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2017年8月

2017年8月 5日 (土)

「桜田門外ノ変」の検証 (17/25)冬夜

大垣藩と安政の大獄

「冬夜」の碑

大垣市立図書館前の公園内にあるこの碑文「冬夜」は、勉学に励む当時の大垣藩の藩医江馬家の家庭の雰囲気を伝えている。文面の書もなかなかに名筆である。大垣藩は多くの学者や文人を輩出した「文教のまち・大垣」として全国に知られている。下記の詩は、当時、人生50年の時代にもかかわらず、80歳の父が時代の最先端情報である欧・蘭書を精読している横で、灯火を分け合って、娘(40歳)が中国の古典を読んで勉学に励んでいる様を格調高く漢詩にしている。毎朝の散歩でここを通る時、当時の大垣藩の教育と文化に思いを馳せる。

 

冬夜                             江馬細香

爺は欧蘭書の原書を精読し

児は唐宗の漢詩を読む

一灯の光を分かち合い

物事の根本や時代を遡る

児は飽きて甘物を思う

一心に蘭書に向かう爺の姿に、

爺の精神力に及ばぬ己を恥じる

齢80爺の眼に曇りなし      (訳 著者) 

 

 作者の江馬細香(多保)は、大垣藩主の信任厚い藩医、江場蘭斎の長女として生まれ、この時代には珍しく高度な教育を受け、芸術面で才能を発揮した。蘭斎は細香が18歳になった頃、婿養子を迎えて家を継がせようとした。そのとき細香が「結婚しないで芸術の道に精進したい」とその気持ちを父に伝えると、蘭斎はあっさりとその願いを聞き入れ、妹の柘植子に婿養子を迎えてしまった。分かりのよい親である。現代でも難しいのに封建時代の話である。

 文化10年(1813)10月、頼山陽は大垣藩の江馬蘭斎を訪ねて大いに歓待された。頼山陽は、江戸後期の儒者・詩人で『日本外史』の著者として広く知られている。明治維新の際に、勤王方の若い青年たちに広く読まれ、彼らの士気を鼓舞したといわれる。このとき細香と出会い、お互い好意を寄せる感情を抱いた。彼女は彼を尊敬し、門人になり「細香」という号をもらった。時に彼女は27歳の才色兼備の佳人であった。その後、頼山陽は多保(細香)に、求婚をしたが、江馬蘭斎が結婚には反対し実現しなかった。しかし、彼の才能を認めて娘の入門は許している。結局、頼山陽は別の女性(梨影(りえ)17歳)と結婚した。彼女は父が縁談を断ったことを知り、塞ぎこむ日々を送ったが、気を取り直し、話を戻してもらおうと翌春に上京して頼山陽の元を訪ねたが、彼は結婚した後であった。落胆した彼女ではあったが、その現実を受け入れ、その後、頼山陽が亡くなるまで20年間に7度、従学し、漢詩を師事し続けた。また頼山陽の母に対しても、子のように接した。頼山陽の死後も、彼の妻と姉妹のような交際が続き、ついに一生を独身で終った。頼山陽のような、才能豊かで人格も高く、当代きっての人物に知遇を得ると、他の男性が見劣りするのであろう。

 頼山陽の影響もあってか、細香女史は、早くから勤皇の大義に目覚めて、慷慨国家を憂へた女丈夫でもあったようである。安政の大獄では、頼山陽の妻も牢に入れられ、子息も幕府から追われ、捕縛され斬首されている。

 歴史上の「もし」として、細香女史が望み通り頼山陽の妻になっていたら、安政の大獄で死罪になっていた。井伊直弼大老が統括した安政の大獄での厳しい追求は、彼女の言動を見逃すはずが無い。そうなると女性漢詩人、画家としての江馬細香は存在せず、「冬夜」の漢詩も存在しない。この頼山陽と結婚できなかった不幸なご縁は、彼女の才能を惜しんだ神様のご配慮かもしれない。

 

【江馬 細香】(1787~1861)

