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2018年8月15日 (水)

大村智博士講演「私の半生記」(1/6)

 2018年8月7日、大垣市のソフトピアジャパンにて大村智先生の講演会が開催された。約400人弱の聴衆が聞き入った。招待された生徒・学生も約100名が熱心に聴講した。

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大村博士の「生きる心得」

 大村智先生は、講演の最後に先生の「生きる心得」を公開された。その心得の中心に趣味を位置づけた。それを生かすためには、健康であらねばならぬ、それを通じて社会貢献(研究開発)をしたい、趣味こそ一期一会で得られるご縁である。つまり健康管理・一期一会・研究推進の3つのバランスの中で生きるが、大村先生の生きる心得であるという。

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 大村先生の生きる心得を考えると、私は、その中心を「好続」としたい。それに取り組んで、「好きで一生続けられるもの」である。それは仕事でも研究でも、芸術でも何でもよい。大村先生はそれを趣味と名付けた。私は趣味では、軽い気がして、すこし抵抗がある。それを想うと、福沢諭吉翁の「世の中で一番」という言葉に通じる。やはり日本人には、生きるとは仕事をすることと思う。よく聴けば、大村先生の趣味は研究のようである。

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 馬場恵峰書

 

ワクチンで世界に貢献

 アフリカを中心に世界36か国で、オンコセルカ症が蔓延し、世界で1億2千万人を超える人たちが感染の危機にさらされている。1987年当時、その病気での失明患者は77万人も達していた。アフリカでは、この病気で一家に一人くらいの失明者がいて、アフリカが貧困から抜け出せない一因となっていた。それが、大村博士が開発したワクチン・イベルメクチンで劇的にオンコセルカ症を撲滅できた。

 大村博士が開発したイベルメクチンは、米メルクと北里研究所からの無償提供により、年間2億3千万人に投与されている。これまでの総合計額では4千億円と概算されている。ワクチンは無償だが、ビルゲイツが、ワクチンの配布の費用を支援した。それでビルゲイツとご縁ができたという。人への投与は無償でしたが、家畜へのワクチン販売で稼いだ。この功績で大村博士はノーベル賞が授与された。

 

特許契約で経営者の才覚を発揮

 米メルク社から、大村博士が開発したイベルメクチンの特許全ての権利を3億円で買い取るという提案がされた。北里研究所の担当理事も3億円をもらうべきと意見であった。3億円あれば、先生の定年までの研究費はすべて賄える。しかし大村博士は強固に反対し、売り上げに応じた特許料支払いの契約にされた。結果として当初の提示された3億円が、20年間で200億円の特許料収入となり、北里病院の建設等で多大の成果が上がった。特許収入で研究をする学者は多いが、病院まで建てた学者は、大村先生くらいだという。

 敵もさるもの。欧米の企業は、すぐ相手の足元を見て騙そうとする。騙されるほうが馬鹿なのだ。そうとは先生は言わなかったが、これは私の意見です。さすが智慧のある先生である。

 オンコセルカ症に対する開発ワクチン・イベルメクチンは、20年間、メルク社の売り上げ1位の商品になった。今までの売上総額が3兆円を超え、その特許収入が200億円を超えている。

 

2018-08-15  久志能幾研究所 小田泰仙  

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