« プロの声に値段差あり。あなたの声は売れますか? | メイン | レクサスLC 試乗記(改定) »

2019年6月22日 (土)

大垣市の危機管理室は看板だけ

視野狭窄症の大垣市危機管理室

 この2019年4月から、大垣市の生活安全課が分離して、危機管理室が創設された。その内容を確認すると、単に形式的に危機管理室を作り、役職を増やしただけのようだ。期待したのに、がっかりである。

P1120811s

P1120848s

 大垣市危機管理室は、あくまで「防災・消防の窓口」である。

   看板に、そう明記されている。

 

大垣市の危機管理室の問題点

1. 市長直轄の部署ではない 

 企業等の組織の危機管理室は、社長直轄の構成が多い。他市の組織は、市長直轄の組織である場合が多い。相変わらず、市長直轄でなく、刈谷市の組織と大違いである。

 2. 本来の危機管理室ではない

  しかし大垣市の危機管理室は、生活安全課を二つに分け、単に分離独立させて、名前を付け変えただけの組織である。メンバーも変わらない。以前と何ら仕事の内容が変わらない。

  組織図を見ると、「防災政策、地域防災、消防」の機能だけである。総合的な危機管理室の仕事の組織とはなっていない。

 

3. 全体組織俯瞰図がない

 今回の組織変更で、今まであった全体組織の俯瞰図がなくなっている。却って組織全体が劣化したようだ。

 

4.  位置づけは火葬場の下

 組織図でも、重要な部署が最初にくる。葬式の焼香順でも、親族が最初である。それと同じで、重要な部署は最初に来なければならぬ。今回の危機管理室の位置付けは、前と変わらず、上から数えて24番目の重要でない位置付けで、火葬場管理の部署の下に置かれている。いかに大垣市が危機管理室を重要視していないかの証しである。

 

大垣市の行政機構図(平成29年4月)

 これと令和元年の組織図は変わらず。生活安全課から危機管理室が分かれただけ。なぜ、令和元年になって、この行政機構図が廃止されたのか?

7

大垣市の危機管理室の組織(大垣市HPより)

 防災政策  地域防災計画、防災協定

 地域防災  防災

 消防    消防団

 

比較  

刈谷市の危機管理室の組織(刈谷市HPより)

 危機管理係【主な業務】

 (1)危機管理の企画調整に関することを行っています。

 (2)危機管理指針、計画に関することを行っています。

 (3)国民保護に関することを行っています。

 (4)地域防災計画に関することを行っています。

 (5)その他危機管理に関することを行っています。

 

 防災係【主な業務】

 (1)防災対策の企画調整に関することを行っています。

 (2)自主防災組織の指導育成に関することを行っています。

 (3)防災訓練に関することを行っています。

 (4)防災施設に関することを行っています。

 (5)消防団に関することを行っています。

 (6)衣浦東部広域連合との連絡に関することを行っています。

 (7)その他防災に関することを行っています。

 

 二つを比較すると大垣市の危機管理室のお粗末さが際立つ。

 「大垣市危機管理指針」に関しては、別途、講評する。

 

本来のあるべき危機管理室の姿

 危機管理室の役割は、単に防災時や危機状態の対応だけではない。将来の市の存亡に影響する事象を検討し、対処するのが、その役目である。だから、危機管理室の大きな役割として、大垣市を俯瞰的な視野で危機管理が必要である。大垣市は、その重要な役目を視野の狭い範囲しか対応していない。全体の部署に責任者を配置するのは、誰が責任者かわからない無責任体制である。

 

危機管理で必要な機能

 全体的な視野で危機管理

 危機管理の企画、指導、再発防止

 市の行事で市民の安全の事前点検、

 個人情報の保護・管理、

 組織の情報漏洩の危機管理、

 組織の機能不全の時の対応、

 職場や学校等の危機管理意識の教育等、

 未来を背負う若者への危機に対応、

 大垣市の衰退滅亡防止の危機管理、

 将来の大垣市消滅の危機への対応

  このままの大垣市の体制では人口急減で全国896の市町村が消える。大垣市が消えない都市になるために、何をするかが危機管理として問われている。

Photo

 増田寛也編著『地方消滅』中公新書

 

再発防止無し

 今回の大垣市の危機管理室の設置は、建前だけの泥縄式対応で、危機管理室を作ったにすぎない。大垣市は、もっと市民のことを考えて欲しいが市民の願いである。

 こんな低落だから、2017年11月5日のドローン墜落人身事故を起こすのだ。その再発防止策もいまだ公開されていない。この事故の責任は大垣市にあるが、その大垣市の責任者が、事故の責任を認めず、業者に全責任を押し付けてドローンした。それは犯罪である。それでは将来、同じような事故が起きる。

 だから2018年10月23日に、大雨で室村町アンダーパスが水没しても、その原因追及、再発防止をうやむやにして、その責任者は誰かが、わからず、市民には原因も再発防止も広報しない。だから大垣市民は不安で仕方がない。大垣市は、市民の命を軽視している。再発防止という危機管理の基本の基本ができていないのに、「危機管理室」の看板だけを作っても、「大垣市危機管理指針を策定」しても無意味である。

P1090449s

 室村町アンダーパス水没事件

危機管理室の位置付け

 本来、小川敏大垣市長の暴走を止める仕組みがあってしかるべきである。それが大垣市の最大の危機管理課題である。それを危機管理室として監視して欲しい。現在はそのチェック機能である大垣市議会も堕落して、市長と一緒に大垣市を衰退に導く政策を盛り上げている。そういう点で、危機管理室は、大垣市長の直轄の組織でなく、独立した組織であるのが良いかもしれない。

 

2019-06-22   久志能幾研究所通信 小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

 

コメント

コメントを投稿