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2022年8月

2022年8月31日 (水)

空港バス横転炎上、飽食文化と拝金主義文明への警鐘

飽食の外道・拝金主義へ堕落

 人類は誕生以来、この20万年間、飢餓に苦しめられていた。だからDNAは食品が体に入ってくると、溜め込む性質となっている。しかしこの数十年、人類初めて飽食の時代を迎え、自分の食欲に制御ができなくなった。それにかこつけて食品メーカが、食べろ食べろと、けしかけているのが現代社会である。それが現代の日本で突然死年間10万人の結果である。それが空港バス横転炎上の原因である。

 また利益至上主義、拝金主義の結果で、安全性無視のバスの設計・製造がまかり通っている現在の経済界である。

 それに対して、神仏は日本社会の堕落に空港バス横転炎上事故で警鐘を鳴らしたのだ。

 

空港バス横転炎上

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。 

 当時、助かった乗客は、割れた後部窓から脱出した。もし横転しても後部窓が割れず、火災が起きていたら、全員焼死していた恐れがあった。

 

原因追及

 その事故を起こした第一原因は、運転手の意識喪失とするのが、一番合理的である。ステアリングやブレーキの故障や都市高速道路の欠陥では、事故直前の状況を説明できない。95%の確率で、運転手の意識喪失が第一原因であると私は推定した。

 

突然死

 日本では年間、10万人が突然死している。多くの場合、バス等の運転ではないので、大きな問題になっていないだけである。現在、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その事故数で幸いである。

 その際に、事故がバスなら燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。

 

突然死の原因

 その突然死になる主原因は、心臓病、心筋梗塞、脳溢血、脳梗塞が原因である。その病気になったのは、狂った食生活が原因だ。

 拝金主義に染まった食品メーカは、消費者の健康を無視して食品を開発し、売りまくる。宣伝をテレビ、新聞雑誌上でしまくる。

 それに便乗したのがマスコミで、食品のCMの氾濫である。食品メーカは大事なスポンサーなので、マスコミは絶対に批判的な記事は載せない。

 その結果が、循環器系の病気の蔓延で、高血圧症の激増して、それが心臓病、脳梗塞、脳溢血の原因となる。またがんも激増した。

 だから、マスコミはその真因を追求せず、事故の第一原因ばかり追究していて、真因には口をつぐむ。

 

バス全焼の原因

 またバスが炎上し全焼した主原因は、利益至上主義、拝金主義の人命軽視の設計・生産・販売である。バスに乗れる乗客数を最大限に拡大するため(利益追求)、燃料タンクを危険な場所に設置した。その設計思想が異常である。そのバスを設計製造した三菱ふそうは、リコール隠しを行った反社会的な会社である。

 

下記の資料は佐賀大学の資料

突然死について

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000838279.pdf

 

突然死について

 一般社団法人日本循環器学会 参考人提出資料

     佐賀大学医学部 2021(令和3)年10月1日

・ 突然死の発生率は人口の0.1~0.2%,総死亡の10~20%であり,原因は不整脈、虚血性心疾患等の脳心血管病が殆どである。

・ 心臓突然死は、健康だと考えられていた人が、致死的心室性不整脈により、心臓が正常に収縮できなくなり、脳に血液が循環せず死に至る疾患である。本邦では、心臓突然死によって年間約6〜8万人が亡くなっている。

・ 若年男性の突然死の原因の一部に器質的疾患を伴わないブルガダ症候群等の遺伝的不整脈による心室細動、動脈硬化病変を伴わないストレス等による交感神経過緊張から生じる冠攣縮性狭心症が含まれており、剖検所見では器質的異常は認められないことがある。

 

突然死の原因

1.心疾患

   不整脈 心室細動

   遺伝性致死性頻脈(ブルガダ症候群、QT延長症候群)

   後天性QT延長症候群 洞結節不全症候群

   虚血性心疾患、心筋症、心筋炎

2.大動脈疾患、肺動脈疾患

   動脈瘤破裂、解離性大動脈瘤、肺塞栓症

3.失血性疾患

   消化器潰瘍、静脈瘤、肝がん破裂など

4.脳血管障害

   脳出血、くも膜下出血、脳梗塞

 

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2022-08-31  久志能幾研究所通信 2478  小田泰仙

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2022年8月30日 (火)

ドラフター購入、鉛筆で線を引き夢を形にする

 

ご縁

 数年前から欲しいと思っていたドラフターを2022年8月24日に購入した。奇しくも町内の地蔵盆祭りの日である。私がドラフターに触らなくなって、約30年が経過していた。

 

 これもご縁である。欲しいと思っても、品物が手に入らない。今、正規の新品のドラフターを買えば40万円である。さすがにその値段では経済的に手が出ない。たまたま状態の良い中古品がメルカリで見つかり、それを入手した。商品の代金は安かったが、京都から大垣まで運ぶのにその代金以上のカネが必要であった。たまたま運んでくれる知人が出現した。これもご縁である。

 ドラフターは精密機器であるので、クロネコも佐川も西濃運輸にも、京都から大垣への運搬を断られた。そこで仏様が恩人を遣わしてくれた。感謝である。

 

