« 2017年6月 | メイン | 2017年8月 »

2017年7月

2017年7月28日 (金)

インプラント 16(安全性)

3.16 安全性  欧米人と日本人の差の検証

 日本人に対するインプラントの検証はまだ終わっていない。それ故、手術は慎重にすべきだと思う。自分がモルモットになるつもりなら良いが。

日本人の体質

 日本人と欧米人では、アルコールや牛乳への消化酵素の保有量の差で違いがある。また日本人の体は欧米人のように「油もの」をたくさん消化することはできない。欧米人は6, 000年近くさかのぼりオリーブオイルを食べてきた。日本人が油ものを食べるようになったのは、この150~200年ほどのことである。揚げ物でもこの有様で、蕎麦アレルギーさえ起きる人がいるのが現実で、チタンアレルギーの安全の検証はまだ済んではいない。

日本でのインプラントの歴史

 日本に本格的導入がされたのが2000年位からで、まだ10年余くらいの実績しかない。世界一の近い平均寿命がある日本人での長期間の検証ができていないのが現実である。だから日本人より短命の欧米人では問題ないから、それが日本人にそのまま適用できるとはいえない。欧米人は問題が起きる前に死んでいるのではないか。インプラントが、いくら欧米で30年以上の実績があるといっても、日本での前提条件が違う。

 

2017-07-28

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

天声人誤の竹槍が14万人を殺した(2/4)(改題・改定)

経済学の理論で政府の金融政策を検証

 どんな商売でも、売上げの絶対額がなければ利益は出ない。100の売り上げと1000の売り上げでは、利益率は違うが、100の売り上げの商店は、絶対に1000の売り上げの商店の利益に負ける。日本の経済を一つの企業の財務として考えると、GDPはその企業の売り上げ(総需要)に相当する。

日本GDPとは日本の国内総生産。誰が生産したかは問わない。

GDP=GNP-海外からの所得+海外への所得

日本GNPとは、日本の国民の生産。何処で生産したかは問わない。

総需要=実際のGDP

総供給=潜在のGDP

 

GDP= 民間最終消費支出(消費に相当)

    +政府最終消費支出(消費に相当)

    +国内総固定資本形成(投資に相当)

    +財・サービスの輸出(貿易収支に関係)

    -財・サービスの輸入(貿易収支に関係)

 

 GDPはその企業の売り上げ(総需要)に相当する。売上が減れば、利益が減って当たり前。緊縮財政とは、金を使わず、将来の投資もしないので、金が出ていかないが、総売り上げが減り、会社は貧乏になると同じ。それが20年も続いたのが現代の日本である。本来、日本で消費されるべき金額(設備投資、つまり国内インフラ整備)が減らされ、その金が全て外国に持って行かれた。外国が豊かになり、日本が停滞して当たり前。

GDP減少の弊害

 日本の賃金が高く、海外が安いからと言って海外に工場を移転すれば、国内の雇用が無くなり、日本の生産額が減り、企業が国に納める税金が減り、地方都市の税収がへり、国内のインフラ整備が出来なくなる。国内のインフラとは、企業の生産を効率化する手段(高速道路、輸送インフラ、ITインフラ等)である。それができなければ、競争力がなくなるので海外との競争に負ける。今は負けるべくして、負けている。そのため一時は世界を席巻した家電製品が全滅である。海外移転して海外で作った製品が、日本に流れ込んで、日本の首を絞め、日本のGNPを減らしている。つまり日本丸商店の売り上げが減るわけで、それで給与が上がれば、経済学の「理」が合わなくなる。だからこの20年間、日本人の供与が上がらない。つまり政府の経済政策が間違っている。日本人が政府とマスコミに騙されて論理的に考えられなくなったためである。その代表的な言葉が「失われた20年」である。受動形の表現は責任を曖昧にする。誰が失わせたのか? その犯人は誰なのか? 果があれば、必ず因がある。論理的に考えれば、結論は出るはず。その結論が出ては困る人がいるから、曖昧にしてきたにすぎない。その陰でうまい汁を吸っている人がいる。

