« 2023年5月 | メイン | 2023年7月 »

2023年6月

2023年6月13日 (火)

初体験 ロイヤル・スィーツルーム

 

 2011年9月11日、東北地方に出かけたときの経験談である。当時、まだ東日本大震災から半年しか経っておらず、人はあまり観光に行かないだろうと思い宿泊ホテルも現地でなんとかなるはずと思いこみ、安易な気持ちで出かけた。しかしその時が、月曜日が敬老の日で3連休の最初に当たり、また現地でお祭りもあったため、どのホテルも満室で宿が確保できなかった。駅の宿案内で当夜の宿を探してもらったが、全く宿が無い。

 途方に暮れていたが、宿案内の方が、粘り強く探してくれて、某ホテルのスィートルームなら空いていて、定価の半額でよければ、提供するという。それは通常のビジネスホテルの約10倍の値段である。まあ野宿よりましかと、かなり迷ったがそのホテルでの宿泊を決めた。ホテル側も、空き部屋で置くより少しでも売り上げがある方が良いのだろう。

 

何でも一桁変えて挑戦

 結果として極楽の気分で宿泊出来た。その一夜、よい仕事も出来て、よい経験ができた。トヨタ生産システムを作った大野耐一氏も、何でも一桁変えて挑戦しろという。それを思うと良き経験であった。

 

ロイヤル・スィーツルーム

 このロイヤル・スィーツルームは、皇族やVIPや新婚さんよりも、ビジネスでの会議でも多く使われているようだ。普通のスィーツルームは普通の部屋の2倍の大きさ、ロイヤル・スィーツルームは普通の部屋の4倍の大きさである。そして仕事用の机がある。それが一番の価値があるとおもう。豪華なソファーセットや大型テレビもあったが、私は全く使わなかった。酒も当然、飲まない。当日の夜、快適に仕事をしただけである。

 

 これ以降、スィーツルームの利用に躊躇がなくなった。後年、この経験から馬場恵峰先生ご夫妻をお泊めする時、スィーツルームを躊躇なく利用できた。普通のホテルのスィーツルームはおおよそ普通の部屋の5倍程度の値段である。それで先生への感謝の気持ちが表せる。

 

地方都市のスィーツルーム

 地方のシティホテルのスィーツルームは精々一泊5万円から20万円程である。その気になれば泊まれない部屋ではない。ごくたまのイベントで感謝の意味の接待なら、使う価値がある。

 スィーツルームと言っても、華美で豪華な装飾に部屋ではなく、ビジネスライクに合理的で、広く使い勝手がよい部屋であるだけである。会社の会議用にも使われているようだ。やはり、そういう事情は現地現物で見てみないと分からないものだ。

 

 その後、地元のホテルのスィーツルームで、1年に1度、人生の棚卸しをするために使うことになった。それは12年前の投資から得られた経験資産である。スィーツルームを使うと言うのも智慧という資産なのだ。スィーツルームを使ってそれに見合った付加価値を生めばよいだけだ。

 

01img_6196s

02img_6199s

03img_6143s

04img_6157s

05img_6148s

06img_6150s

07img_6173s

08img_6190s

09img_6206s

10img_6186s

 ペントハウスからの展望


 

2023-06-13  久志能幾研究所通信 2702号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

2023年6月11日 (日)

CT検査で毒を盛られ、イエローオーシャンで沈没

 

朝起きて、生きているとは何と素晴らしいことか。

 壁にぶち当ったら小休止。

自分が変わろうとせんかぎり何も変わらない。

 どんな車よりも、構造が複雑で運転が難しい車とは、「自分という名の車」である。一生の運転手は自分。

  2007年7月8日 馬場恵峰師談

 

 言い換えると、「朝、今まで通りに、何の不調も感じずに、目が覚めるとは何と素晴らしいことか」である。人は何時までも健康に、朝に起床できるわけではない。人は生老病死である。

.

