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2022年9月12日 (月)

感謝する心の有無  空港バス横転炎上の真因

 

 感謝する心を忘れてはならない。感謝する心があって初めて、物を大切にする気持ちも、人に対する謙虚さも、生きる喜びも生まれてくる。

       松下幸之助翁

 

 「ありがとう、お世話になりました」という声が聞こえる家に、破綻はないとは、馬場恵峰先生の言葉である。

 私が人を判断する指標に、感謝の言葉をその一つにしている。人が世話をして、礼一つ言わない人とは、その後の付き合いに一歩引いている。実際、長い人生経験で、その言葉のない人に何度も煮え湯を飲まされた。だからその人とは、付き合いを避けるのだ。自分の人生は自分で守らねばならぬ。

 人の行動の微分値が「感謝」の心である。その小さな行動で、その人の未来の行動を予測できる。

 今、自分がこの世に有るのは、ご先祖の恩、親の恩、友人知人の恩、師の恩である。毎日感謝して生きよう。

 

社是に「感謝」の有無

 会社の社是で、何のために会社が存在しているか、それに「感謝」の言葉の有無で、その後の行動が違う。

 トヨタは同業他社中で一番不祥事が少ない。日産、三菱の不祥事は目を覆うばかりである。

 松下電器(現パナソニック)は、同業他社の多くが外国勢に吸収されたが、現在でも健気に世界で戦っている。

 

 2022年8月22日に名古屋空港バスが横転炎上事故を起こした。そのバスの製造メーカは三菱ふそうである。その社是では、利益が最優先で、感謝の一言もない。

 三菱ふそうは、元は三菱グループの会社で、三菱自体が、約150年前の明治維新の時、岩崎弥太郎が政商として金儲けが目的で作った会社である。当時、渋沢栄一に一緒にやろうと話を持ち掛けたが、岩崎の考えでは社会のためにならないと、渋沢と岩崎は喧嘩別れをする。

 三つ子の魂百までで、三菱の体質は金もうけが脈々と伝わっている。それが三菱自動車、三菱ふそうにDNAとして伝わって何度も不祥事を引き起こしている。偶然ではないのだ。

 車メーカであるなら、まず乗客の安全、法令順守が第一のはずが、三菱ふそうの社是では、優先順位三番目である。それも「誠実」が最初で、その次に、おまけで「法令を順守します」である。その法令を大事にしない体質が、リコール隠しの背景にある。それが原因で多くの人の命が失われた。

 現在、三菱ふそうは、三菱から見放されて、ダイムラーグループに売り飛ばされて、ダイムラーの一員となったが、その体質は変わっていないようだ。衝突して簡単に炎上してしまうバス構造に、その設計思想が現れるている。いまだそんな簡単に炎上したバス事故は聞いたことがない。バスの構造基本設計が間違っているとしかいえない。人命軽視の設計が染みわたっているのだろう。

 

上記4社が、その後の社会に与えた醜態の有無は明白である。

 

豊田綱領の第5項目

 神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。

 

松下電器の「私たちの遵奉すべき精神(七精神)」の7番目

・感謝報恩の精神:感謝報恩の念は吾人(ごじん)に無限の悦びと活力を与うるものにして此の念深き処如何なる艱難(かんなん)をも克服するを得 真の幸福を招来する根源となるものなり

 

それに対して、日産の経営理念は、下記である。

 「独自性に溢れ、革新的な車やサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、全てのステークホルダーに提供します。それらはルノーとの提携のもとに行っていきます。」

 日産は、あくまで株主に奉仕するという社是である。そこには社会に対する感謝の念はない。

 日産は財閥の鮎川義介が、図面も設備も技術者もフォードから買ってきて、金儲けのために設立した会社である。豊田自動車は、豊田喜一郎が日本の工業力の成長、生産技術の向上の為に、全て国産で作ることを目指した会社である。日産の金儲けだけの会社とは違うのだ。三つ子の魂百までは、会社で当てはまり、その後の会社の成り行きを見れば、それが納得できる。だから目ざといゴーンは、日産をカモだと嗅ぎつけて、むしゃぶりつくしたのだ。だから恩有る社員の首を切るなど何とも思っていなかった。

 日産の経営理念には、車という装置に対して、ユーザの安全に関する配慮がない。最大の株主であるルノーの利益が最優先なのだ。だから今まで会社を支えてた恩が有る社員の首を切り、ご先祖の資産を切り売りし、見せかけに建て直しをしただけである。そうやってゴーンは利益をルノーに送り、自身も金儲けをしたのだ。その末路は悲惨であった。因果応報である。

 

三菱ふそうの企業理念 

ダイムラーグループの企業理念(三菱ふそうはダイムラーの一員)

「情熱」

 私たちは製品やサービスを通じてお客様の成功をお手伝いします。常に最善を尽くして取り組み、可能性を拡げる努力を惜しまず、学び続け、成長します。

「尊重」

 私たちは、相手の立場に立って行動します。お客様や関係する仲間に対して常に胸を開き、多種多様な意見や考え方を大切にします。行動力と独創力を大切にし、賞賛するだけではなく、ときにはアドバイスも行います。社会的責任を果たし、お客様に評価され得るように、日々、真摯に業務を遂行します。