GDP減少の弊害の事例

 例えれば、学校で勉強(自己投資)をしなれば、絶対に成績は上がらない。一度投資をしても時間とともに劣化していく。順次設備更新が必要である。近隣諸国、アジアの諸国が国のインフラに設備投資をして、交通インフラ、航空機インフラ、港内インフラを整備して、国の生産効率があげれば、日本が負けて当然である。

 私が馬場恵峰師宅を訪問するとき、利用している福岡・長崎間の在来線特急は、複線でなく、いまだ単線を走る。あまりに所要時間がかかるので、大抵は航空機を使う。国は言い訳をして新幹線整備を遅らせている。これで九州を始め日本の経済を活性化しようと言っても無理がある。成田国際空港は隣国の効率的なハブ空港に負ける。港湾設備も古くなって、その荷役が隣国に取られている。そんな貧弱な設備でどうして隣国に勝てるのか。単に設備投資をしなかっただけ。コンクリートから人への投資との旧民主党の「美しい戯言」に騙されて、必要な設備投資を怠っただけの理由である。非武装中立と同じ類の戯言である。ソフトを充実するには、まずハードの整備が必要である。自分に投資をせず、成長した人間はいないと同じである。息子を大学にやらず(設備投資なしで)、金儲けをと言うが如し。

 

2017-07-28

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

2017年7月27日 (木)

ご先祖様人質作戦

 津軽藩は、ご先祖を人質にして統治するというユニークな戦略でこの地を治めた。なかなかに知恵者の所業である。こういう例は他では皆無である。世界でも例がない所業である。

 津軽藩は藩内の曹洞宗の33ものお寺を、弘前城下町の一カ所に集めた。それが新寺町寺院街(図1、図2-詳細)である。全国でも、これだけの曹洞宗のお寺が集まった地区はない。この目的は、藩内の家臣の菩提寺を弘前市内に集めて、そのご先祖様が入ったお墓を人質にして、謀反を防ぐことにあった。当時、信仰が厚く、ご先祖を大事にすることが当たり前であったことが前提の戦術である。今の時代や他の国では、成立しない戦術である。それがどれほど不幸かをわからないほど、現代人は不幸の鬼に取りつかれている。ご先祖あっての自分である。

 

昔と比べて、現代の我々は本当に人間としての進化を遂げたのだろうかと考えてしまう。昔のようにご先祖を敬うのではなく、拝金主義者となって、グローバル経済という美しい名の御旗の元、人の不幸を顧みず、自分だけの幸せを願い、利己主義の鬼のような考えで、財の総取りを目指し動いている。その結果が移民問題、貧富の差の拡大、テロの横行、政治経済社会の腐敗である。

 

2017-07-27

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

1039a28431

2039a27691

 

1000年の命

 人の命はせいぜい百年だが、佛像の命は千年にも及ぶ。佛像は千年にもわたって、祈る人々の心を受け入れる。その佛像造りに佛師は命をかける。人の命は河の流れに浮かぶ泡沫のようなもの。人の命は儚い。だからこそ、今を精一杯に生きるべしと、鴨長明は『方丈記』で云う。命が有限であるからこそ、今の仕事が輝く。人の命が千年もあれば、緊張感が生まれず、命が輝く作品は生まれまい。自分が作る仕事がどれだけの期間、世に受け入れられ続けるか。長く使われて欲しいと願うのは、作品を世に送り出す創造者である。芸術作品、工業製品、システム製品、思想等の全てに言える。

 

 行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。----『方丈記』

 

人は三度死ぬ

 一度目は人生の使命が終ったとき。二度目は肉体的な死。三度目は縁あった人たちの記憶から、その人の記憶が無くなる時である。完成させた仕事が世に長く残るとは、その人が生きていること。その人の作品を見る度に、その人に思いを馳せる。その人の作品が目の前で語りかける。古の思想家の言葉を思い出すたび、その人の声を聴く。その思想家は人々の心の中で訴えている。そんな風に命が永らえる作品を残して旅立ちたい。

 

 毎朝、水門川沿いの「四季の路」(大垣市)を散歩すると、目に写る川の流れの変化に無常を感じる。河の流れは絶え間なく、四季の移り変わりによる風景の化粧直しに人生を感じる。日暮れて道遠し。命の有限さを毎日ひしひしと感じる。