 江馬 細香(天明7年4月4日(1787年5月20日)- 文久元年9月4日(1861年10月7日))は、江戸時代の女性漢詩人、画家。美濃大垣藩の医師江馬蘭斎の長女として生まれる。本名は多保。少女の頃から漢詩・南画に才能を示し、絵を玉潾・浦上春琴に、漢詩を頼山陽に師事する。湘夢・箕山と号すが、字の細香で知られ、同郷の梁川紅蘭と併称された。頼山陽の恋人であった。

 江馬 蘭斎】(1747~1838)

 伝馬町で版木彫を職業としていた鶴見壮蔵の長男として生まれる。大垣藩侍医江馬元澄の養子となり、医学の道に進む。大垣藩主氏教の侍医を勤める。養父を師として漢方医として活躍したが、46歳で蘭学を志し、江戸で前野良沢や杉田玄白に学び、大阪・京都よりも早く美濃に西洋医学をもたらした。患者には慈悲深く接し、自らは倹約を第一義として、硯の水さえ井戸水を用いず、雨水を受けて用いた。優れた才知を持って学門に励むとともに、蘭学塾「好蘭堂」を創設し、多くの門人を世に送り出した。

 この時代にあって92歳までの驚異的な長寿を全うした。「冬夜」の書かれた当時、80歳でまだ現役として、西洋医学の研究に励み、若人の指導にあたり、最期まで現役として活躍された。理想とする人生の歩き方である。人生50年といわれた時代、また侍医として誰よりも保障された身分にもかかわらず、46歳から全く新しい蘭学の志ざした。だからこそ、92歳まで活躍されたのだろう。そんな名声を聞いて、頼山陽が江馬 蘭斎のもとを訪ねてきて、細香とのめぐり合いの縁が生じたのである。

 

図1 「冬夜」の碑(公園内) 2011年1月17日撮影

 

 

2017-08-05

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643.死にたい人を止めない

 死にたいと言ってきた人には、臓器提供をしてもらおう。できれば活きのいい状態での生体臓器提供を勧めて、その場でドナーカードにサインをもらう。そういえば(残念ながら)大抵の人は死ぬのを思い止まってくれる。そんな泣き言を言ってくる人に、まともにつきあう時間が無駄だ。冷たく突き放すのが本人の為である。心理学的に言って、泣き言を聞いてもらいたいがために、死にたいといっているだけ。それを深刻に受け止めると、相手も当方のうなずきに落ち込んでしまい、本当に死んでしまう。

 本当に死ぬ人は黙って死んでしまう。だれにも止められない。

 死ぬ死ぬと言う人で、本当に死んだ人を私はまだ見た事がない。ぜひ見ていたいもの。

 「私にその生命を下さい!」と悲痛な叫びを上げている難病に罹った人が、世にごまんといる現実を直視しよう。死にたいと言う時間があれば、1秒でも長く生きる術を考えるべし。ご先祖から頂いた命を全うすべし。

 誤って自死の道に舵を切っても、己の37兆個もの細胞は一秒でも長く生きてくれようと、心臓を動かし、血液を送り、肺を動かし、息が絶えるまで働き続ける。それこそが佛の存在である。佛はあの世ではなく、己の体の中におわします。己の37兆個の細胞の期待を裏切ってはなるまい。

 『時間創出1001の磨墨智』より

 

2017-08-05

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増長天の教え

 静の広目天に対して、増長天は動の佛として造られている。増長天は、四天王の一体で、南方を護る守護神として造像される場合が多い。仏堂ではご本尊に向かって左手前に安置するのが原則である。その姿には様々な表現があり、日本では一般に、革製の甲冑を身に着けた唐代の武将風の姿で表される。

 佛の世界も、この世の中が全て善人であるとは定めていない。襲ってくる邪悪の存在も認め、それからご本尊の佛を守る四天王が考えられた。非武装中立などこの世にはありえない。あの世では存在するかもしれないが、此岸では自分の身は自分で守らねば、生きていけない。「自分の城は自分で守れ(石田退三)」。一番恐ろしい敵は、己の怠慢心、傲慢心である。己を滅ぼすのは己である。

