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2019年6月23日 (日)

レクサスLC 試乗記(改定)

 2019年6月18日、レクサスLC(LC500-S)の試乗を30分ほどした。高級スポーツカーとして構えて乗ったが、意外と乗りやすく拍子抜けである。レクサスLCの試乗はこれで2回目であるが、前回は緊張して何か違和感があったが、今回は2回目で慣れのせいか、それを感じずに楽しく運転できた。

 病み上がりの身には、若いころの精神に戻って、大排気量のスポーツカーに憧れるのも、回春の「お薬」として効果があると思う。まだまだ若いつもりと思うのも良いものだ。それで病気の回復が早まれば安いもの。70近い老人にも青春がある。青春とは、肉体的な状態ではなく、心の状態をいう。

  私は何時までも、尻の青い男の子でありたい。

P1070096s     レクサス薮田にて

エンジン

 車両重量2トンの車体を軽々と動かすのは477馬力の5000㏄のエンジンである。ターボ付きでなく、自然吸気で5000㏄8気筒のエンジンはミーハーには涎の出るエンジンである。エンジンの始動時の音がすごいというネット情報もあったが、改良されたようで、今回、エンジン音には全く意識が向かなかった。

 この車は省エネ、節約とは、関係ない世界である。どうせたまにしか乗らないのだ。技術者として、限界を極めたい。マークⅡの2倍、カローラスポーツの3倍の馬力差は、市街地走行では、よくわからない。

 

単位馬力当たりの負荷重量比較

 この値が小さいほど、軽快に走る。

                        LC  LS500  新クラウン マークⅡ カローラスポーツ

 エンジン cc  5000  3500   2000  2500  1200

   重量 kg            1960     2160     1700     1400    1310

   馬力      477    422     245      200    116

 馬力当たり重量 4.07  4.12   6.94    7.00    11.2

 

車体デザイン

 まず格好がいい。また色もデザインの一部である。展示車は黄の派手ハデで魅力的である。今回の試乗車は白である。白だと、市街地を走行していてもあまり目立たない。買うなら、見せびらかし(?)として黄である。持てる喜びがあるだろう。

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ホンダNSX

 1993年頃、オールアルミ製ボディのホンダNSXを試乗したことがある。当時、このスポーツカーは、勤務先の部署でモニター車として置いてあった。私は車の部品開発をする担当責任者として、試乗をした。

  しかし、これが実に乗りにくかった。まず、シート高が低いので、乗るのに一苦労であった。シートの身を置くと視界も地面にへばりつくようで、視界が悪い。走行性も、市街地を走る分には、「重たい」のである。サーキットならいざ知らず、市街地などスポーツカーで走るモノではないと感じた。この車は金を積まれても欲しくないとまで思った。

Photo

    ホンダNSX Wikipedia より

 

 

座り心地

 今回のレクサスLCは、まず乗り込みやすい。座席に座っても、普通の目の高さで、視界も良好で、普通の車と同じようで違和感がない。

 また、このシートは本革ではないが、体を包み込んで、ホールドしてくれる感触が、今まで多くの車に乗ってきて、これが最高だと思った。さすが高級スポーツカーのシートである。私は本革のシートは嫌いである。座っているとつるつるして滑り過ぎるのだ。

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 すこし気になったのは、バックミラーで見た視界に、ボディのヒップ部が4分の1程、入ってくること。それはデザイン的に、中央部が引っ込み、お尻部がはみ出しているデザインの為である。魅力的なヒップラインでよいのだが、初めての体験で少し違和感があった。

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      試乗した白のレクサスLC

後部座席

 おまけのような後部シートであるが、長時間、後部座席に座ると辛いだろう。政治的な意味で4シート設計である。本来、2シートであるべきだが、車の認定の関係で、そうしたようだ。後部座席は手荷物置き場と割り切ろう。

 

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トランクルーム

 ゴルフバッグが一つ入る大きさがある。この車は生活の足として使うわけでも、ゴルフに行くわけでもあるまいし、この大きさで十分であろう。

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走行性能

 加速は、アクセルを踏めば、素直に応答してくれるが、いかんせん市街地なので、フルスロットルというわけにもいかず、せいぜい60キロの速度である。これは高速道路かサーキットで体験するしかないだろう。この車は市街地でも、羊の毛皮を被って走る狼であるが、本来は高速道路でしか性能を発揮しない。市街地では、上品なスポーツカーとして、優雅に走る車である。これは意外な発見であった。

 

走行安定性

 意外と操舵感がどっしりしていて、安定感がある。これは差動装置にトルセンデフを使っているためのようだ。通常の車より安定感があると感じた。通常の車は、ハンドルが軽すぎてフラフラする感じがする。レクサスLCはそれがない。

 

操舵性能

 レクサスLCのスポーツタイプは4輪操舵ということだが、その性能の良さは、サーキットでスピン運転でもしないと分からないだろう。既定の市街地を4回、左折するだけの試乗では、良いか悪いかはわからなかった。

 

後部ウィング

 高速で走る場合に、後部のウィングが持ち上がり、作動するが、市街地走行では全く意味をなさない。高速で減速時に効果があるということだ。まあ、スポーツタイプの標準装備品で、ノーマルのLCはオプションである。こんなもの必要なのかと思うのだが、高級スポーツカーには欠かせないようだ。まあ、「これがウィングでございます」という派手なウイングで、全体デザインを台無しにしている車が多いが、LCのそれは品があって良い。

