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2018年12月 4日 (火)

スマホ廃人寸前のITマナー

 静かなホテルのレストランやセミナー会場、電車内で、携帯電話を掛ける礼儀知らずの輩が多い。パシャパシャとパソコンのキーボード音を立て、甲高い騒音をまき散らすのは礼儀知らず、である。ITが身の回りに普及すれば、それに相応したマナーが必要だ。

 その昔、私が研究開発部に勤務していた時、静かな室内で、私の横の管理職がワープロのキーボードを、いかにも仕事をしているとそれ見よがしに、大きな音を立てて打っていた。横にいる私は、静かに考えることが阻害されて大迷惑であった。文句を言っても、相手は静かに考えることの意味が理解できないようであった。

 

金儲け万歳

 2018年7月、「「源氏物語」に学ぶ人間学」のセミナーが、京王プラザホテルで開催された。会場でセミナーが始る前の時間、私の横に座った女性(自称講師、代表)が、メールの返信でパソコンの大きなキーボード音を発散させていた。その御仁が「和の心」を看板に背負う講師なので、お笑いであった。源氏物語のセミナーで、私は1000年前の世界に思いを馳せているのに、何も殺伐としたメールのやり取りでカリカリしなくても、と思うのだ。何が和の心なのか。何が源氏の雅なのだ。

 

和歌からつぶやきに

 現代日本人もITツールに振り回されて劣化した。1000年前は、恋の思いを和歌一通で、心の思いを伝えていた日本の麗しき女性はいま何処。今はつぶやき(ツイーター?)に。日本女性の雅の心は消滅した? この後、私はその女性が主催するセミナーに誘われたが、そのレベルを見て断った。人は、しぐさでも足元を見られる。知らぬは本人ばかり。

 

スマホ廃人

 最近はスマオの画面にかじりついて、道路や混雑する駅構内を闊歩する男女の若者が多い。人の迷惑など知ったことかのモラルの低落である。ITが日本人を堕落させている。なんのためにITなのかと憤慨である。私はスマホはやらないが、家ではITを駆使している。その昔は、私はIT部門の室長を務めていて、IT関係の知識は人並み以上だが、それでもスマホは不要と考えている。今はガラケーで事足りるので、、スマホはやらない。人に迷惑をかけてまで、スマホをすることではなかろう。

 スマホ画面に夢中になりで、直前の老人に気が付かず、自転車でぶつけて死亡事故まで起こす女子学生まで出るのは世も末である。

 子供もスマホ依存症で、10代は9割までがスマホが普及している。何かおかしくないか。世は、石川結貴著『スマホ廃人』(文芸春秋社刊)まで話題になる時代である。

 日本人は障子を閉める時も、音を立てず閉めるのが礼儀だが、不満の心があると、障子は閉まる時にバッシと声を上げる。それで相手の心が観える。パソコンのキーボードで無神経に音を立てて叩く人は、「私はIT礼儀しらずです。私は金儲けのためには、人の迷惑などは考えません」と声なき声を上げている。

 

2018-12-04 久志能幾研究所 小田泰仙

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