蓮華の模様
2015年に再建したお墓つくりで最後まで悩んだのが蓮華の模様の有無である。簡素に華美に走らずの基本方針で、お墓つくりを進めたが、蓮華の模様をつけるかどうかで最後まで悩んでしまった。最初は蓮華の模様無しで進めたが、親戚の助言や蓮華の意味を考えて、伏せ蓮華の模様を付ける事に変更した。受け蓮華だと結構目立つのだが、伏せ蓮華ならそんなにも華美とは見えないことを確認して決断した。ご先祖供養としての気持ちとして伏せ蓮華の模様も許されると判断した。
伏せ蓮華の模様 字は馬場恵峰先生の揮毫
蓮の世界
蓮華とは蓮の花のことで、蓮は仏教の世界で最高の花である。蓮の花は泥の沼の中に美しく咲く。それに対してワサビは清純な山の中の清流の中に咲く。人間社会の中で正義を貫きすぎると自身はワサビの存在となってしまう。正義とは狭義な存在である。神仏の身でない人間は、清濁併せ呑む大きな度量が必要である。清らかな環境で育って清純な心を持っても、人としてワサビの存在になっては佛になれまい。それを仏教は蓮華の花で教えている。
お釈迦様は世間と断絶したお寺で修行をされたわけではない。俗世間の泥にまみれた中で修行をされた。
人は泥沼の人間社会の中で、いかに美しい華を人生で咲かせるかが問われる。回りが泥だらけでも、自分の心をいかに清らかにするかである。
蓮(LOTUS)は、古代エジプト、インド、ギリシャ、ローマの神殿にもさりげなく彫刻されている。西洋でも高貴な花として認められている。ギリシャ神話では、その実を食べると現世の苦悩を忘れるとされた。ギリシャ神話の世界では、神の世界にも現世の苦悩があるとされ、生々しい神の恋愛話や武勇伝が神話を彩っている。
私も2010年、2011年とローマやシシリア島に20日間の旅行をしたが、当時はそんな意識が無いので、目に入らなかったが、写真で神殿等を見ると確かにLOTUSの模様がある建築物が多くある。
2017年にウィーン楽友協会の黄金ホールを訪問した時は、目を凝らして探したので、あちこちにLOTUSの模様があることを発見した。
馬場恵峰書『百m巻物』 日中文化資料館蔵 2014年4月17日撮影
志天王が観る世界 p174
2021-07-16 久志能幾研究所通信 2091 小田泰仙
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