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2024年6月30日 (日)

結婚式場の撮影体制に問題あり、仕事道具は命

 

式場の映像機器の不備

 私は映像、写真分野に興味あるので、今回の結婚式場の記録方法に興味を抱かされた。二人との事前打ち合わせでビデオ撮影は、結婚式場側に任せることにして、私はスチールカメラを2台持ちで対応することにした。

 当日にその機材を確認して、結婚式場の機材の選定と撮影体制に問題があることが判明した。この世界は撮影技量が高い低いではなく、機材の性能差で出来栄えが支配される。それは戦争時と同じだ。いくら士気が高くても、性能の良い兵器の前には、無力である。仕事とは戦争である。だから私は道具に拘っている。道具は命なのだ。

 大事な姪の結婚式だ。二人の一生で一番大事な一瞬を、一番良い道具で、出来る限り最高の状態で記録に残してあげたい。そんな想いを込めて私は撮影した。思い出こそ人生なのだ。その記録の価値が分かるのは30年後なのだ。

 結婚式場の映像は、スチールカメラにも力を入れるべきだ。動画と同等の資材を投入すべきである。現状の人員を2倍にして、カメラにも投資をすべき。

 結婚式場もサービス産業として、どれだけ顧客満足を高めるため、そこに力を注ぐかでどうかで一流とそれ以外に分類される。顧客の真のニーズを把握しないと、結婚式場の未来はない。これは経営の問題である。結婚式場の社長の問題である。

 

スチールカメラ

 当日に確認したら、結婚式場側のスチールカメラはCANON5D markⅢ(2008年12月発売、2230万画素)の一眼レフである。担当カメラマンは一人で撮影している。この機種は一眼レフのシャッター音が響く。厳粛な結婚式の場では静粛であるべきなのに、と思った。

 そのレンズはCANON 70~200mmF4である。永遠に残る一生に一度の写真を撮るのだから、F4の普及型のレンズではなく、F2.8 の一段上の上級レンズにして欲しいと思う。結婚式場はそれで商品価値を高めるのだ。

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  カメラマンは一人、CANON5DmarkⅢ ,レンズは 70~200mm F4

 

ビデオカメラ

 結婚式場側のビデオカメラは、約60万円のプロ用機材で、2台を2人で撮影している。この機材は、私が欲しいと思う垂涎の的のビデオ機材である。しかし価格が高く、私には手が出ない。

 私所有の愛用ビデオカメラはパナソニック製の約10万円の機材である。結婚式場側のビデオ機材は流石ではある。

 

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 ビデオ担当は二人。

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 私には垂涎のビデオカメラ

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  ビデオ担当は二人。

  リムジンの中にも一人のカメラマンが撮影中

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  ビデオ担当は二人。


 二つの機材を比較するとスチールカメラがあまりにお粗末である。担当カメラマンは結婚式業界が不景気で、カメラに予算を回してもらえないと嘆いていた。

 カメラマンは一人で孤軍奮闘していた。まるで戦争末期に、米軍の物量と最新兵器の量に押されて苦労をしていた日本兵のように見えた。

 それの根本原因は日本経済停滞の元凶である政治が悪いのだ。国民はもっと政治に関心を持つべきで、最低でも投票に行くべきだ。

 

 

私の機材

 私は2018年、河村義子先生の演奏会を撮影するため、一眼レフCANON5DmarkⅢからミラー音のないミラーレスカメラに切り替えた。レンズは 70~200mm F2.8である。演奏会会場では、一眼レフのシャッター音はご法度である。

 私の使用機材は、Sony α7RⅣ+24~105mmレンズ(2021年12月発売、6100 万画素)とSONY α9+70~200㎜F2.8レンズ(2017年5月発売、2420 万画素)の二丁拳銃で、撮影をした。両機種とも無音のミラーレスである。特にSONY α9は暗い場所で、動きの激しいバレエ演劇も撮影可能な動態用高感度カメラである。

 感度を10,000以上に上げても色つぶれもなく、ノイズもほどんどない。

 

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   SONY α9+70~200mm F2.8

   SONY α7RⅣ+24~105mm F4

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 バレエ公演の撮影サンプル  2018年12月8日 クリスマスコンサート(リハーサル)

           大垣音楽堂  林葉子バレイアカデミー、河村義子先生 音楽監修

  動きの激しく暗い中での撮影には,無音のSONY α9が必須である。

  ISO12,800   シャッター速度 1/1000  絞りF4

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ディジタルカメラの世界

 スチールカメラとビデオカメラを見れば、式場がどこに力を入れているかが明白である。結婚式場は映像に力を入れている。

 ディジタルカメラは、パソコンと同じで日進月歩である。1年毎に新製品が出る世界である。それが16年前の一眼レフカメラとは絶句である。CANON 5DmarkⅢは、確かに当時は最先端のカメラで、私も使っていた機種である。しかしCANON 5DmarkⅢの後継ミラーレス機を待っていても、なかなか発売されなかった。私はしびれを切らして、私はCANONからSONYのミラーレス機に変えた。今までのレンズ資産があるので、切り替えは大変だった。

 演奏会で撮影するためは、シャッター音のない、高感度が許容できる、新しいミラーレス機が必要であった。レンズ性能はCANONに分があるが、CCDではSONYに軍配が上がる。またCANONは開発力があるが、大企業ゆえに新製品を出す速度が、SONYに負けて遅い。

 また馬場恵峰先生の書画を撮影するためには、高画質のカメラが必要で、そのためCANON 5DmarkⅢからSONY α7RⅣに機種を変えた。出版にも対応するので、少しでも高画質な機種が必要である。

 

思い出

 思い出としてビデオも良いが、それを再生する時、長時間を要する。写真なら、パラパラとめくって瞬時に当時の思い出にふけることが出来る。映像業界の人は、15分以上の映像には価値がないという。だから長時間の映画が廃れ、短時間の映像のYouTubeが流行っている。

 だから私は、高性能のスチールカメラでの撮影に拘っている。ビデオは早送り機能もあるが、ディスク上の映像だと、早や送りの機能に制限がありイライラする。

 私の書庫に昔のカセットテープやビデオテープを保存しているが、その音声記録を再生することは滅多にない。しかし昔の写真集は頻繁に見直している。写真は一目見れば、当時の記憶が鮮明に思い出される。ビデオや音声テープではそうはならない。聞くには、時間を確保して構えなければならぬ。

 

覚悟

 昔の思い出に浸る時は、年老いていて、人生の残り時間が少ない時なのだ。その時間は有効に使いたい。

 死ぬ時には、昔の思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡ると言われる。その時に昔のビデオが再生されるわけではないようだ。やはり思い出の記録は写真である。

 

 

 

2024-06-28  久志能幾研究所通信 2871号  小田泰仙

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