生きた仕事には魂が宿る
命に値段があるのは、その命が社会のために活動をして、そこから付加価値を生むからである。それができなくなったら、死と同じである。私は体と頭の健康管理をして、生涯現役を目指すため生涯自己挑戦を続けたいと精進している。
馬場恵峰師は、2018年現在も91歳で現役である。83歳の三枝子奥様も書家として現役である。馬場恵峰師は書家としての活動以外に、東奔西走で講演会、指導、震災地慰霊訪問、中国での写経指導の引率と大忙しで、認知症になる暇がない。こういう人生でありたいと、手の届かないお手本にさせていただいている。感謝。
今日2018年3月11日は東日本大震災が起きて7年目である。犠牲になられた方のご冥福をお祈りいたします。この件で、ご縁があった馬場恵峰師の震災への支援について報告をさせて頂きます。
東日本大震災での支援
2011年4月2日、盛岡で東日本大震災の被害に遭われた朋友の齋藤明彦社長(㈱電創総合サービス)が、東北の皆さんを元気付けるため、書の師である馬場恵峰師(当時84歳、大村市)の元を訪問して、哀悼の書の揮毫を依頼された。そのとき、三陸海岸宮古浄土が浜の海水を持参して、それを使っての書の依頼である。その海水にまだ犠牲になられた方々の精霊が漂っていて、その精霊を鎮魂したいとの思いである。震災後のかたづけの多忙の時期で、家族や社員の方からは白い目で見られたにも関わらずの長崎訪問である。当時、斎藤社長の会社も甚大な被害を受け、てんてこ舞いの状態であった。従業員の方で亡くなられた方は見えなかったのがせめてもの幸いである。
海水を使っての磨墨は、そのままではかなり書きにくいとのことで、恵峰師は薄めて書かれた。その書は、2011年4月16日の明徳塾でお披露目された。その時、私は初めてその経緯を知った。
同席のご縁
齋藤社長が長崎の先生宅を訪問したとき、私もたまたま同席をするご縁を頂いた。私は先生の松尾芭蕉300年御忌で書かれた『奥の細道全集』を撮影するため訪問していた。齋藤社長とは机を並べて馬場先生の書を習う仲間である。齋藤社長とは長崎空港で別れたが、かなりお疲れのようであった。こういう無償の奉仕こそ生きた仕事である。
考えるまもなく津波に押し流された方の無念さが偲ばれる。明日はわが身と思い、時間(命)の有限性を再認識して精進している。
恵峰先生の図書館にて(2011年4月2日) 撮影 小田
左端が齋藤社長、右端が恵峰先生、中央は福田琢磨社長。
手前がこの日、撮影した馬場恵峰書「奥の細道全集」
大阪府箕面市 加古川山荘にて(2011年4月16日 撮影)
上の書は、2011年4月2日、長崎県大村市の先生宅を訪問した時にお土産として頂いた。
恵峰師の震災地慰霊訪問
馬場恵峰師は、老体に鞭打ち、計6回の東北訪問をされた。その間、岩手県知事を訪問、山田町や大槌町などを訪問して、追悼の書を贈呈された。夜は地域の皆さんへの講演活動をされ、皆さんを激励された。現地は交通路が遮断されているので、車で4時間も5時間もかけての遠路に足を延ばされた。頭が下がる思いである。
岩手県知事を訪問時には、知事の名前を織り込んだ漢詩を贈呈され、知事を元気づけた。
第3回目東北地方講演会訪問 岩手県知事室にて東日本大震災・復興記念講演会と浄土ケ浜の海水でしたためた「鎮魂の書」を贈呈するため訪問。2012年10月2日
左から齋藤社長、奥様、馬場恵峰先生、達増拓也岩手県知事、吉田県議、福田社長、齋藤社長のご子息
知事の名前を織り込んだ漢詩を贈呈
大槌町の佐々木副町長に贈呈 2012年10月1日 撮影 福田琢磨
宮古市の山本正徳市長に贈呈 2012年10月1日 撮影 福田琢磨
山田町の佐藤副町長に贈呈 2012年10月1日 撮影 福田琢磨
大船渡市の角田副市長に贈呈 2012年10月3日 撮影 福田琢磨
高齢の先生にはハードスケジュールである。さすがに疲れたと仰っていた。
岩手県 浄土ヶ浜
浄土ヶ浜で、恵峰先生ご夫妻と齋藤明彦さんとご子息 撮影 福田琢磨
義援金のご縁
今回、齋藤明彦さんとのご縁に佛の差配を感じて、この震災への義援金として数回に分けて計50万円を送った。最初は日本赤十字に送っていたが、齋藤さんの助言で、途中から山田町役場に直接送ることとなった。その理由は、日本赤十字に送ると、2割が日本赤十字社の運営費に回されてしまう。またその用途が公表されないという。山田町役場に義援金を直接送ると、役場のHPに公開されるし、その用途も公開されるという。そうすれば山田町役場には、2割引きの義援金でなく、全額が届くのである。
2018-03-11
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
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