 またいくら欲しくても、置き場所がなければ買えない。今は家にモノがあふれていて、とてもじゃないが大きな物は置き場所がない。たまたま2年前に別宅を入手して、今は仕事場があるので、大きなドラフターが置ける。これもご縁である。

 どんな出会いにも、ご縁があることを実感である。

 

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デジタルよりもアナログ

 真っ白な空間に一本の線を引く。その線を重ねて面ができあがる。その面が重なって立体が出来る。まるで人生の設計図を描くようだ。

 それはパソコンで文字を書くか、メモ用紙に手書きの字を書くかの差である。CADで図面を書くか、キャンパスに筆で絵を描くかの差である。位置情報、空間情報、夢への思いをどれだけ込めて、自由奔放に実際の形に創造するのだ。それにはアナログが適している。

 私は創造的な仕事にはドラフターに優位性があると判断した。今から、自分の夢をドラフターで書いて、それを実現するのだ。金儲け、時間効率を考えて図面を書くのではない。自分の夢を、ドラフターで、時間をかけて、手書きで書いていく人生の道を一歩一歩、確認しながら歩くのと同じである。無理やり走らなくてもよいのだ。時間に追われて走るのではないのだ。

 

私の経歴

 もともと私は技術者として、図面を書くのは好きであった。中学生のころから、飛行機の図面をよく書いていた。書くといっても航空雑誌の付録の図面を烏口でトレースして図面を描いただけである。それをもとに木製のソリッドモデルを作って遊んでいた。

 

 大学2年生の時、親にねだってドラフターを買ってもらった。当時の購入金額が6万円である。当時の仕送りが1万5千円で生活できた時代である。初任給が7万円チョットの時代である。ドラフターは高かったが、大学で特待生を獲得して授業料を免除したため、ご褒美として買ってもらった。

 就職して会社でドラフターを、仕事としてフルに使うので、自宅のドラフターは使うことはなくなり、10年後くらいに知人に譲ってしまった。

 

会社時代

 ドラフターは私がメシを食うために使った道具である。要求された仕様を満たすため、必死で線を引く。カンバンに追われ、上司の圧力を受けて、20年間、線を描き続けた。私は設計図を描く職人であり、機械開発技術者であった。ドラフターは、技術者には侍の刀と同じである。

 

CADの時代

 1990年ごろからドラフターからCADに変わっていったが、私にはドラフターが性に合っていた。その頃より、少し偉くなって、図面を描くのは若手の部下に任せるようになり、CADにはあまり触らなくなった。できた図面を検図する立場である。

 

技術管理部で三次元CAD導入

 それから時が流れ、部署が変わり、2000年から技術管理部署に異動になり、事業部の三次元CAD化を導入する責任者となった。親会社からの要求で三次元CAD化を進めた。しかし実際の創造的な開発には、その利用に疑問を感じていた。親会社が「三次元CAD化しないと仕事を出さない」と「脅迫」するのでは、いたしかたなかった。殿様の言う事は絶対なのだ。

 

 殿様が「カラスは白」と言えば、カラスは白なのだ。定年になり会社を離れて、やっと「カラスは黒」と言えるのは、幸せなことなのだ。

 

定年後の夢

 CADは金儲けを効率的に行うための道度である。定年後は、効率的に金儲けをする必要もない。夢の図を、思いを込めて一本一本と描いていくには、手書きでドラフターを使って描けばよいと判断して、ドラフターを購入した。そのデータを三次元データとして入力するのは、機械的な職人の仕事である。それは作業であって創造ではないのだ。

 

2022-08-30  久志能幾研究所通信 2477  小田泰仙

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人間焼却炉上で10年奮闘  バス横転炎上の対策

 

 私は前職の会社で、技術者の教育を担当していた。そのため、技術教育の一環で各地の工場を見学していた。その引率者としてバスの最前部席に座って、新人技術者や中堅技術者をあちこちの工場見学に案内した。

 また私は財団法人自動車技術会の支部事務局として、各地の特色ある工場見学の為、バスの最前部席に座って、自動車技術会の会員をあちこちの工場見学に引率した。そういう仕事を10年間も続けた。

 また頻繁に県営名古屋空港行きのバスにも乗っていた。飛行機の撮影のためだ。それも多くの場合はバスの前の方に座っていた。

 また町内の親睦バス旅行でも、立場上、バスの最前列席に座る。

 今までの10年間の経験でも、自分が引率したバスで、事故を1回経験している。

 そういう経歴で、前職の会社の全社員(約1万人)中で、私がバスの最前列席に座った回数は、一番多いと思う。

 

 もしそういう状況で、2022年8月22日の名古屋市北区の空港行きの大型バス横転炎上事故は人ごとではなかった。私もこのような事故に巻き込まれれば、焼死していた恐れがある。バス前部の席は燃料タンクの真上にあり、事故で炎上すれば、その席が人間焼却炉となってしまう

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 ANN  NEWS  より   "ただのノア@Noa_Ark_03"さん撮影

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。

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 幸い、私は仏様のご加護でそういう目に逢わずにすんだ。

 人が運行する事象では、事故は絶対に起きるもの。それを予想して対策をするのが危機管理である。

 

 私は「知りたることを、人に教えざるは、借金をして返さざるが如し(福沢諭吉翁)」の言葉を大事にしている。

 そして気が付いたことを世に知らせる。それが一燈の明りであっても、それを灯し続ければ、何時か多くの人が賛同してくれる日が来る

 

