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2022年2月27日 (日)

サガミで「食い逃げ犯」扱いされた

 

 「ビジネスは壊れやすい花瓶に似ている。

 無傷であればこそ美しいが、一度割れると二度と元の形には戻らない。」

    Business is like a fragile vase - beautiful in one piece, but once broken,    damn hard to put back together again to its original form.

       “Letters of a businessman to his son" by G.KINGSLEY WARD

 

 昨年の5月ごろ、大垣のサガミ北店で食事の注文した後、財布を自宅に忘れたことに気がついた。慌てて店員のその旨を告げ、財布を取りに帰ろうとしたら、「担保としてスマホを置いていけ」である。まだ料理も出てこず、食べてもいないのにも関わらず、である。当方もその後の予定があり財布が必要であったから、何も考えず、スマホをサガミに預けて、財布を取りに帰宅して、サガミに戻った。運転中に事故であったら、スマホがなく問題になったはずだと気がつき怒りが出た。

 運転しながら、冷静に考えて、なんで千円の昼食代の担保に、スマホを預けないといけないのかと、さらなる怒りが沸いてきた。要は、客を信用せず食い逃げ犯疑いをされたのだ。接客業としたあり得なことだ。お店は街中でなく郊外店で、車でないといけないお店である。車で来ている客が食い逃げをすると思うのか。

 

 店に戻って席についても、料理が準備されているわけではなく、そこから料理を作りだしたようだ。店員はこの顛末に気が付かないのか、謝りも説明もない。

 私は食事の後、店長を呼び出し、苦情を言った。店長は謝りで「お金は不要です」と言ったが、因縁を付けるのつもりはないので、食事代金を払い、「もう二度とサガミには来ない」と宣言して店を後にした。

 

正しいお作法

 私が店員なら、「代金は今度来店された時で結構ですよ」と言う。これは、日本のどの飲食店でも対応する常識的な対応である。客とお店は、お互いに信頼関係である。わずか千円の食事代である。それをサガミの店員は「(お前は信用できないので)担保としてスマホを置いていけ」は異常である。料理はまだ出来てもいないし、私は食べてもいないのだ。

 

権限無移譲

 それもそんなレベルの事を、わざわざ上司にお伺いを立てて、スマホ預かりの顛末である。実は「携帯の電話番号を聞いとけ」の指示を勘違いしたようだ。問題はわずか千円の決済権も店員にはないのだ。店員が店長から信用されていないお店であることが露見した。

 そのお伺いを立てて、回答が来るまでに10分はかかる。時間コスト一分100円として客に1000円の人生価値を失わせてしまう。だからこんなお店で食事など、今後まっぴらである。

 

日本人の劣化

 このサガミの客の扱いは、日本の飲食業の下記の病気を表している。

 サービス産業の生産性の低さ、それが向上しない原因

  要は権限委譲がされていない

  従業員をロボットとして信用しない体制

  日本人の劣化(自分の頭で考えれなくなった)

  社員が作業員(ロボット)に成り下がる現象

  社員教育の劣化

  金儲け主義の蔓延

 

 今回の事件で、サガミの従業員教育レベルが判明した。マニュアル化されて洗脳された従業員は、客を客として見ていない。客は工場ライン上の仕掛品なのだ。また、サガミは接客業なのに、店員は自分の頭では考えられない状態となっている。どうすればお客に喜んでもらえるかを考えない。これは日本人全体に広がっている業病である。こんな状況だから、失われた30年が生まれて、日本の生産性が停滞しているのだ。特にサービス産業の生産性が伸びない。

 

生老病死

 あれから10か月が経つが、私はサガミには行っていない。もう二度と行くことはない。1991年9月にサガミが名古屋2部に上場したころから、私はサガミが気に入っていて、月に2,3度はサガミに通っていた。当初は、週末のテニススクールの後、食事のため近くのサガミ知立店に毎週通っていた。知立店から始まり、高浜店、橿原店、大垣店の30年間のサガミとの縁はこれで終わった。どんなものも生まれ、成長し、老い、病気になり、死ぬ。それは企業でも同じである。経営者が異変に気が付かなければ、予定より早い死があるのみだ。

 自分でも、人との信用関係を大事にしたいとの思いを新たにした。

 

 

2022-02-27 久志能幾研究所通信 2317号  小田泰仙

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