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2018年11月26日 (月)

米国の未来の肥満は反面教師

 「2030年には、米国人の42%が肥満になる」と言う見通しがワシントンで開かれた米疾病対策センター(CDC)の肥満に関するフォーラム(2012年5月)示された。今後20年間で、医療費だけで44兆円の負担増になるという。

 44兆円とは、世界一の軍事力を持つ米国軍事予算50兆円に相当する。内なる敵が米国を攻めている。その防衛費が44兆円越えである。日本の国家予算の半分である。肥満になれば、高血圧、糖尿病、認知症と医療費は高騰し、頭は働かなくなるし、社会の無駄な消費は増えるし、社会の活力は失われる。国の衰退である。その件を下記に考察した。

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帝国の繁栄

 近代の歴史では100年間、繁栄が続いた帝国はない。帝国の繁栄は、スペイン、オランダ、大英帝国と続いた。大英帝国は一時、日の沈むことはないと誇示した広大な植民地を築いた時代もあった。

 それに楔を打ち込んだのが太平洋戦争である。これによりアジアの植民地が解放された。美味しい餌を奪われる結果になった欧米が、日本を憎む原因がここにある。その陰湿な仕返しが東京裁判である。しかし戦後長く続いたアメリカの繁栄も、時代の流れには逆らえない。その繁栄を崩壊させるのは己の食欲さえ制御できない意志の弱さである。敵は内にある。それを考えると、1000年の間、続いたローマ帝国は驚嘆である。その帝国も国民の退廃で滅亡した。ローマには、歴史を考えるヒントが溢れている。

 

肥満と痴呆化

 日本はアメリカの流行の10年遅れで動いている。他山の石として、警戒すべきである。その兆候があちこちに出ている。その兆候の最たるものが、肥満化と頭の痴呆化である。現代社会が金儲け主義の企業の跋扈のため、飽食の罠と痴呆化の罠を作り出している。動物に近い強欲さで生きている狩猟民族が、近代化という錬金術で手に入れた金のせいで、肥満化と頭の痴呆化になるのは、神がしくんだ落とし穴である。

 

苦役と働く喜びの差

 欧米の労働感では、働くとは神がアダムとイブに課した苦役である。だから金が出来たら早く引退してのんびり暮らしたいという欲望がその背景にある。欧米の労働に対する価値観は、働くことが尊いという日本の価値観とは対極の位置にある。その金を得る為、人の金を強奪するための正当化の教義として、グローバル経済主義が生まれ、その結果として1%の富者が99%の富を独占すると言う社会が生まれた。

 

ローバル経済主義者

 その典型が、日産のゴーン氏の破格の給与が以前から問題になっていて、今回の逮捕事件(2018年11月19日)となった。どう考えても、トヨタの役員全員の給与総額が15億円なのに、ゴーンが一人で20億円をかっさらうのはまともではない。拝金主義の極まりである。それは戦前の植民地強奪戦争を思い起こさせる。その後継者がグローバル経済主義者である。

 

日本文化継承の務め

 しかし日本には、おかげさまで、自然との調和、共生、知足、利他の心という文化がある。日本食という健康に良い文化もある。欧米化した悪しき教義を見直して、新しい時代を創るのが、年長者に課せられた「仕事」である。それも後姿を見せるだけでいい。新しい時代を「創る」のであるから、血みどろな戦いが必要である。しかし認知症に犯された老人には無理である。

 年長者が生涯現役で働けば、歳を取り遊んでいる欧米諸国に勝つことが出来る。地道に働くだけである。ウサギと亀の競争を思い出そう。繁栄の資源は、己の内にある。

 

吸血鬼ビジネス

 なぜ米国人の肥満が減らないのか、なぜ増える一方なのか。砂糖が大量に入った清涼飲料水、スィーツの氾濫、ファーストフードに代表される工場で大量生産される食料は、利益万能主義で、いかに大量に消費者に飲食してもらうかが、企業経営の目標になっている。2014年夏、米国企業の不衛生なチキンの製造工程が露見したニュースが世界を駆け巡った。金儲けの前には国民の健康は眼中にない。

 そして太らせたカモは病気になり、医療と大量の医薬品が投入され、医療機関、薬品業界が儲かる仕組みとなる。本来、病気にならないように、悪い飲食物を規制すればよいのだが、米国のロビー活動で、それを業界は妨害する。ロビー活動とは、実質的に賄賂工作と同じであるが、ロビー活動という「美しい名前」で世間をごまかしている。これは人の生血を吸って金儲けをする吸血鬼ビジネスである。

 

節税・脱税の鬼

現 在、金儲け最優先の企業は行き過ぎた節税策を展開中である。「タックス・インバージョン(Tax Inversion) とは、節税のために本社を海外に移転させる節税策だ。合法ではあるのだが、企業倫理的には間違いである。具体的には、米国企業が米国よりも法人税率の低い外国の企業を買収して合併、その上で合併後の 新会社を書類上は外国の会社として法人税を抑制する、という手口だ。こうした動きはこの1年ほどで加速している。今年春に持ち上がった 製薬大手の米ファイザーと英アストラゼネ力の合併話(結局不成立)で、この手法が大きな注目を集めた。

 ロイターによると、節税行為の1位はゼネラル・工レクトリックで1100億ドル。以下、Microsoftは764億ドル、ファイザー は690億ドル、製薬大手のメルクは571億ドル、Appleは544億ドル、である。

 税金とは、公共の設備の利用料である。節税とはそれをキセルするという反社会的行為である。吸血鬼ビジネスに携わる業界が、この節税に熱心なのは頷ける話であり、情けない話である。

 

税金が高いのを喜ぼう

 松下幸之助翁は税金を納めるのが誇りであるというが、現代の米国企業は情けない根性に成り下がっている。これが今を時めくグローバル経済主義である。税金が高いとは、人より能力があり、収入が多いと国が認めてくれた勲章である。沢山税金を納めると、ご褒美で更に収入が増えていく。それを喜ばないから、豊かになれない。

 

2018-11-26 久志能幾研究所 小田泰仙

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