「誠実」

 私たちは、約束を必ず守ります。企業理念、法令および社内規則を順守します

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 (豊田綱領では「法令を守る」が第一項目で宣言されている。

 現在のトヨタ基本理念の第一は、「内外の法およびその精神を遵守し、」である。トヨタが使う「遵守」という言葉は、三菱ふそうが使う「順守」に比べて厳格である。遵守は、順守と比べて厳格に守るという意味が含まれている。言葉一つで会社の姿勢が分かる。

 会社経営では、結果が全てである。それが三菱のリコール隠し、死亡事故の原因放置、空港バス炎上事故である。)

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「規律」

 私たちは透明性と公平性を守るために高い倫理観と誠意をもって議論を行い、根拠に基づく決断をします。結論は明確にします。我々は一団となって取り組みます。

  上記は、経営理念の言葉として私は違和感を覚える。この経営理念には、バス購入者の利益の言及はあるが、乗客の「安全」への言及がない。

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2022-09-12  久志能幾研究所通信 2489  小田泰仙

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2022年9月 8日 (木)

書道の秘訣、仕事道の秘訣

 

 うまく書こうと思わない事。(それでは何時までたっても書けない)

 今の実力で、良い紙に、よい筆で、良い環境で、真剣に全力で書く。

 そうすれば後世に残る。安い紙に書くから残らない。 

    馬場恵峰師談  

     日中友好書画交流展で(大村市)  2012年12月14日

 

 

上記の恵峰先生の教えを自分の仕事に当てはめる

 上手く世渡りをしようと思わない事。それはゴマすり、見栄っ張りで、表面的なお化粧をすることだ。

 今の実力で、よい材料で、よい道具で、今の環境で文句を言わず、真剣に全力で仕事に向う。そうすれば、後に残る仕事になる。妥協して仕事をするから残らない。

 その具体的成果を私は学んだ。その成果とは、具体的に有意差のある投資をすれば、具体的な投資回収を得る、である。ただしその投資回収は目に見えない形で、忘れたころの10年後である。

 

私の人生投資

 私は人より良い道具を選び、環境に不満を言わず、出来ることだけを自分で変え、自分を教育して、そういう縁が巡ってくるようにした。仕事の段取りを改善して、真剣に仕事に向かう。カネはかかったが、それに見合った成果が得られた。

 PCはいつも最高のもの(半分趣味)、良い本を選び(読書が趣味)、教師は日本一の人物を探し(師選びの目利き)、良き芸術作品を手に入れ(絵の目利き)、良い部屋を借り、良き書斎を作って仕事をしてきた。なぜそんな日本一の先生に教えを受けられたのか。それは私が最高を求めたからだ。

 

 米国自動車殿堂入りした田口玄一博士から、実験計画法を教えてもらった。

  これは前会社の教育部が頑張って田口玄一博士を招いてくれたお陰である。

 篠田義明先生から、テクニカルライティングを教えてもらった。

  先生の講義を聴いて、これは本物だと確信した。それからのめり込んだ。

  篠田義明先生はテクニカルライティングで日本の第一人者である。

 ミシガン大学スチーブンソン教授、マセイズ教授から講義を受けた。

  両師ともテクニカルライティングの世界的権威である。

  100万円を払って、ミシガン大学で講義を受けた。

 松本明慶先生から、人生を教えてもらった。

 百歳の伊與田先生から論語を教えてもらった。 

 眼科医の三好輝之先生から、指導を受けた。(歴代世界第2位の手術数)

 塩沼亮潤大阿闍梨のお話しを4回聴いた。東京、京都と足を運んだ。

 安岡正篤師の話を何回もテープで聞いた。

  講演テープは全巻100巻で、価格100万円。

 

 世界の美術館・博物館を延べ80館以上に行き美術品の見る眼を養った。

  海外に行けた時、観光地ではなく美術館・博物館を意識して回った。

 

 馬場恵峰先生から16年間、人生を教えてもらった。

  九州に飛んだ費用は、16年間で一千万円を超えた。九州までの旅費宿泊費と書画購入費が高いのだ。それが無駄だったとは思わない。

 

 お金は使ってなんぼである。貯めて持っているだけでは死蔵である。お金はお足である。それ閉じ込め、外に出さないと、お金に恨まれる。貯めても預金通帳の数字が変わるだけだ。それをあの世には持って行けない。死ぬ時に後悔する。遺族が喜ぶだけだ。最大の投資先は自分である。

 

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 馬場恵峰先生  当時85歳

  日中友好書画交流展で  2012年12月14日

 

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 大村テレビの取材を受ける恵峰先生 

  日中友好書画交流展で  2012年12月14日

 

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 馬場恵峰先生の道具

  墨は昭和天皇が使われたと同じもの。価格80万円。

  筆は象牙製で、150万円。

  硯は端渓麻子坑産で数百万円。現在は中国から持ち出し禁止。

  古来、端渓硯の産地として端渓三大名坑とされてきたのは、老坑、抗仔巌、麻子坑を指す。老坑は2000年頃、坑仔巌、麻子坑は2007年頃に閉鎖され、それから採石されておらず、今後もその予定はない。そのため、これら三大名坑の硯が希少になってきている。