黄→赤の大海

 2023年6月8日、愛知県がんセンターの定期検診でCT検査を受けた。その際、注入された造影剤の影響で、2日間、朝にまともに起きれず、寝込んでしまった。

 要は、CT検査の造影剤が、免疫酵素への毒となり、体が不調に陥ってしまった。まるでイエローオーシャンの嵐に巻き込まれた思いである。今まではブルーオーシャンでの快適な目覚めの日々であったが、それが嵐の海になって起きれなかった。つくづくと当たり前に起きられた日々が素晴らしいと感じた。人は失ってみないとその有難さが分からない愚か者である。だからレッドオーシャンに突入する前に、対策を打たなばならぬ。それを放置するから沈没する。

 

 病気(トラブル)と言う壁にぶち当ったら小休止すればよい。小休止して考えればよい。自分が変わろうとしないかぎり病気は治らないし、何も変わらない。その原因を何故なぜを5回繰り返し、原因と真因を見付けないと、問題は解決しない。対処療法でごまかすから、また再発する。

 

 どんな車よりも、構造が複雑で運転が難し車とは、「自分という名の車」である。一生の運転手は自分。その保守と運転の基本を怠ると、病気という事故にあう。

 

 私も自分と言う車の保守と運転を誤り、がんになった。ガンになったことに付け込まれ、ガンセンタの標準治療のCT検査を定期的に受けさせられるはめになった。病院も高額な(約1億円)の設備投資の減価償却のため、必要以上にCT検査をするようだ。検査をするとは体に負荷をかけることで、却って病気になってしまいそうだ。現実にCT検査の放射線で、年に2回も受けると、年間許容量以上の放射線を受ける。それで全体の5%の人ががんになると言われる。

 世界的な医学誌としてしられる『ランセット』に掲載されたオックスフォード大学の研究論文では、日本や米国、英国など15カ国を対象に調査したところ、日本でがんを発症した人のうち、4.4%は放射線検査での被爆によって誘発されたものと結論付けています。(『PRESIDENT 2020.1.3』 P21)

 

良品製造(おだ仏教生産方式)

 トヨタ生産システムでは、検査工程は付加価値を生まない工程なので、検査をしなくてもよい生産工程を組んでいる。よい材料で、よい生産機械で、正しい工程で、自動車部品を製造する。

 その思想を自分の体に当てはめれば検査を受けなくてもよい。病気とも縁が無くなる。自分の体は食品という材料から作られる。だから不良品の原因となる食品を避ければよい。不良品の生産の原因となる生活習慣を無くせばよい。自分という製品は、肉体と精神からなる。だから精神は、それを痛めるストレスを避ければよい。病気(製造不良)を避ける方法は、それだけである。

 

P10409731s

2023-06-11  久志能幾研究所通信 2701号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

2023年6月 8日 (木)

『命の食事』高騰、 市場が神の如くの評価

 

 知人がガンになったという話を聞いて、お見舞いとしてガン関係の情報の本として南雲吉則著『命の食事』(税込み1430円)を贈ろうとネットで注文を出したら、版元が売り切れで発注できなかった。

 それで慌ててA社のネット市場で中古本を探したら、新品で4,147円の品が16点も売られていた。コレクター商品として、新品の12,000円が一点、一般的な新古品2,570円の品が16点である。他の中古品は1,033~3,732円で売られていた。やはり内容が、良質で本物のガン対策本なので、それなりの価格が付いているようだ。市場の評価は正しいようだ。

 

Amazon1

 A社のネット市場

.

 松下幸之助翁は戦後、財閥追放で社長の座を追われた時、「市場は神の如くの評価をする」と言って達観していた。そして後年、松下幸之助は社長に復帰して、松下電器を世界の松下にした。

 

 私は送料込みで、新古品を1540円で入手して、知人に贈った。

 私は主婦の友社が『命の食事』を増刷してくれることを願っている。

 

予防

 がんの対策は、予防することが大事で、ガンになってから金をかけても無駄である。がんは生活習慣病であるので、がんにならない生活を送れば予防できる。がんになっても、きちんと治療し、狂った食事、狂った生活習慣をやめれば、再発しない。その内容が、南雲吉則著『命の食事』(主婦の友社刊)に書かれている。

 

 

1

 

2023-06-08  久志能幾研究所通信 2700号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

2023年6月 7日 (水)

丁寧な仕事、丁寧な人生

 

 字は丁寧に書けばうまくなる。一点一画を注意して書けばうまく早くなる。字は早く書くと下手になる。速記者は字をうまく書けない。

  2006年5月28日 馬場恵峰師

 

