ゲゲゲの訪問記(1/8)JR境線の妖怪熱気
なぜか、この数か月、水木しげるの版画にのめり込んで、5枚の版画を入手した。大垣のヤナゲンで版画展を見てから、東京での版画展、京都での水木しげる展に行ってきた。
2018年11月27日 、思い立ってゲゲゲの鬼太郎の故郷、境港市に行ってきた。目的は、町おこしの情報収集である。大垣市から境港市まで、往路6時間の旅である。
寝過ごし寸前
大垣から新幹線で岡山まで行き、そこから在来線(単線)の特急に乗り換えて130分の鉄路で、米子駅で乗り換えである。その米子駅で、寸前で寝過ごすところを、妖怪に助けられて、下車できた。後10秒、気が付くのが遅れていたら、特急は出発するところであった。電車の2時間10分の乗車では、駅弁を食べるしか楽しみがなく、つい2食分の朝食を食べて、お腹の皮が張って眠気に誘われたのが原因であった。それを起こしてくれた妖怪に感謝をして、JR境線への乗り換えのため、米子駅に降り立った。そこで寝ぼけまなこの私に、強烈な妖怪のお出迎えがあった。
♪楽しいな、お化けにゃ、規則などない、ない、…♪
駅の階段がすごい、案内表示がすごい、駅のプラットフォームがすごい、看板がすごい。電車の塗装がすごい。電車内の猫娘の歓迎がすごい。電車内の腰掛がすごい。終着駅の境港駅の改札がすごい、待合室がすごい。妖怪だらけである。昔の国鉄の営業規則では、考えられないこと。妖怪に規則はない。規則に縛られるから、自由な発想が生まれない。JR境線に脱帽。
妖怪さまさま
境港には年間200万人の観光客が訪れる。妖怪のご利益で、経済が「陽回」転である。JR境線の観光への取り組みが本気である。妖気満満である。これくらい真剣に観光客のことを考えて、工夫を重ねて妖怪にのめり込んだ結果が、ご褒美の年間200万人の観光客なのだ。
大垣との対比
境港市は人口3万3千人、名古屋から新幹線、在来線特急で6時間、鳥取の片田舎で、観光客は200万人である。それに対して、大垣市は人口16万人、名古屋から快速で32分。それで大垣の観光客が267万人(平成27年度)である。鳥取地方の遠路路の境港市には、私でもまた行きたいと思うが、東海道のど真ん中にある大垣に再度行きたいという言う人は少ないようだ。大垣市は観光への取り組みに怠慢である。やっているのは、どさまわりごとき祭りばかりで市外に業者への利益誘導で、地元は寂れる一方である。
♪楽しいな、お化けにゃ、駅名の制限などない…♪
米子駅から境港駅までの45分間の車窓から見える駅の看板がすごい。JR境線の16の駅には正式名称以外に、愛称として妖怪の名前が2005年に付けられていた。その年、岐阜県が主催する、優れた芸術家に与えられる「織部賞」のグランプリを受賞した。米子空港駅は、べとべとさん駅なのだ。砂かけばばあ駅、こなきじじい駅もある。
霊界への信仰
ケチな人間は、目に見えることしか信じないので、いつか人間界の限界にブチ当り、挫折する。そんな人は、精神の世界の広大さが見えないのだ。目に見えるものは、知れている。魔物界の見えないものを信じて、敬いなさい。そうすれば道が開ける。
万策尽きても、神に祈ろう、佛に祈ろう、妖怪に祈ろう、そうすれば忙しい神様仏様の代理として妖怪が優しく助けてくれる。たまには、いたずら好きな妖怪におちょくられるが、それも愛嬌である。妖怪という相手を認めてあげれば、困ったときに、助けてくれる。
祈るとは、心を空にして謙虚に己を見つめること。そうすれば正しい道が見える。ご先祖に手を合わせにない人間など、佛様が助けるわけがない。自分が一番偉いと思うから、謙虚になれないのだ。素直になれないのだ。だから神仏の罰が当たる。
日産のゴーンは、自分が皇帝のように振舞ったので、リストラで首を切られた従業員のことなど、気にも留めなかったのだろう。己が神として己惚れていたのだろう。日本の妖怪が、鉄槌を持っていることを知らなかったのだ。
人間は、六界では、小さな存在である。いつかはその六界に行く身である。米子駅で寝過ごしそうになった私を、寸前で起こしてくれたのは、妖怪さんだと感じた。妖怪も仏様の親戚なのだ。そう信じて水木しげるさんは、妖怪の世界を作り上げた。私は、この数か月、水木しげるさんの版画や著書、展覧会にのめり込んだので、それのご褒美だと感じた。
2018-11-29 久志能幾研究所 小田泰仙
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