巡礼 光と影の演出「中野友加里 風景画展」 in Sagan
「ありのままの自然を描く」
画家・中野友加里さんの個展が岐阜川原町 gallery Saganにて、開催されている。9月28日まで
中野友加里さんは独学で今の境地を切り開いた。芸術には特別の師が必要ではないことを証明したようだ。芸術の才能は、教えて得られるものではない。
芸術の「芸」は、草冠に「云う」である。これは匂い草の象形文字である。匂い草の香りは、万人に受けるわけではない。ある時代のある人だけに好まれる匂いである。芸術もある特定の時代の特定の人だけに通用すれば、その役目は果たしている。万人受けするのは技術である。だから万人受けするための技術を追わなければ、一定の能力があれば、誰でも芸術家である。
中野さんの風景画は、暗い風景の中から明るい空と差し込む光が映える。明るい空間の中に雲が浮かび上がる。そこに対象物が浮かび上がる技法がある。
透明感ある景色が、空間であったり、樹木であったり、光の動き、それが生命力であったりする。
彼女は、英国の風景画家ターナを意識しているという。しかしターナの絵は英国のどんよりした気候を描写した英国の風景である。それに対して、中野さんの風景画は、透明感ある日本の空気の中、光で浮かび上がる風景を描いている。
食物は地産地消というように、絵でも同じと感じた。西洋画の多くは油彩である。それに対して日本画は水彩が似合っているようだ。油彩の風景画もよいが、日本の風景は透明感のある水彩画の清々しさが際立つ。やはり日本の風景はごてごてした油彩より、水彩画が合っているようだ。
展示されている32点の作品群の中から、生命力を感じた1枚の絵を購入した。
2024-09-27 久志能幾研究所通信 2950号 小田泰仙
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