バス横転炎上事故を踏まえた対策

 運転手も生身の人間である。突然の疾患に襲われ意識を失うこともある。その対策が必要だ。現在は、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その際に、燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。 

 意識喪失や居眠り等検知用の瞳センサを設置。

  異常時に非常停止

 

 燃料タンクをバス前部に配置する構造的欠陥を無くすこと。

  これは法的整備が必要だ。

 燃料タンクを保護する骨組みを設置

  これは法的整備が必要だ。

 

 非常停止ボタンの設置

  バスの運転手の異常で、乗客が非常停止ボタンでバスを止める。

  これは既に6%ほどのバスに設置されているようだ。

 

 後部に非常用脱出ドアを設置

  バスが横転しても使える脱出ドアが必要

  後部や横の非常時ドアは、横転すると使えない。

  バスの天井に非常用脱出ドアを設置(横転時用)

 

 バスの窓ガラスを割る脱出ハンマーを各所の設置

  バスが横転すると、シートベルトが体に食い込み、ベルトを外せない。

  そのため脱出ハンマーにハサミが付いている必要がある。

 

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  馬場恵峰書

2022-08-29  久志能幾研究所通信 2476  小田泰仙

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2022年8月28日 (日)

健康は維持でなく、創り出すもの

 

 体の組織細胞は数年で全て入れ替わる。腸管の上皮細胞は数日、血液は4か月、肌は一か月、骨は5か月で入れ替わる。今日の自分の体は、昨日の体ではない。毎日少しずつ細胞が入れ替わっている。その体を作る原資は食料である。

 健康が運命を決める。健康でなければ、カネがあっても何もできない。健康とは体と心の健やかさを言う。体だけ健やかでも、心が健やかでなければ、健康とは言わない。

 健康を害する最大の敵が、食べ過ぎである。食べ過ぎとは、自分の体の消化部門の細胞に過重労働(奴隷労働)を強いること。食べ物が胃に入ってこれば、消化器官は嫌でも働かざるを得ない。飽食とは、ブラック企業と同じ仕打ちを、自分の体にすることだ。その結果が、がん、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、認知症への地獄の道である。

 

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宇宙根源の理

 遺伝と環境により老化速度は変わる。その比率は遺伝的要因が約2割、環境的要因が約8割である。新陳代謝の速度は加齢により低下していく。古い細胞の老廃物などが体内に残りやすくなり、その影響が体の変化として表れてくる。体の変化にも大きな個人差がある。それは、食事で内臓に強制労働を強いられれば、老いは早くなるのは宇宙根源の理である。

 実際に、一卵性の双子でも喫煙者と非喫煙者とでは、老化の速度や見た目の年齢が違ってくることを米国の研究で実証した。

 その差を生む環境因子を決めているのが、毎日の生活習慣。偏食や喫煙、睡眠不足、運動不足、ストレスの多い生活は、新陳代謝力を低下させることがここからも分かる。

 日ごろから、下記のような健康的な生活習慣を続けているかどうかで、体内の部品交換の進み具合が変わる。その積み重ねが、数年後、数十年後の健康寿命を決める。日本人の健康寿命は72歳である。その後の9年間を寝たきりで過ごすか、現役で過ごすかは、日頃の健康創りにかかっている。

 

使わない器官は退化する、健康を創るとは辛い事

 使わない器官は退化する。1週間寝ているだけで、体は、筋肉がもう必要がないものと判断して筋肉量を減らしてしまう。だから毎日、筋肉に負荷をかけて動かさないと筋肉は維持できないし強くもならない。だから筋肉量を維持することは辛い事だ。

 頭も使わないと退化する。テレビばかり見て受動的になると、テレビに洗脳されて、認知症への道をまっしぐらである。65歳以上は15%が認知症である。75歳以上はそれが25%になる。

 創造の「創」とは傷口のこと。偏の「リ」は、砥石と刀のことである。刀で皮膚を傷付ければ痛い。その傷口から血が噴き出す。侍は「なにくそ、こんなことで死んでたまるか」と傷口に酒を吹き付け、さらしを巻いて、決戦場に向かう。その傷口から新しい組織が生まれてくる。それが「創」である。

 

心の健康

 豊かな食事をすれば細胞に栄養素が行き届いて細胞がより活性化するように、豊かな言葉を吐けば、より豊かな心が養われる。その反対に呪いの言葉を吐けば、その毒は自分の心を汚染せる。

 心に入る正負の言葉の全容量は決まっていて、プラスの言葉が心に多く入れば、マイナスの言葉が出ていき、心が豊かになる。その反対にマイナスの言葉ばかり吐けば、心はマイナスで埋め尽くされる。そうやって心が創られる。いしきして言葉を選ばないと良い心は創れない。

 

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欲望は暴走する

 欲望が暴走するのは、頭が健康でなくなった現象である。人は少し多めのカネを手に入れると、更に多くのカネを求めるようになる。欲望が暴走し、更に欲望が大きくなる現象だ。その欲望は、社会の規範を蹴飛ばして暴走を更に加速する。

