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2018年6月 2日 (土)

恵比須御頭の祀り神事

 201861日午前8時から、今年の恵比須御頭の当番である宮町の集会場で、大垣まつり御頭渡し神事の後、最初の恵比須御頭を祀る神事が執り行われた。私は記録に残すためにカメラを担いで出かけた。67年間生きてきて、初めて拝める機会を頂いた。この伝統は、370年間、大垣市の4つの町(明治以前は3つの町)で、4年毎の持ち回りで続けられてきた神事である。

 

神事

 最初に世話係の人が、保管金庫から恵比須様の御頭を出して、そのお頭に冠を被せて神台に鎮座させる。その時には御頭に世話係の人の息がかからないように、半紙を口にくわえての御頭のお世話である。準備が終わったら会長さんがその御頭の前にお供えを整え賽銭箱を準備する。賽銭箱がティッシュペーパー箱を利用した手作りというのが飾らずに素朴でニクイ。それが商売繁盛の秘訣。

1dsc08938   冠の取り付け。半紙を口にくわえて息がかからないように配慮。

24k8a0367  お供えを整える

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 段取りが終わり、神事が始まり、お役の三人が横笛と太鼓で御囃子を奏でる。その後、全員で参拝作法「再拝二拍手一拝」して拝む。町内の方も、至近距離で恵比須様の御頭を拝めて有難がっておられた。参加の町内の皆さんも今年中は順番に当番を決めて参加される。

神事が終わったあと、担当の方が、御頭から冠を外し、御頭を専用の保管箱に収納して、その箱を耐火金庫に納めて神事は終了である。

44k8a0375  横笛と太鼓で御囃子演奏

54k8a0386  神事が終わって収納の段取り

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74k8a0382  収納箱と耐火金庫

 以前は、御頭を町内の役員の方の自宅で保管して、毎日、お水、榊、御神酒をお供えしてお守りしていたという。そのためにまるまる一室を用意しなければならない。お参りに見える客も多い。現在は、それを行える家も財政的にも物理的に少なく、多くの町は耐火金庫で保管して、毎月1日と15日に、以上のような神事を務めておられる。

 

大垣大空襲

 昭和20年7月29日(1945年)の米軍B29による大垣大空襲で13両の軕のうち7両が焼失した。この恵比須軕は中川町の和田千代吉宅に疎開していて、焼失を免れた。神恩である。

 大垣大空襲は、飛来機数90機、投下焼夷弾約20,000発、死者50人、負傷者約100人、全半壊家屋約4,900戸、罹災者約30,000人(※当時の大垣市人口約56,000人)という大垣市中心部が焼け野原になる大被害を与えた。民間人を巻き込む無差別爆撃は、国際法上で戦争犯罪である。米国は戦勝国であったので、その犯罪を裁かれることはなかった。その事実は記憶にとどめたい。

 

政治の使命

 戦争になれば、商売繁盛どころではないのだ。戦争にならないような政治をするのが政治家の使命である。平和、平和と手を合わせていれば、平和が守れるわけではない。世界には価値観が全く違う人種が蠢いている。人の命をなんとも思っていない人種も近隣諸国にも存在する。現時点で日本の頭越しにミサイルを発射する国や領空侵犯・領海侵犯を繰り返す国が近隣に存在する。日本の安全を脅かす状態は、現在も続いている。だから自分の国は自分で守らねばならない。その国を守る法案成立を妨害して、日本を貶めることに汲々としている今の野党は国賊ものである。

 当時、13両のうち7両の軕が焼失した中で、商売繁盛の神様である恵比寿様の御頭が焼失を免れたことは奇跡で、その存在自体が有難い。さらに恵比寿様の総本山のような兵庫県西宮市の西宮神社から拝領した大垣蛭子神社の御分身も大垣大空襲の災禍を奇跡的に免れた。恵比須様のご加護であろう。

 日本の神話の世界では、イザナギ、イザナミの神様が国を護っていた。イザナギ、イザナミの子の蛭子命は恵比須の化身である。現代は政治家が国を守る責任がある。恵比須様は平和の大切さを教えてくれる。

 

至近距離で拝顔

 今回、至近距離で恵比須様の御頭をまじまじと拝顔でき、我が人生の商売繁盛のお礼を申し上げれて幸せであった。そして多くの発見があった。そのお顔はよくできている。また目が玉眼でできていた。鎌倉時代の大仏師・運慶が開発した玉眼と同じ方式である。またその眼の色付けが素晴らしい。眼のすみの血管の表現が緻密である。重要文化財鑑定の権威である仏師田中文弥氏に相談して、昭和37年(1962)に田中文弥氏が修理されて、現在の美しいお顔に復元された。

 私はこの眼をみて、NHKビデオ「仏心大器」で松本明慶大仏師が、不動明王に眼入れをするノミ入れを思い出した。何気なく作られた眼の形状であるが、緻密に計算された眼の形状である。また眉毛、髭の描写が素晴らしい。眼の保養をさせて頂いた。今までは大垣祭りで、遠くからしか見られなかったので、ここまでの緻密な色付け状態は分からなかった。この神事に出かけてきた甲斐があった。

 皆さんも忙しく仕事もあるので、神事は10分ほどで終わり、後かたずけの後、皆さんは各自の仕事に出かけられた。この神事が毎月2回、1年間続く。ご苦労様です。この神事が370年間も町衆の力で続いているのが大垣の誇りである。

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2018-06-02

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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