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2018年5月 3日 (木)

身閑夢亦安養心

 2018年3月28日、大村市の馬場恵峰先生宅に写真撮影のために訪問したおり、壁にかかっていた「身閑夢亦安養心」の掛け軸が目に留まった。読み方を聞くと「身のどかにして、夢また養心を安んず」である。これは恵峰先生が心がけている信条とか。またその軸は、日本では入手困難な貴重な中国製である。なにか閃くものを感じて、即、譲っていただく決断をした。

 この軸は特殊な模様の入った紙材で、先生の書き賃よりも軸の原価のほうが高い。

 

忙と閑

 「忙しく」慌ただしく日々を過ごしても、良き人生は送れない。しいと(のどか)は対極にある。「忙」とは「心」を「亡」くした状態である。

 「閑」とは門の間に木を置き、他からの侵入を防ぐ仕切りの意味を表わす。一人静かに考える環境と時間を作りことである。そうしないと人生の道を誤る。

 ギリシャ時代の哲学者(スカラー)は、労働は奴隷にさせて、自身は閑だから哲学を考えていた。閑だから考えれるのだ。哲学者のスカラとは、ラテン語で閑という意味から派生した言葉である。学校(school)もスカラから派生した言葉である。閑だから学べるのだ。

 

組織の長の役割

 行政の長の中には、全ての行事に顔を出して、自分の顔を売ることに余念のない市長がいる。忙しすぎて、大事な市の行事の神事で居眠りさえする。抹消的なことに執着して、大事な百年の計には頭が回らない。些細な行事は副市長やその委員長に任せればよいである。市長がしゃしゃり出ても何の付加価値も生まない。それはルーチンワークで、戦術のレベルである。組織の長は、戦術ではなく100年の計、戦略を考えねばならぬ。

 

夢の実現

 忙しい忙しいと自慢するように走り回っている経営者がいる。私は彼を自分の時間を作れない愚か者だと軽蔑している。それでは戦術に溺れている実務者でしかない。それは部下に仕事を託す才覚のない経営者である。部下が育たないから、ますます忙しくなる。それでは夢の実現など、夢の夢の悪夢である。

 この軸を自宅に持ち帰り、早々に座敷に吊るして毎日この軸を眺めている。心が安らぐ日々である。私はこの軸を眺めながら、閑(のどか)に20年後の夢が実現できる戦略を練っている。 

1p1040825

 梱包のために軸を下す恵峰先生 2018328

2p1040989

  珍しい模様の入った軸。恵峰先生は、表装された軸に直接揮毫される。

 

2018-05-03

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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