 例えば、ソフトバンクの孫氏は、日本一の金持ちになっているのに、更に金が欲しいとカネ儲けに暴走している。税金とは社会インフラを使うための使用料金である。その社会インフラを使っても税金を払わねば、社会に対する犯罪である。しかし孫氏は社会インフラを使って巨額の商売をしても、税務上で細工をして表面上は赤字に見せかけて、税金を払わない。明らかに異常な行動である。社会に対する犯罪である。しかしそれが彼には分からなくなっている。つまり頭が健康ではなくなったのだ。それを「餓鬼道に堕ちた」という。餓鬼になった彼は尊敬できる経営者ではない。

 

2022-08-28  久志能幾研究所通信 2475  小田泰仙

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2022年8月27日 (土)

空港バス横転炎上、真因は人命無視の欠陥設計

 

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。 

 当時、助かった乗客は、割れた後部窓から脱出したようだ。もし横転しても後部窓が割れず、火災が起きていたら、全員焼死していただろう。たまたま乗客が少なかったから良かったが、満席なら大惨事である。

 

推定原因

 その真因は人命を無視したバスの構造設計である。事故になった原因は、運転手の突然の病気、車のステアリングやブレーキの故障が取りざたされている。

 しかしどんな原因で事故が起きても、バスが炎上するのは、構造自体に問題がある。

 ステアリングやブレーキの故障も取りざたされているが、検討の結果、運転手の突然の疾患が、一番可能性が高い原因である。ステアリングやブレーキの故障なら、運転手の回避行動がとれたはずだ。ステアリングが異常なら、ブレーキをかけ停止すればよい。ブレーキ異常なら、エンジンを切ればよい。そうすればあんな事故にはならない。

 たとえ運転手の突然の疾患が第一原因でバスが横転しても、火災を起こすのは、構造的欠陥がある証拠である。

 

構造欠陥

 このバスには前部のタイヤの上に燃料タンクが設置されている。その容量は380ℓである。事故の直前に燃料を満タンに補給して、事故時は380ℓの軽油が引火して、2時間半も燃え続けた。軽油はガソリンより引火温度が80℃も高いが、引火すれば、ガソリンと同じ勢いで燃える。

 問題は、バスが正面衝突しても燃料タンクが破損しない構造になっていなかったことだ。燃料タンクを守る骨格も無かったようだ。中央分離帯への激突速度は時速60キロと推定されている。高速道路を走るバスなら100キロで衝突する恐れもあり、時速60キロで衝突してあの火災では構造的な安全性に問題があると言える。

 そもそも燃料タンクを車体の前面に設置する設計思想自体が異常である。しかもその燃料タンクをガードする骨格もないようだ。この構造は、三菱ふそうだけでなく、日野のバスも同じ構造のようだ。

 以前もこの種の事故はあったはずだが、三菱ふそうのバスで今回の事故が起きて炎上したのは、三菱ふそうには、特にその強度が弱かったとしか言いようがない。三菱ふそうは、あの三菱リコール隠しをやらかした会社である。

 また日野自動車は、エンジン検査不正で商用車連合を2022年8月24日に除名されたばかりである。両社とも、安全への意識が狂っていると言える。

 

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 大型バスの燃料タンク位置

 大型バスの燃料タンクは、非常に危ない位置にある。正面衝突、オフセット衝突をすれば、瞬時に炎上である。

   写真は下記ブログより引用

Jバス車体の簡易な構造研究 -  私の思いと技術的覚え書き (goo.ne.jp)

https://blog.goo.ne.jp/wiseman410/e/868f1d65fa277c45d9de68c2f86cf42d

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法的規制が必要

 バスの構造安全規格で、100キロで正面衝突しても燃料タンクが破損しない構造が必要だ。それがなかったのが、今回の惨状の真因である。その面の法整備が至急必要である。

 現在は、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その際に、燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。

 

自己防衛

 私は恐ろしくなった。今後は、法整備が終わり、安全が確認できるまで、高速道路を走る高速バス、観光バスには乗らないようする。

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2022-08-27  久志能幾研究所通信 2474  小田泰仙

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2022年8月26日 (金)

73年前の嫁姑戦争、戦利品は「硬い歯」

 

 私が母の胎内に宿ったとき、まだまだ日本は敗戦の影響で食糧事情が厳しかった。特に町家に嫁いだ母は、食糧事情には苦労したようだ。母が私を妊娠しても、当時の町の家では、姑から十分に食べさせてもらえなかったと母は嘆いていた。食い物に関する嫁姑戦争で、当時の世相の厳しい実態である。それで母は実家に帰り、里帰り出産をした。幸い、母の実家は農家であった。

 当時は、町の人が着物や骨董品を農家に持ち込んで、米と交換してもらっていたと、母は当時の話をよくしてくれた。今の飽食の生活からは想像できない状況である。

 

当時の世相

 山口良忠とは、日本の裁判官である。法を守って餓死した裁判官として有名である。

 太平洋戦争の終戦後の食糧難の時代に、彼は闇市の闇米を拒否して食糧管理法に沿った配給食糧のみを食べ続け、栄養失調で1947年に33歳で餓死した。

 当時の裁判官の地位は非常に低く、ヤミ物資を買うにも十分な給与があるとは言い難く、複数の裁判官が栄養失調に苦しんでいる状態であり、過労や結核に栄養不足が加わって死ぬ者も少なくなく、裁判官の給料では到底食えぬとして、弁護士に転職する者が非常に多く、個々の裁判官の負担をますます重いものとしていた。