仕事

 仕事は丁寧にこなせば、仕事の能力が上がる。一仕事、一作業を注意してこなせばスキルも上がりスピードも上がる。仕事をスピードだけを重視してこなすと雑になる。

 10年前、自宅のリフォーム工事を宮大工さんにしてもらった。仕事の速度はそんなに速くないが、仕事は丁寧であった。10年経った今でも、ガタも何もない。

 しかしそれ以前に若い大工にやってもらった工事は、仕事の仕上がりは早かったが、出来栄えは雑であった。二度と仕事を頼みたいとは思わない。

 

人間関係

 人との付き合いでも、誠実に丁寧に付き合った人とは長く付き合っている。雑な付き合いしかしてくれなかった人には、裏切られ、短期間に交際が終わった。

講師という仕事

 20年前、私は新入社員教育で、新人研修講座の統括責任者として、各講座の専門担当者に講師をお願いして研修を進めていた。私は統括責任者として各講座を必ず視察をした。講座の時間に、その教室に出向き、後で講義ぶりを観察した。全部で約30講座の講師の講義ぶりを全て観察した。それを7年間続けた。

 本来なら、その講座を専任の講師に任せれば、それで私の仕事は終わりである。しかし私はこだわって、講師の仕事ぶりを観察した。そこで判明した事実は、「仕事がいいかげんな講師は、講義もやっつけ仕事である。人は、日頃の生き方・仕事ぶりが、人を教える仕事に現れる。」である。

 

 当年、いい加減な講義をした講師には、次年度の講師依頼はしなかった。要はクビである。「新人技術者教育講座」の運営は私の仕事の作品である。その講座の完成度向上が私の使命であったからだ。

 

 私には人を観る修行となった。その結論として、一事が万事で、一緒に仕事をしたくない人の判別材料となった。

 そんな講師を反面教師として、自分の講義は真剣に対応した。それで今の自分がある。

 人生の最大の仕事とは、自分の人生を作る仕事である。自分という建物の完成には、自分の成長が必要だ。死の床で後悔しないため、丁寧に自分を作ろう。

 

Img_0572s1

 私の講義風景

Img_0552s

 他の講師の講義風景

 全講義を観察するため、後ろからそっと視察した。 

 

 

2023-06-07  久志能幾研究所通信 2698号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

 

仮死パンは食べない、ノーパン生活

 

 私は「菓子パンは腸内細菌を仮死状態にする」と確信しているので、菓子パンを食べない。また私は小麦粉のグルテンに対して、抵抗力がないのが分かったので、パンを食べない。ノーパン生活である。

 腸内細菌は体を守る自衛隊である。医学の父であるヒポクラテスは「全ての病気は腸から始まる」と述べた。菓子パンは、その腸内細菌に悪い影響を与える。いわば味方の自衛隊の腸内細菌を後ろから撃って、仮死状態にさせるようなものだ。

 

乳化剤

 乳化剤は食品添加物で知られており、ほとんどの食品や飲料に使用されている。乳化剤は腸内細菌のバランスを崩し、大腸癌などを引き起こす可能性が指摘されている。

 食品添加物が使用され始めた時期と、病気の増加が比例しているのは偶然なのだろうか? この乳化剤は、腸内細菌のバランスを崩し、大腸癌の誘発を促進することが新しい研究で判明した。つまり乳化剤を摂取することは腸内細菌の環境が変化し、癌を誘発しやすい腸内環境になる。別の研究では、乳化剤を含む食品を摂取すると、大腸癌の別の危険因子である腸管を覆う上皮細胞をより多くの細菌が通過することが示されている。

 乳化剤が市場に出回りだした1950年代以降、IBD(炎症性腸疾患)、大腸癌、メタボリックシンドロームに関連する疾患の発生率は劇的に増加している。乳化剤が含まれている食品を毎日食べていると、慢性的な炎症につながる。

 別の研究では、腸内細菌が便秘に影響を与えて、便秘のない人に比べて、認知症になる確率が2.7倍も増えるという。菓子パンには植物繊維がほとんど入っていないので、便秘症にはよくないだろ。

 

免疫力

 自衛隊と言う腸内細菌を活性化すると、新型コロナウイルスにも抵抗力がつくようだ。新型コロナウイルスが入ってきても、腸内細菌が強ければ、ウイルスを撃退できる。それを弱めるのが、仮死パンである。

 