 

 170年ぶりの中門の再興というご縁、高野山開山1200年という節目、佛師の技が最高に上り詰めたときに四天王造佛を依頼されたというご縁、年齢的なご縁(10年早くても、遅くても縁が結ばない)、全ての条件が整って松本明慶先生が造佛できるご縁となった。私もその縁の一端に接するご縁を頂いたことに感謝している。この世は全て縁起で回っていることを確認した四天王にまつわるご縁である。

 2015年10月8日、三度目の撮影でベストの写真ができた。何事も三度くらいの試行は必要である。

 

2017-08-05

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仏像の著作権は松本明慶師にあります。

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インプラント 24(感性)

3.24 何かオカシイと感じる感性  経営とは芸術

 経営者は決断の対象について、少しおかしいと感じたら、対象をよく聞き、ノイズをしっかり観察して、しっかり匂いを観てその怪しさ感じなければならない。それが危機管理でもある。そのチョッとおかしい先に多くの疑惑点(ゴキブリ、シロアリ、危険)が隠れている。家庭でゴキブリが1匹見えたら、家の中には100匹のゴキブリがいるといわれる。料亭の女将は客の靴や身なりや些細な仕草で客の本質を見抜くという。本質はどう隠しても、見るべき人が見れば、おかしいと感じるもの。

 自宅の床の土台が少しおかしいと思って業者に調べてもらったら、大量のシロアリが巣くっていて、風呂場、台所の床、座敷の床、土台が食われていた。そのため各室の床を全面取替えとなったのは、2012年10月のことであった。少し気づくのが遅すぎた。私は家の維持運営の経営者としては失格であった。

 

此岸から見て、彼岸から見て、時代を超えて見て

 高い視点、下からの視点、向こうからの視点、歴史からの視点で物事をみると、ベールに覆われている本質が見えてくる。だからこそ、経営者は成長して、高い見識からチョッとした差やシグナルを感知して判断をすべし。小人(ことな)では、大人(おとな)の見方ができない。

 横山大観は「画家は音を絵にできなければ一人前ではない」と言った。多くの社員・家族を抱える経営者は、芸術家のレベルで経営をすべきである。聞こない現象、見えない音を稟議書に反映しなければいけない。社長は並みの社員ではないのである。

 

インプラントは何かおかしい

 インプラント特集の雑誌や書籍中での医院紹介では、医院の手術室、設備の素晴らしさ、待合室の立派さを前面に出して客寄せをしている。雑誌に掲載されている医院がみな同じパターンである。親から頂いた体に異物を埋入させる手術は、内科外科の病院で行う手術とは、明らかに異質な手術である。

 

「当院の設備は立派で、待合室も患者さまにとって心地よくホテルのロビーのような雰囲気です。是非、当院でのインプラント手術をお勧めします」等の客寄せ広告は、病院として何かおかしい。

 

素朴な疑問

 どうやって、年収582万円で設備投資1億円もの費用を回収するのか?

 どうやって、年収582万円で教育投資6,000万円を回収するのか?

 どんな家庭が、年間学費1,000万円を6年間連続で出費できるのか?

 なぜ、頭の悪い歯科医の言いなりになるのか?(失礼)

 そんな歯科医師に命を預けていいのか?

有名歯科大学の学納金

 有名歯科大学の平均学納金(6年間)は3,000万円である。東京での下宿生活には月20万円は必要。歯学部で子息を卒業させた知人の情報では、私立歯科大学では学納金以外に2,000万円は別途必要という。合計すると、私立歯学大学を卒業するには6年間で6千万円近いお金が必要。

    1位  東京歯科大学   31,900万円

   10位 北海道医療大学  28,600万円

   17位 松本歯科大学   18,680万円

   (医歯専門予備校メルリックス学院の情報)

 

インプラントの設備投資

 インプラントの開業設備には億の金がかかる。誰が負担するのか?

