鮒ずしが善玉菌を育成し、がんと闘う
鮒ずしは滋賀県民しか食べられない? 他県の人は、鮒ずしは食べ慣れなれていないから、食べる気にもなれないだろう。その味と匂いは強烈である。食べられる人は勇気がある?
鮒ずしを食べるには、ナマコや生ガキを初めて食べるのと同じ勇気がいるようだ。
60年ぶりの再会
先日(10月11日)、彦根に知人の病気見舞いに行ったとき、何か思いついて(天啓?)、昼飯を食べたお店で鮒ずしをお持ち帰りにしてもらった。10切れほどで2,000円である。60年ぶりに鮒ずしを食した。食べても、そんなに美味しいとは思わないが、薬と思って食べれば、相応のおいしさがある。酒の肴には絶妙な味と言われる食品である。私が小さい頃は、病気でもないと食べさせてもらえなかった。
白い部分はお米が発酵したもの。これを通は食べない。
これで2000円。
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滋賀県人は熱いご飯に鮒ずしを「おかず」に、「うまい美味い」と言って食べるそうだ。その後、それのお茶漬けにするのが定番のようだ。私もそのように食べてみたが、とても「うまい美味い」とは思わず、自分はもう滋賀県人ではないと思い知った。
末後の鮒ずし
23年前(2000年)、入院している父が亡くなる直前、鮒ずしを食べたいと言うので、彦根まで買い出しに行った記憶がよみがえった。親戚に案内してもらって、彦根の鮒ずし造りの本家で買ってきた。良き親孝行だったと思う。滋賀県人にはそんな懐かしい食品である。
今回は、私のDNAがこれを食べるように導いたようだ。体に良い食品は頭ではなく、腸が決めて、脳に食欲の指示をするようだ。腸は脳より頭が良いようだ。健康は腸が決める。食欲は腸が決める。
腸内細菌
腸内には細菌がおよそ1000種類、100兆個も生息していることが知られている。個人差があるが、多い人は1200兆個もの腸内細菌がいる。その腸内細菌の重さは、平均的に3~5㎏である。体の健康には、腸内にビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が占める割合を増やすことが重要である。善玉菌を増やすオリゴ糖や食物繊維を十分にとって、同居人である腸内細菌と協同して健康を作ることで命を守る。
106人の健康な日本人男女を含む12カ国861人の腸内フローラをメタゲノム解析したら、日本人はビフィズス菌の比率が平均17.9%を占め、欧・米・中国等の人と比較すると突出して高いことがわかった。
その腸内フローラは母から子へと15,000年間にわたり、日本人の子孫に受け継がれてきた。それは他の民族でも同じである。
このように民族によって、腸内に住む腸内細菌の種類が異なる。日本人はこの15,000年間も小麦のグルテンや乳製品を食べてこなかった。だから15,000年間をかけて培われた日本人の腸内細菌には、それに対して耐性がない。グルテンに対して、日本人の8割がその耐性がない。欧米人ではその耐性が無い人の割合はせいぜい1~2%である。
だから日本人がこの70年間ほどで小麦、植物油、乳製品、砂糖を摂る食生活に激変させると、15,000年間も生きてきた腸内細菌が反乱を起こす。それが、がんやアトピー等の病気の発症である。
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だから滋賀県では、病気の時に鮒ずしを薬として食べてきた。長い間の経験から得た智慧で、それが腸内環境の改善に効果があると分かっていたのだろう。
鮒ずしで、それを食することが出来るどうかも、県民性が出るようだ。
ご先祖から受け継いだ腸内細菌の歴史を踏まえて食生活を見直そう。
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滋賀県人と鮒ずし
私は小さい頃から、鮒ずしを食べていたので抵抗はない。しかし中学生時代には、食べなくなった。今でも強いて食べたいと食欲はわかない。
彦根では、鮒ずしはお祭りのときや祝い事の時、病気になった時しか食べさせてもらえない。特に今は取れる鮒が激減して、鮒ずしは超高級品である。良品の一匹なら1万円、2万円が必要だ。
滋賀県の人が東京の知人に鮒ずしを贈ったら、相手は、腐っていると思い、捨ててしまったという逸話もある。それほどに強烈な匂いと味ではある。鮒ずしは、日本最古のなれずしである。
歴史
なれずしはタイの北部から中国雲南省にかけての地域に起源を持ち、弥生時代に稲作が中国から伝わったのと同じルートでもたらされたものとされている。
冷蔵庫などなかった古代に動物性タンパク質を保存するための知恵として生まれた。魚介や獣肉、野菜や山菜を飯に漬け、重石をして数日から数か月、あるいは数年間も乳酸発酵させる。雑菌の繁殖を抑えると同時に発酵を促すため、日本酒が加えられることもある[4]。乳酸発酵作用によって酸っぱくなり、pHの低下により雑菌の繁殖を抑えつつタンパク質の分解に伴うアミノ酸系エキス成分により、うま味が増加する。
この項、wikipedia より
2024-10-17 久志能幾研究所通信 2961号 小田泰仙
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