 

図1~4 「石山の 石より白し 秋の風」(芭蕉) 「四季の路」(大垣市)

     碑文の書は芭蕉直筆

 

2017-07-27

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

1p1030039

2p1000509

3img_6840

4img_3134

天声人誤の竹槍が14万人を殺した(1/4)(改題・改定)

政府の間違った経済政策が、14年間に14万人を殺した(1998~2011)

数は減少したが、その経済政策は今も続いている。

 日本の自殺者数は、昭和58年(1973)及び61年に2万5千人を超えたが、平成3年(1991)には2万1,084人まで減少し、その後2万人台前半で推移していた。しかし、平成10年(1998)以降、14年間連続して、3万人を超えが続いていた。やっとこの5年間が、3万人を下回る推移となった。

 つまり1997年の20年前に比べて、毎年1万人も自殺者が増えた。言い換えれば、政府の間違った政策で、14年間で14万人の日本人が殺された。その死者数は、広島に原爆を投下したB29エノラ・ゲイ号による死者数より多い。過去の交通戦争と言われた時代では、交通事故死者数は年間1万人であった。それでも大騒ぎをして、対策を打ちその数を減らしてきた。しかし、「失われた20年」と無責任な表現で胡麻化して、それの真因を追及せず、ひとごとのように単に対処療法でその数を減らしたに過ぎない。

 論理武装をしないので、中小企業の経営者が自殺に追い込まれた。グローバル経済主義企業のお題目の成果主義を突きつけられて従業員と中間管理職が鬱病になり、自殺にも追い込まれた。また自殺者の多くは、株主から成果主義を問われた分別ある経営者、管理職だ。自殺した労働者中、41%が自営業(35%)と管理職(6%)だ。天の声と偽って人を誤らせて竹槍で戦えと中小企業を指導した政府とマスコミは、金融政策でお茶を濁し、国民を地獄に突き落とした。今必要なのは、人への投資、関税政策、財政政策、国土への設備投資、消費税引き下げ、地方の活性化への投資である。政府が当てにならないなら、自分の身は自分で守るしかない。

 日本の工場を、賃金が高いからと言って、工場を海外に移せば、国内が空洞化して、働き口が無くなり、日本人の賃金が下がるのは、子供でも分かる。奴隷のような低賃金で作ったグローバル経済主義企業の製品と、日本の正規の製品と競争して勝てるわけがない。膨大な開発費をかけて得た技術を、こっそり盗んで作った製品が安いのは当然だ(機密情報管理法とスパイ法が不十分)。金儲け主義の外国に騙されて、相手に有利な規制緩和をした結果である(米国からの関税撤廃の圧力)。儲かったのは、米国政府を操ったグローバル経済主義企業である。工場が全て海外に移転して産業が空洞化した米国の国民も、日本人と同じように貧しくなった。豊かになったのは、1%だけのグローバル経済主義企業の経営者である。残りの99%は中間層から貧困層に落ちぶれた。同じ構図がギリシアである。EUの縛りで、安い工業製品の輸入を関税で止められない。その結果、国内産業が全滅した。儲かったのはドイツや米国のグローバル経済主義企業である。その経営者はウハウハ。

 それと同じ構図が、明治政府が結ばされた欧米との不平等条約である。当時、アヘン戦争、植民地化への欧米のアジアへの侵略があった。現在は、グローバル経済主義企業が超低賃金で現地労働者を使い、先進国に輸出をして己だけの利益の為、蠢いている。そのため工場のある現地も輸出攻勢をかけられた日本も、共に貧しくなっていった。現在は明治の第一の開国に次ぐ、第二に開国なのだ。相応の対策を打たないとグローバル経済主義企業の植民地にされる危険性がある。平成版の井伊直弼公の登場が望まれる。

 

我々の過去の愚行

ご先祖の戦時中の竹槍訓練の姿を見て笑えますか?

だれが戦争末期、一億総玉砕を報道、洗脳したのか?

だれが神風特攻隊を美化報道したのか?

だれが北朝鮮天国説を報道して正直な人を北に渡らせたのか?

だれが死者40万人との説もある文化大革命を美化したのか?

