憎っくき相手も老いる 恨みは恩讐の彼方
命は光陰に移されて暫くも停め難し、紅顔いずくへか去りにし、尋ねんとするい蹝跡なし
「修証義」第一章 総序
先日、6年前の会議で非常識な言動で会議を混乱させた相手と、同じ会議場で再会した。私は6年前の仇を取ろうと手ぐすね引いて準備していたら、再会した相手がよぼよぼになっており、準備した「言葉」が雲散霧消した。相手は80歳を超えており、歩くのも支障がでている。往年の元気さは全くない。
人は75歳を超えると急速に老いる。日本人の平均寿命は81歳でも、健康寿命は72歳である。世間では人生100年時代とはやし立てているが、100歳以上の人数は、全国で9万526人(2022年9月15日現在)で、全体の0.075%でしかない。要は、100歳以上の人は、千人に一人の確率で、稀有な存在である。殆どの人は72 歳で老化が顕在化して、80歳でよぼよぼになるのだ。
いくら壮年期は元気はつらつで組織の頂点に立ち、我儘独裁的に過ごしても、老いは冷酷に襲い掛かる。その時、自分の人生のツケをはらうのだ。
人生は恩讐の彼方
そこに人生を見た。相手の姿が、明日は我が身で、それが未来の自分の姿なのだと思い至った。だからこそ、人生での謙虚さと健康と若さを維持する努力が大事だと改めて思った。人生と言う入れ物も頑丈でなければならない。人生と言うライフフレームの剛健さと、人生の精神状態が健やかにするように心がけよう。傲慢に過ごすとライフフレームに早くガタが来る。
馬場恵峰先生の人生
それに併せて馬場恵峰先生の93歳の時の元気さを思い出し、生涯現役を心がけた恵峰先生の偉大さに改めて感銘を受けた。馬場恵峰先生が寝込まれたのは、死の直前の1か月程であった。
下記の写真は、馬場恵峰先生が卒寿(90歳)記念で写経書展を開催され、その開催式に挨拶をされたときの写真である。
馬場恵峰卒寿記念 写経書展 2016年12月9日 長崎県波佐見町
馬場恵峰書
2023-04-10 久志能幾研究所通信 2664号 小田泰仙
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