無物語の「平家物語歴史館」4/4
博物館も書物と同じで物語がある。どういう導入で観客の心を捉え、ストーリーを考え、最後の結論で何を観客、読者に伝えるかが問われる。この歴史館の伝えたいことは、お涙頂戴なのか、歴史の流れなのか、何を伝えたいのかが曖昧である。
全体構成
「平家物語歴史館」は1階と2階で構成されているが、全体の位置づけが曖昧である。「平家物語歴史館」と名を売っているのだから、平家物語を主体にすべきだと思う。1階に四国に関係する偉人のロウ人形の展示があるが、だからなんなの? 印象に残るのが、ごちゃごちゃで盛沢山すぎるのだ。また館全体が暗い雰囲気なのだ。歴史の一コマをロウ人形で表現するにも、歴史の観察者の第三者の目で見るためには、美しく表現して欲しい。暗く、お涙頂戴で、見世物みたいな展示では、再度、訪問したいと思わない。
壇ノ浦の戦いの後
この場面をロウ人形で表現するのは異様である。見世物小屋の雰囲気である。
人の顔に人物の歴史が刻まれる
ロウ人形は、モノの展示ではなく、人物をロウ人形の形を介して、その人物の歴史を伝えている。ロウ人形の作者は、その作品を通して、その人物像を伝える使命がある。この歴史館では、それが観客に伝わってこない。
人には、顔に刻まれたその人の歴史がある。その顔にどういう人格を表現するかが、彫刻家、ロウ人形師に問われている。その人物の人格や性格が現れる表現力が問われる。リンカーンが言うように「人は40を過ぎたら、自分の顔に責任を持たねばならぬ」。自分の顔には、自分の生き様の歴史が刻まれている。
私の趣味は、人間観察である。そのため、人相、手相、体相、しぐさでの性格等を研究している。顔を見れば、その人の歴史が透けて見える。だから危ない人と縁が出来るのを避けることが出来る。それも人生の危機管理である。
2018-04-22
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
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