だれが大学紛争を美化したのか? あの騒動は一体なんだったんだ?

だれが報道に踊らされ、トイレットペーパー買占めに走ったのか?

(私も当時、マスコミに踊らされ焦って少し多く買った。反省)

だれがマスコミのダウ10万円説に踊らされて、株に狂ったのか?

だれが嘘の宣伝に騙されて、民主党に投票したのか?

だれがチャイナに新幹線技術を売ったのか? 

だれがチャイナは新幹線を他国に売らないという契約を信じたのか?

騙されてチャイナに技術を教え30年後に工場が反日焼討ちに逢う。

松下幸之助さえ騙された。欲に釣られてチャイナに工場を作り、撤退となると今までの優遇税を全て払えと、現地法人社長を監禁脅迫。去るも地獄。

だれが新聞コラムは名文だと言ったのか? その科学的検証はしたのか?

 

図1 竹槍の訓練(太平洋戦争末期の国内)

ご先祖の戦時中の竹槍訓練の姿を見て笑えますか?

図2  自殺者数の推移 - 厚生労働省

   http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/dl/1-01.pdf

図2、3 B29エノラ・ゲイ号(スミソニアン博物館にて 1997年著者撮影)

図4 リトル・ボーイ(広島に投下された原爆と同形 1994年著者撮影)

図4 過去の景気回復のパターン  日本経新新聞2017年6月23日

   なぜ、景気が20年も回復しない? 大学の経済学者は何をしているか?

図5 一人当たりの実質所得変化  日本経新新聞2017年7月5日

   なぜ、これだけ働いて、日本の賃金が20年間も上昇しないのか?

   なぜ隣国やアジア諸国に負けるのか?

 

2017-07-27

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

1e7abb9e6a78de8a893e7b7b4

2

3291

4292

5

6120170705

インプラント 15(美観、価格性能比)

3.14 QCD  歯の美観性能から判断

 インプラントのもうひとつの目的は歯の美観である。特に米国では歯並びと肥満が出世の大きな要因になっている。その点ではインプラントは素晴らしい。日本の俳優でも健康な歯を抜いてインプラントにしている例は多い。

 健康を犠牲にしてまで、なぜそんなに美しくしたいの?

  金儲け?   人気取り?  化けるため?

 

3.15  QCD  価格性能比の観点

 現在のインプラントは、性能に対しての価格が異常に高すぎる。保険が適用される総入れ歯で、約1万円の自己負担、ブリッジで約1.5万円の自己負担であるのに対して、インプラントは保険適用外であり、30~50万円も費用がかかり過剰に高い。いくら性能が良くても、価格性能比が低すぎる。さらに安全に対して未知数があり、リスク上でも手術は不可と判断した。

ある歯科医院の治療費内訳  

材料費  人工歯根     199,500円

     人工歯      150,000

処置費  診療費       5,000

     検査費       10,000

     手術費        68,000

メンテナンス代         10,000

 ――――――――――――――――――――

    合計       442,500 円

 『「いい歯科インプラント治療医」を選ぶ!』p99(週刊朝日MOOK)より

 

 私は30年余の期間、工作機械、自動組立機、自動車部品の設計業務に携わってきた。今も昔も価格競争の厳しい時代、部品の原価計算を知らずして設計は出来ない。その観点で、単なる雌ねじと雄ねじのチタン材の部品費用が20万円弱とは異常である。普通の機械部品であれば数百円である。いくら材料が特殊であっても、20万円弱とは信じがたい。人工歯も同じコスト感覚である。保険がきかない「贅沢」手術扱いなので「資本の論理」が働き、こんな価格設定となる。医師とインプラント業界のための金儲け手段である「贅沢」手術とは、国の認識である

 

2017-07-27

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

2017年7月26日 (水)

人生の旅の結びと出発

 人生曼荼羅界の最終章は、次の界への旅立ちである。その界での使命を果たした後は、次の界に旅立たないと、今の界の人に迷惑をかける。何時までも徳川家康が君臨していては安倍総理も煙たかろう。今も天才佛師の運慶が健在では、明慶先生も出番も少なかろうと思う。新しい血が生まれないと、その界の発展もない。人生に時間制限があってこそ、今の命が輝く。俳聖松尾芭蕉の旅も、江戸深川を出て東北、北陸を回り大垣が「奥の細道」の結びの地となった。芭蕉は大垣で親交の深い木因らとの再会を歓び、旅の疲れを癒した。そして伊勢神宮の遷宮の訪問のため、大垣船町港より舟で桑名に向かい旅に出発した。次句を残した。