菓子パンの添加物

 菓子パンには、ショートニング、マーガリン、油脂、乳化剤、添加物、砂糖、小麦粉のグルテン、防腐剤が大量に入っている。それらは認知症、糖尿病、高血圧、がん、慢性腎臓病に対して、悪い食品部材である。ネット上でも、この件は「菓子パンは危険」と警告する動画が溢れている。

 ショートニングはEUや米国で禁止されているが、日本では野放しである。認可を与える汚役人が裏金を貰っていると噂されている。

 令和元年6月6日現在では、指定添加物が463品目、既存添加物が365品目、天然香料が約600品目、一般飲食物添加物が約100品目、それぞれ認定されている。EUでは規制が厳しく、日本の10分の1程度である。日本の食品への添加物管理が異常であることを示している。

 食品の裏にある食品添加物表を眺めて、自己防衛するしかない。

 

 最近は保存料無添加と書かれた菓子パンも出回っているが、しかしそれには添加物が大量に入っている。そんな表記に騙されたはいけない。それは2週間も前に作られた「死んだ」パンである。人間の食べるものではない。

 会社時代は、忙しい時や、残業時間の間食で、菓子パンを頻繁に食べた時もあった。今思うとぞっとする。

 

P11503201s

P11503181s


 

2023-06-07  久志能幾研究所通信 2697号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

2023年6月 3日 (土)

巡礼 「八幡はるみ展」、創造芸術に感銘を受ける

 

 知人に誘われてヤマザキマザック美術館で開催されている「八幡はるみ   GARDEN展」に行ってきた。誘われなければ、絶対にご縁のなかった作家である。ご縁に感謝である。

 

「八幡はるみ GARDEN展」

 会期  2023年04月21日(金)から2023年08月27日(日)

 場所  ヤマザキマザック美術館

 

 美術館で確認すると、特別展の展示品は撮影可とのことで写真撮影をさせてもらった。聞いてみるものだ。欧米の美術館では撮影は、フラッシュをたかなければ可能なので、日本の美術館でもそうして欲しい。

 

八幡はるみ氏の作品

 芸術とは独創性の世界である。天上天下唯我独尊の世界である。自然界の材料やデジタル作品をそのまま持ってきても芸術とは言えない。その作品に作者の独創性をどれだけ盛り込めるかである。

 この芸術品は、工業製品と芸術の融合である。八幡はるみ氏の作品は、染物、織物、刺繍、デジタル材料と言う工業製品、工芸製品を統合して、芸術の域に創造した芸術作品である。

 大画面で表現された美しく咲き誇る花々、まばゆい光につつまれた溢れんばかりの緑の花の洪水。色あざやかな植物が大画面を埋め尽くす、八幡はるみのかぐわしき染色の世界が展開する。私には新しい世界であった。今までは絵画と言うとキャンパスに油絵具でかかれるとの固定観念を抱いていた。しかし八幡はるみ氏の作品を見て、創造性という観念に感心した。この展示会で学んだことは、創造性には使えるものは全て使え、である。

 

 しかし欲しいなとは思ったが、盗んできて家に飾るにはしては、作品が大きすぎる。この大きさでは自宅に飾れない(笑)。また家にある他の作品に比べて、和室の居間には異色過ぎるので、雰囲気が合わないようだ。それで幸い捕まるような行動には出なかった?

 

創造

 創造とは新しい価値観の生み出しである。発明は全く新しいものの生み出しだが、創造は今まであるものを分解、再結合をして、新しい価値を創り出すことだ。発明は天才にだけ可能だが、創造は我々凡人でも出来る。

 「創」と言う漢字は、「キズ」と「リ」から構成される。「リ」は刀と砥石の象形文字である。「キズ」の傷とは刀傷のことである。刀で傷を受けると血が噴き出し、それに焼酎を吹き付け、なにくそとがんばるのだ。それで傷口から新しい細胞が生れ、傷口を埋めていく。新しいものを創り出すには血まみれの体験が必要だ。それが創造である。

 創造とは、今あるものを分解、再結合して新しいものを生み出すことだ。ゼロから生み出す発明ではないのだ。ソニーのソニーのウォークマンだって、新技術はない。従来の技術を再統合しただけである。それが創造である。

 

Dsc00955s

Dsc00952s

Dsc00959s

Dsc00961s

Dsc00962s

Dsc00964s

Dsc00967s

Dsc00968s

Dsc00977s

Dsc00981s

Dsc00985s

Dsc00997s

 

