仕事の報酬は何か?
「どんな報酬を欲しいですか?」
これは、「修身」の講義で、私が新人にする大事な質問の一つである。
仕事の報酬
仕事の報酬はお金でも、役職でも、地位でもない。仕事の報酬は仕事である。良い仕事をすれば、その能力に見合ったもっと高度な仕事が与えられる。その反対は、窓際族として「仕事なし」である。仕事がないほど、会社勤めで辛いことはない。
私も一時閑職に追いやられ、周りが忙しそうに走り回っている姿を見せつけられ、鬱になりかけた。それほど仕事がないとは、危険な状態である。
部下を辞めさせたかったら、仕事を与えないことだ。忙しいくらいに仕事を与えると、人は決して辞めない。
問題は、会社では、忙しすぎるか、全く仕事がないの状態しかなく、程よい忙しさが存在しないこと。世の矛盾である。営利団体でないお役所は、閑でもやっていける天国である。
失業問題
失業問題での一番の問題は、人間の尊厳にかかわることだ。だから、就職せず、引きこもりが原因で、2019年5月28日、川崎市で登校中の児童や保護者20人を殺傷し、自ら命を絶った岩崎隆一容疑者(51)事件が起きる。また元農林水産省事務次官の熊沢英昭の息子が引きこもりで、親に暴力を振って、事件の発生を恐れた熊沢氏が、息子を刺殺する事件が起きるのだ。殺された息子(44)は、就職もせず、家にこもりがちでゲームをしていた。口癖のように「俺の人生は何なんだ」「ぶっ殺すぞ」と大声を上げていたという。仕事に就かないと、社会から断絶されたと思い込み、絶望感に襲われ、自暴自棄になるのだ。
ローマ時代のカエサルは、この問題を良く理解しており、兵役で失業問題を解決して、ローマを繁栄に導いた。
仕事とは
仕事が出来るようになるには、たくさんの経験をする。たくさんの失敗をする。多くの人に出会う。そうするとご縁が集り、多くの仕事ができる。
The more input , the more output (後藤悦夫師)
栄えるには先ず根を育てる。根が育てばおのずと幹は育つ。
あなたが社長で、右腕を選ぶなら、「数多くの経験をした人」と「経験の少ない人」とどちらを選ぶ? 答えは自ずと明らかである。報酬は後から追いかけてくるのだ。
仕事が自分を成長させてくれる。土で出来た人間の体は、何時かは土に還る。生きている間に、その器に何を入れて、加熱して、昇華するかが問われる。
死後に残るのは、仕事の実績だけである。お金ではない。お金はあの世に持って行けない。新入社員の貴方は、38年後、何を残して会社を去るのか。貴方は、60年後、何をこの世に遺して、あの世に逝くのか。
ゴーン被告のように、金に執着すれば、汚名だけが残る。
成長モデル
2019-06-06 久志能幾研究所通信 小田泰仙
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