孤独死の防止対策 腐乱遺体に啓発される
超大型台風14号が接近中の2022年9月19日、町内で独居老人が孤独死して、その発見が遅れたため遺体が腐乱した状態で発見された。この事件が、今後の生き方(死にかた)の意識変化、町内の人的交流の向上の取り組みを始めることになった。
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事件発生
9月19日10時頃、私が朝の散歩から帰宅して風呂に入ろうとしたら、近所の方から、「隣の家から異臭がする」との通報を受けた。その状況を確認に行った。
その家は玄関に鍵がかかっておらず、玄関を開けて声をかけても返事がない。網戸の窓が少し開いており、ハエがたかっていた。異様な腐臭がある。
この家は少しワケありの家で、独居老人が住んでいる。町内の自治会にも入っておらず、近所付き合いもない家である。
それで家の中に入るのを止めた。孤独死である可能性が高いと判断して、110番通報をした。そこで119番に連絡するように言われて、今度は119番に電話である。この種の緊急連絡は、先に119番であることを、初めて知った。
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現場検証
すぐ赤い(?)救急車がサイレンを鳴らしてやってきて、隊員が現場家に入って行き、死亡を確認したようだ。私は赤色の救急車を初めて見た。これは非常時、多くの消防隊員を運搬するための車両である。大災害の時、司令塔にもなる車両である。
「死亡を確認したようだ」とは、私は直接、その現場を確認していないからだ。救急隊員に「状況はどうでしたか?」と聞いたら、彼も腐乱遺体の対応で大変なのであろう、「そんな業務上のことは教えられません」と怒られてしまった(汗!)。そりぁそうだ。彼らの現場の苦労を察した。彼が「今から検死官が来ます」と言うので、家の人の死亡を知った。
その後、白い救急車が到着した。その後、警官、検視官、パトカーがやってきて大騒ぎである。パトカーが一番最後に到着だが、事件性がないと判断したためか、そういう結果となったようだ。私も第一通報者として事情を聴かれ、2時間ほど付き合わされた。
孤独死
この人は、近所の人と付き合いがなく、自治会にも入っていない。顔を合わせれば、近所の人と挨拶をする程度であった。新聞も取っておらず、孤立していた。親戚の連絡先も不明である。多分生活が苦しいので、そういう経費を出せない経済状態であろう。悲しい人生だ。
どうもこの暑さの中、エアコンを稼働させずにいて、熱中症が原因で亡くなられたようだ。死後10日ほどで、この暑さで腐敗が進んだようだ。
その時、警察の現場検証やその後の処置で、総勢15名ほどの消防署、警察の方が走り回っていた。町内が騒然として、その周りを遠巻きに近所の人が見守っていた。その折、台風14号の雨が降らなかったのは幸いであった。事後処理が終わって片付いた後、その夜には雨足が激しくなった。それも苦労をされた関係者への神仏のご配慮だろう。
仏様からのメッセージ
今回の事件を仏様からの啓示として、自分の死に方と今後の生き方、および町内の独居者に対する対応を見直した。
死にかたを見直す
人の明日は分からない。人は必ず死ぬのだ。どんな夫婦でも、子供は独立して家を出て行き、何方かが先に逝き、最後はその家で一人になり、孤独死となる。
若い人でも、突然死はある。一人住まいの青年だって孤独死の恐れはある。
日本の独居老人数は、未婚率の増加や、核家族化の影響を受けて、単独世帯(世帯主が一人の世帯)が増加している。2040年には単独世帯の割合は約40%に達すると予測されている。特に、65歳以上の単独世帯数の増加が顕著である。
図表4-1-1-1 単独世帯率の推移と65歳以上の単独世帯数の推移(2020年以降は予測)
(総務省 HPより)
自分の最期は美しく逝きたい。人様に迷惑をかけずに逝きたい。この世のためになるものを遺して逝きたい。
よりよく死ぬためには健康が第一である。だから私は日に2回、永眠の練習をしている。残念?だが、必ず朝と昼寝の1時間後に目が覚めるので、まだ生かされている。仏様が、「まだこの世でやることがある」と言っていると解釈している。私は昼寝をすることで健康を保っている。
