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2022年3月13日 (日)

世界一周の船旅は「死出の旅」と覚悟

 

 新型コロナウイルス騒動が持ち上がり、今後、船での世界一周旅行はできなくなったと覚悟した。

 多くの船は、空調の燃料費を安くするため、船の中の空気を循環させて換気している。それが2020年、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で新型コロナウイルスが急速に広がった原因である。 

 一つの船内客室で、ウイルスがまき散らされれば、すぐそれが船内換気装置を通して、船全体の客室に広がる。そこが航空機や新幹線の換気システムと違うところ。大型船の換気システムは簡単に改造などできない。怖ろしいことだ。

 だから私は、夢であった船での世界一周旅行を諦めた。もし行くとしても、その船の換気システムを確認してからにする。

 

船旅情報

 私の英語の師である後藤先生が、2011年、世界一周の船旅をされて、その内容を教えてもらったので、その一部を紹介する。

 

街が動く

 船は一つの街が動いているような趣である。乗客は約3000人、乗員は約1000人で、約4000人が船内で活動していて、一つの街が動いているようだ。船内には床屋も、売店も映画館もプールもある。大きな一つの企業であり、都市である。大きな工場と言ってもよい。

 乗員のほとんどは、外国の若い労働者である。彼らも出稼ぎで、金目当てで働いている。そういう点で、英語に自信がなければ、外国籍の船よりも、日本国籍の船の方が安心である。何かあった場合には危機管理上で安心だ。

 

ピンからキリ

 最高値の部屋は、スィートルームで上層階にあり、一旅行で数千万円のお値段である。富豪が利用するようだ。それもリピーターが多い。世にはお金持ちが多いようだ。

 その部屋は展望も良く、窓も開くし、最高である。ただし上の階は、海が荒れると揺れは大きいようだ。

 一番安い2,3百万円の部屋は、船底にあり、窓のない陰気な部屋である。安いものにはワケがある。窓があるだけ、それは海水面よりも上にある部屋で、多少は上等の部屋である。船の上は、金次第の娑婆と同じである。船底板一枚下は地獄である。

 船旅で、一人静かに考えて、知的活動をしたいなら、相応の金が要ることを覚悟すること。地獄の沙汰も金次第。

 

食事は日に5回

 船旅の楽しみは食事である。朝食、10時のおやつ、昼食、3時のおやつ、夕食、夜食、の5回。まともに、これを全部食べたら肥満になる。勿論、食費は船旅料金に含まれ、食べ放題である。

 その度ごとに正装して食堂で、紳士淑女の如く食べる。社交的でないとやっていけない。その場の会話も上品でないとダメ。しばらくするとテーブルに集まる人は固定されるようだ。その場での話題提供も考えないと、食事ができない。

 

娯楽ショー

 乗客が飽きないように、毎日、毎晩、催し物がある。それはテレビのバラエティーのマナ放送みたいものだ。それに耐えられれば、楽しいだろう。私には自信がない。

 

オプションツアー

 船旅では世界に各港に寄り、その場からその地の観光に出かけるオプションツアーが用意されている。ツアー終了後は、船はすでに出航しているので、飛行機で船の次の寄港地に飛んで、そこでその船に再合流する。お金さえあればやりたい放題である。

 

死亡リスク

 世界一周旅行の船旅では、必ず航海中に死亡者が出て、そのおり寄港地で棺をおろし、航空便で遺体が日本に送られる。なにせ乗客は、お金持ちの高齢者が大半であるからだ。

 食事は豪華な品で食べ放題、船上で運動量は限られる。会う人も極端にかぎられる。船上では医療方面も限定される。それが数か月間も続くのだ。高齢者には死亡リスクが高くなるのは必然である。

 そんな人たちばかりの中で過ごして、楽しいだろうか。それもリピータが多いと言う。私の付き合っている種族とは違う人たちのようだ。私はそれを聞いてから、船旅の世界一周旅行の興味が失せた。

 船旅では何があるか分かない。行くとしたら、死出の旅と覚悟して、出発することだ。死出の旅は、既に人生の旅で始まっているのに、死亡リスクが高い旅をわざわざ選択する必要も無かろう。

 

 

ダイヤモンド・プリンセス号新型コロナウイルス感染症事例における事例発生初期の疫学

(IASR Vol. 41 p106-108: 2020年7月号)

 2020年1月20日に横浜港を出港したクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス(DP)号の乗客で, 1月25日に香港で下船した80代男性が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患していたことが2月1日確認された(1月19日咳発症)1)。2月2日に香港から同報告を受けた厚生労働省は, 2月1日那覇港寄港時に検疫を受けたDP号船員乗客に対し, 2月3日に再度横浜港で検疫を実施した。同日夜から検疫官が船内に入り, 全船員乗客のその時点での健康状態を確認しつつ, 出港時から2月3日まで発熱または, 呼吸器症状を呈していた人およびその同室者に対し, 口腔咽頭スワブ検体を採取した。一部の検査結果が2月4日に判明し, 31人中10人でSARS-CoV-2 RNAが検出された2)。なお, DP号は船員乗客各8の計16デッキに2名部屋を基本とする部屋があり, 世界57カ国から船員1,068人, 乗客2,645人の計3,713人が搭乗していた(集計時点により乗客数に変動あり, 乗客用客室を利用していた船員は船員として算出)。その後4月15日までに確定症例712例が確認され, 少なくとも14例の死亡が確認された(致命率2.0%)3)。また, その他に検疫官や船会社の医師ら外部から対策に入った9人の感染が確認された3,4)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/typhi-m/iasr-reference/2523-related-articles/related-articles-485/9755-485r02.html

  

2022-03-12  久志能幾研究所通信 2330号  小田泰仙

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