浜松国際ピアノコンクール(9) 二番じゃダメなんです
一番をめざせ
日本で一番高い山はどこか? 答えは富士山であるが、では二番目は?と聞くと誰も答えられない。私も二番目の山の名を一度は覚えたが、すぐ忘れて次に名前が出てこない。それくらい1番と2番の差は大きい。
浜松国際ピアノコンクールで選ばれた一番は、名前を憶えてもらえ、世界で活躍するピアニストに成長する機会を与えられる。しかし2番目以降は一番ほどには名前を覚えてもらえない。それが社会なのだ。だから一番を目指して全員が頑張るのだ。二番とは、限りなくビリに近い順位なのだ。
一番になるためには、まず一次予選を通過しなければならぬ。95人の挑戦者中、24人しか通過できない。過酷なレースは続く。その挑戦は一生続く。
1次予選通過者
ピアノのレース
コンクールでは、挑戦者が本番で弾くピアノを15分間の試弾のうえで選べる。コンクール挑戦者が自分の中で、これが一番だと思うピアノを選べば、2番目のピアノの出番はない。舞台の片隅でお休みである。だからピアノメーカも一番に選定されるために、開発に金と人の投入を惜しまない。
明日の一番
今日の1番以外は、全員が敗残者である。そこに明日の勝利者になるネタが埋まっている。それを見つける挑戦を諦めたら終わりである。それを糧に敗残者は明日の一番を目指すから、成長がある。一番になっても自惚れるとすぐ没落である。その挑戦は生涯続く。前回のコンクールでは、カワイさんが優勢だったが、今回はヤマハさんが巻き返した。
選ばれた舞台のピアノ。他社は後ろで控えている。
2018-11-19 久志能幾研究所 小田泰仙
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