「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」

 句意は「蛤の蓋と身が引き剥がれるような辛さを残し、親しい人々と別れて、自分はいま行く秋とともに、伊勢の二見に向けてまた旅に出るのだ」。これは「奥の細道」における結びの句であり、見送る門人衆への留別吟である。伊勢の名産である蛤をふまえ、「蓋・身」に掛けて「二見」を出した技巧的修辞であり、「蓋・身に別れ」から「別れ行く」「行く秋」と引き出した重層的表現である。

私の「奥の細道」結びの地

 現代では60歳の定年になっても、95歳まで生きる意志があれば、まだ35年間もある。第一の人生の会社生活37年間とほぼ同じである。第一の人生は修行として学ぶことが多かったが、還暦を迎え一応、社会の基本的なことは学習をした。それを活かせば、第二の人生でも、まだまだやれることは多いはず。人生は倒れるまでが、旅なのだ。寝たきりになっては、人生の旅はできない。寝たきりになるのは、寝たきりになるような生活の「心がけ」をしてきた因があるからだ。人の世は因果応報である。修証義に曰く「善悪の報に三時あり、一者順報受、二者順生受、三者順後次受」。(三時:因果の報いの現れる三つの時期)

 小さな私的な人生でもドラマがあり、谷も峠がある。しかし、その峠にもたどりつけず鬼門に入った仲間が身近で11名にも及ぶ。還暦を迎えて、無事に人生の峠に辿り着けた有難さを感じる。大垣に帰郷した2010年9月から毎日、「四季の路」を雨の日も雪の日も歩き続け、16カ月後の2011年末に累計で2,400kmを歩いた。芭蕉が東京深川から大垣までの道中とほぼ同じ距離である。意識をしたわけでなく、ただ毎日、5kmを継続して歩いただけだ。芭蕉は160日をかけて「奥の細道」を歩き、私は500日弱をかけて2,400kmを歩いた。その後も「朝の旅」で歩き続けている。

燈台を背に立つ松尾芭蕉の像

 この像は昭和63年(1988)建立された。後ろは大門川、船町港跡の河畔に立つ船町燈台。なぜか、この像は桑名方向(南)ではなく、西を向いて立っている。西方浄土を見つめているのだろか。左後ろに見送るのは俳友の谷木因像である。芭蕉が最初に大垣を訪れたのは、貞享元年(1684)、「野ざらし紀行」の旅の途中、俳友・谷木因を訪ねたのが始まりで、以後3回大垣を訪れている。谷木因と芭蕉とは、京都の北村季吟の相弟子である。当時、大垣の俳諧は、大垣十万石の城主戸田公の文教奨励もあって、谷木因の指導のもと大垣藩士らを中心に盛んであった。芭蕉の4回にわたる大垣への訪れは、大垣俳壇に新風を吹き込んだ。「奥の細道」は、谷木因の屋敷前、舟町湊で結ばれている。谷木因は風雅の面だけの人ではなく、優れた経済人であった。木因は家業を広げ、諸国との交流を盛んにして、ふるさとと大垣繁栄の先達となった。彼の名を冠した餅も、創業250年のお菓子処「つちや」から販売されている。

住吉燈台

 大垣の船町港跡にある住吉燈台は、夜には灯りが点燈し情緒ある雰囲気を醸し出している。俳聖松尾芭蕉は、「奥の細道」の旅を元禄2年3月27日(1689年)に江戸深川を出発し、5ヶ月間にわたり600里(2,400km)を巡遊して、9月6日、ここ大垣でむすびんだ。芭蕉はここから舟で桑名へ下り、伊勢神宮の遷宮参拝へ向かった。毎朝、「四季の路」を散歩すると、四季の移り変わりに自分の人生が重ね合わせられて、今までの人生曼荼羅の世界に思いを馳せる。