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インパネ

 全体にすっきりした上品なデザインである。私は好きだ。しかし速度メータがデジタル表示で頂けない。オプションでもアナログメータはないとのこと。この種の車は、アナログでないとダメ、が私の意見である。その速度計のデザインが、凸上でハンドルの上に出っ張っていて、格好が悪いと感じた。少々残念である。ナビの画面は横長で見やすくて良い。

 シフトレバーは上品なデザインでまとめられている。慣れればシンプルでよいと思う。

 ハンドルの下に別のシフトレバーが付いており、これは操作がしやすく、気に入った。

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トルセンデフ

 トルセンデフは、私のこだわりの製品である。1994年頃、この製品を自社開発しようと、他社の製品を分解して、当社(当時)で試作品作りを担当したことがある。生産技術部が部品の見積もりをして原価と販売価格を出し、ライン構成まで検討したが、政治的な事情で、商品化までは実現はできなかったが、思い出の製品である。その10年後ぐらいに、当社が、その製造会社自体を買収して、当社の製品の一部にしてしまった。ご縁である。

 トルセンデフは、先代のLSにはオプションで設定可能であったが、今のLSには、その設定が無くなってしまって、残念な思いをしていた。今回、レクサスLCに、トルセンデフの設定があり、嬉しくなって、今回の試乗となった。

 トルセンデフは、その機構上の性能で、直線安定性が良くなる。そのため将来の自動運転には最適のデフと思われる。

   例えば、車が右に曲がる傾向がある場合、右後輪より、左後輪の回転速度が高くなる。トルセンデフの機構上で、その場合、左後輪の制動動摩擦力が大きくなる。そのため、真っすぐに走るようにデフが自動調整する。だから直進安定性が良くなる。 

 問題は、そのトルセンデフの良さとその構成を多くのディーラの販売員があまり知らないので、顧客にオプションのトルセンデフを積極的には勧めない事だ。だから知識ある私が、その販売員にその内容を説明しなければならない。技術指導料を貰いたいくらいだ。

 もっともレクサスLCを購入する層は、そんな細かいことを気にしていまい。「一番高いものを持ってこい」である。だからトヨタはスポーツタイプには、トルセンデフが標準装備である。普通のタイプには、トルセンデフがオプション設定されている。わずか5万円程度の追加金でトルセンデフが付くなら、お薦めである。

エンジンルーム

 お洒落な人は下着にも気を使うというが、この車のエンジンルームを見て感心した。まず、色配置が素晴らしい。サスペンション部が黄で印象的で美しい。

また、ブレーキアクチュエータの配管の形状が機能的で美しい。普通の車ではここまでの美しいデザインはない。

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フロントグリル

 このデザインを見て呆れた。なんでも女性CADのオペレータが半年かかってCADモデルを作成したとか。非常に凝ったデザインである。貧乏症の私が上司の課長なら、コストダウンの為、こんなデザインは即、廃止である。

 このグリルの一個一個の形状が微妙に変化しており、CADモデルを作るのが大変である。一個モデルを作って、それをコーピで展開というわけにいかない。またこれを金型に変換するのにも、膨大な工数がかかる。その金型の加工も大変である。お金がかかっているのが、よくわかる。

 前職でCADを管理する部署の管理職をしていたので、その大変さがよくわかる。三次元CADのCATIAが導入されなければ、こんな細工はできなかった。

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天井パネル

 スポーツタイプは、天井のパネルがカーボン製である。軽量化の為という。なにせ先代の排気量4600㏄のLS460の重量が2000kgなのに、この小さなLCは1960kgである。そのため、天井をカーボン製にしたと言うが、もっと基本的なところで軽量化をすべきだろう。重すぎる。

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法人車

 この車を購入する層の8割が法人だと聞いて、考えてしまった。つまりその費用を会社の経費で落としているのだ。その分、会社の利益からその費用を引けるので、利益が減り、法人税が安くなる。出すべき税金を安くしている。いわば脱税である。この車の費用分、会社の経費が増え、従業員の給与にしわ寄せが行く。これでは、ますます日本人の給与水準が下がる。この車を買う金があるなら、社長のポケットマネーで買うべきだ。この車を経費で買う社長の精神の貧困さを垣間見た。こんなレベルの社長が跋扈するから、日本の景気が回復しない。

 私が社長なら税金は多く払いたい。税金を多く払うとは、その分、儲かっているのだ。税金とは、企業が金儲けをするために使う社会インフラ(道路、橋、信号機等)の使用料金である。それを払わないのは犯罪である。税金を多く払えば、エッヘンとそれは自慢できることである。

 

お値段 

 1520万円である。高いモノにはワケがある。スポーツタイプでなく、標準のレクサスLCは1420万円である。レクサスLCを試乗すると、今話題のスープラは、かすんでしまう。スープラはガキの車に見えてしまう。レクサスLCは大人の夢物語として、話のタネにはなる。

   老人も若作りで夢を見ないと、日本は元気になれまい。しかし夢を見るのもお金がかかる。お金がないなら、そのお金は稼げばよい。それが、元気になり、生きる糧となる。お金は貯めなくとも、お金を稼ぐ能力を付ければよい。おカネを稼ぐためには、ボケーとして認知症になっている暇はない。頭を使わねばならぬ。日本も老人が死ぬまで元気に働けば、鬱病も認知症も労働問題も年金問題も老人問題も解決する。

(気だけ若い)老人よ、大資を抱け!

 

2019-06-23  久志能幾研究所通信 小田泰仙

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