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2020年10月12日 (月)

貴方を認知症にする敵とは?

 

 人生で戦うべき相手は、内なるもう一人の己である。その相手は手ごわい相手である。敵は時に108の姿に変身して、手を変え品を変え己を誘惑する。優柔不断で、いつも己に勝てないのに、生存競争が激しい娑婆の商売相手、ギャンブル相手、市場の競争相手に勝てるはずがない。戦うべき相手は、内なる己なのだ。

 毒であることが分かっていても、食欲の誘惑には勝てない己だ。「肥満防止でお饅頭は一個しか食べない」ともう一人の己に約束したのに、その誘惑に勝てず、ついもう一つお饅頭を食べてしまう。それで人生で勝てるわけがない。

 お饅頭は糖質の塊である。糖質はアルツハイマー型認知症の遠因となる。認知症になれば、もう一人の己と闘う気力も失せる。敵は狡猾である。

 

認知症リスク

 「60歳以上の住民1,017人を1988年から15年間に渡って追跡調査した結果、糖尿病の人は正常な人に比べ、2.1倍もアルツハイマー型認知症を発症するリスクが高いことが分かりました」(久山町研究に携わる九州大学大学院・清原裕教授)

 糖尿病発症の原因は糖質以外に、AGE(終末糖化産物)も大きな要素である。AGEは、糖質とタンパク質が生体内で反応してできた「超悪玉の糖化したタンパク質」である。

 AGE牧田クリニックの牧田善史院長が話す。「AGEは様々な老化現象を引き起こす物質です。血液中や血管に蓄積されて動脈硬化の原因となり、コラーゲン繊維に蓄積して骨粗しょう症や白内障の原因となる。また肌の弾力性を失わせ、シワ、たるみ、シミのもとになる。

 アルツハイマー型認知症は、脳の中にアミロイドβという異常なタンパク質が蓄積し、『老人班』と呼ばれるシミが脳にできる。その老人班に大量のAGEが含まれているのが分かってきたのです。このAGEを溜め込まないかが、アルツハイマー型認知症の予防のカギだと考えられる」

 その対策として、高血糖体質からの脱却、すなわち「糖質オフ」の食生活を心がける。

 

食べ物に含まれるAGEでは、

 フランクフルトソ―セイジ(11,270ku)、

 マヨネーズ(9400ku)、

 ベーコン(9023ku)、

 プロセスチーズ(8677ku)、

 チキンナゲット(8627ku)、

 ピザ(6825)、

 ローストビーフ(7071ku)、

 ハンバーガ(5418ku)、

 マカロニグラタン(4070ku)、

 ポテトチップス(2833ku)、

 フライドポテト(1,522ku)がある。

 ちなみに、ご飯は9ku、食パン(トースト)83ku、パスタ112ku、である。

   出典:米国栄養士会雑誌

 伊藤隼也著「アルツハイマーは糖質オフで防ぐ!」『週刊文春 2014.1.16』号を抜粋、編集

 

戦う相手

 人生で己に襲い掛かる最強の敵は、内なるもう一人の己である。しかし内なるもう一人の己は、いつでも戦う「お相手」をしてくれる。どこかに出かけて戦う必要もない。もう一人の己は自分の都合に合わせて、いつでも戦う「訓練」の相手さえもしてくれる。自分の意志さえさえ固ければ、もう一人の己という敵は親切なのだ。

 しかし50年間の食欲との戦いで、いつも己は負けていた。その敗戦の傷が肥満である。出っ張ったお腹が負け戦の勲章である。それが癌の遠因にもなる。

 人は人の中で人となる。己の内には、煩悩に取りつかれた108人の己がいる。それが人生の敵である。それが入れ替わり立ち代わり、もう一人の己になって、減量に挑戦する己に誘惑の声をかけてくる。「小田さん、ダイエットは明日からすればよろしいがな。今日は食べましょうよ」と。なんと愛すべき身内の敵だろう。彼は天使の仮面を被った悪魔なのだ。

 私は内なる108人と一年に一人ずつ戦い、全員に勝ってから世を去りたい。だから108まで死ぬわけにはいかない?

 

因果応報

 この世で起こる事象には原因がある。物忘れ、認知症、アルツハイマー型認知症発症の真因を探って、その対策をすべきだ。物忘れがひどくなったのは、酷くなるような食生活や生活習慣を長年送ってきたのだ。世の中は最高の事しか起こらない。その食事が生み出す最高の結果が認知症である。美味しいモノには毒がある。

 

祈りとは

 祈りとは、己と内なる仏様との約束である。自分に対する約束を果たす訓練である。自分という仏様に対する小さな約束を破っては、人生で戦う外の敵に勝てるわけがない。まず自分に対する小さな約束を守る訓練をして、もう一人の己に勝つことだ。

 

人生の第4コーナ

 70年間も人間稼業をやってきて、そろそろ内なる己に勝たないと、人生が終わってしまう。もう人生レースで第4コーナを回ったのだ。チェッカーフラッグが振られたのだ。危機感を持とう。残された時間はそんなに多くない。誘惑を振り切り、正気でゴールのテープを切りたいものだ。

 そうしなから65歳の年代で15%、75歳のそれの25%もが認知症になってしまった。認知症は癌よりも恐ろしい。罹患したら簡単には治らない。

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 日本経済新聞 2014年07月09日

 

2020-10-12 久志能幾研究所通信 1783  小田泰仙

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