 インプラント用専用手術室  数千万円

 3D撮影CT装置      数千万円

 口腔外吸引装置       数百万円

 生命兆候モニター      数百万円

 マイクロスコープ      数百万円、数千万円?

 豪華な待合室        数百万円

 インプラント研修      数百万円

 

歯科医の収入

 歯科医の平均年収は582万円である(週刊ダイヤモンド2012/2/11号)

 開業医の歯科医に退職金はない。

 

歯科医の学力

 大学受験での歯学部の偏差値は、医学部のそれよりはるかに低い。医師会と歯科医の会合は別で、医師と歯科医は別世界である。国家試験合格率が3割の歯科大学での卒業生は、どうやって元を取るのだろう?

 私立大学医学部の偏差値は73~62 (医歯専門予備校メルリックス学院の情報)

 私立大学歯学部の偏差値は53~40 (医師会と歯科医会とは別の組織)

  1位 東京歯科大学  偏差値 53

  4位 日本大学      偏差値 49.5

  10位 福岡歯科大学 偏差値 46

  15位 鶴見大学   偏差値 45

  17位 奥羽大学    偏差値 40

 

国家試験合格率

 1位 東京歯科大学   97.4%

 5位 愛知学院大学      77.8%

 10位 朝日大学     65.3%

 15位 奥羽大学      56.9%

 17位 松本歯科大学   32.8%

 

図1 台所の床下 ぼろぼろになった外部を取り払った状態

   アリに食われて約1/5にまで細くなった台所のネタ

図2 大人(おとな)と小人(ことな)の差

 

2017-08-05

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2017年8月 4日 (金)

340a. お世話になったら倍返し

 自分では何もできない。自分でそれをやろうとすると、その何倍もの時間とお金がかかる。それを助けてくれた、お世話になった、そのお礼を惜しんでは、バチがあたる。犬でも飼い主の恩は忘れない。それを感じないのは犬畜生にも劣る。ご恩に報いるとは、相手がかけた時間に敬意を表すること。自分の商売上の顧客の心を掴む練習をすること。中途半端にお礼をするから、お礼の成果が出ない。相手が感激すれば、そのお返しが10年後に4倍になって仏様が返してくれる。10年後でなければ、息子の代に返ってくる。ご縁を下さる人は、皆福の神。感謝の念を込めて合掌して、その人の平安をお祈りしよう。人生で一番多く恩を受けた方は、両親。せめて仏前に手を合わそう。

 

貧乏神の選別

 忘恩の人とは、己のために投入してくれた時間に、考えが及ばない思慮の浅い人だ。それに気が回らないようでは、仕事上でお客様の心を掴めるはずがない。そんな人は商売上で貧乏神である。そんな目で回りをみれば、貧乏神が見つかる。そんな貧乏神とは縁切りをしよう。授けた恩は忘れよう。それは投資である。投資とは1000人に出して、3人が返してくれればオンの字である。それで付き合いう人の本性が分かれば安いもの。その分、人を見る眼が養われた。自分の眼を養うにも、お金がかかるのです。はした金で、貧乏神が見つかり、縁切りが出来きれば、今後の人生の無駄な投資コストが削減できる。私はそうやって、多くの忘恩の輩を切ってきた。それで今の私がある。よき人に囲まれてこそ、人生の花が咲く。人はいつも仏さまから試されている。人からお世話を受けたら、それは貴方への縁切り評価試験かもしれない。

 

仇の討ちかた

 受けた仇は忘れよう。その悪縁から離れよう。仇を取るのにもお金と時間がかかる。時間の無駄の最たるもの。仇を取ってあだ花は咲かせても、実は取れない。その時間を己の成長のために時間を投入して、相手を見返そう。仇討ちは神様にお任せしよう。天網恢恢疎にして漏らさず。それが神様のお仕事だ。神様のお仕事に越権行為はいけません。

 『時間創出1001の磨墨智』より

 

