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2017年9月 8日 (金)

戦友の墓標

 祖父・祖母・母の戒名の修正と追善供養の段取りとが終った2015年1月30日、昔の仕事仲間Oさんが玄関・トイレのリフォームを見学に来た。その後ロワジールホテルのレストランで会食をした。その場の昔話で、当時の部下のY君が2年前に亡くなったという話があり愕然とした。彼とは25年前の開発業務での付き合いである。その後、彼は技術部に異動して私も別の部署に異動をして、その後、事情があり退職して故郷の奈良に帰ったという。それ以来彼とは縁が切れていた。それがお墓と玄関・トイレのリフォームが一段落して飛び込んできた訃報である。

 慌てて彼の奥さんの住所に電話をしたが、既に転居したようで連絡がつかない。その後、彼の昔の仲間に連絡をして、2014年4月、55歳で胃がんのため亡くなったことが分かった。1年毎の健康診断の人間ドックで胃がんが発見されたが、その時は第三ステージで手遅れであった。その友人も慌てて見舞いに行った時は既に意識が無く、帰宅後の翌日に訃報に接したという。

 彼は当時の会社の処遇に不満で退職したのだが、その転職先がかの松下電器(現パナソニック)であった。その後、ニュースでも何度となく報道された松下電器大リストラの嵐に巻き込まれたようだ。その心労でガンになったようだ。彼は繊細な神経の子であった。体調不良でも無理をして働いていたのだろう。彼は死に場所を求めて奈良の松下電器に転職をしたようなものだ。ガンは食事とストレスからくる自己細胞の増殖暴走である。

 

松下電器権力争いの呪い

 松下電器の権力争いが松下電器の業績の迷走に拍車をかけた。業績不振は経営層の責任であるが、だれも責任をとらない。松下電器の経営層は権力争いの結果、経営が傾き、その失敗の挽回に社員の首切りで対処した。プラズマに過剰投資をして会社を傾けた社長は、天皇として院政をしいて君臨している。その陰で数万の社員と家族が泣いている。墓の下で創業者の松下幸之助翁が泣いている。松下幸之助翁ならこんな対応を許さなかったはずだ。

 

対処療法としてのリストラ

 企業がリストラをする状況とは、100人乗った船が沈没しそうになったとき、20人が下船しないと、船が沈没する状況である。20人の下船は応急的な対処療法である。航路を導きそれに沿って必死に働いた船員に責任を負わせるには非合理である。それに到った根源の船頭に責任を問わないと、船はまた沈没の危機に遭遇する。沈没の危機のとき20人のリストラは不可避ではあるが、そのリストラ名簿の最後に社長の名前を入れるのが筋である。それが責任者の姿である。船長は船員の幸せのために働くべきで、それに反した結果となったのだから責任を取るのが筋である。最近のマスコミを賑わすリストラ劇で、社長が責任を取った例は少ないのが嘆かわしい。だれがこんなに日本人の精神を荒廃させたのか。すべて欧米の拝金主義の影響だと思う。

 1990年代、グローバル競争の荒波が電機業界を襲い、多くの家電メーカが沈んだ。そのため多くの企業がグルーバル主義、成果主義、拝金主義に舵を切っていった。

 

親の因果が子に報い

 そのグルーバル主義は昔の植民地政策、覇権主義、帝国主義の落とし子である。その植民地政策のツケが、現在の欧州難民問題として欧州に降りかかっている。200年、300年前の先祖の悪行のツケが回って来たわけだ。アジア・アフリカに比べて繁栄している欧米は、その昔の殖民地からのアガリで潤ってきたに過ぎない。中東・アフリカ・アジアの民の富を強奪し、植民地住民として虐げてきたので今の欧米の繁栄がある。欧州に押かける難民問題の解決は、その根本原因に遡らなければ対処は難しい。「親の因果が子に報い」である。

 

白人による領土強奪狂騒

 グルーバル経済主義、成果主義、拝金主義は、白人のみが神から祝福された民として略奪・君臨が許されたと思い込みから来ている。15世紀半ばから、白人たちは他人の領土の分捕り競争を進めた。欧米の視点では大航海時代といわれるが、実際は殺略・強奪の領土泥棒犯罪である。そこには、人は平等、利他、足るを知る、という思想は無い。白人にとって有色人種は人間ではない。優秀人種と思い込んでいる白人が、富を独り占めするのは神の意志であると思い込んでの行動である。それのなれの果てが、現在の欧米の富の格差である。1%の支配者が99%の富を独占する格差社会となっている。それが社会不安の原因となっている。そんな不幸な社会を目指して、国民は戦ってきたのだろうか。どこかでボタンを掛け違っている。

 「桜田門外の変」に始まる明治維新までの幕末の争乱は、日本の知識層がアヘン戦争で中国が英国に負け、侵略された情報に接し、日本の将来に危機感を抱き、幕府側・倒幕側ともに植民地化を狙う欧米列強からの危機を防ぐために起きた行動である。その行動が取れなかったアジア諸国は、ビルマを除いて欧米の列強に植民地にされた。ハルノートを突きつけ、目ざわりな黄色人種の日本人を兵糧攻めにしようとした米国に、自衛のために立ち上がったのが日米対戦である。そのお陰で、アジア諸国は列強の植民地から独立ができた。そのために美味しい利権を奪われた欧米諸国の日本への恨みは強い。それが戦後の日本への強い風当たりとなった。

 その欧米の覇権争いの陰で、私の親族が多くの国民と同じように先の大戦で戦死やシベリア抑留の憂き目をみた。その前の時代には、井伊大老が桜田門外の変で暗殺され、その行列に随行したご先祖は酷い目にあった。その根本原因は、欧米の有色人種から略奪しようとする覇権主義・利己主義からきている。そのグルーバル主義、拝金主義が、昔の私の部下を病死に追いやった。和、利他、足るを知る、という考え方に欧米の個人主義が変わらない限り、世界の戦争や企業の横暴はなくならない。その思想を発信していくのが日本人の務めであると思う。

 

2017-09-08

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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