 

2022-09-08  久志能幾研究所通信 2486  小田泰仙

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2022年9月 7日 (水)

老道の終りは、人生事業の廃業

 

 今日(9月7日)、町内の方より、立て続けに2件の死亡連絡を受けた。時節柄2件とも家族葬である。この訃報が私のブログ記事「希望を持ち、努力で老道を歩み、感謝して永眠する」の翌日なので、なにか神仏の啓示を受けた気がした。人が老化すれば、死に近づくのだ。どんな事象もメッセージを自分に発している。それを真摯に受け止め、今後の生き方を見直したい。

 

 一人の方はこの春に町内の悩ましい案件で、一緒に打ち合わせをしたばかりのご縁である。73歳でガン死である。暫らく顔を見ないなと思っていたら、この訃報である。この方は、自分とあまり年齢が変わらないし、自分も3年前にがんを患ったので、他人ごとではない思いである。

 もう一人は、町内最高齢の102歳の方である。天寿である。それはめでたいことだ。長寿は3大福の一つである。福禄寿こそお宝で、人生に頑張った証しである。

 

人間稼業の見直し

 死とは人間稼業の廃業である。人間は「人生」という事業を展開している。その事業を経営する以上は、何度もその事業の見直が必要だ。それに遅すぎることも多すぎることもない。

 

 人は、定年退職をして悠々自適の生活でも、何らかの社会貢献はしているはずだ。人生事業を経営するには、事業の定義の定期的な確認が必要だ。この世で永続するものはない。どんな事業も何時かは、衰退するし、その定義自体も陳腐化する。

 ドラッカーはそのため、①事業環境の定義、②使命とするものの定義、③強みの定義を見直せと言う。

 自分が生きていることが社会に役立っていなければ、人生事業を継続する意味がない。それでは、生きているのではなく、生き長らえているだけの存在となる。会社でも、人間稼業でも、生きている限り、社会に付加価値を与える存在でありたい。

 

生きるとは

 生きるとは、「必ず死ぬ命」をかかえて、過去・未来を振り切り、今、自分に与えられたお役目に全力を尽くすこと。

 定年後、自分が置かれた環境で、自分が社会にどんな貢献をしているか、見直すのはよいことだ。自分の使命を見直すのも必要だ。その使命を全うするのに、自分の強みは何かを再確認するのも必要だ。そうすれば、生涯現役として生きられる。

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 馬場恵峰書

2022-09-07  久志能幾研究所通信 2485s  小田泰仙

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希望を持ち、努力で老道を歩み、感謝して永眠する

 

 つい先日、入社して新入社員として走り回っていたと思っていたのに、いつの間にか老いを意識する日々となった。人にとって50年間などあっという間だ。私もあちこちに体の不自由さを意識する歳となっている。

 若い頃は、人様より3割も多い髪の毛(母からの遺伝)に床屋さんがいつも手を焼いていたが、いつの間にか消滅......(苦笑い)。

 

 紅顔いずくへか去りにし、尋ねんとするに蹤跡なし (修証義)

 

命の健康寿命

 「老」とは歳を取ることではない。歳をご先祖から頂いた結果として「老」である。それは幸せなことだ。その「老」を頂けず、還暦前に亡くなった仕事仲間の数は20人を超えた。中学校のクラス仲間の2割が、66歳までに死んだ。体の弱かった私が、過酷なビジネス戦争を生き延びれたのは、ご先祖様のご加護だろう。

 その私も平均健康寿命の歳を超えてしまった。嫌でも死を意識してしまう。せめて年甲斐もない醜態は見せまいと思う。それが「老い」の戒めである。

 

練った道

 「老」を頂くとは、練った道を歩むことだ。若気の至りが満ちていた時は、がさつな振る舞いで、荒地の道しか歩めなかった時代がある。練った道なら、人が多く歩いてくれる。自分の設計した道に賛同してくれる。

 

オイル

 「老」という字には「結ぶ」という意味がある。男と女が結婚して新生児が生まれる。物事は二つのモノが結ぶことで、生成発展する。異質なものが結合して新しものが生まれる。新しいものが生まれることを創造、化成という。異質なものを結べる力を持つのが「老」である。それが智慧である。異質なものを結ぶには、軋轢が生じる。それを潤滑油のオイルで滑らかにする。それが老いるである。

 

化ける

 「化」の偏の「イ」は背の伸びた若者を意味する。「ヒ」は腰の曲がった老人の意味である。若者と老人が結びついて、新しい文化が生まれる。古典の文化が新しくなり、化けたのだ。老から若者に伝承された芸術が、創造される。伝承されて芸術がより高度に化けていく。老人は、その成果を「置いて」人生舞台から下りればよい。

 

