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2022年8月30日 (火)

ドラフター購入、鉛筆で線を引き夢を形にする

 

ご縁

 数年前から欲しいと思っていたドラフターを2022年8月24日に購入した。奇しくも町内の地蔵盆祭りの日である。私がドラフターに触らなくなって、約30年が経過していた。

 

 これもご縁である。欲しいと思っても、品物が手に入らない。今、正規の新品のドラフターを買えば40万円である。さすがにその値段では経済的に手が出ない。たまたま状態の良い中古品がメルカリで見つかり、それを入手した。商品の代金は安かったが、京都から大垣まで運ぶのにその代金以上のカネが必要であった。たまたま運んでくれる知人が出現した。これもご縁である。

 ドラフターは精密機器であるので、クロネコも佐川も西濃運輸にも、京都から大垣への運搬を断られた。そこで仏様が恩人を遣わしてくれた。感謝である。

 

 またいくら欲しくても、置き場所がなければ買えない。今は家にモノがあふれていて、とてもじゃないが大きな物は置き場所がない。たまたま2年前に別宅を入手して、今は仕事場があるので、大きなドラフターが置ける。これもご縁である。

 どんな出会いにも、ご縁があることを実感である。

 

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デジタルよりもアナログ

 真っ白な空間に一本の線を引く。その線を重ねて面ができあがる。その面が重なって立体が出来る。まるで人生の設計図を描くようだ。

 それはパソコンで文字を書くか、メモ用紙に手書きの字を書くかの差である。CADで図面を書くか、キャンパスに筆で絵を描くかの差である。位置情報、空間情報、夢への思いをどれだけ込めて、自由奔放に実際の形に創造するのだ。それにはアナログが適している。

 私は創造的な仕事にはドラフターに優位性があると判断した。今から、自分の夢をドラフターで書いて、それを実現するのだ。金儲け、時間効率を考えて図面を書くのではない。自分の夢を、ドラフターで、時間をかけて、手書きで書いていく人生の道を一歩一歩、確認しながら歩くのと同じである。無理やり走らなくてもよいのだ。時間に追われて走るのではないのだ。

 

私の経歴

 もともと私は技術者として、図面を書くのは好きであった。中学生のころから、飛行機の図面をよく書いていた。書くといっても航空雑誌の付録の図面を烏口でトレースして図面を描いただけである。それをもとに木製のソリッドモデルを作って遊んでいた。

 

 大学2年生の時、親にねだってドラフターを買ってもらった。当時の購入金額が6万円である。当時の仕送りが1万5千円で生活できた時代である。初任給が7万円チョットの時代である。ドラフターは高かったが、大学で特待生を獲得して授業料を免除したため、ご褒美として買ってもらった。

 就職して会社でドラフターを、仕事としてフルに使うので、自宅のドラフターは使うことはなくなり、10年後くらいに知人に譲ってしまった。

 

会社時代

 ドラフターは私がメシを食うために使った道具である。要求された仕様を満たすため、必死で線を引く。カンバンに追われ、上司の圧力を受けて、20年間、線を描き続けた。私は設計図を描く職人であり、機械開発技術者であった。ドラフターは、技術者には侍の刀と同じである。

 

CADの時代

 1990年ごろからドラフターからCADに変わっていったが、私にはドラフターが性に合っていた。その頃より、少し偉くなって、図面を描くのは若手の部下に任せるようになり、CADにはあまり触らなくなった。できた図面を検図する立場である。

 

技術管理部で三次元CAD導入

 それから時が流れ、部署が変わり、2000年から技術管理部署に異動になり、事業部の三次元CAD化を導入する責任者となった。親会社からの要求で三次元CAD化を進めた。しかし実際の創造的な開発には、その利用に疑問を感じていた。親会社が「三次元CAD化しないと仕事を出さない」と「脅迫」するのでは、いたしかたなかった。殿様の言う事は絶対なのだ。

 

 殿様が「カラスは白」と言えば、カラスは白なのだ。定年になり会社を離れて、やっと「カラスは黒」と言えるのは、幸せなことなのだ。

 

定年後の夢

 CADは金儲けを効率的に行うための道度である。定年後は、効率的に金儲けをする必要もない。夢の図を、思いを込めて一本一本と描いていくには、手書きでドラフターを使って描けばよいと判断して、ドラフターを購入した。そのデータを三次元データとして入力するのは、機械的な職人の仕事である。それは作業であって創造ではないのだ。

 

2022-08-30  久志能幾研究所通信 2477  小田泰仙

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