  この項、wikipedia 「山口良忠」より編集 2022/8/26

 

戦利品

 母は、その嫁姑戦争に勝利して、妊娠時に実家でシッカリ食べたので、私は丈夫な体と骨、歯を授かった。私が歯科医院に行っても、歯を削る際、人よりも私の歯は硬いとよく褒めてもらえる。仲間の中には、母が妊娠時に十分な栄養を取らなかったので、歯がぼろぼろだと嘆いている人もいる。そんな厳しい食糧事情の中で、丈夫な歯を授けて生んでくれた母に感謝である。そのお陰で、現在の歯の欠損は1本だけで済んでいる。

 

太平洋戦争の敗因、食糧は武器

 戦争になって、カネがあっても食料が無ければ、戦いに負ける。太平洋戦争での日本軍の死者の内、その60%の140万人は餓死である。インパール作戦の敗因も補給路を断たれて、多くの日本兵が餓死をした。私の祖母への戦死通告では、叔父は戦病死となっているが、多分、私の叔父も餓死であろう。

 学校のぺーパー試験だけ成績の良かった軍部のエリートが、頭だけの作戦を立てて、補給を考えなかった結果である。

 その仕組みは、現代の高級官僚が仕切る姿と同じである。

 

食料自給率40%が敗因となる

 今の日本の食料政策が間違っている。農業は外国に頼んで、工業製品で稼げばよいとの安易な考えは、間違いで、敵に洗脳された結果である。敵国は、その作戦で食料の輸出を止めれば、日本に勝てるのだ。食料とは戦略物資である。それが今なないがしろにされている。先進諸国は食料の自給率を100パーセント以上にしている。

 

オイルショックに反省せず

 1973年のオイルショックでは、カネがあっても石油が無ければ、日本は干上がってしまう状態になった。同じことが食料でも起きる。今はその準備が全くされていない。だから今、食料自給率が40パーセントを切っている。そんな愚かな政策を続ける先進国は他にない。

 

 ウクライナ戦争で、小麦が入ってこず、ロシアからの液化ガスの輸入が止まれば、広島の電気が止まる。食料、石油、液化ガス、石炭等、全て戦略物資である。もっと世界の危機状況を観察しよう。ウクライナ戦争を良く見よう。食料自給率向上こそ、国を守る危機管理である。敵国が日本と戦争になれば、日本に食料を輸出するはずがない。

 私が日本の敵国の軍大臣なら、即日本への食料の輸出を止める。

 日本はもって農業を大事にしよう。

 

敵に武器を贈る

 先日のニュースで、政府開発援助機構(ODA)が中国への援助を来年から止める検討をしている、という報道で高級官僚の堕落ぶりを思い知った。中国はそのカネで日本を攻めるための軍備を増強して、尖閣諸島、沖縄を攻める準備をしている。連日領海、領空侵犯を繰り返している。それなのにその敵に武器を贈るさまは日本政府の愚かさを世界に晒している。これでは政府高官は、敵の回し者である。これは媚中派議員に投票している有権者の責任だ。媚中派のテレビに洗脳されて、政治的に痴呆になっているとしか言えない。早く目を覚まさないと餓死である。

  媚中派の内閣は潰さないと、日本が危ない。平和ボケを正さないと大変な事になる。

 

2022-08-26  久志能幾研究所通信 2473  小田泰仙

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2022年8月25日 (木)

お墓改建の後始末

 

 2015年のお墓の開眼法要の後始末も終り、ほっとした2016年元旦、お寺から年賀が届き、今年の年忌に当たる母の戒名が入った連絡書が同封してあった。それがまたひと騒動の始まりであった。

 

後始末

 人生の出来事で何事も後始末が大事なのだ。たった一つの後始末をきちんとしないために、全てを失うこともある。人生は能舞台なのだ。人はそこで演技を舞う。神仏から人生舞台でのお役が与えられている。黙って舞台に上がり、黙って演技をして、黙って舞台を降りる。幕が下りても、舞台を降りてその場を去るまでは、人生なのだ。最後まで気を抜かず演技をしよう。

 

戒名が違う!

 その母の戒名が私の記憶にある戒名と違っていた。2016年1月3日、お寺に行き確認をしたら、お寺の過去帳に記載の戒名と位牌の戒名が一文字だけ違っていることが判明した。他の戒名も不安になり、墓誌に書いた先祖の戒名を再確認したら、祖父祖母、母の3名の戒名が違っていた。今まで43年間もその戒名の位牌に手を合わせていたので、その戒名が過去帳と不一致だとは夢にも思わず、それを元に墓誌を作ってしまった。墓誌を作るとき、家に位牌のない親類縁者の戒名はお寺の過去帳から確認してもらったが、戒名が既知である両親と祖父祖母の戒名の確認をしなかった。家の仏壇に位牌があることで盲点となっていた。

 

