5S無視で観光拠点を目指す大垣市
「大垣市中心市街地活性化基本計画」検証8
ある由緒正しい商家を訊ねたら、営業はしているが、お店の正面のシャッターが半分降ろしてあった。お店は閑散としていた。商家の案内看板が鳥の糞で汚れていた。お店の街路灯もペンキが剥げており、電灯も切れていた。お店の周りが汚い。お店の立派な時計も文字盤が錆びだらけであった。トイレを借りたら、これが汚いといったらありゃしない。お店は昭和38年に建てたようで、見た目がボロボロである。聞けば、別の場所に新しいピカピカの本宅を建築中とのこと。それも隣の商家よりも見栄を張って1.5倍も立派なお屋敷とか。
こんなお店に来たいと思いますか。たとえ話で言えば、これが大垣市の状況である。ピカピカの本宅とは大垣新市庁舎である。
大垣市の目標1
大垣は「大垣市中心市街地活性化基本計画」で、観光都市を目指して3つの目標を定めている。その第一が、「(1)目標1 観光・交流拠点の整備や商業機能の再生による「にぎわいの創出」」(P67)と謳っている。
ところが、目標の第1番目で観光都市を目指し賑わいを作ると計画書ではぶち上げているが、現実の大垣市は、5S無視で観光客の笑いものになっている。この計画書が絵にかいた餅で、あくまで新市庁舎建設の言い訳書であることが明白である。
トヨタは5Sを徹底したことで、業務の効率を上げて発展した。5Sとは整理・整頓・清掃・清潔・躾である。企業経営・組織経営・人生経営の基本である。それで生産性と人間性を上げて、トヨタを世界一にした。
現在の大垣市長は、この17年間で、非整理・非整頓・非掃除・不潔・否躾と不義理の5Sを徹底して、大垣経済を非効率な状態にして、大垣市を衰退させた。市役所職員の人間性を下品にして大垣を没落させた。大垣市は不祥事のオンパレードである。
5Sの第一「整理」
整理とは、「理」を「整える」である。いつでも使えるように、道具や設備を整備することである。
「武道館」を放置
大垣市は、観光資源である大垣城内の「武道館」を放置して、埃だらけにして、市の教育担当部署の物置にしている。税金の無駄遣いである。節約以前の問題である。
2017年12月12日撮影
新大橋の照明装置
新大橋の下側には照明装置が配置され、夜になると点灯して水門川を照らしていたが、数年前から、全く灯が消えている。
新大橋の上に設置された時計台は、照明のランプに消えたままである。もう数年間も点灯しない。数年前に時計も数日間も止まったままになっていたので、私が市に連絡して、やっと復旧した。しかしランプは復旧しないままである。風情ある街路灯は錆が浮かび上がり、見っともない。なぜ大垣市には設備の保全部隊がいないのか。行政の怠慢である。
2017年12月12日撮影
英文観光パンフレットの不在
大垣市は、「大垣市中心市街地活性化基本計画」で観光都市を目指すと言いながら、駅前のクインテッサホテルには、英文の大垣観光案内パンフレットが置いていない。ホテルのフロントマンがその存在を知らないのだ。大垣観光課の市内の宿泊施設に対する広報業務の怠慢である。観光客に対する情報提供が整理されていない。縄張り意識の高い役人ばかりがはびこるのが原因である。それでどうして観光都市を目指すのか。
5Sの整頓
大垣市長は、現代の車社会の適応するように市の中心部の駐車場を整理せず、商店街前道路上の駐車違反車を摘発して「整頓」した。そのため大垣駅前商店街の経済がマヒして大垣駅前商店街が衰退した。
大垣市長は、道路行政でも、見栄えはよい街路樹の「整頓」に金を使い、交通の流れを整理する「理」にあった政策は何もしない。道路を整理もせず、狭い大垣駅北地区に多くの大規模小売店を整頓させて誘致して、さらに交通の大渋滞を招いている。
大垣市長は、駅前にマンションと予備校を整頓させて、美しいビルは林立したが、大垣駅前商店街が消滅した。駅前にマンションと予備校が林立すれば、その街は終わっている。その「理」に気がつかない大垣市長は、市の経営・経済の「理論」を理解する能力がない。
亀の池の愚
大垣市は平成30年に大垣駅前広場にカメの噴水公園を整備して見栄えの「整頓」をする計画である。その前の大垣駅前の交差点道路で2車線が1車線に減少する超変則道路を長年、無為無策で放置して交通の大渋滞を起こさせている。大垣経済活動の重要な道路行政は無為無策である。大垣市長には、交通の流れを整理するよりも、見栄えだけのカメの池の整頓を大事にすれば、大垣市は益々寂れていく。