人生旅路のご縁

 隣の住吉神社は、河の運行の安全を祈願して建立されている。住吉神社は、大阪・住吉大社が本宮である。住吉神社は、御祓い、航海安全、和歌、農耕の神様として祭られている。また大垣・住吉神社は、「蛤のふたみに」のご縁にかけて、大垣の縁結びの神様としても祭られている。住吉神社のご利益(差別化商品)は良縁である。人生の旅路で、燈台を目指して歩いてきたが、燈台前の住吉橋を渡る前に、どれだけ人知れずお世話になったご縁があることやら。今ここに辿り着けたのは自分だけの力ではない。皆様とのよき縁があって、目標とした場所に辿り着いたに過ぎない。そのご縁を忘れてはならないと肝に銘じている。

 その旅路に四季がある。春の清々しい時もあれば、酷暑の夏もある。晩秋で人生の黄昏を感じる時もある。凍てつく吹雪が舞う冬の時もある。今までの会社人生の過程を象徴するような、燈台の四季の風景が目の前を行き過ぎてゆく。そんな四季の折々の循環を帰郷後6回も見ることになった。自然の営みは、声なき経を唱えている。

 

図1 芭蕉とその旅立ちを見送る木因  

図2 芭蕉の凛とした後姿。人格は後姿に現れる

図3 住吉灯台の横にある住吉神社(大垣市 船町港跡)

  住吉神社の本宮は大阪の住吉大社である。

思いをむすぶ縁結び、はまぐりの縁結びの神様としても祭られている。

図4 水鳥が遊ぶ水門川

図5 当時の灯台(右)、この先が桑名方面

図6~9 住吉燈台の春夏秋冬

 

2017-07-26

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

1img_0603

2p1050182

3dsc01799

4p1050710

5p1030327

6p1060002

7img_2708

8dsc03057

9img_3770

カテゴリー「四季の路」を追加します

時間創出1001の磨墨智 688(金に糸目はつけず)

688.「金はいくらでも出すから治して欲しい症候群」に罹らない

  嘱託で働いている70歳の人が、末期ガンを宣告され、「まさか、何で私が」と絶句した。それで医師に「金に糸目はつけないから治して欲しい」と懇願したが、医師は拒絶した。それで治せるならノーベル賞である。絶望した患者は「それでもお前は医師か。藪医者だ」と罵詈雑言を医師に浴びせて泣き崩れた。何所にでもあるドラマである。70歳といえば人生の酸いも甘いも味わいつくしたはずである。緊急事態に遭遇すると、それが破綻して今までの生き様が露見する。他山の石としたい事例である。

ガンは幸せな病気である

 国民の5割がガンで死ぬ時代である。ガンが発症するまで長生きできるようになった証である。その幸せを忘れて、じたばたするのは、わがままである。ガンは死ぬまでにかなりの時間的余裕を与えてくれる。2011年3月11日、突然、東日本大震災の津波に流されながら、なす術もなく死を迎えた方に比べれば幸せである。死の前にやるべき後片付けの仕事は多い。それをできず亡くなられた方の無念がしのばれる。

 世界一の企業価値に成長させたアップルの創業者ジョブズ氏のすい臓がん、日本の名医が治療を担当した昭和天皇の腺癌、どれをとってもお金でガンが治った例はない。それを知っていても、「金に糸目はつけないから治して欲しい」というのが人間の性である。生あるものは必ず死を迎える。それを意識して70年をどう生きたかが問われる。急に決まったわけではない。生まれたときから、死は必然である。それから逃れた人はいない。

死んでもいいから健康管理

 人の時間価値は(残りの人生価値)÷(残り時間)で表される。残り時間が沢山あるうちに、健康に留意した時間を過ごせば、終末段階で悔いがない。人生の最期で焦っても、手遅れである。そうならないように、日ごろの健康管理と精進が時間節約となる。人生を過ごすのに必要な設備は、体と頭脳と魂の健康管理である。体の健康管理を怠っては、頭脳の明晰化も魂の浄化も始まらない。死んでもいいから健康であるべきだ。死は人間には司れないが、健康管理は自分の手で管理できる。この世は因果応報。原因のない事象はない。その人の生活が、ガンを患うような生活習慣を長年続けて来たに過ぎない。金に糸目をつけない気持ちがあるなら、なぜ、金に糸目をつけず健康管理に投資をしてこなかったのか。病気やガンに100%ならない保証はないが、その確率は減らせたはず。

