恵比須軕の歴史と伝説(2/4)
「御頭渡し」の儀
恵比須軕の恵比須大神の人形の御頭を渡す儀式「御頭渡し」は、大垣まつりの締めくくりの儀式である。本楽の夜、各町の軕が曳き分かれた後、その年の担当町から次の年の担当町へと、御頭を渡す儀式「御頭渡し」が古来と同じ手順で、今も伝統行事として執り行われる。御頭は担当地区の代表の家で保管される。最近では、担当役員の家の事情もあり、その御頭は耐火金庫に納められて大切に保管される例もある。毎月、1日と15日は、保管地区の神社か集会場に御頭を飾って神事が行われる。
御頭の保管は船町、伝馬町、岐阜町、宮町の4町内が一年交代で担当している。今年2018年は、宮町が「御頭」保管の担当である。そのため、宮町は2つの山車の受け持ち、大変である。宮町ではこの6月1日から毎月神事が集会場で行われる。
今年の「御頭渡しの儀」
2018年5月13日、午後6時から伝統の儀式「御頭渡し」が、大垣八幡宮神殿で古来と同じ手順で行われた。本来、午後9時半からであるが、雨で本楽が中止になったので、その時間が早くなった。
あいにくの雨の中を、横笛のお囃子が流れる中、伝馬町の方がびしょ濡れになりながら、ビニールに覆われた御頭を恵比須軕から外した。伝馬町役員が外した御頭を捧げながら、八幡宮神殿前に置く。神主様がお祓い授け、伝馬町の全員で大祓詞を謳い、伝馬町の役員が「確かにお渡ししました」、宮町の役員が「確かにお受け取りしまいた」と述べて受け渡しの儀式は終わる。宮町の役員が、神前に置かれたお頭を捧げて、再度、恵比須軕に御頭を取り付けて完了である。
その後、恵比須軕の前で、横笛のお囃子を奏でてから、大垣市内を通って宮町の軕収納庫に曳いていく。あいにくの雨の中、軕を曳くのは大変である。それでも、昨年は境内が真っ暗で、カメラも高感度対応の機材でなかったので写真撮影が大変だった。今年は雨のため早い時間の明るいうちに儀式が執り行われたので、写真が鮮明に撮れた。何が幸いするやら。
昨年2017年5月14日21:15 御頭渡しの儀
夜宮の後の八幡宮神殿前で、真っ暗の中での儀式
今年2017年5月13日17:42 八幡宮神殿前 明るいうちでの儀式
お頭の取り外し
伝馬町の役員が八幡宮神殿にお頭を捧げて運ぶ
神主のお祓い
お頭を伝馬町から宮町に引継ぎ
御囃子を奏でる
雨の中を市内の巡行と収納庫へ向けて出発
お祭りを支える人達
伝馬町の世話役全員で大祓詞を謳っていたとき、私の横にいた老人が、それに合わせて大祓詞を口ずさんでいた。以前に恵比須の御頭をお世話された町内の方だろうと推察した。恵比寿様を商売繁盛、大垣繁盛の神様として心から崇めておられるようだ。そういう人達が大垣まつりを支えている。感謝。
昨年と今年の撮影状況
昨年2017年は、地元ケーブルテレビが神殿の中を右往左往して、「お頭渡しの儀」を神殿の外から撮影するには最悪の状況だった。今回は、雨で観客が少なくケーブルテレビも不在だったのが幸いした。私も昨年は、当日この行事を初めて知って行動したので、撮影位置が神殿に集まった観客群衆の後ろになり、上手く撮影が出来なかった。今回は、構えて早めに来て一番前に場所取りをしたので、上手く撮影できた。この撮影も2年越しである。
2018-05-14 久志能幾研究所 小田泰仙
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