推敲

 同じことを何度も何度も繰り返し、より良い作品になるように練っていく。それが推敲・老練である。作品は見直した回数が多いだけ、作品は良くなっていく。自分の最大の作品は、「自分の歴史」という人生なのだ。失敗が多いだけ、見直した数だけ、よりよい人生となっていく。

 

ノーシードは老の反対語

 エリートは最初からノーシードで良いポジションから勝負なので、人生を歩くには楽である。しかしエリートは一度でも失敗すれば、それでゲームセットである。

 しかし非エリートは、何度も失敗をして、それが経験として積み重なり、人生をやり直せる。私は非エリートの道でやってきた。それが練った道を歩んだことだ。

 

老の道を歩く

 私は日々「理」と「文」の世界を結んで、新しい世界を創っている。

 私は人間と非人間の佛の世界を結んで、経典を書いている。

 私は「病」と「健康」を結んで、生と死を考えている。それは病を得ないと悟れない。病とはご先祖からの啓示である。自分で自分の生活を正さないと、病は治らない。

 失敗のない人生は、試験管ベービの人生だ。私は多くの経験を結んで、老いて、練った道を歩みたい。それが人間の歩む道だ。

 馬場恵峰先生は94歳まで現役で活躍され、最後は1か月程寝込まれ、皆さんに見守られて眠るように1月1日に亡くなられた。私が病床にお見舞いすると、恵峰先生は「縁ありて花開き、恩ありて実を結ぶ。ありがとう、ありがとう」と何度も言って涙ぐまれた。良き師の最善の生き方を見せてもらえて幸いであった。

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    馬場恵峰書

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2022-09-06  久志能幾研究所通信 2484  小田泰仙

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2022年9月 3日 (土)

坂上の玉 雨が降ったら 傘をさす

「雨が降ったら傘をさす」(松下幸之助翁)

 

 私はその言葉を思い出して、雨が降ったら傘をさして散歩をすることにした。今までは、雨が降ったらそれを口実に散歩を止めていた。人は言い訳をしだすと何でありである。やると決めたことを簡単に破ってしまう。だから私は雨が降っても、傘をさして無理しても散歩をすることにした。

 人は坂の上の置かれたボールのような存在だ。意識をして下に転がらないようにいつも筋肉を使わないと、下に転げ落ちてしまう。その場で何もしないと、ボールは下まで自然に転げ落ちる。下まで落ちるとは、「死」である。使わない器官は退化する。だから雨が降ろうが槍が降ろうが、筋肉は使わねばならぬ。さすがに大雨時は散歩を控えるが、普通の雨なら、私は傘をさして朝の散歩を継続している。死んでもいいが、健康第一である。

 

 そうは言っても後30年間もこの歩ける健康状態が続くわけではない。人は老い死んでいく。80歳、90歳になればその散歩も叶うまい。だからこそ歩けるうちに歩かないと、歩く筋力が減退してしまう。普通に歩けるとは何と幸せなことか。日本人男性の平均健康寿命は72歳で、平均寿命の81歳である。日本では9年間を寝たきりで過ごす人が多い。60歳の定年後、5年程ぶらぶら過ごしたら、後7年後には寝たきりか、認知症(脳死)になる年なのだ。だから第二の人生の大事を急げ、である。時間は待ってくれない。

 66歳の時、中学校の同窓会に参加した。その時、当時のクラス仲間の2割が既に亡くなっていることを知って愕然とした。次は自分の番なのだ、と。

 私は健康で過ごせて、歩けることに感謝して、毎日歩いている。

 

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運動不足の害

 早稲田大学スポーツ科学学術院の川上泰雄教授は以前、宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに長期滞在した場合、体がどうなるかという実験をした。無重力の状態を再現するため、被験者に3週間、ほぼ寝たきりの状態で過ごしてもらった。その結果、実験開始から2週間目には太ももの筋肉が14%も減少した。14日間で14%ということは、1日1%の割合で太ももの筋肉が減ったことになる。通常の成人の場合は加齢により太ももの筋肉が1年で約0.5%減るそうなので、1日で2年分も筋肉が減ったことになる。

 

怖いのは筋肉だけでなく、脳への影響

 「脳は体に『動け』という指令を与える機会が少なくなると、その神経系にマイナスの適応が起きてしまい、思うように体を動かすことが出来なくなるんです。ですから、運動を続けるということは、筋肉を鍛えるとともに、神経系を刺激し鍛えるという意味もあるんです」(川上教授)

運動不足だと1日で2年分の筋肉が落ちる? 自粛生活での行動が分かれ道 | パラサポWEB (parasapo.tokyo)

https://www.parasapo.tokyo/topics/30566

 

成年重ねて来たらず
一日再び晨(あした)なり難し
時に及んで当に勉励すべし
歳月は人を待たず

  陶淵明(365~427年)『雑詩十二首』

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  馬場恵峰書

2022-09-02  久志能幾研究所通信 2480  小田泰仙

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2022年9月 2日 (金)

私の「ものつくり工房」完成

 2年前に別宅を入手してから、少しずつ居間を整備してきた。約2年が経ち、やっと居間が「ものつくり工房(仕事部屋)」として成長した。部屋だって目標があれば成長するのだ。

