虎視昇龍 継続という名の神通力 in Sagan
龍は架空の動物である。青春が実際の年齢を表すのではなく、心の状態を言うのと同じように(『青春という詩』)、龍も己の心の状態を表した現象である。
70年、昇龍の如し
EV化は、ガソリン車ではトヨタに勝てない欧州勢や中国が仕組んだトヨタ潰しの陰謀である。EVは少しも省エネでもないし、脱炭素化でもない。世界の全車がEV化すれば、地球規模でエネルギーが足りなくなり、現代科学技術社会が崩壊する。そもそも全ガソリン車を電気自動車に置き換えようとしても、その電池を作る素材の絶対量が地球上には存在しない。
トヨタはEV化が遅れていると非難されていたが、トヨタはそんな批判を聞き流して、虎の眼で世間の愚かさを睨みながら、黙々と次世代の車の開発を進めていた。トヨタは全方位戦略で、ハイブリッド、プラグイン、水素、電気、等と開発を進めてきた。それの努力が実り、自動車メーカ間では、トヨタは昇龍のような状態となった。それはトヨタマンが創業者の社是の精神を守り、愚直に開発を継続した結果である。
10年、偉大なり。
20年、畏るべし。
30年、歴史になり。
50年、神の如し。(中国の格言)
70年、昇龍の如し
昇龍 樋口ナオミ 画
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豊田綱領
一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
一、華美を戒め、質実剛健たるべし
一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし
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「豊田綱領」とは、豊田佐吉の考え方を、豊田利三郎、豊田喜一郎が中心となって整理し、成文化したもの。佐吉の5回目の命日にあたる1935年(昭和10年)10月30日に発表された。
トヨタグループ各社に受け継がれ、全従業員の行動指針としての役割を果たしている。(トヨタ自動車のHPより)
トヨタはド田舎の名古屋の辺地の車メーカとして、長年、軽視されていた。トヨタは黙々と技術開発に勤しみ、会社創業90年で、世界の頂点に達した。トヨタは3年連続で、世界一の生産台数である。70年前の倒産寸前の状態から見れば、トヨタは昇龍の如くの発展である。
トヨタの再生
トヨタ自動車は、ドッジ不況に苦しみ、労使紛争で1950年(昭和25年)、倒産寸前まで行った。社長の豊田喜一郎が退陣して、再興に向けて豊田自動織機の社長、石田退三が陣頭指揮をとることになった。石田退三は豊田自動織機の社長のまま、すぐに社内を飛び回り徹底的なコストカットを断行した。
鉛筆は持てなくなるまで捨てずに使い、紙は裏紙まで使う。とにかくお金を1円でも無駄にしない働き方を自らも実践した。絞った雑巾をさらに絞る、とまで揶揄された徹底ぶりである。そんな石田退三を規範として、多くの社員が無駄を極限までそぎ落とし難局を乗り切ろうとした。そんなトヨタに朝鮮動乱の特需が舞い込み、倒産寸前のトヨタ自工を救った。
会社存亡の危機が去ったトヨタは、その後、愚直にその創業の精神を継続して、70年かけてトヨタ自動車を世界一の自動車会社にした。つまり昇龍した。
その根底には、質実剛健、神仏を敬い、感謝、報恩の精神があり、全社一丸となって邁進したことだ。
50年前、私が就職活動をした当時は、「技術の日産、販売のトヨタ」と呼ばれていた。今は、日産は見る影もない。当時の百獣の王は没落して、ゴーンというドラゴンにかじり尽くされた。
烏合の衆からの非難
一時は、日本政府でさえ、地球温暖化の虚言を信じて、トヨタはEV化が遅れていると非難していた。拝金主義に染まった日経新聞では、それを報じる嵐であった。それは日本を貶める売国奴の所業である。それが株価にも表れていた。
テスラの2022年度の生産量は136万9611台、それに対してトヨタは1072万9298台である。生産規模で10倍の差があるのに、極小メーカのテスラの時価総額がトヨタより大きくなるのが異常である。
市場は狂っていた。そしてEV化の嘘をバレて、テスラ株の暴落である。そんなことは常識で考えればわかる話だ。その陰でテスラ株を売り抜けて大儲けしたドラゴン(悪の権化)がいる。欲にかられた愚かな民が、地球温暖化の陰謀論者に騙されてテラス株を買わされた。完全なる偏向報道、偏向非難で、世界はドラゴン(悪の象徴)に洗脳された状態である。
出来の悪い息子
最近、トヨタに絡む不祥事が起きている。ダイハツ、デンソー、日野自動車等の事件である。人間の人生も会社人生も同じで、90年も会社業をやっていると、息子の独立、養子縁組等の会社再編成が起きる。
不祥事の原因は、その息子たちが、親のトヨタの愚直さについていけなかっただけのことだ。
ダイハツは大阪の名門としてのプライドが高い。その割に実力が無く、トヨタが要求する開発スピードについていけず、不正で国の審査を胡麻化しただけの事件である。それは私が部品メーカの開発部隊として、顧客のダイハツと打ち合わせの場で感じた印象である。ダイハツはトヨタの門に下ったのに、ダイハツの技術陣は、妙にプライドが高く、親会社のトヨタを見下していた。
デンソーと言う息子は超優秀で、出来は非常に良かった。しかしそのプライドの高さと独立性の意地で、トヨタが辟易していた。当時の技術の天皇と言われたトヨタの役員がデンソーには行けず、アイシンに天下った事件があったほどだ。
ライバルの海外メーカは、トヨタの技術に追いつけず、フォルクスワーゲンに至っては、排ガス検査で不正をしていた。それが露見して、その穴埋めで、EV化に走ったという顛末である。それで更に地獄への道に入っていった。
技術に劣るルノーは、内部紛争に明け暮れている日産に目を付け、ゴーンを送り込んできた。フランス人は狡猾である。フランスは今でもアフリカ諸国を植民地扱いして搾取している。
アメリカの三大自動車メーカも今は見る影もない。トヨタの先生であったGМは倒産し、政府の金でやっと息を吹き返した。フォード、クライスラーも影が薄い。
昇龍した龍は孤高孤独なのだ。
「虎視昇龍」は竜驤虎視を元に創作した熟語である。
竜驤虎視(りゅうじょうこし):意味:威勢が強く、世間を睨みつける。龍が天に昇るように勢いがあり、虎のように世間を睨みつける様を表す。
干支の虎 松本明慶工房作
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2023-12-30 久志能幾研究所通信 2791号 小田泰仙
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