある。ところが中東の民族は、スウェーデンの価値観に同化しない。彼らだけの地区に集まり、彼らだけで生活をして、他からの干渉を拒否する。まるで国内に別に国が出現したかのようである。

 2013年9月、スウェーデン政府は「入国を希望するシリア難民全員を受け入れる」と発表した。一時的な滞在許可だけでなく、申請すれば永久権も得られ、家族の呼び寄せも可能になる。シリア難民に永住許可を付与する欧州の国はスウェーデンが初めてだった。この結果、2014年スウェーデンに難民の地位を申請した人の数は8万人超となった。欧州各国から流入する移民も激増している。街を歩けば、路上のホームレスやミニスカートをはいて立つ女性が目につく。住居や一定の手当を保障されている難民と異なり、同じEUから自由に流入できる移民は、職が得られなければホームレスになるしかない。路上に立つ夜の女は減っているが、インターネットを介した性交渉の取引が激増している

 難民・移民の受け入れは人口増に直結する。スウェーデン人口は、私が滞在した1985年当時は835万人だったのが、2015年には150万人以上増え、985万人となった。実に人口の18%という移民による人口増である。私が人口10万人程のショブデ市に滞在した時、その街で日本人は私一人であった。他の民族はあまり見かけなかった。この人口爆発を維持する社会の負担は膨大である。現在、25歳以下の若者の失業率は22.9%と北欧諸国で最も高い。失業者の多くは難民・移民が占める。この人口を支えるため、勤労者は毎年給与額の1か月分に当たる額を負担しているとも言われる。

 治安悪化の大きな要因は、流入する難民・移民によると考える人は多い。その最も痛い部分を右派政党は衝いてくる。右派が繰り返し唱えるのは、「われわれの価値観を守ろう」である。スウェーデン政治は、欧州内で「最左派」だった。全欧州で移民を排斥する極右政権が台頭する中、この傾向に根強く抵抗してきたのはスウェーデンの政治家と一般市民だった。だが、今は反移民の排外主義と、それに対する抵抗がせめぎ合いながら、全体としては右に傾斜し始めている。

 その傾向に決定的な追い打ちをかけたのが、「イスラム国」の出現だ。「イスラム国」の台頭は、これまで「寛容な移民政策」を採ってきたスウェーデンの独自性を大きく揺るがしている。 その一方で犯罪類型にも変化が出た。従来の犯罪者は、ほとんどが自身や親がスウェーデン外にルーツを持つ移民や、失業中など社会から疎外された状況にある人たちだった。そころが2016年2月にコペンハーゲンで銃撃事件を起こしたオマル・エル・フセイン(22歳)はそれを破った。「高度な福祉国家」は揺るぎ、「スウェーデン人らしさの価値観」が失われつつある。(データは「週刊ダイヤモンド」2015年3月14日号)

 

 労働力不足で、移民政策を進める日本政府に私は不安を抱く。もっと真剣にこの問題を考えるべきだ。同じ民族でも、中部と関西圏では価値観や考え方が違い、大きな葛藤を生み出す。私は実際にそれを前職の会社の合併で体験した。それが、生まれた環境が違い、国が違い、価値観が違えば、もっと大きな問題に発展する。下手をすれば日本の文化・思想・価値観が失われる。

 

2017-07-10

久志能幾研究所 小田泰仙  

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