ゴッドファーザーとのご縁

 戒名とは、葬儀の引導を行う僧侶が故人に付ける名前である。故人は戒名を授けられることで僧侶の弟子となり、来世で仏道を修行することになる。院号とは、その故人が来世での修行のために建ててもらった寺の名前である。院号は本来お金では買えず、お寺や社会に貢献をしないと授けてもらえない。

 それゆえ引導をする僧侶はゴッドファーザー(名付け親)である。その戒名はゴッドファーザーの意志が絶対である。白木の位牌に書いた戒名と過去帳に書く戒名が食い違っていても、住職が過去帳に書くときが絶対に正しいものとして扱われる。位牌に書かれた戒名は、50回忌が終ればお炊き上げされてこの世から消える。しかしお寺にある過去帳は永遠に消えない。それ故、食い違いがあっても、どちらを正とすべきかは自明である。そのため今回の戒名の不整合は、過去帳に合わせて直すことにした。位牌も墓誌もお金を掛けて直せば済む話であるが、過去帳は直せない。

 過ぎ去った過去を消せないのが人生である。しかし人生の出直しはできる。自分が位牌を作り直せる状況であるだけでも、幸せである。自分が下流老人でないことを喜ぼう。今回、ご先祖は新しい位牌を作ることで、正しい戒名で仏道の修行に励まれることになる。

 導師である僧侶が過去帳に書いたときが、その故人に一番相応しい戒名である。30年来の吾が師である本多先生(住職)の教えを頂き、本件を納得することになった。本多住職は私のニックネーム「オダブツ」の命名者でもある。つまり私のゴッドファーザーである。

 

 このご縁で小田家先祖の為写経を再度やりなおして、39枚の写経を完成させた。祖母の追善供養法要(2016年2月12日)後に、その写経をお墓に奉納することにした。また墓誌も再製作をした。半端な金額ではない。えらい出費である。

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 馬場恵峰書 写真集『心に残しおく古訓言』 撮影2015年10月26日

  

2022-08-25  久志能幾研究所通信 2472  小田泰仙

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2022年8月24日 (水)

バス横転炎上時からの脱出手段は、脱出ハンマーのみ

バスが横転したら、窓ガラスを割らなければ、炎上したバスからの短時間での脱出は不可能である。

 

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。 

 当時、助かった乗客は、割れた後部窓から脱出したようだ。もし横転しても後部窓が割れず、火災が起きていたら、全員焼死していた恐れがあった。

 

P10905361 ANN  NEWS  より   "ただのノア@Noa_Ark_03"撮影

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横転時の状況

 この場合、乗客には脱出する手段がない。バスは横転しており、横にあった窓は3m上になっている。非常口も3m上になっている。それでは手が届かない。横転の衝撃で非常口も変形して開かないだろう。前方は火災である。後部窓しかないが、その窓は固定で開かない。そのガラスも手では割れない。割るための道具は車内にはない。往々に乗客は怪我をしていて、身動きできない恐れもあった。横転したためシートベルトが体に食い込み、シートベルトを外せないかもしれない。そうなれば焼死を待つしかない。死亡した2名の乗客はそういう状況であったかもしれない。

 

手段は他力のみ

 この場合、近くを走っていた車の運転手が自車の脱出ハンマーで窓を割って、内部の人を助けるしか手段がない。脱出ハンマーは自分の為ではなく、人助けの為の道具でもある。脱出ハンマーの装備は、「情けは人の為ならず」である。

 

啓蒙活動の必要性

 しかし車販売会社の人に話を聞くと現実的には、脱出ハンマーを新車購入時の装備する人は、全体の数パーセントしかないようである。いかに皆さんに危機意識がないかが分かる。

 もっと脱出ハンマー普及の啓蒙活動をすべきである。わずか3000円程の費用である。なおかつ、それは一生モノである。本来、車の標準装備品とすべき道具である。

 自分の城は自分で守れ。

 

久志能幾研究所通信: 引き上げられた死体には手が …

yukioodaii.blog.enjoy.jp/blog/2017/06/post-922e.html

 

2022-08-24  久志能幾研究所通信 2471  小田泰仙

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2022年8月23日 (火)

名古屋高速で空港バス横転炎上、その自己防衛手段

 

 2022年8月22日午前、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港バスが横転して炎上した。後続の乗用車がバスに追突し、2人が死亡、7人が軽いけがをした。死亡者はバスの運転手(55歳)と乗客一人であった。バスが本線と出口の分離帯に突っ込んだ形跡が残っていた。

 事故の前に「バスがふらふら走行していた」という目撃情報があり、運転手が何らかの理由で意識を失って、ブレーキも踏まず分離帯に激突したと推定される。

 

P10904761s  FNNプライムオンライン(2022/08/23)より

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身の毛がよだつ

 バスがあんなに簡単に横転して、火災になるとは想定外であった。その状態から脱出するのは非常に困難である。また火災が2時間余も続いた。あんな酷い状態になった。あれででは、脱出が困難を極める。横転したバスから脱出できなければ、生きたまま焼死である。追突した後続の乗用車の火災状況も悲惨である。あれだけの惨事で死者が2人だけであったのは、不幸中の幸いである。

 私も県営名古屋空港行きのこの路線バスを頻繁に利用していたので、人ごととは思えず、身の毛がよだった。私は、飛行機の写真を撮りに行くため、このバスを頻繁に利用していた。

 

