第37回 霊山顕彰会研修旅行
2017年11月10日、7時前出発、20時帰宅で、第37回霊山顕彰会岐阜県支部の研修旅行として、東福寺と旧三井家下賀鴨別邸、京都霊山墓地、霊山歴史館を訪れるバスツアーに行ってきた。今年、私が公益財団法人霊山顕彰会岐阜県支部に入会して、初めての研修旅行であった。
京都霊山墓地は明治元年(1968)5月8日、太政官布告により、7招魂社(京都、山口藩、水戸藩、鳥取藩、福岡藩、熊本藩、高知藩)が建立された。そこに明治維新に命を捧げた志士368柱(3116柱合祀)が祭られている。
京都へのバスの途上で、横幕孜先生から、京都霊山墓地の経緯等の歴史の講義を受け、基礎知識を受けたうえで参列した。この霊場には、岐阜県招魂場とて梁川星厳と所郁太郎の碑が建てられている。今回は碑の碑前祭を中心に報告する。
岐阜県招魂場で慰霊祭
京都霊山墓地では、梁川星厳と所郁太郎が祭られた岐阜県招魂場で厳かに慰霊祭が執り行われ、霊山顕彰会岐阜県支部の44名が参列した。慰霊祭の前に慰霊碑を掃除をして、お花、お水を手向けて、住職による読経、梁川星厳作の詩吟を大垣詩吟の会の皆さんが慰霊として吟じた。その後皆さんが新しい日本のために命を捧げた偉人に合掌した。私は初めて参列して感銘を受けた。
この周りの土地全ては、以前は白居家の神道のお墓であったがそれが全て維新の志士のための墓地として提供されたという。岐阜県招魂場には、梁川星厳に縁ある人達のお墓が取り囲んでいた。
梁川星厳
梁川星巌(1789年~1858年)は、美濃国安八郡曽根村の郷士の子に生まれ、文化5年(1808年)に山本北山の弟子となり、同3年(1820年)に女流漢詩人・紅蘭と結婚した。紅蘭は江馬細香の妹である。星巌は紅蘭とともに全国を周遊し、江戸に戻ると玉池吟社を結成した。
梁川星巌は、梅田雲浜・頼三樹三郎・吉田松陰・橋本左内らと交流があったため、安政の大獄の捕縛対象者となったが、その直前(大量逮捕開始の3日前)にコレラにより死亡した。星巖の死に様は、詩人であることにちなんで、「死に(詩に)上手」と評された。妻・紅蘭は捕らえられて尋問を受けるが、翌安政6年(1859年)に釈放された。
東京の松陰神社内の吉田松陰墓所の右側2つ目が幕末に思想家頼山陽の三男・頼三樹三郎の墓である。頼三樹三郎は安政6年(1859)に、安政の大獄に連座して、刑死した幕末の志士である。頼三樹三郎は、梁川星巌がコレラに罹り死亡する時、側にいて看取った縁がある。梁川星巌は、江戸時代後期、学問の大垣といわれた時の漢詩人で、現在の大垣の代表的文人である。梁川星巌の妻は江場細香の妹である。江場細香は、頼山陽の永遠の恋人であった。
梁川星巌の資料や経歴の書画は、「奥の細道むすびの地記念館」(大垣市船町)に展示されている。
大垣の偉人 金森吉次郎
京都霊山墓地は、明治100年を経て荒れ果てていたが、松下幸之助翁が尽力をされ、整備をされた。同時に明治維新の志士の業績をたたえる為、霊山歴史館を建てられた。日本の未来を懸念され、過去の偉業に光を当てた松下さんは偉い。
それよりも、今回初めて知ったのが大垣の偉人である。松下幸之助さんが大金を投じて整備された時よりも、50年も前の明治41年9月に、大垣の金森吉次郎が、京都霊山招魂社社表を寄贈し、社前四辻角に大道標建立を願い、大森府知事に設計を依頼、極上長崗岩、尺角高六尺二重台、表面に「霊山招魂社道」。「風致と維持資金のため、扁柏(桧)千本・杉500本寄付」との記事が『大垣青年会誌』に記載されていることだ。
金森吉次郎
元治元年(1864年)~昭和5年(1930年)、大垣輪中(現:大垣市魚屋町)に生まれる。父の金四郎は篤志家として外国貿易や製糸業を手がけた大垣屈指の資産家である。明治21年、25歳の時、大垣輪中が揖斐川の洪水で一面湖となった時に、人々の推挙により救済委員となり、治水事業に関わり始める。その後、県会議員、衆議院議員などを歴任した。「治水のもとは治山である」が持論で、水害の根本解消のため、木曽三川改修の実現を生涯の目標として、父から譲り受けた全財産と一生を治水と山林事業に使い尽す。また、治水の先人である平田靱負ら薩摩義士の事績を掘り起こし、記念碑を建てるなど、薩摩義士の顕彰にも貢献した。現在、大垣城の前に顕彰の銅像が立っている。
今日まで、こんな偉人が大垣にいたことを私は知らなかったのが恥ずかしい。今回の旅行で、横幕先生のバス内講義で初めて知った次第です。今回は良きご縁の出会いであった。また戸田極子伯爵夫人のご縁も、今回の京都霊山墓地で見つけた。これは次回の報告です。
図1 京都霊山護国神社
図2 京都霊山墓地
図3 岐阜県招魂場
図4 岐阜県招魂場 読経
図5 岐阜県招魂場 読経
図6 岐阜県招魂場 慰霊の詩吟
図7 霊山歴史館
2017-11-10
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
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