5Sの清潔
大垣市の観光の目玉の「四季の路」の案内看板が、鳥の糞で汚れている。それが数か月間も放置されたままになっている。何人の市外の観光客がこれを見て、嘲り笑っていることやら。大垣市の恥さらしである。
「緑の賞」までもらった「四季の路」の芭蕉の句の看板がかすれて、読めないし、貧乏くさい。大垣市の恥である。これでは、鳥の糞にまみれた「奥のクソ道」である。「奥の細道」に申し訳がない。
2017年11月30日撮影。2018年2月現在でも同じ状況
幽霊街のような大垣市街地マップ
新大橋上にある観光看板が薄汚れて、案内文字が消えそうな状態である。見るだけ汚らわしいような雰囲気である。まるで幽霊街の案内板である。その前に設置された花壇も、以前は業者が花を植えていたようだが、いつの間にか、その手入れが無くなってしまった。
錆びだらけのモニュメント
錆びだらけの街頭ランプ、錆びだらけにモニュメントは、新大橋という大垣駅前商店街の中心地に建つハコモノとして、恥さらしである。多くの観光客がこれを見て嘲り笑っている。
大垣市のハコモノ作りは過剰
大垣市はハコモノ作りでは、全国の他市よりも御熱心で、全国704都市中でワースト205位にランクされる金遣いの荒い街である(『週刊ダイヤモンド2013年3月2日号』「ハコモノが地方を潰す」)。このデータによると大垣市は43.8%も過剰なハコモノに溢れている。これは5年前のデータであるが、今はそれより悪化しているはずだ。それなのに大垣市長は大垣新市庁舎建設に暴走である。
しかし、もっと大きな問題点は、大垣市はハコモノを作りっぱなしであることだ。保守、点検、5Sという観念がないのだ。大垣市はハコモノを作る業者には熱心に金をばらまくが、保守点検清掃には金をケチる。だから大垣市は寂れていった。ハコモノ業者との癒着も考えてしまう。
シベリア抑留戦没者慰霊碑を冒涜
㈱丸順の今川順夫会長は、「恒久平和祈念の碑」(大垣公園内に設置)を「シベリア抑留を風化させないための後世への遺産」として、小川敏市長に管理をお願いした。小川敏市長が「大垣市が守ります」と約束した。その「恒久平和祈念の碑」は落書きだらけで、歴史を守れない大垣の恥をさらしている。大垣市長は、これを修繕、保守する気が全くないようだ。この碑の建立式典の時(1991年8月)、小倉満前市長は、今川順夫氏の話を聞いて涙を流された。小倉前市長は、墓の下で、慰霊碑の状態と大垣市の惨状を見て泣いている。
中央が大垣前市長の小倉満氏、その隣が今川順夫氏。
大垣城ホール設置の時計
多くの人が集まる大垣公園前の大垣城ホール壁面設置の時計が、錆びだらけで市民として恥ずかしい。小さな時計のサビ落とし一つ整備できず、何が新市庁舎建設なのか。何が大垣市商店街再開発なのか。なにが観光・交流拠点の整備や商業機能の再生なのか。計画自体が間違っている。その前にやるべきことがある。
5Sの清掃
大垣市長は、節約の大号令で、市役所の部下は大垣市公共トイレの清掃費をケチり、日本一汚いという風評を作り、観光案内看板の掃除費をケチり、時計の錆の汚れを放置して、消えた電灯を交換せず、大垣を不潔な街にした。すべて節約を大上段に構えた方針のためである。人として、大垣市として、出すべき金をケチったためである。それを吝嗇という。5Sの実施は、経営への基本的な投資である。投資と節約の区別がつかない大垣市長である。だから大垣市は寂れた。
5Sの躾
街並みが汚い環境で育つ子供たちの未来が心配である。これでは学校のテストばかり良い成績でも、不潔に不感症な子供になってしまう。それは「修身」や道徳とは正反対の世界である。大垣の子供たちが発展途上国の子供並みになってしまう。小さな子は、一番多く見て接した環境に染まる。清潔の場所で育てば、清潔好きな子供に育つ。汚い場所で育てば、不潔に不感症な子供に育つ。大垣市長は、北校、東大で、そんな躾を受けたのだろうか。大垣市長が現在の大垣の街並みをみて何も感じなければ、大垣市は終わっている。市長の資格はない。
神は細部に宿る。大垣紙はちり紙なのか。それならチリ紙交換に出すべきだ。
2018-02-08
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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