2017-08-04

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書天王の教え

 高野山中門に立つ四天王像は、邪悪が聖地へ侵入するのを防ぐ守り佛である。その門をくぐると、上から睨む四天王の目に己の邪心を見透かされそうである。霊界入山前に、身体検査として睨んでもらうのも一修行である。自分の魂という聖地に入り込もうとする邪鬼を、四天王の目で精査しよう。

 四方向の一角を守る広目天は筆と巻物を持ち、入門するものを睨む。私は広目天を「書天王」と勝手に呼んでいる。人は書くことで、刀以上の武器を手に入れる。書かなければ身に付かない、覚えられない、人に伝えられない。筆で一文字一文字を写経として書いていくことで、般若心経が皮膚を通して体に沁み込んでいくのを感じる。腕力なき人でも、文書は自分を守り攻める武器となる。広い目で古今東西の世界を見て、人心物事の本質を見極める。その力が生きていく能力となる。

 動の姿で槍を持ち南方を護る増長天の守護神に対して、広目天は巻物(書類)で西方を護る守護神として造像されることが多い。仏堂内では、ご本尊に向かって左後方に安置するのが原則である。その姿には様々な表現があるが、日本では一般に革製の甲冑を身に着けた唐代の武将風の姿で表される。筆と巻物を持った姿で作られる。

 

図1 松本明慶先生作  広目天  高野山  2015年10月8日撮影

 

2017-08-04

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仏像の著作権は松本明慶師にあります。

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90. You make it happen.

 米映画『WORKING GIRL』でメラニーグリフィスが演じた、下積みから這い上がろうと必死の模索をするキャリアウーマンのテスに、やり手の上司キャサリン(Sigourney Weaver)が下記の助言をする。「自分が時間を作るんだ」という意識づけに、私が大事にしている言葉です。個人主義社会、成果主義社会、アングロサクソン系社会(アリメカ)では自分で行動を起こさないと、誰も助けてくれない。待っていている間に時間は無為に過ぎていく。

 You don't get anywhere in this world by waiting for what you want to come to you. You make it happen. Only then... do we get what we deserve.

KATHARINE (acted by Sigourney Weaver) from Working Girl"

 女優のSigourney Weaverは、NBCの重役の娘さんである。彼女は映画『エイリアン』シリーズの主人公で有名である。私は彼女の『エイリアンⅡ』の戦う母親像に魅了された。

『時間創出1001の磨墨智』より

 

2017-08-04

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インプラント 23(論理的解釈)

3.23 論理的解釈

 日本の歯科大学で、インプラントの講座があるのは4校のみである(2007年現在)。そのせいか、インプラントの講習は米国の大学に行って受講する場合が多いようだ。私の担当医も米国で研修を受けて、そのことを誇らしげにガイドブックに記載している。その理由は、米国での需要の関係と日本で正式に認知されていない事情による。そのせいで、日本では大学関係からではなく、開業医の世界からインプラントが始まった。医療関係でこういう例は珍しいようだ。

米国事情

 米国では、肥満と悪い歯並びが出世に大きく影響するため、特に審美観の関係でインプラント技術が発達した。10年後の健康の問題より、今の金儲けのために、美観が重要である価値観が横行している。これはグローバル競争の影響である。グローバル競争での価値基準はマネーであり、日本のそれとは異質である。それが日本の大学は、インプラント講座校が4校のみであることで、マネー偏重の思想には汚染されていないといえる。

 インプラント絶賛の洗脳本では、日本の大学にインプラント講座があるのは4校のみであると嘆いている。見る価値観によって、その数値の意味づけが大きく異なる。インプラント教に染まった著者だからこそ、嘆くのだろう。こんな本の意見に騙されてはいけない。自分の頭で何が正しいかを見極めないと、自分の体の経営はできない。これは人生観の問題でもある。

下記の事実をどう解釈するか?

 日本の歯科医のインプラント実施は3%のみ。

 日本の大学に、インプラント講座があるのは4校のみ。

 インプラントは健康保険が適用外(国は医療とは認めていない)。

 米国は、悪い歯並びでは出世に響くのでインプラントが流行

 

価値観の差

ニーチェの言葉There is no facts, only interpretention.

