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2019年5月30日 (木)

修身とは何か

 2019年5月28日の川崎市多摩区の凄惨な無差別刺殺事件、2008年の秋葉原通り魔事件、凄惨な少年の殺人事件等、孫の親殺し、親の子殺し、役人のモラル破綻、企業人の拝金主義の氾濫を見ると、日本人の精神がおかしくなっているようだ。

 2019年5月26日の仙台国際音楽コンクールでのアリーナ席の封鎖事件も、日本人の道徳心の衰退の証しである。

 

経緯

 2000年、私が技術管理部門に異動になり、技術管理と新人技術者教育を担当した。私は当時の社会の風潮に危機感を抱き、新人技術者教育システムを立ち上げた時、「修身」の講義も追加して始めた。当時は周りから変な目で見られていたようだ。しかし受講者には好評であった。その講座を黙ってやらせてくれた当時の上司は偉いと思う。

 

修身の歴史

 昔の修身は、イギリス等の宗教教育から派生した国家統治のための教育であった。海外でも産業革命以降に個人主義や自由主義、物質主義の考えが増える中で、いかに不良少年少女を減らすかが課題となった。

 明治期に、モラルサイヤンス (moral science) を「修身論」と翻訳したのは福澤諭吉・小幡篤次郎などの慶應義塾関係者である。(修身論の原著は、en:Francis Wayland, The Elements of Moral Science, (1835,1856 ed.)

 

米国の恐怖心

 修身の教育は、米国占領軍が日本の軍国主義化の復活を恐れてその教育を禁止した。強靱で勤勉で天皇のために命を捧げる日本人の精神を恐れ、日本の復興を恐れた米国が、日本人の精神を骨抜きにするため占領政策の一環として禁止した。

 占領軍は、全国の小学校の校庭から修身の象徴であった二宮金次郎像を撤去した。それだけ米国は、日本の復活を恐れていたのだ。特に特攻、玉砕で、殺しても殺しても向かってくる日本兵に戦慄したのだ。それで精神がおかしくなり、後方に送られる米軍兵士が続発した。だから二宮金次郎までもが排除対象とされた。

 しかし、二宮金次郎は、業務改革のリーダーで、服部家を再建した業務改革の経営者であった。彼は小田原藩の財政建て直しで手腕を発揮した。だから二宮金次郎像の撤去はとんだお門違いであった。勤勉と合理的経営の何が悪いのか。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の様である。

Photo   二宮金次郎像

 

現代の修身

 今、日本では修身という基礎教育を見直すべきではないか。拝金主義、グローバル経済主義に侵された日本は、精神を建て直さないと、日本の復活はない。

 昔の修身は、第二次世界大戦前には「修身」が筆頭教科に位置付けられ、戦後、GHQは国史・地理と並んで、修身を軍国主義教育とみなし、授業を禁止した。1958年、道徳教育として、逆コースの流れの中で、理性ある社会人を育てる「道徳」として復活している。

 しかし、それが何故かかったるいのだ。教える教師の熱意が足りないのだ。だから日本人の精神の劣化が止らない。その理由は、現代の社会から遊離した教育方法であるからだ。子供よりも、堕落した親の教育が必要なのだ。私は、せめて会社で新人からと思い、講座を始めた。私はそのための試行として、新人技術者教育で「修身」を開始した。それを吸収合併されるまで4年間続けた。その後は、拝金主義の上司により、講義は禁止された。 

 

修身(平成20年の解釈)

  1. 自分の行いを正し、身をおさめととのえること。
  2. 旧制の小・中学校の教科目の一。天皇への忠節新の涵養を軸に、孝行・従順・勤勉などの徳目を教育。1880年(明治13)以降重視され、第二次大戦後廃止。

○修身斉家治国平天下

[大学]天下を治めるには、まず自分の身を修め、次に家庭を平和にし、次に国を治め、次に天下を治める順序に従わなければならぬの意。

 「広辞苑」 第6版 2008年(平成20年)1月11日

 

修身(昭和30年の解釈)

①自分の行いに就いて、悪を改め善に進むように身をおさめととのえること。

②旧制の小・中学校の教科目の一。国民道徳の実践、徳性の涵養を自覚させることを目的としたもの。昭和20年連合国軍総司令部の指令よってその教授は停止された。

○修身斉家治国平天下

[大学]天下を治めるには、まず自分の身を修め、次に家庭を平和にし、次に国を治め、次に天下を治める順序に従わなければならぬの意。

「広辞苑」  第1版 昭和30年(1955年)

終戦後10年の広辞苑の表現は現代の広辞苑と表現のユニアンスが微妙に違う。

 

各国のモラル教育比較

         日本           英国      フランス     米国

理想  良き日本人  ジェントルマン シトワイアン アメリカンドリーム体現者

目的  子孫繁栄・皇運扶翼  天国での永遠の命  自由、平等、友愛 幸福追求

 

2019-05-30   久志能幾研究所通信 小田泰仙

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