健康の為、朝の散歩を欠かさない。今日も、雨が降りそうな中、傘をもって散歩をした。その後、今回の出来事であった。
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尊厳ある死のための準備
人様に迷惑をかけてはいけない。人は必ず死ぬのだ。その時の迷惑を最小限にして、この世を去りたいものだ。腐乱した己の死体を処理させるのは、消防署、警察の方や関係者に多大の迷惑をかける。その家が賃貸物件なら、事故物件となってしまう。
人は必ず死ぬ。その時、死体を適切に葬儀に回せば、それは定常業務として処理してくれるので、そんなに人様に迷惑をかけない。
だから独居者が亡くなられても、速くそれが発見される装置を作りたい。それを町内に広めたい。それが町内の安全に役立つだろう。それを試作することを決めた。
町内だけの力では、経済力のない家庭の生活保護の力まではないが、尊厳ある死の環境づくりにはお手伝いができるだろう。人間として尊厳ある状態で葬儀を迎えられるようにしておきたい。それが孤独死をしても速やかに発見される体制づくりである。それが間接的に町内の交流が向上するはずだ。
今回は不幸な事件であったが、これを神仏の啓示として、こんなことが二度と町内で起こらないように対策を打つことにした。
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日頃の行動を見直し
定期的な日頃の行動を近所に見せる。
人が倒れても、近所の人が異常に早く気が付いてくれるはず。
近所づきあいを濃くする。
近所の人の異常を早く感知する。
利他の生活を送る。
新聞購読を止めない
新聞が郵便ポストに溜まると、異常を近所の人に早く分かってもらえる。
今回の事故の家は新聞を取っていなかった。
今回、新聞購読の予想外の有効性を発見した。偏向した新聞を読んでもしかたがないので、購読中止を検討していた最中であった。新聞は購読継続とした。
夏はエアコンをケチらず付ける(私は昔から実行中)
今回の家ではエアコンを稼働させていなかったようだ。
頻繁にお互い安否確認を出来る仲間を増やす。
孤独は素晴らしいが、孤立は最悪である。
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町内の自治会規則を見直し
現在、町内の自治会に入会していないと、大垣広報も配布されないし回覧板も回らない。未入会者は、往々に新聞も取っていない。だから異常の発見が遅れる。
未入会者にも大垣広報や町内回覧板が回るようにすれば、その回収状態で、その家の異常が早期に発見できるだろう。
未入会者の台帳も整備出来て、異常時に連絡先も判明できる。
今回の方はまだ65歳未満で、大垣市からの見守り対象者としても登録されていない。民生委員の方も手出しができない状態であった。どんなに若くても、突然死は起こりうる。その対策が必要だ。
今回は、当事者の年齢も、親族の連絡先も、自治会未加入のため、住民情報の登録がなく、不明であった。警察が他市の住む親族を住民基本台帳から探して連絡したようだ。当日の夕方にその親族の方が来られた。
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30年前の我家の孤独死対策
30年前、母が早くなくなり、高齢の父が大垣の実家で一人で暮らすことになった。遠方に勤務する私は、父の孤独死が心配で、対策を打った。それは父に毎朝、私宛に電話をかけてもらうことだ。たった一言の電話だけだが、10年間それを続けた。自分で息子に電話をかけるという行動は、生きる気力の維持に効果があっただろう。
最終的には父はガンになり、それが原因で86歳で亡くなった。家族の絆で、10年間も父の命を守れてよかったと思っている。世間をみていると、妻が亡くなると、数年で夫が亡くなるケースが多い。それを防げてよかったと思う。今回の孤独死の事故を見ると、絆の大事さを再確認した。
2022-09-19 久志能幾研究所通信 2495 小田泰仙
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