「世の中に真実などはない,あるのは解釈の違いのみ」

 その人の価値観による見方で、正逆反対の結論に至る。価値観とは、その人の人生観である。インプラント自体は1960年代に開発されたが、現在の本格的なインプラント技術が完成して日本にも本格的に導入されたのは、2000年代に入ってからである。これはまだ10年余しか経っていない新技術である。インプラントを装着して、体への影響は死ぬまで数十年にも及ぶ。つまり、長期間にわたる体への影響のデータがなく、安全性の検証が終わっていない。現在は、治療側・機器製造メーカ側が数多くのデータを欲しいがために患者はモルモット扱いをされているようだ。それ故、インプラント専門医はインプラントを過度に推奨していると推定される。私は、この状況であえて危険な手術を受けるに値するか、リスク管理上で慎重な対応が必要と判断した。

 

図1 6M2Qは後藤悦夫先生が唱えた説である。

 全ての事象は6M2Qで構成されている。6M2Qとは、human,time,room,material,money,method,quality,quantiyである。その二つの事象がぶつかり合って事件が起きる。それをどう解釈するかは、個人の人生観や国の価値観による。ハーレムでスリの被害に会えば、盗られた方がバカで、取った方は「よくやった」をハーレムの住民から褒められる。

 図2 ミシガン大学セミナーOBのテクニカルライティングの勉強会

    後藤先生が講師   東京外国語センター名古屋(丸善ビル)にて

    2004年12月11日

 

2017-08-04

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御礼 5000回の閲覧回数

皆様のお陰で2017年8月3日のブログ開設70日目に、閲覧回数が5,000回を超えました。一日当たりの平均閲覧回数は、72回です。ありがとうございました。これからも、価値ある情報を提供していきます。

小田泰仙

2017年8月 3日 (木)

590.カウントダウン

自分の近くで時限爆弾のチクタクが響く

 人生・仕事の危機管理とは、爆発(信用金庫崩壊)までのカウントダウンの秒読みが聞こえるかどうかだ。危機意識に対する感性の低い人には、この秒読みが聞こえない。仕事を始めれば、自動的に危機状態へのカウントダウンが始まる。また決断を引き延ばしていると、いつの間にか最終カウントダウンの状態に陥る。人生では、いかに早くそのカンウトダウンに気づいて、いつリセットボタンを押すかが問われている。

 そして危機に気づかず、リセットボタンを押せなかった人が、年間32,863人(1998年)も自らの命を絶っている。前年度は24,391人だったのに。今はそんな厳しい時代である。2015年でも24,025人が人生のリセットボタンを押している。

 ◆◆◆カウントダウン3

 上司はやさしい人だ。部下の育成を願い、色々と注意や叱責をしてくれる。そして3回目迄は許してくれる。でも仏の顔も3度まで。1回目の「督促」は要注意なのだ。「残りはあと2回ですよ」と。2回目になるとイライラした怒りなのである。「あと一回で爆発ですよ」と。3回目は爆発して、もう「この件に関してはダメ!」との烙印を押すのだ。仏が鬼に変貌する。そう、もう4回目は無いのだ。仕事が他の人に回るのである。リストラの危機である。上司は何回言っても判らない人、言っても仕方のない人には何も言わない。そうしないと、組織全体が危機に陥りるのだ。

 ◆◆カウントダウン2

 自動車メーカーはもっと厳しい。1回目の品質問題か納入問題を起こして、キチントした再発防止を打たず、2回目の問題を再発させると、自動的に納入停止で、最悪の場合は取引停止である。そうなれば倒産である。なにせ、自動車部品の生産ラインは他には転用がきかない。トヨタへの納品が出来ないから、他のメーカーに納めるなどは出来ないのだ。でもそういう厳しさが有るからこそ、トヨタグループ全体としては、なんとか勝ち組みに入っている。

