田中角栄の言霊、30年間の航跡
1 人間は努力することが大切であり、努力すれば必ず成果が上がる。
2 成果が上がった分だけ、他人は羨む、妬むことに気づかなければならない。
3 他人の嫉妬心に気づいたら、それに対して配慮しなければならない。
4 人間は、いかなる場合でも、嫉妬する側でなく、される側に立たなくてはならない。
田中角栄
この言葉に出会ったのは、米長邦雄著『人生一手違い』(祥伝社 1989)を読んだときの30年も前のことである。それ以降、これを書き留めたカードを何度も読み返している。
角栄の言葉は、「名門・ジョージタウン大学 世界のエリートが学ぶ”至高のリーダー論”」で指導される世界とは別次元である。「サム・ポトリッキオが説く勝ち残る指導者の条件」では出てこない考え方である。
西洋の価値観との違いに、田中角栄の言葉には考えさせられる。この言葉を聞いて、日本人に生まれて良かったと思う。
西洋版のリーダーが育つから、グローバル経済主義が蔓延し、貧富の格差の拡大、力による覇権、利己主義の拡大で世界経済が混乱している。田中角栄が世界政府の大統領になったとしたら、多少は世界が変わるのではないか。田中角栄の集金方法は決して誉められはしないが、政治家としての考え方は共感できる。
上に立つ人は、競争に負けた人にも目をやらねばならない。しかし現在は、格差100倍の黄金の椅子に座ったエリートが、貧困層を無視して世界を支配している。
残念ながら、田中角栄の手腕に嫉妬心をいだいた米国に、田中角栄ははめられた。あの政策を続ければ、今頃、日本は米国を凌駕した国になっていたと残念に思う。
どんなに栄華を誇っても、人がほめたたえても、そんなことは虚の世界である。それを角栄は身をもって示してくれた。平家物語は何時の時代にもある。
その後の後始末の不手際で、日本は失われた30年になってしまった。保身の官僚に支配されて、日本の未来に投資もせず、緊縮財政だけに終始したので、日本の未来は失われた。
田中角栄が小学校の教師の給与を上げる法律を作った。それに反した政策を実行したのが大垣市の小川敏である。子供に投資をしないことが、政治家として全てをあらわしている。だから大垣市は彼の20年間の政治で没落した。
馬場恵峰書
2022-02-01 久志能幾研究所通信 2291号 小田泰仙
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