事故の遠因

 名古屋高速は全般的に路線設計に欠陥がある。一般道でも追い越し車線から高速道路に入ったり、下りたりする箇所が多くある。高速道路上でも、今回のように追い越し車線から、出口に入るので減速時に後続の車両から追突されかねない危険性がある。なおかつ今回の豊山南出口付近は交通量が多く、速度を落として車線変更するのは、大変危険な場所である。都市高速道路とはいえ、制限速度は60キロである。しかしその速度を守って走っている車は稀である。ほとんどの車はビュンビュン走っている。私も流れに沿って走ったことがある。

 

事故防止

 名古屋高速の出入り口の設計の全面的な見直しが必要。

  要は、名古屋市はカネをケチッて高速道路を造ったのだ。

  道路設計の原則は、走行車線から左方向に出る、である。ところが事故現場の出口は、追い越し車線から減速して右方向に出る、である。人間の感性に反した造りである。

 バスには、居眠り検知の瞳センサーを設置するべき。

  運転が人である以上、何らかの人体異常が起きる恐れがある。その検知として、居眠り検知の瞳センサーを設置して、意識がないことが検知できれば、自動ブレーキをかけるシステムが必要だ。今の技術なら、そんなに難しい話ではない。せめて警告音が鳴るシステムなら簡単だ。車メーカでは、一般車でもオプションで装備可能な装置である。

 

脱出ハンマー

 後続車で追突した車両も大炎上してしまった。幸い運転手は脱出できたようだが、車の前部が潰れて、ドアが開かない恐れもあったはず。そのために脱出ハンマーは必須である。車は簡単に燃えるのだ。その現実を今回の事故は教えてくれた。

久志能幾研究所通信: 引き上げられた死体には手が …

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 また追突しても、前部が潰れないような丈夫な車を所有すべきである。いくら自動車メーカが、「この車はクラス最高の安全性」と謳っても、それは同クラスでの比較で、相手がベンツやトラックでは、大敗である。リッターカーは、相手とぶつかれば、前部が潰れてしまう。軽自動車とベンツが正面衝突すれば、その致死率は7倍も違う。高いベンツにはワケがある。安全をカネで買うのだ。

E 

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自己防衛手段

 危険な経路を走るバスに乗らない。

 欠陥設計の名古屋高速を走らない。

  走らねばならないなら、せめて危険な合流部での出入りは避ける経路を選ぶ。

  今後、私は県営名古屋空港へいく場合、名古屋駅から名鉄電車で西春まで行き、そこからバスで県営名古屋空港に行くことにした。それは仕事ではなく趣味の関係だから、命の安全を最優先にすべきであるからだ。遊びのため、命を危険に晒すのは、愚かである。

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 2022-08-23  久志能幾研究所通信 2470  小田泰仙

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2022年8月21日 (日)

ソニーα7RⅣ+CANONレンズで馬場恵峰書を撮る

 

 2006年から16年間、馬場恵峰先生の書画の写真を撮ってきた。しかしその書画を撮影して製本しても、儲からない。むしろ費用ばかりかかり大赤字である。アホではないかといつも思う。これは、小ばかではできない。大バカでないとやれないことだ。恵峰先生も「私は売れもしない書を大量に書いているので、私は大ばかである」と自分で自慢しておられる。揮毫も撮影も儲けるためにやっているのではない。恵峰先生は後進のための教育教材として書を遺している。私はその歴史を記録に残すために撮影している。

 撮っているのは書画ではない。自分の技量と成長度合いを撮っているのだ。できた撮影作品は、馬場恵峰先生の歴史であり、私の歴史でもある。作品を撮れば、その撮影の方法や機材の欠点が見えてくる。ニーズがあるから、よりよいカメラを担いで九州に飛んでいた。

 その撮影に約14年間を費やしたが、まともな写真が撮れるようになるのには、10年の歳月が必要であった。最初からベストの写真が取れたわけではない。試行錯誤を繰り返して、やり続けて良かったと思う。

 

カメラの変遷

 そのカメラも2006年から2020年の間で下記の遍歴をした。カメラも今やパソコン並みで、そのモデルチェンジは頻繁である。その分、性能の向上が凄まじいので、新製品が出るとつい買い替えてしまう。最近はカメラのキタムラで下取り制度を使うので、助かっている。

 先生の書の撮影に拘らなければ、これだけカメラを買い替えはしなかっただろう。それもご縁である。お蔭でよき経験が出来た。

 

パナソニック Z30         1410万画素  コンパクトデジカメ

キアノン EOS 20D     820万画素 APSサイズ

キアノン EOS 7DmarkⅡ 2020万画素 APSサイズ              

キアノン EOS 5DmarkⅣ 3040万画素 フルサイズ

ソニー  α7RⅣ           6100万画素 フルサイズ

 

1  兼俵純子さん画

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撮影条件

 書画の撮影時は、絞り8、感度200、後はシャッタースピードを自動に設定である。絞り過ぎると回析現象を起こして、却ってピント状態が悪くなる。それで絞り8である。

感度もノイズの関係で200がベストである。

 

