恵峰先生を偲ぶ(5)東日本大震災の支援活動(1/4)
浄土が浜の海水
2011年4月2日、朋友の齋藤明彦社長(㈱電創総合サービス)が、書の師である馬場恵峰先生(当時84歳)の元を訪問して、哀悼の書の揮毫を依頼された。東日本大震災の被害に遭われた皆さんに元気になってもらうのが目的である。そのとき、三陸海岸宮古浄土が浜の海水を持参された。その海水を使って震災で犠牲になられた方たちへの鎮魂の書を依頼された。まだ震災で犠牲になられた方たちの精霊が漂っている浄土が浜の海水である。
齋藤明彦社長は、震災後のかたづけの多忙の時期で、家族や社員の方からは白い目で見られたにも関わらずの長崎訪問である。当時、斎藤社長の会社も甚大な被害を受け、てんてこ舞いの状態であった。従業員の方で亡くなられた方は見えなかったのがせめてもの幸いである。
恵峰先生は海水を使っての磨墨は、そのままではかなり書きにくいとのことで、薄めて書かれた。
同席のご縁
齋藤社長が長崎の先生宅を訪問したとき、私もたまたま同席をするご縁を頂いた。私は恵峰先生の松尾芭蕉300年御忌で書かれた『奥の細道全集』を撮影するため訪問していた。齋藤社長とは明徳塾で机を並べて馬場先生の書を習う仲間である。齋藤社長とは長崎空港で別れたが、かなりお疲れのようであった。こういう無償の奉仕こそ生きた仕事である。
考えるまもなく津波に押し流された方の無念が偲ばれる。明日はわが身と思い、時間(命)の有限性を再認識した。
箕面 加古川山荘にて(2011年4月16日 撮影)
恵峰先生の図書館にて(2011年4月2日)
左端が齋藤社長、右端が恵峰先生、中央は福田社長、手前が「奥の細道全集」
2021-05-27 久志能幾研究所通信 2036 小田泰仙
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