 少しお金はかかった。運命学では「お金とは、新しい可能性を模索するための資源」である。お金は貯めて死蔵するものではない。お金自体に価値はない。お金は使ってなんぼである。人生経営での課題は、持てる資源をどこに、どう配分して、いつ使い、どう最大の成果を上げるかである。その人生経営の社長は、自分である。

 

 新しい部屋から新しい人生が始る。新しい畳から、新しい多くの可能性が生まれる。古女房ではだめなのだ。新しい世界では、畳は新しくなければならない。人は裸で生まれて裸で死んでいく。お金はあの世に持って行けない。生きている間に、良き服を着て、良い人と語り合い、良いものを作る。そこからご縁が生まれる。「もの」とは作品、著書、イベント、教育、貢献等で、自分が社会へ送り出した知的財産である。最終的な作品は、自分自身である。

 私にとって新しい服とは、書斎であり、仕事部屋であり、新たに身に付けた知識である。人物鑑定をするなら、その人の書斎と書棚を見れば、一目瞭然である。それでその人の人生観が分かる。

 

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ものつくりのための道具

 先日、ドラフターを設置してやっと仕事部屋としてさまになった。ドラフター横の机も、倉庫で20年間寝ていた机を活用した。立机も2年前に、山路先生に特注で作ってもらい設置した。使っているとモノが増えていき、机面が狭く感じたので、最近、机面を20cmほど拡大する追加工事を山路先生にしてもらった。

 立机での仕事だから、椅子は置いていない。私は「仕事の疲れは仕事で取る」がモットーである。だから椅子は不要である。

 電気スタンドは、1970年代に英国で製造されていたモデルで、2004年に復刻された製品である。落ち着いたデザインに魅了されて、ヤマギワ電気で購入した。

 

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資料

 資料も50年分のスクラップ資料(約300㎏)が整理できた。それは日経ビジネス、週刊ダイヤモンド、東洋経済、Will、致知、ゲーテ、週刊誌等のバックナンバー、記事のスクラップである。

 ニューヨークタイムズも8年分を整理した。これは後藤悦夫先生から勧められて、購読を始めた。2010年から2017年までの8年分の新聞の抜粋である。ニューヨークタイムズの記事は、テクニカルライティング上で勉強になると後藤先生から言われた。

 書棚(幅80×高180㎝)を別宅に14個導入した。自宅には4トンの蔵書がある。

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  50年分のスクラップ資料

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  8年分のニューヨークタイムズ

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 またパソコンが普及する前は、B6のカード(京大カード)で情報を整理していた。そのカード数が約10,000枚を超えた。それをB6ケースに整理した。それを立机の横に設置した。今でもそれを活用している。これも私が50年間、京大カードにメモを書き続けてきた人生跡である。

 

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IT道具

 プリンター兼コピー機(ブラザー製、2万円)も新設した。安価なWindow11ノートパソコンも先月に導入した。CPUはセロンだが、意外と性能がよく、安いパソコン(約9万円)を見直した。

 モニターもドラフターと場所を入れ替えた。モニターだからテレビは映らない。なにせアンテナ線もない。また電話を設置していない。静寂な環境を一方的に破壊するのは電話である。だから電話線は設置していない。必要な時、スマホを持ってくるだけだ。

 

おもてなし

 来る人行く人は皆福の神である。心しておもてなしをしよう。来客用の椅子も低座椅子を用意した。昔から使っていた普通の椅子の足を切って、低座椅子に改造した。低座椅子は、座ると視点が低くて、部屋が広く感じられて、落ち着いた気持ちになる。

 来客用で、小型冷蔵庫も設置した。中には飲み物しか入れていない。料理道具はケルトと小型電磁コンロだけである。

 

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ものつくり

 本箱の上のグライダーの模型キットは50年前の年代物である。結局組み立てず、そのままになっていた。その模型キットの箱を展示である。いつか組み立てたいと思っている。

 その横のヘリの箱は、ゴム動力式のスウェーデン製の模型キットである。美濃市の模型店で昨年、購入した。もったいなくて組み立てていない。これは飛ばせば直ぐ壊れそうだ。

 今後、飛行機の図面も書きたいし、音楽サロンの建築図面も書きたい。

 

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2022-09-01  久志能幾研究所通信 2479  小田泰仙

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2022年8月31日 (水)

空港バス横転炎上、飽食文化と拝金主義文明への警鐘

飽食の外道・拝金主義へ堕落

 人類は誕生以来、この20万年間、飢餓に苦しめられていた。だからDNAは食品が体に入ってくると、溜め込む性質となっている。しかしこの数十年、人類初めて飽食の時代を迎え、自分の食欲に制御ができなくなった。それにかこつけて食品メーカが、食べろ食べろと、けしかけているのが現代社会である。それが現代の日本で突然死年間10万人の結果である。それが空港バス横転炎上の原因である。

 また利益至上主義、拝金主義の結果で、安全性無視のバスの設計・製造がまかり通っている現在の経済界である。

 それに対して、神仏は日本社会の堕落に空港バス横転炎上事故で警鐘を鳴らしたのだ。

 