ライティング

 きちんとライティングをして、照度計を使い、均等に光が当たるようにもした。

 最初は福田氏の卓上電気スタンドを借りて書画を照らして撮影した。しかし蛍光灯の色が出るし、光のムラもでるので、専用のパラボラライトに変更した。

 その組み立てがめんどうであったが、田添さんに担当して頂いた。

Dsc08413s

 軸は立てて撮影

P1000277s

 毎回、パラボラライトの組み立てをして頂いている。
 

照度計

 長物を撮影すると、隅と中央で明るさに差があり、印刷するとそれが顕著になり、照度計で撮影面が一定の明るさになるようにライティングを調整する。それで光むらの解決した。

 

P1090475s

P1050587s

台形歪み防止

 書画の撮影では、レンズを真下に向けて撮影するが、その水平出しが難しい。高いカメラでは、水準器が内蔵されているが、書画の撮影時、レンズを真下に向けて撮影するので、その水準器機能が使えない。それでカメラ背面の液晶面に水準器を置き、カメラが水平になるようにして、この問題を解決した。

 ストロボ装着部に付ける水準器も試したが、その装着部にガタがあり、上記の方法に変更した。

 

Dsc08848s  水準だし

P1090474s_2

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シャッタースピード

 絞りは8、感度は200で、シャッタースピードは自動設定とした。そのため、重~い三脚に変更して対応した。九州まで、毎回持って行くわけにいかず、先生宅に常設である。

 

ピント合わせ

 ソニーα7にキアノンのシフトレンズを装着した。しかしその組み合わせでは、自動焦点合わせは機能しない。だから手動でピント合わせである。そのため拡大ルーペを使う。

 撮影時はシャッターボタンを押した際、ぶれないように遠隔スイッチで操作である。

 

P1080340s

 これはキアノン一眼レフ EOS 5Dとズームレンズの組み合わせの時代

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レンズ

 キアノンのシフトレンズ(TS-Eレンズ)とは、遠近感とピントの合う範囲を制御できて、アオリ機構を搭載したマニュアルフォーカスレンズである。目的に合わせてティルト(レンズを斜めに傾けピントの合う範囲を調整)とシフト(レンズを水平・垂直方向にずらして歪みを矯正)を使い分けることができる。Lレンズなので高画質がある。固定焦点で焦点50mmである。

 そのレンズをソニーα7に、特殊マウントをかませて装着するので、自動ピント合わせ機能は使えない。ソニーには、この種のレンズはラインアップされていないので、苦肉の策である。

 ソニーのカメラ側はミラーレス、キヤノンレンズは一眼レフ用の仕様なので、特殊マウントをかませれば、装着可能である。

 

Dsc08852s

   ソニーα7にキヤノンTS-Eレンズを装着

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撮影の応援隊

 書画の撮影は、一人ではできない。馬場恵峰先生のお弟子たちの大村熟女隊にお世話になった。特に100m巻物では、撮影が5人がかりである。普通の撮影でも3人で大騒ぎである。

 撮影時は、段取りが終わり私がシャッターを切る際には、「皆さん、いきます。息を止めて!」である(笑)。今思うと懐かしくも楽しくもあった。大村熟女隊の皆さんも、普通では鑑賞出来ない先生の秘蔵の書画がまじかに見えるので、喜んでおられた。

 

P1000088s1
 100m巻物の撮影時は、5人かかりである。

  撮影が不出来で、結局この作業を3回も繰り返すことになった。それでやっと出版できる状態になった。

 ローマは1000年の命、ローマは一日にしてならず。

 撮影の労摩は一日にしてならず。

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 P1080331s

 思わず見入ってしまう馬場恵峰先生の書

Dsc08854s

 書画の位置決め為の段取り中

 撮影後の編集作業のトリミング工程を減らすためである。

P1110699s1

 恵峰先生も時折、筆を休めて撮影現場を「視察」?    2018‎年‎10‎月‎11‎日、‏‎11:43

 しかし今だかって恵峰先生は撮影に関して一度も口を出されたことはなかった。温かく見守るだけだった。時折、その作品を書かれた経緯などを語られた。

 今にして思えば、馬場恵峰先生は、撮影の専門分野には、私を信頼しきっておられて、口出しは絶対にされなかった。よき師の教えに感謝である。

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楽しみ

 撮影時の楽しみは、撮影の合間の休息で、お菓子を食べながら恵峰先生を交えて雑談に花を咲かせること。撮影中は、恵峰先生は、ひたすら仕事で書を書いておられるが、休憩時には、皆と席を同じくして会話に入り、恵峰先生が人生のお話しをされるのが大変有益であった。

 

 お昼は大村熟女隊の皆さんが食材を持ち寄ってこられ、恵峰先生と奥様を交えてわいわい言いながら食べる。それが極楽であったが、つい食べ過ぎてしまうのが問題である。私は食べる量を控えたいのだが、熟女たちが「小田さん、ダイエットは明日からやればよろしがな、今日は食べましょうよ」という悪魔の言葉に、いつも負けてしまう。九州の家庭料理はおいしい。つい箸が進む。

 

P1050589s 昼食後、恵峰先生は黙々と書の揮毫に励む。   ‎2018‎年‎10‎月‎11‎日、‏‎12:36

 大村熟女隊は、食事の後かたずけで台所に行き忙しい。机に上に食事の跡。

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2022-08-21  久志能幾研究所通信 2469  小田泰仙

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