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2021年2月15日 (月)

2%の実務のために98%の雑用が必要 (磨墨知136)

 

 自分の時間の中には,自分では制御不能な活動時間があることを認識して,それについては悔やまない。その値をいかに小さくするかが知恵の出しどころである。98%の雑用をこなす能力が人生を変える。ヤブ用を雑にするから雑用だ。それを本腰を入れて取り組めば、それが修行になる。

 

 日の丸ロケットの打ち上げプロジェクトでも、漁業権との交渉、用地買収、政府との予算交渉等で、その98%の労力が打ち上げ以外の雑用に費やされる。(糸川博士談)

 

 プロジェクトの完成は、人生そのものである。しかしその喜びは一瞬である。その前に98%を占める忸怩たる長い試練を経ないと、プロジェクトの完成はない。ロケット打ち上げでも、純粋な技術面の苦労は2%だけである。

 私も前職で通産省管轄の超先端技術開発のプロジェクトに携わったが、そこで問われたのは、国への説明資料、予算取り、そのエビデンス作り等で、実際の技術面の仕事は2%ほどでしかなかった。しかし、その開発する技術が国へ説明ができないと予算も取れない。

 

人間力

 人生の道を歩むのに必要な力は、98%は人間力である。その人間力の基礎は、仁義礼智信であり、それは広い芸の修行の世界から生まれる。糸川博士が単に頭がよかっただけではない。博士は知識偏重の頭でっかちのエリートではなかった。

 人の痛みの理解、義理を重んじ、礼を忘れず、智慧を出し、信用を蓄積しないと、人生のロケットは打ち上げ上げられない。糸川博士は趣味の世界は多彩を極める。それが糸川博士の人間力を育てた元であった。

 

 糸川博士はバレエ・占星術・チェロ・ヴァイオリンなど様々なことに興味を持った。60歳の時、貝谷バレエ團に入団した。小中では科学工作を、中学ではシェークスピア・ギリシア哲学・演劇に熱中した。ヴァイオリンの研究も行い、ヴァイオリン1挺を約半世紀掛けて作った。高校でチェロを始め、就職するときに太田に持参した。戦後は松下修也に、約50年間に亘り学んだ。レッスンは月2回であった。中島飛行機時代にはゴルフも習得している。

 この項、wikipedaより編集

 

国・都市の打ち上げ

 これはロケット打ち上げだけの話ではない。一つの仕事の方向付け、政治の世界でその国、都市の未来をどういう方向に打ち上げるかも同じである。東大を出て記憶力だけが優秀でも、その他の面で教養がないと下品な拝金主義、利権主義、権威主義の政治となってしまう。今の日本の政治がそれに値する。与党、野党とも、とても品があるとは思えない。それではその国、都市は衰退である。大垣が衰退したのは、その面の影響も多きいと私は思う。

Dsc002361s  馬場恵峰書 

2021-02-15   久志能幾研究所通信 1922  小田泰仙

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