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2018年5月 8日 (火)

松本明慶佛像彫刻美術館 ~ 訪問記

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 本美術館には、昭和から平成にかけて松本明慶大佛師によって謹刻された佛像が168体(20184月現在)も展示されている。松本明慶師が40年の歳月を賭して完成させた大日如来をはじめとして、様々なお姿・表情の木彫刻の佛様が出迎えて頂ける。日本屈指の佛像彫刻美術館である。

 201855日に訪問して、写真を撮らせて頂いた。重い三脚とカメラを担いでの訪問となった。春の連休中で大混雑の京都の中で、ここは別世界の静寂な空間である。

 なお、文中の「大広間」(第一展示室)等の表現は私の勝手な命名で、正式名称ではありません。現在、名称を募集中とか。

 

迎賓の間(玄関)

 松本明慶仏像彫刻美術館の玄関の戸を開けると、蓮の葉に乗った高さ55cmのブロンズ製のかわいい童観音座像が笑顔で出迎えてくれる。その雛型の白檀の一本彫り童観音座像のサイズは12cmである。5倍に拡大しても、その形状に破綻がない。松本明慶師が言われるように緻密に作られているから、どれだけ拡大しても、その形に破綻がない。

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玄関広間(一階ロビー)

 1階の玄関広間では、学芸員の松本華明さんが優しく出迎えてくれる。来訪名簿に記帳をして1階を一回りしてから2階に進もう。

 一階の壁には、松本明慶師が全国にお納めした大佛19体の写真が年代ごとに展示されている。松本明慶師が36歳で初めて挑んだ大佛・不動明王を起点として、現在に至るまでの大佛造佛の軌跡をご紹介している。2015年に高野山金剛峰寺中門に納佛した広目天立像・増長天立像の納佛風景の写真も興味深い。

 1階に置かれたテレビモニタでは、松本明慶師の仏像彫刻のドキュメンタリーが放映されている。お土産コーナで、関連図書や絵葉書、干支の木彫刻、白檀のお線香、Tシャツ等のグッズが売られている。

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大広間(第一展示室)

  2階の大広間には、なじみ深い仏様が並んでいる。沈香・白檀・桧・欅・楠などを材とした、一木づくりの味わい深い佛像である。広々とした空間で落ち着いて仏様を鑑賞できる。

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本丸お前立ちの間(第二展示室)

 「本丸お前立ちの間」には、懐に入れてお守りとして持ち運べる白檀の緻密な「香合佛」が中央に展示されている。寄木作りの佛像製作を説明したパネルも興味深い。奥に風神、雷神の仏様が睨んでおられ、お前立ちのお役目である。

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本丸の間(第三展示室)

 この本丸には、松本明慶大佛師の代表作が展示されている。この重厚なテーブルと椅子に座って周りの佛像を鑑賞しながら小久保館長から佛像の説明を聴こう。静かに思索にふけるには最高の場である。

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身閑の間

 私はここを「身閑の間」と呼んでいる。ここに座ってこの「本丸の間」と向うに見える「奥の院の間」の佛様に囲まれて過ごしていると、寺院で佛様を拝んでいるのとは少し違う心境で、自分を見つめることができる。寺院では、畏れ多くてご本尊の前で恐縮してしまい、自分も構えてしまいがちだが、ここではのどかで安らかな気持ちで、己を飾らずに佛様と接するすることができる。

 己の身が閑(のどか)でなければ、自分が何者か、どこからきて、何を求めて生きているかを考えられまい。家の門の中に、木を置いて世間と距離を置くのが「閑」である。いわばそれは結界である。その反対に鳥居を門の中に置くのが「開」である。心を失うと書いて「忙しい」である。

 神様の世界は八百万の神様がおられると言われるが、思索にふけると佛の世界も同じく八百万の佛様がおられると思わざるを得ない。そう考えさせてもらえる空間である。ここで思索にふけると心が安らぐ。静かな時が過ぎてゆくのが心地よい。

 ここの佛様は寺院のようには御精魂が入れられていない。言い方が悪いが、お寺のご本尊になられる前の修行中の佛様である。何時でも要請があれば、お寺の御本尊として出世(?)して祀られる資格のある佛様ばかりである。それ故、気楽に肩を張らずに手を合わせることができる。その多くの様の中に、己を発見する。

奥の院の間(第四展示室)

 「奥の院の間」は、昨年に完成した新しい展示室である。この建屋の2階の部屋を全て統合して大空間を作り、展示室に改装した。かなり前に完成していたが、松本明慶師が細部にこだわりを持って進めたため、なかなか公開してくれず、やきもきしていた。また施設管理上の問題で、役所との交渉で時間がかかってしまった。私は松本明観さんにも、「途中でもいいから早く公開して」とセッついて、完成前に見せてもらった。やっと今年初頭に正式に公開された。

 ここには、今まで展示したくても大きさと数量の多さのため展示できなかった佛様が展示されている。その多くが大佛の雛形として彫られた佛像である。

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アクセス

 京都御所の蛤御門より徒歩2分の場所である。地下鉄丸太町駅より、京都御所沿いに北に500m歩いて、護王神社の角の交差点を西に曲がって200mの場所にある。(地下鉄丸太町駅より徒歩12分)

住所 〒602-8004 京都府京都市上京区下長者町通室町西入ル西鷹司町16

 

開館日

原則として毎月第1週・第3週の土曜日と日曜日

1日が日曜日の月は、7日・8日・21日・22日に開館

午前10時から午後5時まで開館している。入館無料です。全国の展示会のため、閉館の時もあるので事前に電話で確認ください。

(075-332-7974・松本工房)

正式の情報は、松本明慶仏像彫刻美術館のホームページを参照ください。

http://m-myoukei.com/

 

2018-05-08

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite  Blog: http://yukioodaii.blog.enjoy.jp

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