空港バス横転炎上

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。 

 当時、助かった乗客は、割れた後部窓から脱出した。もし横転しても後部窓が割れず、火災が起きていたら、全員焼死していた恐れがあった。

 

原因追及

 その事故を起こした第一原因は、運転手の意識喪失とするのが、一番合理的である。ステアリングやブレーキの故障や都市高速道路の欠陥では、事故直前の状況を説明できない。95%の確率で、運転手の意識喪失が第一原因であると私は推定した。

 

突然死

 日本では年間、10万人が突然死している。多くの場合、バス等の運転ではないので、大きな問題になっていないだけである。現在、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その事故数で幸いである。

 その際に、事故がバスなら燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。

 

突然死の原因

 その突然死になる主原因は、心臓病、心筋梗塞、脳溢血、脳梗塞が原因である。その病気になったのは、狂った食生活が原因だ。

 拝金主義に染まった食品メーカは、消費者の健康を無視して食品を開発し、売りまくる。宣伝をテレビ、新聞雑誌上でしまくる。

 それに便乗したのがマスコミで、食品のCMの氾濫である。食品メーカは大事なスポンサーなので、マスコミは絶対に批判的な記事は載せない。

 その結果が、循環器系の病気の蔓延で、高血圧症の激増して、それが心臓病、脳梗塞、脳溢血の原因となる。またがんも激増した。

 だから、マスコミはその真因を追求せず、事故の第一原因ばかり追究していて、真因には口をつぐむ。

 

バス全焼の原因

 またバスが炎上し全焼した主原因は、利益至上主義、拝金主義の人命軽視の設計・生産・販売である。バスに乗れる乗客数を最大限に拡大するため(利益追求)、燃料タンクを危険な場所に設置した。その設計思想が異常である。そのバスを設計製造した三菱ふそうは、リコール隠しを行った反社会的な会社である。

 

下記の資料は佐賀大学の資料

突然死について

https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000838279.pdf

 

突然死について

 一般社団法人日本循環器学会 参考人提出資料

     佐賀大学医学部 2021(令和3)年10月1日

・ 突然死の発生率は人口の0.1~0.2%,総死亡の10~20%であり,原因は不整脈、虚血性心疾患等の脳心血管病が殆どである。

・ 心臓突然死は、健康だと考えられていた人が、致死的心室性不整脈により、心臓が正常に収縮できなくなり、脳に血液が循環せず死に至る疾患である。本邦では、心臓突然死によって年間約6〜8万人が亡くなっている。

・ 若年男性の突然死の原因の一部に器質的疾患を伴わないブルガダ症候群等の遺伝的不整脈による心室細動、動脈硬化病変を伴わないストレス等による交感神経過緊張から生じる冠攣縮性狭心症が含まれており、剖検所見では器質的異常は認められないことがある。

 

突然死の原因

1.心疾患

   不整脈 心室細動

   遺伝性致死性頻脈(ブルガダ症候群、QT延長症候群)

   後天性QT延長症候群 洞結節不全症候群

   虚血性心疾患、心筋症、心筋炎

2.大動脈疾患、肺動脈疾患

   動脈瘤破裂、解離性大動脈瘤、肺塞栓症

3.失血性疾患

   消化器潰瘍、静脈瘤、肝がん破裂など

4.脳血管障害

   脳出血、くも膜下出血、脳梗塞

 

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2022-08-31  久志能幾研究所通信 2478  小田泰仙

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2022年8月30日 (火)

人間焼却炉上で10年奮闘  バス横転炎上の対策

 

 私は前職の会社で、技術者の教育を担当していた。そのため、技術教育の一環で各地の工場を見学していた。その引率者としてバスの最前部席に座って、新人技術者や中堅技術者をあちこちの工場見学に案内した。

 また私は財団法人自動車技術会の支部事務局として、各地の特色ある工場見学の為、バスの最前部席に座って、自動車技術会の会員をあちこちの工場見学に引率した。そういう仕事を10年間も続けた。

 また頻繁に県営名古屋空港行きのバスにも乗っていた。飛行機の撮影のためだ。それも多くの場合はバスの前の方に座っていた。

 また町内の親睦バス旅行でも、立場上、バスの最前列席に座る。

 今までの10年間の経験でも、自分が引率したバスで、事故を1回経験している。

 そういう経歴で、前職の会社の全社員(約1万人)中で、私がバスの最前列席に座った回数は、一番多いと思う。

 

 もしそういう状況で、2022年8月22日の名古屋市北区の空港行きの大型バス横転炎上事故は人ごとではなかった。私もこのような事故に巻き込まれれば、焼死していた恐れがある。バス前部の席は燃料タンクの真上にあり、事故で炎上すれば、その席が人間焼却炉となってしまう

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 ANN  NEWS  より   "ただのノア@Noa_Ark_03"さん撮影

 2022年8月22日10時15分、名古屋市北区の名古屋高速道路・豊山南出口付近で、空港行きの大型バスが本線と出口の分離帯に突っ込んで、横転して炎上した。後続の乗用車もバスに追突し、2時間半も炎上し続けた。運転手と乗客の2人が死亡した。脱出できた7人は軽いけがですんだ。死亡者はバスの運転手と乗客一人で、死因は焼死であった。

