よき色は 死にゆく匂い 明日は散る
いろはにほへとちりぬるを
この世の色(体、時間、命、ご縁、地位)は、神仏からの一時的な預かりもの。この世のものは、何時かは死が訪れる。
人生は夢のような儚いもの。その夢も何時かは終わる。だからこそ一生懸命に夢を現実のものにするため動いて、この世を去ろう。現実にならなくてもよい。その過程が人生なのだ。
その夢を後進が受け継いでくれたら、最高の人生だ。
どんなに華やかに咲き誇っても、どんなに独裁政治を続けて謳歌しても、それは20年も続かない。どんな独裁者も人である限り、何時かは老い、病み、死ぬ。人は生老病死である。毛沢東もスターリンも独裁者として君臨できたのは精々25年間である。非力な民衆は、嵐が来たら、じっと耐え忍ぶしかない。
国がどんなに栄えても、それが100年続けば、衰退がはじまる。スペイン、オランダ、大英帝国の繁栄がそうだった。1000年続いたローマも何時かは衰退し、滅んだ。
米国も繁栄が100年になり、これから衰退が始るだろう。
1921年に生誕した中国共産党も2022年に100年を迎えた。独裁恐怖政治を続けた組織にもいつかは終りが来る。あのソ連も崩壊した。
あんなに人気絶頂であった三遊亭円楽さんも先日、亡くなられた。
この世の出来事(色)は空なのだ。その色がどんなに華やかでも、何時かは空になる。
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夏草や 強ものどもが 夢の跡 (芭蕉)
夏くさや 強わものどもが ゆ免の阿杼 (万葉かな)
奥の細道 全集 馬場恵峰書
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私も会社時代に、飛ぶ鳥を落とす勢いの上司に説教をされたことがある。その上司の時代も長くは続かなかった。私は当時、達観してその上司を見ていたが、保身のため外見は素直に聞いている振りはした。その上司が原因で多くの部下が辞めた。宮仕えとは忍耐することが智慧なのだ。
一年上の先輩も私と同じ考えであったが、その上司に叱られている間、達観して平然としていたため、「君はオレがこんなに怒っているのに、どうしてそんな平気な顔をするのだ!」とまた怒られていた。当時は大変であったが、今思うとお笑いである。その上司も、後年、会社で女に手を出し、失脚した。
色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 (般若心経)
Form is nothing more than emptiness.Emptiness is nothing more than form.Form is exactly emptiness.And emptiness is exactly form.
この世における物質は、実態のないもの(空)であり、空ということは、物質(色)以外にはあり得ない。すなわち物質は実態のないものであり、実体のないものが物質である。
空の中に生れた色を有効に使うのも、無為に使うのも全て己の人格レベルがなせること。国にも、組織にも人格がある。そのレベルで色のレベルが変わる。
神の目
自分の後姿を神仏に変わり、子供、部下、市民、国民が見つめる。その家、組織、国、自治体の運命が変わる。私も「世間は、神の如くの評価をする」(松下幸之助翁)との言葉を実感する歳となった。
経済での己の役目
自分の役割は、連綿と続くご先祖からのお宝を後世のつなぐ駅伝走者である。その走る区間が現代という時代である。全力でその区間を走り抜けよう。
経済の「経」とは、連綿と続く縦糸と横に走る横糸を表した言葉である。縦糸はご先祖からの流れ、横糸は現代社会での己の経済活躍である。
頼まれ事というご縁
色(ご縁)が付いたら、自分のため、家族の為、国の為、そのご縁を生かせ。そこに自分の人格が表れる。他人から何か頼まれるとは、神仏からの贈り物である。それは運勢が良くなってきた兆しなので、私は頼まれれば、笑顔で引き受けることにしている。
頼んでもやってくれそうにない人には、誰も頼まない。信頼できない人にも頼まない。相手は己を信じてやってきた。それを断ったら、期待を「裏切る」ことになり、裏切り者になってしまう。裏切り者に幸運はやって来ない。人は誰でも一度でも断られれば、二度と頼みに行かない。
そこには色もなく、匂いもなく、散った死の世界がある。
船の墓場
運勢とは、気の流れである。その気の流れを遮れば、運勢は勢いをなくす。つまり風が無くなれば、運命の船は風を受けれず立ち往生である。風を受けられない帆船は、バルミューダ海域の船の墓場に海流で追いやられる。それは人生航路での孤独死の世界だ。
運勢の実態は空であるが、その中を気の風が舞っている。
2022-10-05 久志能幾研究所通信 2508 小田泰仙
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