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2018年3月18日 (日)

高松国際ピアノコンクール「天国と地獄」3/5

演奏者の天国と地獄

 至近距離から演奏者41人のピアノ演奏の姿勢を観察して、興味深かった。悲壮感丸出しで演奏する人、楽しそうに体を揺らして演奏する人、苦難と格闘するが如くピアノを弾き続ける人、様々である。人生の晴れ舞台で、今までの練習を自分で褒めてやりながら演奏する人には、天国であり、練習不足で不安に満ちて弾く人には地獄であったろう。それでも私のような素人から見て、破綻のある演奏をした参加者はいなかった。

 この日のために何千時間もかけて己を成長させてきた強者たちである。世界の中から選ばれた人たちである。この演奏会を天国と思うか、地獄と思うかが、その人の人生観だ。携帯電話の11桁が覚えられない私から見て驚嘆すべきは、一次予選では25分間の暗譜、二次予選では45分間の暗譜でピアノ演奏をやすやすとこなす能力を身に付けた強者たちなのだ。

 

智慧を得るための経験として

 今までの多大な練習を自分に課してきたこと思えば、どんな状況でも自分で試練を切り開いていく自信ができたはずだ。これからの人生で直面する事態はもっとすごい事態があるはず。もっと肩の力を抜いて楽しくニコニコ顔の死に物狂いで頑張って欲しい。

 私も今までの人生を振り返り、コンクールの様な試練や試験でも、もっと力を抜いて、良き経験を積める機会だと思って取り組めばよかったと反省している。競走馬にように、横が見えない遮蔽物を目に付けてピアノ専門バカとして生きるのではなく、回りの人生の風景を楽しみながら、人生を送って欲しい。

 

好々爺の天国と地獄

 初日と2日目に、私の後ろの席に人の好さそうな老人が座っていた。その御仁がこともあろうに、2日目の途中から、演奏中に居眠りを始め、いびきをかき出したのだ。気持ちよい音楽を安い入場料で聞けて、もて余す時間をつぶしには天国の会場であったのだろう。私は筆記具で、膝をつっついたが目を覚まさない。演奏が終わってから幕間に、私と私の隣人が、怒り心頭で、私とその好々爺に噛みついた。その御仁はハトが豆鉄砲を食らったように、茫然としていた。3人の演奏が終わった後の休息時間中に、バツが悪く感じたのか、別の席に消えた。その人は、天国から地獄に落ちたのだ。

 一次審査は3曲を20~25分間で弾くので、聴くほうはそんなに飽きない。しかし、二次審査になると45分間の連続演奏なので、睡魔に襲われ、回りで寝ている人が多かったとは、次の日に参加した知人からのお話しであった。

 聞くほうは天国でも、演奏者は自分の人生がかかった大事なコンクールである。相手の身になって演奏を聴いてあげたいもの。

 

スィーツ天国から地獄に堕ちる

 会場は飲食物持ち込み禁止である。初日は、休息時間にロビーで販売していたコーヒーとスィーツを食したが、そのスィーツの全種類が、私が食べてはいけない禁止食材が入った種類ばかりであった。マーガリン、バター、ショートニング、植物油、砂糖の入ったお菓子や菓子パンばかりである。またそのお菓子の一つが300カロリー以上の栄養価があり、肥満への地獄便スィーツである。美味しいものには毒がある。食べれば天国の心地であるが、後年に病気という地獄の縁を頂く。主催者も、そういう面での気配りをして欲しいもの。せめてスィーツには和菓子を用意して欲しい。私は苦しい選択をして200カロリーの焼き菓子を選択して、何とかしのいだ。2日目以降は、戒めを思い出して絶飲食にした。

 2017年4月にウィーン市街を散策したが、音楽の都にはカフェが多くあり、コーヒーとスィーツが溢れていた。ピアノ演奏とスィーツはよく合う。これを見逃すほど聖人でない私は、我慢できず、手を出した。これが美味しいんです。ウィーンに10日間滞在して、帰国後、真島消化器クリニック(久留米市)で血管内部のプラークの厚み検査を受けたら、てきめんに検査結果が悪くなっていた。現地で油分と糖分の取り過ぎが原因であった。

 西洋人は若い時はスマートで美しいが、音楽に酔い痴れて、甘いものを取り過ぎ、肥満の地獄に堕ちる。地獄の最終地は心臓病、心筋梗塞、脳梗塞、ガン、認知症である。ご用心ご用心。

 7p1000700

 ウィーンのカフェにて 2017‎年‎4‎月‎18‎日

 

糖質と甘味は中毒になる

 人間や動物は「快感」を求めることが行動の重要な動機になる。このような快感が生じる仕組みは脳内にあり「脳内報酬系」と呼ばれている。脳内報酬系は、人や動物の脳において欲求が満たされたときや満たされる予想がされたときに活性化する。A10神経系(中脳皮質ドーパミン作動性神経系)と呼ばれる神経系が脳の快楽を誘導する「脳内報酬系」の経路として知られている。

 動物実験などで糖質も甘味も薬物依存と同じ作用があることが判明している。快感を求めて甘味や糖質の摂取を求め、次第に摂取量が増え、摂取しないと禁断症状が出てくる。ラットの実験では、コカインよりも甘味の方がより脳内報酬系を刺激する結果となる。つまり甘味はコカインよりも中毒(依存性)になりやすい。砂糖の多い食品や飲料の過剰摂取は甘味による快感によって引き起こされ、薬物依存との共通性がある。

 ラットやヒトを含めて多くの動物では、甘味に対する味覚受容体は砂糖の少ない太古の時代の環境で進化したため、高濃度の甘味物質に対しては適応できていない。現代社会の砂糖が過剰なスィーツ類で味覚受容体が過剰に刺激されると、脳において過剰な報酬シグナルとなるので、自制のメカニズムを超えてしまい中毒になる。

 銀座東京クリニック 院長の福田 一典氏のHPより編集

 http://www.daiwa-pharm.com/info/fukuda/7388/

2018-03-18

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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