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 幸い、私は仏様のご加護でそういう目に逢わずにすんだ。

 人が運行する事象では、事故は絶対に起きるもの。それを予想して対策をするのが危機管理である。

 

 私は「知りたることを、人に教えざるは、借金をして返さざるが如し(福沢諭吉翁)」の言葉を大事にしている。

 そして気が付いたことを世に知らせる。それが一燈の明りであっても、それを灯し続ければ、何時か多くの人が賛同してくれる日が来る

 

バス横転炎上事故を踏まえた対策

 運転手も生身の人間である。突然の疾患に襲われ意識を失うこともある。その対策が必要だ。現在は、バスやトラック、タクシーで、年間300件ほどの運転手の突然疾患での事故が起きている。その際に、燃料タンクが破損して、今回のようなバス全焼事故が起きる恐れが高い。 

 意識喪失や居眠り等検知用の瞳センサを設置。

  異常時に非常停止

 

 燃料タンクをバス前部に配置する構造的欠陥を無くすこと。

  これは法的整備が必要だ。

 燃料タンクを保護する骨組みを設置

  これは法的整備が必要だ。

 

 非常停止ボタンの設置

  バスの運転手の異常で、乗客が非常停止ボタンでバスを止める。

  これは既に6%ほどのバスに設置されているようだ。

 

 後部に非常用脱出ドアを設置

  バスが横転しても使える脱出ドアが必要

  後部や横の非常時ドアは、横転すると使えない。

  バスの天井に非常用脱出ドアを設置(横転時用)

 

 バスの窓ガラスを割る脱出ハンマーを各所の設置

  バスが横転すると、シートベルトが体に食い込み、ベルトを外せない。

  そのため脱出ハンマーにハサミが付いている必要がある。

 

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  馬場恵峰書

2022-08-29  久志能幾研究所通信 2476  小田泰仙

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2022年8月28日 (日)

健康は維持でなく、創り出すもの

 

 体の組織細胞は数年で全て入れ替わる。腸管の上皮細胞は数日、血液は4か月、肌は一か月、骨は5か月で入れ替わる。今日の自分の体は、昨日の体ではない。毎日少しずつ細胞が入れ替わっている。その体を作る原資は食料である。

 健康が運命を決める。健康でなければ、カネがあっても何もできない。健康とは体と心の健やかさを言う。体だけ健やかでも、心が健やかでなければ、健康とは言わない。

 健康を害する最大の敵が、食べ過ぎである。食べ過ぎとは、自分の体の消化部門の細胞に過重労働(奴隷労働)を強いること。食べ物が胃に入ってこれば、消化器官は嫌でも働かざるを得ない。飽食とは、ブラック企業と同じ仕打ちを、自分の体にすることだ。その結果が、がん、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、認知症への地獄の道である。

 

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宇宙根源の理

 遺伝と環境により老化速度は変わる。その比率は遺伝的要因が約2割、環境的要因が約8割である。新陳代謝の速度は加齢により低下していく。古い細胞の老廃物などが体内に残りやすくなり、その影響が体の変化として表れてくる。体の変化にも大きな個人差がある。それは、食事で内臓に強制労働を強いられれば、老いは早くなるのは宇宙根源の理である。

 実際に、一卵性の双子でも喫煙者と非喫煙者とでは、老化の速度や見た目の年齢が違ってくることを米国の研究で実証した。

 その差を生む環境因子を決めているのが、毎日の生活習慣。偏食や喫煙、睡眠不足、運動不足、ストレスの多い生活は、新陳代謝力を低下させることがここからも分かる。

 日ごろから、下記のような健康的な生活習慣を続けているかどうかで、体内の部品交換の進み具合が変わる。その積み重ねが、数年後、数十年後の健康寿命を決める。日本人の健康寿命は72歳である。その後の9年間を寝たきりで過ごすか、現役で過ごすかは、日頃の健康創りにかかっている。

 

使わない器官は退化する、健康を創るとは辛い事

 使わない器官は退化する。1週間寝ているだけで、体は、筋肉がもう必要がないものと判断して筋肉量を減らしてしまう。だから毎日、筋肉に負荷をかけて動かさないと筋肉は維持できないし強くもならない。だから筋肉量を維持することは辛い事だ。

 頭も使わないと退化する。テレビばかり見て受動的になると、テレビに洗脳されて、認知症への道をまっしぐらである。65歳以上は15%が認知症である。75歳以上はそれが25%になる。

 創造の「創」とは傷口のこと。偏の「リ」は、砥石と刀のことである。刀で皮膚を傷付ければ痛い。その傷口から血が噴き出す。侍は「なにくそ、こんなことで死んでたまるか」と傷口に酒を吹き付け、さらしを巻いて、決戦場に向かう。その傷口から新しい組織が生まれてくる。それが「創」である。

 

