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2018年4月16日 (月)

佛像造りの創造性

京都の都メッセで仏像彫刻展

 2018年4月8日、京都の都メッセで仏像彫刻展が開催されたので出かけた。京都の仏師の作品20体が展示されていた。その中で、会場に入ると4尺(高さ3m)の紅松製の大仏である不動明王座像が睨んで出迎えてくれた。その姿は圧巻であった。その大仏は松本明観師の作である。

 その不動明王の目つきは厳しく、己の心の中の煩悩を見透かすようであった。己のために、叱って下さるお不動さんであった。ところが、お不動さんの懐の飛び込むように至近距離1mまで近づいて見上げると、「よう来た、よう来た」とその目は笑っていた。口元も微笑んでいるかのようであった。

 今回、松本明観師は、そういう目の錯覚で、目つきが変貌する仕掛けを創られた。目の形状を工夫して、見る角度で、仏様の目が笑ったり、睨みつけられたりたりする技法を創造した。その目の形状が今までと違うのでガラスの目を入れるのに苦労をされたという。

 今回のお不動さんは、己の心の中の煩悩を見透かして、叱って下さる。懐に飛び込めば、佛様の目が厳しい目つきから、優しい笑っている目に変化する。

 

水戸の松本明慶仏像彫刻展

 2018年4月16日、水戸の京成百貨店で松本明慶仏像彫刻展(会期4月12日~17日)があり、遠路5時間をかけて出かけた。そこにその不動明王座像が展示されていた。残念なのは、会場の天井高さが3mに制限があり、京都の会場よりも台座が低く設置されており、その迫力が半減していた。それでも、真下に座って見上げると、目に微笑を浮かべて迎えて頂いた。

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 不動明王座像 京成百貨店で 2018416

 松本明慶師より撮影の許可を頂いています。

松本明慶大佛師の目指すもの

 佛像という佛様は、拝み手を合わせれば、なにか心が安らかになるお顔でないと、手を合わす意味がない。松本明慶大佛師も、拝めば知恵や安らぎを授けてくれるようなお顔を目指して仏像づくりに精進されている。また参拝すれば己の煩悩を見据えて叱ってくださる佛様、佛に近づきその懐に飛び込めば優しく抱いてくれるような佛様を目指して佛像づくりをされている。古い伝統に縛られた仏像つくりではあるが、その中にも新しい挑戦と創造がある。

 実際の不動明王の目がどのように見え方が変貌するかは、京都の松本明慶仏像彫刻美術館で、皆さんご自身でご確認してください。

 この不動明王坐像の制作過程が、下記で放映されます。

 2018年4月29日 BS-1 クールジャパン 18:00~18:44

 2018年5月13日 BS-1 クールジャパン 12:00~12:44(再放送)

 

2018-04-16

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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