« 銀行強盗の勧め? | メイン | 2.7 段落(パラグラフ) »

2017年6月27日 (火)

走る棺桶に乗っていませんか? (改定)

8.2  安全への投資

⑴ より安全な車を選択

 目先の節約の点や、経済性からいくと逆になるが、大きな車に乗る方が安全で、人生の長い目で見たら総合的に経済的である。人生で一番大事なのは、己の命である。命はお金では買えない。

 

 私は業務上の必要性から、会社のテスト車で、軽自動車,リッターカー,小型乗用車,普通乗用車、FF車、FR車、RV車,1BOX車、スポーツカー(ホンダNSX)を乗り比べてみて、道路上での周囲の反応が微妙に違うことに気がついた。明らかに、軽自動車やリッターカー等の小さな車に乗っていると、トラックやチョットいい車に乗っている連中に、軽く見られる傾向があるのを感じた。特に、信号待ち等での相手車の強引な右折や追い越し等で、それをよく感じた。逆に、でかいRV車に乗っていると、この現象が激減する。

 ランクルに乗っている知人の話でも、トロトロと走っていると普通車では直ぐあおられが、ランクルだとあおられることはまずないそうだ。どうも日本人は、乗っている車の車格から人格を判断しているようだ。確かに私でも、相手が高そうな外車や、特に相手がベンツなら下手をするとヤーさんかもしれないので、思わず道を譲ってしまう。また無意識に高い外車だと下手に絡むと高い修理代を請求されるとの潜在意識が働き、無意識に車間距離を広げてしまう。逆に軽なら、金のないオバチャンが乗っているかと、軽んじてしまいそうだ。

 

 このように、小さい車に乗っていると、強引な割り込み等で事故に巻き込まれる可能性が高まるので、少しでもそれを避けるには2000CCクラスの普通車が無難である。出来れば戦車がお勧めです? それが無理なら、「乗用車の戦車」と言われるVOLVO 車やベンツがお勧めである。ボルボ車には、事故になっても車は無事で、乗っていた人は死んでいた、とのジョークがあるほどで、その安全に取り組む姿勢は並ではない。安全のためにはこの出費は保険、として考えれば納得がいく。事故が起これば、いくら節約で効果を上げても、何をやっているかわからない。また一般的に、事故が起きた時には、車が大きい方(高い車)が死亡に至る危険性が少ない。安全が人生最大の節約です。事実この理由で、知り合いの社長は娘さんにアメリカ車を与えているとか。

 

軽自動車の留意点

 軽自動車は、税金、運用経費の安さで、2台目の車として利用されている。しかし安全性の点では、利用方法を考えるべきだ。特に、軽自動車に乗る時は、間違っても国道1号線等のトラックが多く走る夜間の道路は走らないことが前提である。軽自動車がトラックと勝負しては、軽自動車は「走る棺桶」に変貌する

 昔の仲間で、夜遅くまで仕事をしてその帰路、国道一号線で信号待ちをしていて、居眠りのトラックに追突され半身不随となり、退職を余儀なくされた方がいた。相手が居眠りのトラックでは、防ぎようがないが、せめてその対策の一つとして、丈夫な車を選択し、夜間の国道を走らないのが自衛策だ。

 

 その被害にあった車は、軽自動車ではなく普通自動車ではあったが、追突時に車体がトラックのバンバーの下に潜り込み、運転者は首をやられて半身不随となった。同乗者は首を下げて回避して、軽傷ですんだ。

 この種の対策は、信号待ちで止まるとき、①前の車との車間距離をとって、いざという時、回避運動を取れるようにする、②バックミラーで後方の車が正しく停まるか注視する、③なるべく夜の国道は走らない、で自分を守るしか手がない。

 夜の国道には魔物が住む。国道では基本的には信号無視はなく、安全とは言えるが、居眠り運転では如何ともしがたい。

 

 夜遅くまで働かせるようなブラック企業勤務なら、転職も一つの道ではある。それで命を落としたら何のために働いているのは分からない。私もその当時は、仕事をするのが生き甲斐で、夜遅くまで働いていたが、苦にならなかった。当時は今から見れば、ほとんどの企業がブラックであったかもしれない。そういう時代であった。時代が違うというと、語弊があるが、この10年で価値観が激変した。仕事とは何か、生きるとは何か、何のために生きるのか、自分で回答を見つけないと、人生の手段の一つである車の運転で殺される。仕事とは人生である。運転は人生の目的ではなく、手段である。車の運転で人生が無為に帰するのを避けたい。それがこの文書の目的である。車の運転では、安全が最優先である

 

 軽自動車の前面は、その構造上で衝撃吸収空間が小さいので、正面衝突の場合の危険性が大きい。また物理学の運動エネルギー不滅の法則からで、その質量差から来る衝撃エネルギーの吸収の点で、軽自動車の致死率は普通車の7倍に達する。その運動方程式を表すと、式⑴となる。車の質量の差が、吸収エネルギーに変わる割合が示される。

 

   M・V1 + m・V1  = M・V2 + m ・v2    ・・・・・⑴ 

       M :普通自動車の質量

       m :軽自動車の質量(≒ 0.5* M)

       V1 :衝突前の速度(普通自動車)

       V2 :衝突後の速度(普通自動車)

       v2 :衝突後の速度(軽自動車)

 

    図⒏4 普通自動車 vs  軽自動車の衝突

 

 リッターカーの宣伝で、「クラス最高の安全性を確保」とカタログで詠う車種もあるが、あくまでそのクラス間での話で、別クラスのベンツと衝突の喧嘩をすれば、「全面敗北」である。

 

 交通事故の死亡原因を、損傷臓器別に見ていくと、その6割が頭部損傷である。これは「びまん性脳損傷」と言って、交通事故による死亡者の多くは、頭部の外傷や骨折によるものではない。直接的な打撲がなくても、衝突による加速度やひりね力で、脳の各層にずれやひずみが生じる。その結果、脳のあちこちで血管が破裂したり、神経がずたずたになってしまう。頭部損傷による交通事故死のほぼ3分の1が、こうした加速度損傷による死亡だと言われる。

 森安信雄著『交通頭部外傷の社会的研究』やゼネラリー博士の『軸策損傷の研究』によると、猿の頭部に、回転角度と回転中心を一定とした3方向の加速度運動(1~2 ×105  radans/sec2)を与えた実験では、側面からの衝撃は、他の方向(前後、斜め)からの衝撃に比べて、より大きな脳のずれを発生させることが判明している。このことから、エアバック、特にサイド・エアバックが極めて重要であることを示してる。

 

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

書の著作権は馬場恵峰師にあります。所有権は久志能幾研究所にあります。

120170627

コメント

コメントを投稿