心の健康

 豊かな食事をすれば細胞に栄養素が行き届いて細胞がより活性化するように、豊かな言葉を吐けば、より豊かな心が養われる。その反対に呪いの言葉を吐けば、その毒は自分の心を汚染せる。

 心に入る正負の言葉の全容量は決まっていて、プラスの言葉が心に多く入れば、マイナスの言葉が出ていき、心が豊かになる。その反対にマイナスの言葉ばかり吐けば、心はマイナスで埋め尽くされる。そうやって心が創られる。いしきして言葉を選ばないと良い心は創れない。

 

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欲望は暴走する

 欲望が暴走するのは、頭が健康でなくなった現象である。人は少し多めのカネを手に入れると、更に多くのカネを求めるようになる。欲望が暴走し、更に欲望が大きくなる現象だ。その欲望は、社会の規範を蹴飛ばして暴走を更に加速する。

 例えば、ソフトバンクの孫氏は、日本一の金持ちになっているのに、更に金が欲しいとカネ儲けに暴走している。税金とは社会インフラを使うための使用料金である。その社会インフラを使っても税金を払わねば、社会に対する犯罪である。しかし孫氏は社会インフラを使って巨額の商売をしても、税務上で細工をして表面上は赤字に見せかけて、税金を払わない。明らかに異常な行動である。社会に対する犯罪である。しかしそれが彼には分からなくなっている。つまり頭が健康ではなくなったのだ。それを「餓鬼道に堕ちた」という。餓鬼になった彼は尊敬できる経営者ではない。

 

2022-08-28  久志能幾研究所通信 2475  小田泰仙

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2022年8月25日 (木)

お墓改建の後始末

 

 2015年のお墓の開眼法要の後始末も終り、ほっとした2016年元旦、お寺から年賀が届き、今年の年忌に当たる母の戒名が入った連絡書が同封してあった。それがまたひと騒動の始まりであった。

 

後始末

 人生の出来事で何事も後始末が大事なのだ。たった一つの後始末をきちんとしないために、全てを失うこともある。人生は能舞台なのだ。人はそこで演技を舞う。神仏から人生舞台でのお役が与えられている。黙って舞台に上がり、黙って演技をして、黙って舞台を降りる。幕が下りても、舞台を降りてその場を去るまでは、人生なのだ。最後まで気を抜かず演技をしよう。

 

戒名が違う!

 その母の戒名が私の記憶にある戒名と違っていた。2016年1月3日、お寺に行き確認をしたら、お寺の過去帳に記載の戒名と位牌の戒名が一文字だけ違っていることが判明した。他の戒名も不安になり、墓誌に書いた先祖の戒名を再確認したら、祖父祖母、母の3名の戒名が違っていた。今まで43年間もその戒名の位牌に手を合わせていたので、その戒名が過去帳と不一致だとは夢にも思わず、それを元に墓誌を作ってしまった。墓誌を作るとき、家に位牌のない親類縁者の戒名はお寺の過去帳から確認してもらったが、戒名が既知である両親と祖父祖母の戒名の確認をしなかった。家の仏壇に位牌があることで盲点となっていた。

 

ゴッドファーザーとのご縁

 戒名とは、葬儀の引導を行う僧侶が故人に付ける名前である。故人は戒名を授けられることで僧侶の弟子となり、来世で仏道を修行することになる。院号とは、その故人が来世での修行のために建ててもらった寺の名前である。院号は本来お金では買えず、お寺や社会に貢献をしないと授けてもらえない。

 それゆえ引導をする僧侶はゴッドファーザー(名付け親)である。その戒名はゴッドファーザーの意志が絶対である。白木の位牌に書いた戒名と過去帳に書く戒名が食い違っていても、住職が過去帳に書くときが絶対に正しいものとして扱われる。位牌に書かれた戒名は、50回忌が終ればお炊き上げされてこの世から消える。しかしお寺にある過去帳は永遠に消えない。それ故、食い違いがあっても、どちらを正とすべきかは自明である。そのため今回の戒名の不整合は、過去帳に合わせて直すことにした。位牌も墓誌もお金を掛けて直せば済む話であるが、過去帳は直せない。

 過ぎ去った過去を消せないのが人生である。しかし人生の出直しはできる。自分が位牌を作り直せる状況であるだけでも、幸せである。自分が下流老人でないことを喜ぼう。今回、ご先祖は新しい位牌を作ることで、正しい戒名で仏道の修行に励まれることになる。

 導師である僧侶が過去帳に書いたときが、その故人に一番相応しい戒名である。30年来の吾が師である本多先生(住職)の教えを頂き、本件を納得することになった。本多住職は私のニックネーム「オダブツ」の命名者でもある。つまり私のゴッドファーザーである。

 

 このご縁で小田家先祖の為写経を再度やりなおして、39枚の写経を完成させた。祖母の追善供養法要(2016年2月12日)後に、その写経をお墓に奉納することにした。また墓誌も再製作をした。半端な金額ではない。えらい出費である。

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 馬場恵峰書 写真集『心に残しおく古訓言』 撮影2015年10月26日

  

2022-08-25  久志能幾研究所通信 2472  小田泰仙

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