冥土行き人生列車、蒸気機関車に引っ張られて夢の旅
人生は運命の列車に乗って旅するようなもの。寝ていても、人生劇場の寝台車両で目的地(死)に運ばれていく。起きている間は、舞台車両に異動して、人生演劇を続ける。
青山俊董著『もう一人の私への旅』(彌生書房刊)より
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その目的地が極楽か地獄かは、着いてみないと分からない。まだ見ぬ世界を考えるより、今の舞台車両で最高の演技をすることを考えよう。
そんな舞台では、うまく立ち回って演技をしようと思わないことだ。今の実力で、良い舞台に、良い道具で、良い環境で、真剣に全力で演技をする。そうすれば、歴史に残る仕事が出来る。
良い舞台とは、よい社会(会社、組織、街、家族)である。そうでなければ、良い社会になるように、改善をしよう。演技する前に改革が必要だ。よい舞台は自分で作り上げる。
良い道具とは、自分の培ってきた知識、智慧、芸、能力(論理力、読み書きパソコン、外国語能力、交渉力等)である。道具を磨かないと、良い演技はできない。
良い環境とは、自分を支えてくれる組織、人脈である。ご縁を大事にして、その環境を整えよう。
経営者にも求められる最大の資質が、「真摯さ」である。それは特別の能力ではない。ドラッカーでもそれを力説している。
人生列車に乗っていると、窓に風景が列車の速度にあわせて流れていく。窓の直ぐそばの景色は凄い速度で流れていく。どんな悲惨な事件でも、当事者には悲劇であるが、遠くから眺めれば、喜劇の風景となる。遠くの山々の景色はゆったりと流れていく。目先で起きる事件や事象とは、窓の直ぐそばの景色の変化である。そんなことに一喜一憂するより、遠くのゆっくり流れる景色を眺めて、どこに列車は向かっているかを考えたい。
一時的な病気、事故、損害、左遷は、近くの窓際の風景である。そんなことに左右されず、遠くの景色を見て人生を送りたい。
その列車に乗ったのは、一期一会である。二度とない時刻表で運行されている。自分だけの専用特別列車である。その専用列車を大事にしよう。それも日本初、平和な時代発の豪華列車である。ご先祖の中には、食堂車もなく、極寒のシベリア地獄行きの列車に乗せられた方もおられる。それも片道切符であった。今の自分の幸せを確認しよう。合掌。
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60年前の蒸気機関車に試乗
先日、大井川鉄道で、60年前の機関車に試乗した。試乗した蒸気機関車の列車は昭和10年~20年ごろ製造された車両である。
この車両は、私が10歳ころ、乗った記憶がある国鉄の車両である。懐かしさで一杯であった。たしかに、この60年間いつの間にか、古希駅まで運ばれてきてしまった・・・・もうじき終着駅である。どんな旅もいつかは終わる。
昭和10年~20年ごろ製造された車両
蒸気機関車は正しい燃料をくべないと、故障して一時停止である。
人間様も間違った食生活で、病気になり、戦線離脱である。
目の前を流れていく風景よりも、遠くの風景(世の中の流れ)を眺めよう。
窓をあければ蒸気機関車の煙が入ってくる。窓が閉めっきりの現代列車とは趣が異なる。
どんな席でも天からの指定席である。拒否はできない。
(この大井川鉄道では、全席指定席である。)
人生で棚上げした荷物はないだろうか、忘れているとそのまま終着駅に行ってしまう。
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2024-12-12 久志能幾研究所通信 2982号 小田泰仙
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