仏さまが呆れる

 酒は飲む、タバコは吸う、夜遊びはする、飽食はする、運動はしない、ストレスは溜める、医師は罵倒する、これで病気にならないのがおかしい。仏様もそこまでは面度を見られないよと仰せです。自分の生き様の間違いに1日早く気づけば、1日の儲けである。間違いに気づく前に、ガンが発見されたに過ぎない。ガンは身内の正常な細胞が細胞分裂で暴走を始めることで発症する。不規則な生活のツケが細胞に回され、弱い細胞が悲鳴を上げて、細胞分裂の暴走が始まる。身内の細胞をいじめた咎である。全ての原因は自分である。

エピソード  追悼の書

 東日本大震災の被害に遭われた朋友の齋藤明彦社長(盛岡・㈱電創総合サービス)が、東北の皆さんに元気になってもらうため、書の師である馬場恵峰先生(当時84歳)宅を訪問して(2011年4月2日)、哀悼の書の揮毫を依頼された。そのとき、まだ亡くなられた方の精霊が三陸海岸宮古「浄土が浜」の海水に漂っているとして、その「浄土が浜」の海水を持参して、それを使っての書の依頼である。震災後のかたづけの多忙の時期で、家族や社員の方からは白い目で見られての長崎訪問である。当時、齋藤社長の会社も甚大な被害を受け、てんてこ舞いの状態であった。従業員の方に死亡者がいなかったのがせめてもの救いである。恵峰師は海水を使っての磨墨は、そのままではかなり書きにくいとのことで、水で薄めて書かれた。考えるまもなく津波に押し流された方の無念が偲ばれる。明日はわが身と思い、時間の有限性を認識しよう。縁があって私も、その当日に恵峰先生宅を訪問した。馬場恵峰書「奥の細道全集」の写真撮影のためである。

 

図1 追悼書 加古川山荘にて(2011年4月16日 撮影 小田)

図2 馬場恵峰師と齋藤明彦社長(右) 日中文化資料館付属図書館2階   2011年4月2日

2017-07-26

久志能幾研究所  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

2img_5371

1img_3633

インプラント 14(歯の性能)

3.12 QCD  歯の性能(噛む能力)  

インプラントの性能(噛む力)は正常の歯とほとんど同じである。ただし、それがいつまで持つかは、個人差が大きく、今回の調査では把握できなかった。これは歯科医が調査する事項である。正常の歯の噛む力を100とすると、各方法の差を下記に示す。

 正常の歯   100

 インプラント  90

 ブリッジ    60

 入れ歯     10  (某歯科医院のインプラント解説書による)

 上記は某医院提供のインプラント資料内の情報である。しかし、母校の元教師からの情報では、「入れ歯も馴染めば固いものも普通に噛めて問題ない」との体験談であった。「当初はたしかに固いものは噛めなかったが、時間が立てばその不具合はなくなった」とのこと(2012/11/5)。馴染む前に入れ歯を止めてしまうから、上記の数値になるのではないかと、上記の数値に疑問を感じた。

 テニス仲間の友人は入れ歯にしたが、ピーナッツのような固い食物が食べられないと、直ぐにインプラントを入れた。入れ歯が馴染むまでの期間を待てなかったのである。自分は歯科医ではないので、再調査が必要と感じている。

 

3.13 QCD  歯の性能(インプラントの寿命)

 インプラントは10年以上、人間の寿命まで持つとも言われるが、個人差が大きいのが現実のようである。インプラントが10年の寿命があっても、それを支える骨格は、年々変化していく。それの対応が必要である。肝心なのは、きちんと歯科医の定期的な点検が欠かせないこと。往々に6年くらいからインプラント周囲病になり、インプラントを外さねばならない事例が多くなるという。これは、インプラント学会でも、直せないというのが通説である。受診した歯科医からの説明書には、さらりと書いてあるだけで、どれだけ深刻な問題なのかの説明はない。

 

2017-07-26

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。