上昇指令と逆噴射を同時では墜落 (磨墨知137a)
「ボケイング(ボケing)」とは、「ボケ」の現在進行形(ing)形である。
人は愚かな存在だ。啓発セミナーに参加して刺激を受け、自分を変えようとアクセルを一杯に踏むが、内なるもう一人の主人公がブレーキをかける。
「やめとけ、ヤメとけ。そんなこと無理、無駄。笑い者になるだけ」
それに納得して、やろうとした改革に逆噴射していたのが、今までの己である。
乗っているのが自転車なら、その場で止まっているだけで、お笑い劇場で済む。しかし人生でそれをやれば、人生沈没である。それで失恋、左遷、挫折である。飛行機の離陸で逆噴射をかければ、墜落である。
それこそ優柔不断、ホバリング(ボケイング)である。要は認知症一歩手前である。
経営のアクセルとブレーキ
経営者が会社経営で、スロットレバーを引きながら逆噴射をかければ、会社が倒産してしまう。
日産は、ゴーンが会社立て直しのためとしてリストラのスロットレバーを全開にしたが、未来への投資にはブレーキをかけた。その裏では、ゴーンはお手盛りの贅沢三昧をしていた。
世の中は急速に変化している。グローバル経済競争の世界では、現状維持で投資削減では、現状維持さえむつかしい。それは敵前逃亡で、負け戦なのだ。日産は、将来への投資をケチったため、その後、魅力ある新車を市場に投入できなかった。だから日産は沈没した。日産はゆでガエルのように、少しずつ茹で上がっていった。その過ちが露見するのに、20年の歳月を要した。ゴーン・チルドレンも甘い汁を吸っていたためだ。
私の前職の会社も、学閥優先の決断できない経営者がのさばっていたので、スロットレバーを引きながら逆噴射をかけるという経営であった。市場の変化に対応した必要な技術投資が出来ず、ジリ貧になり創業60余年で市場からその名が消えた。世間にはそんな事例がゴロゴロしている。
人生の岐路
自分の人生を振り返っても、人生の岐路での選択で、アクセルとブレーキを同時に踏み込む過ちを繰り返していないか、見直そう。20年後にその間違いに気が付いても、その時は手遅れである。日産のように。
実践至道
自分の内なる声が2つもあるとき、何方を信ずるかは、直観に順う勇気を持とう。命は刻々と尽きていく。世の中は激変している。今からでも遅くない。命が尽きる前に、一歩前に出よう。己のボケイングに気付いた時に、何か新しいことに挑戦・実践すべきだ。何かを実践すれば、なんらかの答えを世間は示してくれる。
2021-01-31 久志能幾研究所通信 1906 小田泰仙
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