2023-06-03  久志能幾研究所通信 2697号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

 

 

 

 

人生の年貢をトヨタ生産方式で納める

 

 カンバン方式とは、トヨタの「トヨタ生産方式」で運用されている道具である。車や車の部品を効率良く生産するための一つの道具である。このシステムでは、よいクルマをより安く、早く顧客に届けるために、あらゆるムダを徹底的になくして生産することを目指している。

 この「かんばん」のカードには何時、何処で、誰が(どの部署が)、どれだけ生産するかが記載されている。部品箱1つ1つに「かんばん」がついていて、カンバンで指示された部品を生産するとその「かんばん」を付けてその部品を次工程に流す。

 

 トヨタ生産システムでは、まず顧客から出発して、各工程で、「この工程は顧客に対してどのような付加価値を生み出しているか」と問いかける。(p54) 稲垣公夫訳

 ジェフリー・K・ライカ―「ザ・トヨタウェイ」

 The_toyota_wat_1

.

人生の顧客とは

 人は動物として生まれ、人としての使命を果して世を去る。それはトヨタ生産システムと全く同じである。それで自ずとやるべきことが明確になる。自分の人生の顧客とは、死の床で自分の人生の満足度を味わう自分自身である。

.

人生の納期

 トヨタ生産システムではカンバン方式で、必ず納期が決まっている。死ぬ時に死なないと、他人に迷惑をかける。100歳でも構わないが、寝たきりの長生きでは、自分も不幸、周りも不幸である。人の人生では、必ず死という納期がある。納期厳守はトヨタ生産システムの要である。死ぬ時には、死ぬのが良いのだ。

 だから納期(死)から数えて、今何をすべきか、よりよい付加価値を生み出すために何を今すべきかを考えるのがトヨタ生産システムである。それが人間と動物を分けるものである。だから人間は自分の使命を自覚して、納期(死)前にやるべきことをやる。

 .

人生のカンバン

 人生はカンバンと言う目に見えない仕組みで運ばれる。出生、入学、学業、卒業、就職、結婚、第一の仕事、定年、定年後の第二の仕事、死、のカンバンである。時が来れば嫌でもそのカンバンが回ってきて、その工程をこなして、後工程に流さねばならぬ。

 指定されたカンバンを処理できないと人生が行き詰まる。「就職浪人」とは、その「就職」というカンバンを処理せず、放置した状態である。なぜ就職できなかったか、なぜ何故を5回で追求しないと、後工程が全うできない。

 「死のカンバン」が来れば、受けなければならぬ。例えば、「定年」はその仕事の期間が終わりという「死のカンバン」である。「定年」というカンバンは就職した時、60歳での納期として、あらかじめ発行されている。請求しなくても神仏が発行する「お迎え」と言う名のカンバンが80 歳前後にやってくる。

.

自工程完結

 自分に出来ることは、納期内に自分の工程で改善を繰り返し、最大限の付加価値を付けて、納期通りに後工程に流すことである。それを自工程完結という。

 トヨタでは前工程は神様、後工程はお客様である。前工程の出来栄え(宿命)は、相手が神様だから文句は言えない。自工程で何とかするしかない。それが運命を拓くことである。

 自工程で問題が起これば、何故なぜを5回繰り返して真因を見付け、問題を解決する。原因と真因を分けて解決しないと、対処療法では問題が再発する。

 

 そしてトヨタ生産システムを支える考えが、豊田綱領である。要は、全社一丸となって誠実に職務に尽くせ、研究と創造で智慧を出し、時代の先を行け、贅沢禁止、質実剛健、仲良く、家庭的美風で。神仏を尊崇、報恩感謝を為すべしである。

 トヨタマンはそれを愚直に守って、トヨタはド田舎の豊田自動車から世界のトヨタになった。

 自分の人生も同じようにトヨタ生産システムで運営すれば成功する。

 

 

豊田綱領

豊田佐吉翁の遺志を体す

一、上下一致 至誠業務に服し 産業報国の実を挙ぐべし

一、華美を戒め 質実剛健たるべし

一、温情友愛の精神を発揮し 家庭的美風を作興すべし

一、神仏を尊崇し 報恩感謝の生活を為すべし

 

 2023-06-02  久志能幾研究所通信 2696号  小田泰仙

「久志能」↖ で検索

著作権の関係で、無断引用を禁止します。