 その納品も必ず、二社発注体制で、片方の会社が問題を起こせば、自動的にもう一社の方に注文が行く。エアバック問題を起こしたタカタの社長は、このカウントダウンの音を聞く能力がなかった。そしてタカタは2017年6月に経営破綻をして、連結従業員50,530人(単独962人)を路頭に迷わせた。

◆カウントダウン1

 怒鳴るお客様は親切である。きちんと間違いを指摘してくれるから。その店が好きで、なんとか改善してほしいと思っているのからである。文句を言うのが当たり前と思われる米国でも(マーケッテッング調査による)、クレームを言う客はたったの5%である。

 でも真のお客様はもっと厳しい。お客様はお店に来て、一回の不愉快さを感じると、もう来てくれない。95%の客は黙って、何も言わず去って行く。それが一番冷酷である。そういった危機感を持って仕事を遂行しないと、仕事が無くなる。店が潰れる。会社が社会的制裁を受ける。

 ・カウントダウン0/今ここ

 しかし運命の女神はもっともっと冷たく厳しい。あの時、あの状況、あの人達との巡り合わせは2度と来ない。今その時に全力を投入しないと、やり残しで悔いが残る。失った時間,チャンスは二度と帰って来ない。しかし積極的に運命と対面する人には女神は優しいのだ。行動するから新しい局面が展開する。

 決断しない、行動をしない、優柔不断に引き延ばす、こんな行動では、全て悪魔にカウントダウンのスイッチを押させる行為なのである。決断しない、それは決断しなければない項目が目前にあるはず。判っていても、できない。行動しない、頭では行動しなければ思いながらも、動かない、動けない。それこそ悪魔にカウントダウンの時計を弄ばせること。すべて自己の選択の結果である。決断しないという選択をしている。決断をしない人には運命は冷酷なのだ。その件に決断しなくて、結果に対して泣き言を言う人は、子供なのである。自分の決断に責任が取れないのですから。決断をしなかったという、選択をしている。

 しかし、本物の時限爆弾と違い、人生での危機は、その状況に気づきそれをリカバーする気になれば、遅い速いは別にして、リカバーの手段は無限にある。それが唯一の救いである。それさえ気づかない人が絶望して命を絶つのだ。

 一期一会とは危機管理の言葉です。人生に、もう一度の機会などはないとの危機感が必要である。悪魔は黙ってカウントダウンのスタートボタンを押す。心耳を澄ませば、あなたの頭上でカンウトダウンが聞こえるはず。それは何のカウントダウン?

 懐かしい思い出

 以前の上司で、トヨタから出向されたO部長には、この件で厳しく指導された。「3回督促して、上司の要求に応えられない時は、もうその件ではダメ!」との烙印を押される、とはその時の指導であった。「これで3回目ですよ。小田さんって、そんな情けない人だったんですか」と言われたことが多々あった。それはなんと辛く情けないことであったことか。言い方は優しいが、心にグサッと突き刺さるような厳しさがあった。でもこの厳しさはトヨタでは当たり前で、私にはかなり甘い指導であったようだ。O部長が受けた指導はそんな生半可なものではない。そういう人財がトヨタを支えている。だからトヨタは生き残っている。

 「リーダーとは厳しく、嫌われてなんぼの世界、それが組織を生き残らせる条件」と割り切れば、人を厳しく教育するのに抵抗はない。なまじっか人に好かれようとするから、人を指導できなくなる。組織とてやるべきことが出来なくなる。自分が甘くては,人を指導できない。組織の業務改革はできない。

 入社以来、数多くの上司が私の前を通り過ぎていった。優しい上司や冷酷な上司は記憶に薄いのだが、厳しく指導をしてくれた上司ほど記憶に残り、厳しさを教えて頂いた熱意にありがたさを感じる。人は、何も言われなくなったら、おしまいなのだ。その状態に早く気づくのが危機管理である。(2003年7月3日初稿)

 『時間創出1001の磨墨智』より

 

2017-08-03

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